カテゴリ「Exchange/Outlook」の6件の投稿 Feed

2024年9月 6日 (金)

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2024年8月22日付で次の更新機能がアナウンスされました。

  • 受信者への取り消し通知のオプション
  • 取り消し可能なメッセージ世代の最大値
  • 外部ラウンド トリップルーティング

Exchange Online Message Recall Updates - Microsoft Community Hub

受信者への取り消し通知のオプション

これまで組織内のユーザー宛のメールは送信主が相手に知らせることなく送信済みメールをこっそりと取り消すことができていました。とはいえ、一度、受けとったことを目にしているユーザーもしくは一度目を通したユーザーにとっては「あれ、あったはずのメールがない!」ということになり混乱を招くこともあったのです。

そんな背景から、新たにテナント管理者は取消し通知を宛先に指定したユーザーに対して有効にできるようになりました。次の2つのいずれかのオプションを指定できます。

  • 全ての取り消されたメッセージ
  • 受信者が読んだ取り消したメッセージのみ

要するに全社はすべての送信済みメールに対して取り消したことを知らせる。後者は読んだ人にだけ、「あっ、あのメール取り消しましたからね。もうないんですよ」という旨を知らせることができるわけです。

この設定は PowerShellコマンドからも実行できますが、Exchange 管理センターから確認するのがわかりやすいでしょう。まず、[設定]>[メールフロー]の順にアクセスします。

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次に表示される画面から「メッセージの取り消し」セクションにある “受信者のリコール アラートを有効にする” をオンにします。この時に「すべてのリコール済みメッセージ」または「受信者によって読み取られた取り消されたメッセージの場合のみ」のいずれかを指定します。あとは、「保存」を押下するだけです。この設定変更は以上の設定は1時間ほど反映されるまで時間がかかるそうです。

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メッセージを取り消す

では、送信済みのメール(組織内宛て)をメッセージ取り消してみます。

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しばらくすると送信対象者に取り消しを知らせるメッセージが届きます。

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取り消し可能なメッセージ世代の最大値

ちなみに、上記設定の下にある「これより古いメッセージの取り消しを送信者に許可しない」オプションでは、取り消しが可能な送信後の日数を指定できるようになっています。既定値は 365です。最低5分~最大10年まで指定できます。

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外部へのラウンド トリップルーティングのサポート

設計上、メッセージの取り消しは Exchange Online のサービス境界外へと送信されたメッセージの取り消しには対応していません。しかし、一部の管理者は、テナント内のメール(送信者と受信者が同じテナントにある場合)を Exchange Online からサードパーティのサービスまたはオンプレミスのシステムに転送して追加処理を行った後、再び Exchange Online に転送して配信しています。従来では、このシナリオでは取り消しは失敗していました。

ですがアップデートにより現在は外部を経由して Exchange Online に戻って配信されるテナント内メッセージの取り消しもできるようになったそうです。

2024年8月31日 (土)

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Microsoft 365 ユーザーは、Outlook on the web と Outlook for Windows で音声入力によるメール作成機能が利用できるようになりました。Word にはすでにディクテーション機能がありますが、似た使い勝手になっています。ちなみに、この機能は Microsoft Azure Speech Services を利用しています。

Improved user experience for Dictate in new Outlook for Windows and Outlook for the web (microsoft.com)

50以上の言語をサポートしており、日本語もサポートされています(プレビューではありません)。本文にカーソルを挿入した状態でコマンドバーから「ディクテーション」にアクセスすることで音声入力を開始できます。

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ディクテーションはすぐに始まりますが、設定を変更したい場合は歯車のアイコンをクリックします。20240831_111501_2

入力言語ははじめは英語になっているので、表に応じて「日本語」に変更するようにしましょう。20240831_102945

他にもオプションとしてマイク デバイスの変更や句読点の自動挿入の有効化、不適切な語句をフィルター(既定でオン) などがあります。

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このように音声入力ができるようになると思考を止めることなく書き留めていけるのは魅力的ですね。もちろん、話し言葉と書き言葉は違うので後から修正する必要性はでてきます。そのあたりは Copilot for Microsoft 365 があれば AI を使って修正などもできるので、こうした組み合わせができると非常に効率的だと思います。

なお、音声入力を使う場合は、より正確な音声認識をするためにヘッドセットを用意することが推奨されています。

ちなみに、プライバシーの観点から入力された音声データをMicrosoft が蓄積することないとのことです。

2024年8月28日 (水)

MyAnalytics(フル) または Viva Insights サブスクリプションを持つユーザーは自分が組織内のユーザーに対して送信したメールの開封率や読むのにかかった時間などを分析できるようになっています。Web版およびWindows版のOutlookのどちらでも利用できます。

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5名以上の組織内のユーザーに対して送信したメールを開くと、メールを開いた受信者の割合が表示されます。添付ファイルがある場合は、添付ファイルの表示されるのは開封率です。

[その他の分析情報を表示]をクリックすると次の情報が確認できます。

  • メールを開いたユーザー数の割合
  • メール転送したユーザー数
  • メールの読み取りに費やした時間の平均

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メールの開封率はメール送信後およそ30分以内に経過すると確認できるようになるようです。

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有効期限

メールおよび添付ファイルの開封率の確認ができるのはメール送信後14日以内(2週間)です。これを超えると表示されません。

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メールの既読率とドキュメントの開封率

1人が5人以上のユーザーに送信するメールのメールメッセージを開いた受信者の割合を追跡するようになっています。ただし、5人未満のユーザーに対して送信したメールに関しては読み取り率の追跡はしません。プライバシー維持のためだということです。そのため、Viva Insights では 0% や 100% という表示はしません。これを表示するということは誰がアクションしたかがわかってしまうためです。その代わりメールの受信者数をもとにした閾値が用意されておりこの範囲に基づいて割合が表示されます。

この指標はメールが開封済みとしてマークされるときに、Outlook の個人設定に基づいて計算されるようになっています。Outlookがメールを「既読」にすると、その情報はその人のメールボックスに保存され、そのユーザーがViva Insightsの使用をオプトインしている場合は、送信者のメールボックスに配信されます。

Viva Insights は、5 人以上に送信されたメールでは、メール内のリンクまたは添付ファイルとして共有されたドキュメントを開いた受信者の割合を追跡します。この指標の計算は、受信者がSharePointまたはOneDrive for Businessに保存されている共有ドキュメントを開いたかどうかに基づいています。

ということで、以上の内容が下記に書かれているものをかいつまんで書いておきましたが当然、公式情報もご確認ください。

管理者向けの Viva Insights プライバシー ガイドの個人的な分析情報 | Microsoft Learn

SharePoint ニュースのメール配信との関係

ちなみに、この機能はニュースを丸ごとメールで配信するときにも利用できるようになっています。ニュースをメール配信するときには、公開し多ユーザーの Outlook 経由でメールが送信されます。そのため送信済みフォルダーから自分が配信したメールをトラッキングできるわけです。SharePoint側でもページの利用状況レポートをページごとに見ることができるますが、メールで丸ごと送信した場合も利用状況レポートにメール経由のものも含めて統計としてカウントされます。この場合は、最大90日間、分析情報が確認できます。分析データとしては、次の4つの項目です。

  • ページの閲覧者
  • ページビュー
  • ユーザー当たりの平均時間
  • 時間別のページトラフィック

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メールの開封率はページの分析にはありません。自分がメールで配信したニュースをどの程度の開封率でみてくれているのかは、Outlookを利用する方がよさそうです。ただし、14日以内に限ります。さらに、メール経由、ページ経由などどの伝達チャネルを使って閲覧するユーザーが多いかを確認したけれぱ、Viva Amplify を使うほうが適しているといえます。

SharePoint Technical Notes : Viva Amplify: お知らせを Outlook, SharePoint, Teams に一括配信しよう! (lekumo.biz)

参考

2024年6月 6日 (木)

↓の前回の続きの記事です。

SharePoint Technical Notes : Exchange: 大量メール送信機能 (HVE) パブリック プレビュー (lekumo.biz)

HVEアカウントを作成したら、Power Automate から送信テストをしてみます。Power Automate には SMTPコネクターが用意されているためこれを利用します。

たとえば、「フローを手動でトリガーする」を指定し、次に「SMTPコネクター」のメール送信アクションを追加します。この環境での利用が初回である場合は、接続の作成が必要です。この時に HVE用の SMTPサーバーアドレスやユーザー名/パスワード、SMPTサーバーポート、SSL の有効化を行います。

20240606_154009_2 接続を追加したら、再び「メールを送信する」アクションを選択し、パラメータを指定します。「すべて表示」をクリックすると、CC, Bcc, 重要度、添付ファイル、宛先、件名、ボディを指定します。ちなみに、差出人として自分のメールアドレスを指定するとフロー実行時に「メールボックスへのアクセス権限がない」とエラーになります。大量メール送信であるため、通常は送信専用アカウントとすることになるため差出人は空を指定しておく方がよいでしょう。

20240606_154031 以上で、あとはフローを実行するだけです。

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※大量メール送信機能(HVE)は執筆現在、パブリック プレビューです。

大量メール送信機能 (HVE) とは?

大量のメールを効率的に管理するための機能です。HVE は High Volume Email の略。Exchange Online 上にHVEアカウントを作成して、これをユーザーは大量メール送信のエンドポイントとして利用します。

Hve

現在、Exchange Onlineではメール送信時に送信制限されます。これは受信者数の制限(迷惑なバルクメッセージの送受信の抑制目的)とメッセージ数の制限(指定された期間内にExchange から SMTP経由で送信できるメッセージ数が決まる)の2つに基づいています。例えば受信者数の制限(Recipent Rate limit) は、1日24時間あたり10,000の受信者に制限されていますし、メッセージ数の上限も1分あたり30個のメッセージ数に制限されます。

一方のHVEの目指すところは次の通りです。

  • HVEは組織内部のマス コミュニケーション向けに設計されており、内部受信者に対しては受信者数の制限なく一般的なメールボックスよりも多くの電子メールを送信できる
  • 外部受信者にして送信料を制限する。 Azure Communication Services が大量の外部メールに対応するソリューションを提供しているためである。
  • 管理者は、アカウントごとに独自の上限を設定できるようになり、消費ベースの課金モデル、使用量メトリクス、トラッキングを利用できるようになる。

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この機能を利用することによるメリットは次の通りです。

  • 送信先の制限
  • スパム対策のバイパス
  • 送信済みアイテムのフォルダーへの保存
  • TLSサポート
  • 認証

送信先の制限

これまでメール送信では外部受信者への送信には制限はありませんでした。ですが、前述の通りHVEは1日あたり2,000人の外部受信者に制限されます。このように制限を設けることで、次のようなメリットが享受できます。

  • セキュリティとスパム対策
  • リソースの効率的な利用

まず、セキュリティとスパム対策ですが、不正な送信者からの大量のスパムメールを防ぎます。また、外部受信者への送信を制限することで悪意ある攻撃やフィッシング詐欺のリスクを低減できます。

次にリソースの効率的な利用ですが、これまでのように無制限だと大量のメール送信によりサーバーリソースが過度に消費される可能性がありますが、制限を設けることでリソースの適切な分配ができます。

スパム対策のバイパス

HVEから送信されたメールは Microsoft 365 または Office 365 のメールボックスであれば、スパム対策をバイパスできます。

送信済みアイテムのフォルダーへの保存

HVEから送信されたメールは送信済みアイテムフォルダーに保存されるため送信履歴を簡単に追跡できます。

TLSサポート

HVEから送信されたメールは従来通りポート25またはポート587ですが、デバイスやアプリケーションサーバーはTLSサポートが必須です。従来はTLSサポートは必須ではありませんでした。

認証

プレビュー期間中は、HVE for Microsoft 365 ではSMTPベーシック認証を必要とします。そのためMicrosoft 365 または Office 365 ユーザー名とパスワードが必要です。

一般提供開始後に OAuth認証がサポートされる予定です。

パブリック プレビューの詳細

HVEを使用することで特定のSMTPエンドポイントを使ってメッセージを送信できるMailUsersを作成できます。プレビュー中は最大20まで作成可能です。現時点での制限は次の通りです。

機能 テナントごとの最大数
HVEアカウント 20
受信者レートの制限 10万/日/テナント
外部受信者 2,000/日/アカウント

サービス情報

  • サーバー/エンドポイント: smtp-hve.office365.com
  • ポート: 587
  • TLS: STARTTLS
  • TLS 1.2 と TLS 1.3 をサポート
  • 認証: ユーザー名とパスワード

VEアカウントの作成

Exchange 管理センターから[メールフロー]>[大容量メール(プレビュー)]の順にアクセスします。次に 「HVEアカウントを追加する」をクリックします。

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表示名、プライマリ メール アドレス、パスワードを指定します。プライマリアドレスは、username@contoso.com の形式にする必要があります。ドメインは承認済みドメインにします。エイリアスは省略可能です。パスワードは Microsoft 365 ユーザーアカウントを作成するときと同じ条件です(8 ~ 256 文字で、大文字、小文字、数字、記号のうち少なくとも 3 つを組み合わせ)。条件を満たさないのだと作成時にエラーになります。

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内容を確認したら、[作成]をクリックします。

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ちなみに、作成したアカウントは Microsoft 365 管理センターのアクティブなユーザーとして表示されます。ただし、送信用の特殊アカウントであるためライセンスは付与することは避けるようにしましょう。

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費用

パブリックプレビュー中はコストは無料ですが、1日当たりの受信者数は10万人に限定されています。GA時には拡張される予定。初期段階ではエンドポイントは北アメリカ地域にありますが、今後数か月以内により多くの地域にラウンチする予定であるとのこと。

メールの送信テスト

Power Automate を使って HVE アカウントを利用した送信テストが可能です。詳しくは次の記事へ。

SharePoint Technical Notes : Power Automate を使ってHVEアカウント経由で電子メールを送信する (lekumo.biz)

参考資料