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2024年6月 4日 (火)

先日の Microsoft Build 2024 で SharePoint サイト内の複数のファイルなどからカスタム Copilot を素早く作成できるようになることが発表されました。

これから紹介する機能が一通り利用できるようになるのは 2024年の夏ごろになるということで、現在、プライベートプレビューです。

📌プライベート プレビューのエントリー
https://aka.ms/TryCopilotsSharePoint

SharePoint をベースとした Copilot 登場の背景

SharePoint は多くのコンテンツが蓄積され続けています。コンテンツのリポジトリが増え続ける中、より正確な情報に基づいて回答を得たいと思ったときにどうすればよいのか。また知識をほかの人と共有するにはどうしたらよいか悩むところです。

これまでは何か仕事を行うために必要な情報を自らかき集めてくる必要がありました。ですが、AI の力を借りて素早く必要な情報を集め、私たちは自分の行うべき仕事に専念できるようになる。そんな未来を描きつつ、新たに登場するのが数クリックで「 SharePoint からのカスタム Copilot の作成」できる機能です。作成した Copilot は、Teams チャットやメールなどで他のユーザーと共有できます。

この記事について

Microsoft Build 2024のオープニング Keynote で Jeff Taper 氏がこのことについて話しています(1:07頃から)。

この記事では、Keynote と TechCommunityで発表された内容および Microsoft Build 2024 BKR144 の内容を日本語でまとめていきます。

各SharePointサイト (OneDrive含む) で利用できるビルトインの Copilot

SharePoint のサイト所有者はそのサイトのコンテンツを範囲とするビルトインの Copilotを有効化できるようになります。

Sharepoint_builtin_copilot

このビルトインの Copilot はサイト内の情報をもとに回答を生成してくれます。たとえば、マーケティングチームが新しい製品のラウンチに向けて資料などをSharePoint サイトに格納しているとします。そこには、デモビデオ、スペックシート、プレゼンテーション資料、プレスリリースなどが含まれています。このサイトの Copilot は「この製品のラウンチ日は最終決定したの?」などと尋ねるとこうしたサイト内の情報をもとに信頼性の高い回答を返してくれるのです。

ちなみに、Copilot は回答する際にそのサイトのコンテンツ内から情報を得ますが、ユーザーのアクセス権限に基づいて取得するため、ユーザーにとってはその人が閲覧可能な情報から回答が生成されるということです。

Copilot の既定のスコープはそのサイトです。ですが、この範囲を広げたいということもあるでしょう。サイトの所有者として Copilot をカスタマイズできます。 Microsoft Copilot Studio または Visual Studio で作成した Copilot をサイトの既定の Copilot として指定することもできます。

つまり、ビルトインの Copilot独自にカスタマイズする Copilot2つがある。この2つの違いについては Build の BRK144セッションの資料がわかりやすくまとまっています。

Integrating your bots and Copilot experiences natively into SharePoint and Viva | BRK144

20240525_105830

日本語にして少し加筆すると次のようになるでしょう。

harePoint サイトごとのCopilot 自分で選択したコンテンツから作成した カスタム Copilot
サイト用のビルトイン Copilot サイト用にカスタム Copilot を作成したもの
サイトのコンテンツが基盤で、すぐに利用を開始できる 自分で選択したコンテンツが基盤
カスタマイズ可能 左と同じ
Teams やメールなどを経由して Copilot を他のメンバーと共有できる。そのため同僚は同じナレッジベースを使って仕事ができ、リアルタイムにコラボレーションできる 左と同じ
自分のコンテンツのアクセス許可レベルはそのままで応答できる (各ユーザーにとって閲覧権限がなければ、その情報は使われない) 左と同じ
サイトの所有者は自サイトのCopilotを制御できる。 -

誰でも数クリックで SharePoint から Copilot (拡張) を作成できる

サイトの所有者やサイトの管理者だけでなく、サイトの編集権限を持つ人(サイトメンバーなど)であれば、数クリックでサイトの Copilot を作成できます。SharePoint からカスタムのCopilot を作成できるので、特定のプロジェクトなどの特定の目的の専用 Copilotを手軽に用意できます。

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次のスクリーンショットは Microsoft Build 2024のオープニング Keynote 内でのデモ画面です。配達ドローンのラウンチを行うサイトで、ライブラリ内の複数のファイルを選択してコマンドバーから「Create a copilot」をクリックしています。

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次の画面ではこれらのファイルが含まれているフォルダー名と同じ Final Maetrials Copilot という名前で Copilotが生成されるのがわかります。

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ということで、本当に数クリックで Copilot ができてしまいます。この画面からすぐに使う場合は「Try it」、編集する場合は「Edit」をクリックします。

このように作成することで SharePoint サイトの右側でカスタム Copilot がすぐに利用できます。

ちなみに、この Copilot のソースファイルも画面上のドキュメント ライブラリに作成されていることがわかります(ReleCloud_Delivery_Doron.copilot)。

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なお、 Copilot の右上の … をクリックすることで既存の Copilot の共有、編集が行えるだけでなく、新しいチャットを開始したり、チャット履歴を確認することもできます。

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Copilot の設定

SharePoint に Copilot が展開されると、サイトの設定メニューに「Site Copilot Settings (サイトのコパイロットの設定)」が新たに追加されます。

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この設定からこのサイト上でユーザーが利用できる Copilot を選択できます。既定の Copilot を指定するのではなく、複数利用可能な Copilot がある場合に、そのうちのどれをユーザーが利用できるかを決めるということです。

実際には次の図のように Copilot の切り替えができるようになるようです。20240524_201753

Copilot の共有

作成した Copilot は共有できるのですが、結局のところCopilot の共有とは、ライブラリ内に作成された*.copilot であり、このファイルの共有リンクを作成することですね。SharePoint ではおなじみの共有方法です。

20240524_190302

たとえば、この共有リンクは Microsoft Teams のチャットに貼り付けられます。追加するとメンバーもこの Copilot と対話できるようになります。20240524_190424

アクセス権はどうなる?

ビルトインの Copilot と同様に、カスタム Copilot は既存の SharePoint のアクセス許可レベルに従います。カスタム Copilot のファイル自体の共有は共有リンクで行いますが、コンテンツに関してはすでにアクセス権限を持っている必要があり過剰共有の問題はおきません。

Microsoft Copilot Studio との統合

Copilot for Microsoft 365 ユーザーは Copilot Studio の使用権を持っています。ですから、組織内での利用に関しては追加料金がかかることなく利用できます。

次の画面はMicrosoftが発行しているライセンスガイドの一部です(2024年4月のP19)。単体の Microsoft Copilot Studio のサブスクリプションと比較すると機能は限定的ですが社内利用に関してはほとんどの機能が利用できることがわかります。20240604_112802

基盤としてSharePoint 以外に拡張する必要がある場合は、 Copilot Studio からデータソースを追加できます (※現在、1,000種類以上のデータコネクターがある)。Copilot for Microsoft 365 であれば、Copilot Stduio 内でプレミアムコネクターやカスタムコネクターも利用できます。

既存の Copilot を Copilot Studio で編集するには Copilot の編集画面でSource タブまたは Behavior タブをクリックすると下部に表示される「Add advanced customiztion in Copilot Studio」をクリックします。

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画面上部に次のようなメッセージが表示されます。

Your SharePoint copilot extension is ready for editing. Once you choose Create, any additional edits to this copilot can only be made in Copilot Studio.

つまり、SharePoint copilot 拡張を編集する準備ができたので右上の「Create」ボタンが押せます。ただし、一度この Create ボタンを押せば、今後は Copilot Studio 内からしか編集できないようになるということです。

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Copilot Studio では編集にフル機能を使えます。20240526_151540

たとえば、ナレッジベースを追加する場合はDataverse データベースやパブリック Web サイトなども追加できます。これらは Copliot 用のコネクターを通じて行えます。

※ Copilot コネクターのプレビューへのアクセスは2024年6月より開始されます。20240526_102808

またアクションも追加できるようになっており、特定のコネクターのアクションの追加や新規フローの作成などもできるようになっています。一通りの設定が終わったあとは[Publish]ボタンから発行するだけです。

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Microsoft 365 Copilot アプリでの利用

Microsoft 365 の Copilot アプリでもカスタム Copilot として利用できます。この場合は、自分で作ったカスタム Copilot や自分に共有されている Copilot は、自分が最近使った Copilot 拡張の一つとして表示されます。

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最後に

ここまで、これから利用できるようになる SharePoint のサイトをベースにした Copilot やカスタム Copilot 作成について説明してきました。

SharePoint サイト内に共有されている情報を生成AIを使って有効に利活用できるようになります。従来のファイルサーバーでは格納される情報が増大するほど埋もれがちでしたが、Copilot と SharePoint の組み合わせで、SharePoint 内でユーザーが作成した様々なデータだけでなく外部のデータも組み合わせて有効活用できるというのは画期的だと思います。

いよいよ、新しいナレッジマネージメントの姿へと進んでいくという側面としてもとらえられそうです。

2024年5月 7日 (火)

Excel の Copilot を使うと1回のプロンプトで複数の数式列候補を生成できます。 

たとえば、名前が含まれている列で空白を挟んで姓と名が分かち書きになっているとき、「名前の列を姓と名に分割してください」とプロンプトすると姓と名の二つの列を生成して分割する式を提案してくれます。 20240507_142435

ただし、対象は必ずテーブルになっていなくてはいけません。

また特定のテーブルや列を指定するときにはメンションする必要があるとのことで、この場合は列ですから @列名 を指定しないとうまく回答してくれません。


YouTube: Microsoft Copilot in Excel: 数式列を提案する

Designer_12

米マイクロソフト社が公開している記事で Copilot の導入に関する興味深い記事が公開されました。

AI Data Drop: The 11 by 11 Tipping Point (microsoft.com)

記事によると、Microsoft が Copilot for Microsoft 365 を利用している 1,300ユーザーへの調査を行った結果、"11" というマジックナンバーが浮かび上がってきたそうです。 

AIにより、1日11分の時間短縮ができることでAIは役に立っていると感じる。また、1日11分の時間短縮を11週間利用し続けることで、生産性、仕事の楽しさ、ワークライフバランス、会議への出席回数を減らすという4つの主要な成果を改善できると答えたそう。 

これが 11×11の転換点であり、スモールステップを継続しつづけることで少しずつ習慣を変えそれが定着していく。 

ユーザーひとり一人に1日11分 Copilot を使って何かしらの業務を短縮できることを考えて貰い、行動してもらう。これを11週間促すことで、四半期足らずで AI の習慣が身につくようになるということです。

2024年5月 2日 (木)

2024年4月に導入された機能で Help me create: 作成をサポートしてください が追加されました。

Latest updates for Microsoft Copilot - Microsoft Support

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やりたいことを具体的に説明したうえで、下書きを生成し、どの Microsoft 365 アプリを使うのがコンテンツに最適なのかを提案してくれます。基本的な使い方はビデオで確認できます。


YouTube: Copilot にやりたいことを伝え下書き作成とともに適した Microsoft 365 アプリを提案してもらおう

※この機能は 2024年5月時点ではエンタープライズ ユーザーのみが利用できます。

この機能はLLM(大規模言語モデル)を使って必要なコンテンツの初期の下書きの作成を支援してくれるだけでなく、コンテンツに適した Microsoft 365 アプリを提案してくれます。

生成されたテキストは選択したアプリ (Word、Excel、PowerPoint) にコピーされます。それ以外の場合は、生成されたテキストを手動でコピーして貼り付ける必要があります (Forms、OneNote、Lists、Sway、Loop、Viva エンゲージ)。 

この機能はテキストベースのLLMに基づいているため、生成物したい対象が文字でなくビデオや画像などの場合は生成できないため、単純にアプリの推奨のみを行います (Clipchamp、Visio、Stream、PowerBI、Whiteboard)。

2024年5月 1日 (水)

Copilot for Microsoft 365 の活用を支援するために “制限された SharePoint 検索” が導入されます。

※ 2024年4月17日現在、この機能はパブリックプレビューとなっています。ロールアウトは2024年4月から開始されています。

Introducing Restricted SharePoint Search to help you get started with Copilot for Microsoft 365 - Microsoft Community Hub

制限された SharePoint 検索とは?

制限された SharePoint 検索は組織全体検索を無効化して、管理者が指定した特定のサイトおよび Microsoft Copilot のみを検索で利用できるようにするための設定です。これによりサイトの権限の見直しと監査を行う猶予を持てます。

Copilot for Microsoft 365 は Microsoft 365 内のコンテンツをもとにユーザーがプロンプトで対話する際に関連するコンテンツを生成したりします。秘密度ラベルを適用するなどの情報漏洩に対する対応が十分でない場合は、Copilot が利用するコンテンツの範囲を制限したいわけです。 Copilot による情報サーチは Microsoft 365 の検索機能を利用するためこれとともに制限するしかない。

この制限された機能を有効にするとCopilot のユーザーだけでなく Copilot を使っていないユーザーにも影響するようになります。

Microsoft 365 ホームページや SharePoint スタートページ、SharePoint ホームサイトから検索すると既定で SharePoint の検索は組織全体検索となりますが、この時の検索範囲が制限されるということです。

この機能は既定ではオフです。PowerShellを使ってオンにする必要があります。検索を許可するサイトは最大で100サイトまでとなっています。

使いどころ

ちなみに、この設定は最初からサイト間の横断的な検索の範囲を限定しようという発想です。いったん狭めてから徐々に広げていくという戦略です。

ですが、すでに検索できていたものが検索できなくなる可能性がありあるため利便性が損なわれる可能性があります。この場合は、全体的な検索は有効にしたまま、特定のサイトのみを検索対象から外すということをしたいこともあると思います。特定のサイトのみを検索対象から外す設定は昔からあり、該当するサイトの管理者またはサイトの所有者はサイトの設定ページから「検索とオフラインの使用制限」設定で "このサイトを検索結果に表示する" オプションを "いいえ" にするだけです。

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