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2025年6月21日 (土)

これまで提供されてきた Android および iOS 版の Microsoft Lists アプリが廃止されます。

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📅廃止予定日は2025年11月中旬です。

廃止に伴い、今後は Microsoft Lists のモバイルブラウザー エクスペリエンスへ移行することが推奨されます。モバイルブラウザーエクスペリエンスではより多くの機能を利用できまた最新の改良などのアップデートも継続されます。

廃止までのタイムライン

2025年6月下旬

アプリ内に情報バナーが表示され、アプリの廃止が近いことまたモバイルWebエクスペリエンスへの移行を推奨することをユーザーに通知します。

2025年9月中旬

新規ユーザーはモバイルアプリをインストールできなくなります。

2025年11月中旬

アプリは新規ユーザーに対してAppleアプリストアやGoogle Play からダウンロードできないように非表示になります。既存のアプリのユーザーはアプリを開くとエラーとなります。

廃止後

以上の通り、

廃止後はアプリのインストールやインストール済みのアプリは利用できくなります。

なお、モバイルアプリが利用できなくなるだけで既存のリストデータに影響はありません。Windows版のリストアプリやモバイルブラザーからは引き続きリストを利用できます。

2025年6月20日 (金)

SharePoint Framework Extensions のフィールドカスタマイザーの廃止がアナウンスされました。

Support update for SharePoint framework field customizers in lists and document libraries - Microsoft サポート

2026年6月30日にSharePoint リストおよびドキュメント ライブラリのフィールドカスタマイザーはサポートされなくなります。この日を境に既存のフィールドカスタマイザーによるカスタムコードは動かなくなるため通常の列の値の表示になります。

なお、コマンドセット カスタマイザーとアプリケーション カスタマイザーは引き続き利用できます。

代替としてはリストやライブラリの列の書式を使うことを推奨しています。

テナント内のフィールドカスタマイザーをリストアップするスクリプトがPnP Samples で公開されています。
List all SPFx field customizer | PnP Samples

弊社ではSharePoint Frameworkの研修を初期リリースの2017年から行っていますが、この機能については列の書式が登場して年々使い勝手がよくなってきため列の書式とどちらがいいかを比較することが大切だという話を受講者の方にはしてきていたので、まぁ成り行きはわからなくはないです。とはいえ、列の書式だけで完全に機能が代替えできるものではなく例えば列の書式だと一部のCSSはサポートされませんし、その他にもできることは限られます。要件によってはやはりフィールドカスタマイザーも当然必要なケースもあるわけです。

この発表があってから、LinkedIn などでは長年の SharePoint 開発者からは既存のカスタマイズをないがしろにしすぎでは?というような声も上がっており、もう一度、Microsoft が廃止に関して再考することを望む声も少なくないようです。だからといって今回の発表が覆ることがあるのかどうかはわかりませんし、今のところは廃止に向けた準備を粛々と進めていくべきでしょう。

投稿 | LinkedIn

個人的には、昨今のビジネスは以前にも増してスピードがあがり、選択と集中を決断すべき速度も上がっているようですが、あまりに性急にことをすすめすぎているような気もしています。オンプレミス時代のように、すぐに「廃止」とはせず、もう少し緩やかな変化も時には大事ではないかなと思う今日この頃です。

🦤"雑記 (昔し話) " 

そういえば、クラシックサイト時代はSPFxなどなく、当時はソリューションフレームワークを使った開発だとか、JSLinkを使ったりだとかしていました。あれは、あれで開発がとても複雑で面倒だった。

ソリューション フレームワークを使って、独自に "郵便番号" 列を作成して、Webサービスと連携させて自動的に住所を補填する仕組みなども作るハンズオンがあったなぁ。。。しかし、当時の開発の難易度はかなり高かった。CAML(XMLベースのSharePoint で使う定義言語)も覚えないといけないし、そもそもソリューションを展開するにもサーバーにDLLを置いたうえで、IISとかワーカープロセスのリセットしたり、、、その代わりにモダンサイトではフィールドカスタマイザーが登場という感じでしたね。サーバーサイド オブジェクトモデルから CSOM, XML Webサービス、REST API へと移り変わり。SPFx にはフィーチャーフレームワークはまだ残っているけど。TypeScript + REST API/Graph API になった。

ちなみに、JSLink に代わるのが列の書式とかビューの書式ですね。XML+JavaScript から JSONの世界へ移り変わったんですよね。あー、懐かし。

2025年6月10日 (火)

SharePoint サイトに適用するテーマがアップデートされマルチカラー対応になりました。ただし、サイトテンプレートから新規に作成するサイトは従来のテーマカラーが適用されているため、必要に応じて新しいテーマを適用しなおす必要があります。

Microsoft から提供されるテーマカラーは次の通りです。

  • 青緑
  • オレンジ
  • 薄紫
  • コバルト

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📅ロールアウト時期

  • 対象リリース: 2025年5月初旬から中旬
  • 一般提供: 2025年6月上旬~中旬

マルチカラー対応

テーマがマルチカラー対応になったことで、ページのヘッダーやフッターで色を指定できるようになります。ちなみにフッターが利用できるのはコミュニケーションサイトの場合だけです。

例えばヘッダーでは従来4種類の色から選択するしかありませんでしたが、現在はサイトに適用したテーマカラーに沿って9色の色合いから選択できます。

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ページのセクションの背景色もテーマカラーから14種類から選べます。

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他にも、テキストエディターWebパーツやセクションのデザインアイディアでも利用できるようになっています。テキストエディターではテーマの色に沿った色を、文字色やテーブルの背景色などで指定できます。

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リストとライブラリの[自動化]メニューに独自の定型的な操作を作成する、"クイック操作" が利用できるようになりました。

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といってもテナントによってはロールアウトが進んでいるところで、まだ利用できないテナントもあるはずです。

📅ロールアウト時期

  • 対象リリース: 2025年5月下旬~6月上旬
  • 一般提供: 2025年6月上旬~6月下旬

クイック操作とは?

クイック操作では、特定のアクションを素早く利用するための操作メニューを独自に追加できるようになります。基本的な使い方はMicrosoft サポート情報にも公開されています。

リストまたはライブラリの簡単な手順を作成する - Microsoft サポート

ただ、あまり詳細までは書かれていないためここでは少し詳しく説明していきましょう。

作成できるクイック操作

作成できるクイック操作はリストとライブラリとで多少違いがあります。また、選択したファイルやアイテム単位で操作できるものとリストやライブラリ全体に対して操作するものと2種類あります。

[リスト]

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[ライブラリ]

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リストに対してクイック操作として利用できるのは次の機能です。

リスト ライブラリ
選択済みの場合 現在のリストの場合 選択されたファイル用 現在のドキュメントライブラリの場合
メールの下書きを書く フローを実行する メールの下書きを書く フローを実行する
Teams チャットを開始する Teams チャットを開始する
値を設定する   値を設定する
フローを実行する   フローを実行する
    ファイルまたはフォルダーを移動する
    ファイルまたはフォルダーをコピーする

メールの下書きを書く

この操作では特定のユーザーに対してメールの下書きを素早く作成できます。

クイック操作を作成するときに宛先を指定できますが、そのほかにも CC や件名を指定できます。アイテム(ファイル) のリンクを本文に追加するかどうかを決定することも可能です。

ちなみに、このクイック操作は閲覧権限を持つユーザーでも利用できます。

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クイック操作を作成するとアイテム選択時に[自動化]メニューにクイック操作が表示されます。ただし、同時に複数のアイテムを選択している場合はこの機能は利用できません。

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クリックすると、ローカルのメーラーを立ち上げようとします。手元の環境では Web版の Outlook をPWA としてインストールしているためこれを起動しようとします。ちなみに、直接 Web版のOutlook を起動するように指定することはできないようです。

実際にOutlookを起動してみると、次のようなメールの下書きが表示され、指定したToのアドレス、件名、アイテムへのリンクが生成されていることがわかります。必要に応じて本文を追記して、メールを送信することになります。

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Teams チャットを開始する

指定したアイテムやファイル/フォルダーに対して特定のメンバーとTeams チャットを開始します。メッセージの本文にアイテムのリンクを含めるかどうかを選択することも可能です。

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チャットを開始する場合は、一度に選択できるアイテムまたはファイル/フォルダーは1つのみです。複数の項目を選択している場合は、自動化メニューには当該クイック操作は表示されません。ちなみに、このクイック操作は閲覧権限を持つユーザーでも利用できます。

値を設定する

特定の列の値を指定した値に変更します。指定できるのは1つの列のみです。またシステム列は対応していません。

この操作はアイテムの更新を行うことになるため使用するユーザーは投稿アクセス許可レベル以上を持っている必要があります。

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複数のアイテム/ファイルを選択している場合は一括で操作できます。

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フローを開始する

Power Autamate のフローを呼び出せます。

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選択したアイテムまたはファイルの場合

事前に Power Automate 側でSharePoint コネクターの「選択したアイテムの場合」または「選択したファイルの場合」のいずれかでフローを作成しておく必要があります。フローの作成先は「既定の環境」であることも確認しておきましょう。またユーザーはこのフローに対して実行できる権限を持っている必要があります。

フローを開始するクイック操作を作成するときには、作成したフローのIDが必要です。

実行時は複数のアイテムの同時選択はできません。アイテム(ファイル)を1つだけ選択して実行します。

現在のリストまたはドキュメントライブラリの場合

リスト全体またはライブラリ全体のアイテムに対する処理を行うフローを実行することになります。

事前に Power Automate のフローを作成する必要がありますが、特定のアイテムやファイルを選択したトリガーは使えません。この操作はリストやライブラリ内のアイテムを何も選択していない状態でないと表示されないためです。フローを手動でトリガーするといったトリガーでフローを作成する必要があります。また、フローの作成先は「既定の環境」であることも確認しておきましょう。そうしないとフローIDが見つかりませんというエラーが表示されます。

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ファイルまたはフォルダーの移動

この操作では選択したファイルやフォルダーを特定の場所に移動できます。任意のサイトのライブラリおよびフォルダーを指定できます。移動であるため登録者や更新者、更新日時、登録日時などは操作した日付で更新されることはありません。

複数のファイルやフォルダーを同時に移動できます。

ファイルまたはフォルダーのコピー

この操作ではファイルやフォルダーを特定の場所にコピーできます。任意のサイトのライブラリおよびフォルダーを指定できます。コピーであるため登録者や更新者、更新日時、登録日時などは操作した日付で更新されます。

複数のファイルやフォルダーを同時に移動できます。

注意点

移動やコピーする際には移動先に対して少なくともアイテムの追加ができる権限以上が必要です。たとえば、投稿や編集アクセス許可レベルなどを持っておく必要があります。

この点、SharePoint Premium のライセンスがある場合はルールでファイルの移動やコピーを行えますが、移動およびコピー先に対するユーザーのアクセス権限は問わないため、例えば法定保存文書を補完するような一般には読み取り専用のサイトへの移動なども手軽に行えます。

必要な権限

クイック操作を作成および管理するにはユーザーが “編集” アクセス許可レベル以上を持っている必要があります。

2025年5月31日 (土)

5月初旬に米国ラスベガスで開催された Microsoft 365 Community Conference 2025 を受けて、AI 時代の SharePoint, OneDrive, Teams におけるコンテンツガバナンスの最新情報が Microsoft のブログで2025年5月7日付け(米国時間)で公開されました。

What’s new in Content Governance in SharePoint, OneDrive, and Teams for AI era | Microsoft Community Hub

詳しくは上記のリンク先を参照してください。とはいえ記事は英語のみですし、ここでは日本語で主要なポイントを整理していきたいと思います。

現在、Microsoft 365 の利用者は毎週新規ドキュメントを20億追加しているという現状があり、増え続けるコンテンツをいかに効率よく確実に管理していくのかが組織における課題です。

そこで重要になってくるのが、Microsoft 365 E5 またはSharePoint Advanced Managment ライセンスで利用できる各種ガバナンス機能群です。機能によって必要なライセンスは変わってくるので注意してください。

ちなみに、SharePont Advanced Managment のライセンスは2025年1月よりMicrosoft 365 Copilot の有償ライセンスに含まれています。これ以外に別途追加購入することが可能です。

さて、このライセンスに含まれる各機能の最新の展開状況が公開されていますので表形式で共有しておきます。

1. SharePointのアクセス権とポリシー管理

機能 ステータス
ユーザー/グループごとのアクセス許可レポート プライベートプレビュー
制限付きコンテンツ検出(RCD)ポリシー 一般提供中
Entraセキュリティグループを活用した制限付きアクセス制御(RAC) 一般提供中
AI駆動のコンテンツポリシー推奨 プライベートプレビュー

2. SharePointサイトのライフサイクル管理

機能 ステータス
非アクティブなサイトポリシー v2 一般提供中
サイト所有権ポリシー 一般提供中
サイト確認ポリシー(Site Attestation Policy) プライベートプレビュー
制限付きサイト作成ポリシー 一般提供中

3. SharePoint管理者向けの洞察とツール

機能 ステータス
エージェント洞察 v1 一般提供中
エンタープライズアプリケーション洞察(第三者) 公開プレビュー
SharePoint管理者向けCopilot 一般提供中

4. 組織のライフサイクル管理とソリューション

機能 ステータス
SharePointクロステナントサイトコンテンツ移行 一般提供中

ユーザー/グループに付与されているアクセス許可レベルのステータスレポート

Copilot の展開に備えて、重要なのはコンテンツに対するアクセス権限が適切に管理それていることを確認することです。過剰な共有やアクセス権限の付与が行われているサイトを特定し、問題解決のための適切な措置をとる必要があります。

以前、以前、Microsoft は過剰共有のベースラインレポートをリリースしました。これはテナント内で多くのユーザーがアクセスできる状態になっているサイトを把握し、適切な対応をとるために役立ちます。ちなみに、このレポートの生成には PowerShellを利用する必要があります。詳しくは下記のリンク先を参照してください。

Manage Data access governance reports using SharePoint Online PowerShell - SharePoint in Microsoft 365 | Microsoft Learn

さらに Microsoft は、新しいレポートとして「Content accesible to a user/group」のプライベートプレビューをアナウンスしました。このレポートを使って特定のユーザーやグループにアクセス許可が付与されているすべてのサイトを識別できます。

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SharePoint の管理者は特定のサイトアクセスレビューを開始しすると、サイトの所有者はサイト/ドキュメントライブラリ/フォルダー/ファイルといった様々なレベルで詳細な概要を知ることができる各コンテンツに対して適切な対応をとることができます。

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[関連情報]SharePoint サイトのデータ アクセス ガバナンス レポート - SharePoint in Microsoft 365 | Microsoft Learn

サイトの制限されたコンテンツの発見: Restricted Content Discovery(RCD) for sites

Copilot を使う際の心配事の一つが Copilot による意図しないコンテンツの発見です。 意図しないコンテンツが見つかってしまう原因はサイトのアクセス許可の範囲が広がりすぎてしまったり、過剰共有されていたまま、アクセス許可レベルの設定が更新されずにいたことにあります。データ アクセス ガバナンス レポートを通じて過剰共有のあるサイトを特定したあと、次に行うのはMicrosoft 365 Copilot がこうしたサイトを偶発的に発見しないように制限することです。

制限されたコンテンツの発見ポリシー: RCDポリシー

制限されたコンテンツの発見ポリシーがGAとなりました。このポリシーはCopilot内や検索時に意図しないコンテンツが発見されないように支援します。RCDポリシーがSharePointサイトに適用されると、ユーザーは Microsoft Copilotエクスペリエンスや組織全体検索からこうしたコンテンツを発見できなくなります。

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Entra セキュリティ グループと Microsoft 365 グループを使用したすべてのサイトに対するRAC: 制限されたサイトアクセスポリシー

今日の一般的な課題の一つがサイトの過剰共有による権限の乱立を管理することです。データ アクセス ガバナンスレポートを使って過剰共有サイトを特定した後は、次に必要なユーザーにのみアクセスを制限することです。制限されたアクセス制御(RAC)は、Microsoft 365 グループとEntra セキュリティグループとを利用して、Microsoft 365 に接続されたチームサイトやTeamsに接続されたチームサイトなどあらゆる種類のサイトに対して適用できるようなりました。一度、RAC ポリシーが適用されるとユーザーはコンテンツへのアクセス許可を持っているかもしくは制限されたアクセス制御グループのメンバーであるコンテンツにだけアクセスできるようなります。

ちなみに、従来サイトの管理者が意図した権限設定をユーザーの裁量で特定のコンテンツの共有範囲を広くとることができるのが「共有リンク」のメリットですが、RAC を適用することで特定のサイトではたとえユーザーが誤った範囲での共有リンクを作成したとしても、組織で決められたメンバーしかアクセスできないように制限するのがこの機能です。

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SharePoint サイトと OneDrive アカウントのAIドリブンなサイトマッチング

組織のデジタル資産が拡大するにつれ、アクセスの管理とコンテンツポリシーは次第に複雑になっていきます。このことは、ユーザーが素早く情報にアクセスできるこの現代において非常に重要です。つまり、従来のサイトのアクセス権限設定のみに頼った「隠蔽によるセキュリティ」モデルはもはや有効ではありません。

そこで、Microsoft は「SharePoint/OneDriveに対するAI駆動型コンテンツポリシーの提案」機能のプライベートプレビューを発表しました。ユーザーは類似したコンテンツを持つ正しく構成されたサイトの一覧を提供することで、AIの力を使って対象のサイト群をスキャンします。このエンジンは入力されたサイト一覧から意味的にサイトを一致させ、外部共有やダウンロードのブロック、制限つきアクセス制御や特定のサイトに対するデバイスポリシーといった関連するポリシーを推奨します。

Copilotの応答を適切で最新のものにするためのSharePoint サイトのライフサイクルポリシー

  • 非アクティブなサイトポリシー v2 - GA
  • サイトの所有権ポリシー GA
  • サイトの証明ポリシー - プライベートプレビュー
  • 制限されたサイト作成 (Restricted sites createion) - GA

非アクティブなサイトポリシー v2

SharePoint サイトを使っていれば一定期間を過ぎれば使われなくなるサイトがどうしても出てきます。Copilot のユーザーは現在使われなくなっているサイト内のコンテンツから生成された古くなった情報を受け取る可能性があります。また外部ベンターや3rdパーティアプリケーションがこうした非アクティブなサイトへのアクセスを継続しているような場合、情報漏洩やセキュリティインシデントにつながる可能性もあります。

こうした問題に対応するためにSharePoint管理者は、特定のサイトに対してカスタムポリシーを実装できます。このポリシーでは、非アクティブなサイトの所有者や管理者は自動的に送信される通知を受け取り、サイトをそのまま残すが削除するか判断できるようになります。加えて、SharePointの管理者はこうしたサイトの管理者などからなんの応答もないような場合にはサイトを読み取り専用にしたり、アーカイブするといったアクションを自動的に行うように設定できます。

Microsoftはさらに新しく次の機能を発表しています。

  • SharePoint 管理者はサイトポリシー内のメール内容をカスタマイズできるようになる
  • SharePoint 管理者はCSVファイルを使って最大10,000のサイトにポリシーを適用および対象設定できるようなる(2025年6月より一般提供開始)

[参考] Manage inactive sites using Site lifecycle management - SharePoint in Microsoft 365 | Microsoft Learn

サイトの所有権ポリシー

従業員が退職するなどして所有者のないサイトが生じることがあります。こうしたサイトは公開してよいかどうか確認が取れていないデータがある可能性があり、そうした情報が Copilot を通じて公開されてしまうリスクがあります。

サイトの所有者ポリシーは、SharePoint 管理者が各サイトの所有者の最低人数を設けることができます。既定では最低2人のサイトの所有者が必要であるよう強制できます。このポリシーにより、所有者がいないようなら最近活動のあるサイトのメンバーや以前の所有者の上長などに通知を送信して、だれが責任者となるのかを確認することができます。ただし、3回の通知後もサイトの所有者が不在のままになった場合は、強制措置も実施できます。その措置の一つにアーカイブ機能があり、2025年6月にGAとなる予定です。ポリシーを通じて3回通知しても所有者がいないままであれば、当該サイトを自動的にアーカイブできるようになります。

次のスクリーンショットは現時点での私のテナントのものです。

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サイトの証明ポリシー

SharePoint サイトを各サイトの所有者と管理者が定期的に確実にレビューすることは、アクセス権限、アクセス、サイト情報のガバナンスを維持するために重要です。責任のある所有者が定期的なレビューすることによって、古くなったコンテンツ、過剰共有、管理されていないサイトに関連するリスクを軽減できます。

サイトの証明ポリシーは現在プライベートプレビューであり、サイトのライフサイクル管理ツールキットに新たに加わります。このポリシーでは、サイトをレビューする責任者をサイト所有者に割り当て、サイトが非アクティブになったり所有者がいなくなってしまうことを防ぎます。サイトの所有者や管理者はサイトの目的や所有者、メンバー、アクセス権、共有設定といった大事なポイントを定期的に確認することが要求されます。ちなみに確認期間は任意に指定できます。レビューの通知から3か月以内もし何のアクションもとられなければ、自動的ににサイトをアーカイブしたり、読み取り専用にするなどの措置が適用されます。このポリシーは特定のユーザーには通知しないようにも設定できます。

制限されたサイト作成 (Restricted sites createion) - GA

新しい「制限されたサイト作成」機能を利用すると、様々な種類のサイトの作成を許可されている組織内のユーザーグループを制御できるようになります。

このポリシーにより、SharePoint 管理者は制限されたサイト作成特権をグループに設定したり、組織内の特定のグループにサイト作成権限を付与することができます。このポリシーはTeamサイト、コミュニケーションサイト、OneDrive for Business などあらゆる種類のサイトに段階的に適用できます。この設定は SharePoint Online 管理シェルコマンドを使って構成します。

Restrict OneDrive and SharePoint site creation - SharePoint in Microsoft 365 | Microsoft Learn 

SharePoint 管理者向けのエージェントのインサイトとガバナンス

  • エージェント インサイトv1 - GA
  • SharePoint のサイトレベルでのエンタープライズ アプリケーション インサイト (3rdパーティ) - パブリック プレビュー

エージェント インサイトv1 - GA

現在サイトごとにSharePoint エージェントを作成できるようになっています。このエージェントの利用状況を把握するために SharePoint 管理者向けにエージェントインサイトが導入されました。このレポートにより、SharePoint エージェントの利用率の高いサイトを特定し、セキュリティ強化のために「制限されたサイトアクセス制御(RAC)」や「制限されたコンテンツ発見(RCD)」を適切に適用できるようになります。

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SharePoint のサイトレベルでのエンタープライズ アプリケーション インサイト (3rdパーティ) - パブリック プレビュー

エンタープライズ アプリケーションインサイトはSharePointサイトのうちテナント内に登録されている3rd アプリケーションにアクセスが許可されているサイトを識別するためのレポートです。このレポートにはアプリケーションのアクセス許可スコープ(例. Files.Read.All)や要求数などに基づく情報が含まれており、サイトのセキュリティを強化する対策を講じることができます。

SharePoint 管理者向けの Copilot - GA

2025年5月に SharePoint 管理センターに Copilot がやってきます。これにより、管理を強力に簡素化および簡素化できるようになります。注目すべき機能としては自然言語でのやり取りができることであり、管理者は複雑なメニューに誘われることなく日常の言葉を使ってタスクを遂行し、情報を取得できます。

たとえば次のような機能の提供が予定されています。

  • コンテキスト Q&A

管理者は、自分の環境に関する「やり方」について質問し、Microsoft Learnのコンテンツに基づいた正確なリアルタイムの回答を受け取ることができます。

  • 複数値のサイト検索

管理者がサイトの作成者や作成日、ストレージ使用量といったフィルターを使うことで特定のサイトを簡単に見つけられるようになり、時間を節約しつつ効率を向上します

また近く Copilot に高度な機能が追加される予定となっています。

  • 複数サイトに対して一括操作を実行できる
  • 意図しないサイトの削除など、リスクを伴う操作があれば警告しミスを防ぐための保護機能の提供
  • テナント設定の統合ビューを提供することで、設定を把握しやすくなる
  • SharePoint の高度な管理レポートなどとの統合

組織のライフサイクル管理とビジネスソリューション

  • SharePoint のクロステナントサイトのコンテンツマイグレーション-GA

企業の合併や買収(M&A)は、組織の成長や事業戦略の重要な一環であり、Microsoft 365 を活用した統合プロセスが進められています。2022年に OneDrive やメールボックスのテナント間移行が実現したのに続き、この夏には SharePoint サイトのテナント間データ移行機能が正式リリースされる予定です。

この新機能により、PowerShell コマンドを使用して、コミュニケーション サイト、モダン チーム サイト、Teams またはグループに接続されたサイトなど、さまざまな種類の SharePoint サイトを異なるテナント間で移行することが可能になります。さらに、旧URLへのアクセスも新URLに自動リダイレクトされる仕組みが導入され、リンクの利便性が確保されています。この進化は、グローバルな組織統合をより円滑に進めるための大きな一歩です。

弊社オリジナル研修のご案内

この記事で紹介した SharePoint のガバナンス管理機能については弊社の下記の研修でも扱っています。組織全体を管理する SharePoint 管理者は自身の知識の整理やアップデートのために弊社の研修をぜひご活用ください。

【オフィスアイ株式会社】Microsoft 365 SharePoint の構成と管理 ~Microsoft 365 Copilot 対応~