Copilot in SharePoint の2026年7月のアップデート情報が公開されています。
What’s New in Copilot in SharePoint: July 2026 | Microsoft Community Hub
よく読みこみ、これまでの経緯なども知らないと読み取れないところもあるため、補足しながら説明していきます。
量が多く、長くなるので、お手すきの時に読み進めてください。
自然言語を使ってコンテンツを作成する
Copilot に依頼することでSharePoint 内のコンテンツから Word ドキュメント、Excel ワークブック、PowerPoint スライドを直接作成できるようになりました。
これによりサイト内にあるナレッジをコピー&ペーストすることなく数分で共有できる状態に仕上げられます。たとえば、プログラムマネージャーはプロジェクトサイトのメモをリーダーシップレビュー前に最初のトラフト状態のスライドとして作成できるようになりました。
実際に手元の環境で再現しました。次のようなプロジェクト情報をまとめたサイトを作成しています。
このサイトの情報をもとに経営層向けのスライドを作成するようにプロンプトで指示します。
次のビデオでわかるようにCopilot はプロンプトの指示に従い、サイト内の情報からスライドを作成します。スライド内ではタスク数が "11" となっていますが、タスク一覧にある完了件数である “4” と、SharePoint ページに記載しているマイルストーン表の完了件数の “7” を加えて集計していることがわかります。またWordファイルの議事録内容からもきちんと情報が取得できています。
インタラクティブなHTMLレポートを作成する
SharePoint に格納されているコンテンツからインタラクティブなHTMLレポートを生成できます。ちょっとしたものであれば Power BI を使わなくても ExcelまたはSharePointリスト と SharePoint のHTMLレポート作成機能で対応できそうです。ちなみに、これまでも HTMLファイルは SharePoint のドキュメント ライブラリにアップロードはできましたが、ブラウザー上で直接見ることはできず、ブラウザーで見るようにするためにはカスタムスクリプトの実行の有効化が必要でしたが、今回の機能はそういった設定は不要で SharePoint にビルトインのビューアーで表示できます。
ここでも実際に試しています。次のようなExcelファイルを用意し SharePoint サイトに格納しました。
このファイルをもとに次のプロンプトでHTMLページを作成します。
このファイル内の今四半期の売上実績データ [ 売上サンプルデータ.xlsx ] を使って、インタラクティブなダッシュボードを作成してください。 含める内容: ・総売上 ・目標達成率 ・実績が最も高い地域/最も低い地域 ・売上の時系列推移(月別トレンド) 地域・製品で絞り込めるフィルターを追加し、経営層向けのレビューに使える見た目・構成にしてください。
これでドキュメントライブラリにインタラクティブなHTMLが生成できます。実際の操作ビデオはX(旧Twitter)で共有しているので、下記に貼っておきます。
ファイルやフォルダーの整理
ドキュメント ライブラリ内のファイルをチャットのやり取りから整理できるようになります。もともと、OneDrive に投入予定の機能でしたが、SharePoint のドキュメント ライブラリに実装されたようです。
フォルダー構造の功罪
弊社ではSharePoint サイトのドキュメントライブラリは、"なるべくなら" フォルダーのみでのファイル整理は避けた方がいいというアドバイスを常々しています。フォルダーを作る前に複数のライブラリに分けること。そのうえで、メタデータを設定して、グループ化表示で対応できるかどうか。うまくいかないようなら、フォルダーを作成するが1階層から2階層程度までといった具合です。
とはいえ、Teamsに接続されている SharePoint のチームサイトなどは既定では1つのドキュメントライブラリのみがTeams のチームに紐づくようになっているため、ファイルの仕分けはどうしても1ライブラリ内でフォルダーを使うことになりがちです。そうした場合に、ファイルを整理するのにはこの機能は使えそうです。
ただ、すでに大量にファイルが格納されている場合は、これらを新しいフォルダー構成に移動することになるため、決まった格納場所を覚えているユーザーにとっては探しにくくなる可能性が高くなります。むろん、検索機能などを使えば見つけられはしますが、こうした整理はちらかり始めた初期の段階で取り組んでいくのがよさそうです。
OneDrive 内でのフォルダー整理機能が未実装な理由を考察する
現在、OneDrive 内ではCopilot を使ったフォルダーの整理はできません。未サポートです。 それでも実際にOneDrive内で Copilot によるフォルダー整理を無理やり試すと、フォルダーの構成案を考えて作成までできますが、肝心な移動は日本語フォルダー名だとうまくいかなかったり大量のファイルがあると少しずつしか移動できないなど、問題が見つかります。もちろん、もともと未サポートですから運用環境では試さないようにしてください。
しかし、そもそもOneDrive に先に追加される予定の機能が未実装なのはなぜか? という疑問が残ります。
ここからは憶測です。OneDrive の場合は様々なアプリやPower Automate フローなどが決まったフォルダーを作成してそこに成果物を作成するようになっています。Loop, Whiteboard, Copilot Cowork のスキルなどもそうです。そのため、チャットによりフォルダー階層を変更する場合、これらのアプリが影響を受ける可能性があるため、そこが課題になっているのではないかと考えています。
ファイル共有
Copilot チャットから特定のファイルを特定のユーザーと共有できます。
作成するリンクは共有リンクではなく、固有のアクセス権を付与してURLを共有します。
承認の構成
Copilot にライブラリに対して承認を構成するよう依頼できます。ビューの作成も依頼できるので、レビュー段階に応じたトラッキング用のビューなども手軽に作成できます。また、承認期限の切れたコンテンツや次の対処に関する提案なども依頼できます。
次のビデオでは、承認の構成を行った後、ビデオ内では省略していますが、承認や却下をいくつかのファイルに対して行っています。その後、次のプロンプトを指定しています。
承認期限を過ぎた案件や、レビュー・承認が途中で止まっている案件を強調表示し、対応策を提案してください。
ルールやクイックステップの作成
Copilot に指示することで、コンテンツやメタデータが変更された際にシンプルなメールを送信するルールを作成できます。
ただし、あくまでも指定できるのは SharePoint のビルトインの機能を使える範囲です。
例えば、ルールの場合、「レビュー日の5日前にファイルの所有者にリマンドメールを送信して」とは指示できますが「5営業日前」までに送る指定はできません。また、送信先は「ルール」ではファイルの「登録者」や「更新者」などのシステム列は指定できないため、基本的には固定のメールアドレスを利用するか、別途、「ユーザーとグループ」列を使って新規に「ドキュメントの所有者」列などを指定しておき、この列をメール送信先に使う必要があります。
Copilot in SharePoint を使ってルールを作成する
Copilot in SharePoint を使ってクイックステップ列を追加する
スキルの作成と利用
現在、SharePoint には複数のビルトインのスキルが用意されています。カスタムスキルを作る create-skills や SharePoint.md を作る init 、ルールやクイックステップ及び承認の構成などをする automateなどいくつかあります。複数のスキルを組み合わせた Plan をすれば、複数のスキルを連続的に呼び出して複雑な処理を行うオーケストレーションも可能になっています。
ここで、サイトのビルトインのスキルについて補足しておきましょう。
SharePoint には次のビルトインのスキルが用意されています。これは /Skills コマンドを実行すると確認できます。
各ビルトインのスキルは次の通りです。
SharePoint.md ファイルの作成と更新 (init)
対話によってサイトのスキル(SharePoint.md)を作成する際に、利用されます。サイトのエージェント アセットライブラリに既存の SharePoint.md があれば更新し、なければ新規に作成します。
SharePoint.md は、サイトごとに用意する「Copilot 向けの説明書」です。Copilot がこのサイトで回答したり、ページや資料の作成を手伝ったりするときに、サイトの目的・用語・判断基準を理解するために参照します。
ポイントは、人が知っている前提や運用ルールを書くことです。なるべくフォルダーは使わわず、メタデータを利用することとか、どういうファイルをどのライブラリにしまうのかといったルールも書けます。これに従って Copilotはライブラリ構成やファイル管理の仕組みを考えてくれます。また、コーポレートカラーの指定しておけば、インタラクティブHTMLなどを生成するときのペースカラーとして使ってくれます。
Skill.md との違い
SharePoint.md は「このサイトについて知っておくべきこと」を書く場所で、Skill.md は「特定の作業をどう進めるか」を書く場所です。
両方がある場合は、まず SharePoint.md でサイト全体の前提を理解し、そのうえで必要な作業に対応する Skill.md を読み込む、という順番で考えると自然です。つまり、SharePoint.md が「このサイトでは何を大切にするか」を先に決め、Skill.md が「その前提でどう作業するか」を具体化します。
SharePoint.md は基本的にサイトに1つ です。一方で Skill.md はタスクごとに複数作成できます 。たとえば、提案書作成用、FAQ作成用、レビュー用、ページ作成用のように、作業の種類ごとに分けておくと使いやすくなります。
迷ったときは、知識なら SharePoint.md、手順なら Skill.md と考えるとわかりやすいでしょう。
サイトのエージェント アセットライブラリ
SharePoint.md を作成するには、最初にサイトコレクションの機能の「エージェントのアセットライブラリ」のアクティブ化が必要です。これを行っていないと、カスタムスキルを格納するエージェント アセットライブラリが作られません。
エージェント アセットライブラリは次のように Skills と Plans フォルダーか用意されています。SharePoint.mdは既定では作成されませんが、作成するとエージェント アセット ライブラリの直下に SharePoint.mdは作成されます。
フォルダーの内容は次の通りです。
スキルの作成 (create-skills)
スキル作成を依頼すると create-skills によってカスタム スキル(Skill.md) が作成されます。
スキルの品質を監視する (check-skills)
公式ドキュメントにはまだ情報がないのですが、直接、Copilot in SharePoint で確認すると以下の通りだそう。
check-skills は、サイト内のスキル品質を監査するためのビルトインスキルです。
主に確認する内容は次の4つです。
選択されやすさ: 具体的な利用例・トリガー文があるか
サイズ: SKILL.md が大きすぎないか
リンク切れ: references/ などの参照ファイルが存在するか
ツール指定: 手順内で使うツール名が明確か
さらに、複数スキルの役割が重複していないかも確認します。要するに、スキルが「ちゃんと呼ばれる・壊れない・運用しやすい」状態かを点検するものです。
通常はCopilot が必要に応じて内部的に使うけれど、明示的に呼ぶのは、たとえば「このサイトのスキルを監査して」「check-skills を実行して」のように依頼したい時だけです。
よりクリアで信頼できるチャット エクスペリエンス
2026年7月の更新では、回答の読みやすさ・検証しやすさ・信頼性が向上しています。
引用がより簡潔で、クリックして元情報を確認できます。
チャットに秘密度ラベルが表示され、過度な共有を防ぎます。
リンクが正しく整形され、すべてクリック可能になりました。
推論モデルでは、回答に至る思考過程(チェーン・オブ・ソート)を表示できます。
信頼できるという意味では、これまでよりもより賢く振る舞うようになっています。たとえば、ファイルの本文まはたメタデータに「下書き」や「承認済み」が含まれていた場合でそれぞれに書かれている製品の価格が異なっていたとします。この時、優先するのは「承認済み」と書かれているドキュメントであり、単に金額を示すだけでなく、根拠として承認済みと書かれていたためという引用まで記載してくれます。
そのためこうした情報の正確さを図れるようなステータスなど指標があれば、内容の異なる複数のファイルを一覧して、比較することもできます。
Copilot ボタンで素早く始める
1-click Q&A
SharePoint サイト内に表示される Copilot ボタンから素早く質問ができるようになっています。質問するのにフルペインを表示する必要がありません。
Helpful nudges
Agent Builder や Copilot Studio ではおなじみのスタータープロンプト(推奨プロンプト)がCopilot ボタンに表示されるようになったため、Copilot in SharePoint を初めて使う今アクセスしているページやリスト, ライブラリなどで行える操作をイメージしやすくなっています。
--about コマンド
現在使っているAIモデルとそのバージョンを確認できます。
右のスクリーンショットでは、2026年7月31日時点では、AIモデルが GPT-5.5 reasoning モデルであることがわかります。
管理者とサイト所有者のために
現在 Copilot in SharePoint は ワンモデル プロバイダー(One model provider) となっています。以前の AI in SharePoint は Claude ベースであり、Claude が利用できない組織では GPT にフォールバックすることもありました。ですが、現在は、最新の OpenAIモデル上で動作しており、モデルのフォールバックはありません。
これにより高品質な回答が得られ、また管理も容易になったということです。
またCopilot ボタンはサイトごとに表示・非表示できるようになっています。これはサイトの歯車アイコンから 「サイトAI」 にアクセスすることでトグルメニューから切り替えられます。
最後に
以上が、2026年7月の Copilot in SharePoint に関する最新情報でした。
現在、SharePoint では以前から利用できているオートフィル列は非常に高速に処理できるようになっており、ドキュメントからメタデータを素早く抽出できるようになっています。またリストやライブラリも Copilot に作成してもらえます。
SharePoint のサイトの設計を効率よく行い、基本操作を知っていれば、自分で操作しなくても Copilot と相談しながら作業も依頼できますし、ドキュメントも生成してくれます。しかも、既存の SharePoint サイト内のコンテンツを使い Work IQの恩恵も受けつつです。
やりたいことはあるけど、操作は外注に依頼するというようなスタイルはもはや成り立たず、自分たちの業務にフィットする形を Copilot とともに自分たちで作り上げて時代になりました。とはいえ、Copilot も全知全能では当然なく、ときには適さない提案をしてくることもあります。そこは人が介入して、「そうではない、こうしたほうがいいと思う」というディスカッションを重ねていく必要があります。引き続き SharePoint の基本機能やよりよいサイト設計のありようをしっかりと把握したうえでデータ基盤を整えていく必要はあります。新機能をキャッチアップするといった「製品学習」は必要です。
しかし、これらがそろえば、実現したいことに思考を集中できるというのは非常にありがたく、生産性は非常に向上するといえます。うまく活用したいですね。