カテゴリ「Microsoft Lists」の21件の投稿 Feed

2025年9月11日 (木)

Chromium 141 (Google Chrome/Microsoft Edge) ではローカルアクセスに対してユーザーの許可が必要になるため、OneDrive for WebとSharePoint のドキュメント ライブラリ、Microsoft Lists への影響がでるので急ぎ対応するよう Microsoft 365 のメッセージセンターにアナウンスが届いています。

20250911_160720メッセージID: MC1150662

対応期限

Chromium 141 のリリースは9月末を予定しているため、それまでの対応が必要です。

未対応の場合の影響

未対応の場合は、ユーザーに「ローカルネットワークアクセスの許可」プロンプトが表示されます。これをユーザーが許可しない場合は、次の影響が生じます。

  • パフォーマンス最適化が無効(データアクセスが遅くなる)
  • オフライン機能が利用できない
  • ユーザーの混乱やヘルプデスクの問い合わせの増加

対象ブラウザー

  • Microsoft Edge (バージョン140以降)
  • Google Chrom (バージョン141以降)

必要な準備

1. ドメイン名を確認する

例) https://contoso.sharepoint.com

2. ブラウザーポリシーを構成する

ブラウザーポリシーを構成する必要がありますが、次のいずれかで設定します。

  • グループポリシーによる設定
  • Intune による設定

ポリシー名: LocalNetworkAccessAllowedForUrls

Windows 環境でのグループポリシーによる設定

1. ADMX のテンプレートを入手します。

2. テンプレートを配置

  • C:\Windows\PolicyDefinitions に .admx ファイルを配置
  • 対応する言語フォルダ(例:ja-JP)に .adml ファイルを配置

3. グループポリシーエディタで設定

グループポリシーを利用する場合は次のように構成します。

[コンピューターの構成] > [管理用テンプレート] > [Microsoft Edge] > [ネットワーク設定] > [ローカルネットワークエンドポイントへのリクエストを許可するサイトの一覧を指定する]

レジストリキーの例:

[HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Policies\Microsoft\Edge\LocalNetworkAccessAllowedForUrls]
"1"="https://yourtenant.sharepoint.com"
"2"="https://yourtenant-my.sharepoint.com"
※ "yourtenant" はご自身のテナント名に置き換えてください。

Intune による設定

設定カタログから「LocalNetworkAccessAllowedForUrls」を検索し、対象 URL をリストに追加します。

JSON 構成ファイルの例

{
"LocalNetworkAccessAllowedForUrls": [
"https://YOURTENANT-my.sharepoint.com",
"https://YOURTENANT.sharepoint.com"
]
}

追加ポリシーの展開(混乱防止のため)

以下のポリシーが既に有効であっても、明示的な許可リストの展開を推奨します:

  • DisableNucleusSync
  • DisableOfflineMode

これにより、将来的なプロンプト表示やユーザー混乱を防止できます。

 適用確認方法

ブラウザの chrome://policy または edge://policy にアクセスし、ポリシーが反映されているか確認できます。「LocalNetworkAccessAllowedForUrls」が表示され、設定したURLが含まれていれば成功です。

 推奨アクションチェックリスト

  • 対象テナントの URL を確認する
  • グループポリシーまたは Intune でポリシーを設定する
  • テスト環境で動作確認を行う(プロンプトが表示されないか確認)
  • 本番環境へ展開する(9 月末までに完了)

今回のアップデートでローカルアクセスがなぜ影響するのか?

OneDrive やSharePoint のファイルを開く時にローカルにインストールされている OneDrive アプリ(同期アプリ)と通信し、次のような処理を行います。

  • ファイルのローカルキャッシュの確認
  • オフライン編集の準備
  • 「開く」や「保存」操作の高速化

この通信がローカルネットワーク経由で行われます。

またMicrosoft Lists もIndexedDBや Searvice WOrker を使ってローカルキャッシュを保持しているためオフライン時でもある程度の操作ができるようになっているのですが、これもローカルネットワークアクセスとして扱われる部分があり、この制限を受ける可能性があるようです。

SharePointやOneDriveはブラウザーとOS間でバックグラウンド通信を行い、ファイルのプレビューや編集リンクの生成を高速化しています。これもローカルネットワークアクセスに依存しています。

[参考情報]
Microsoft Edge Browser Policy Documentation LocalNetworkAccessAllowedForUrls | Microsoft Learn

2025年6月21日 (土)

これまで提供されてきた Android および iOS 版の Microsoft Lists アプリが廃止されます。

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📅廃止予定日は2025年11月中旬です。

廃止に伴い、今後は Microsoft Lists のモバイルブラウザー エクスペリエンスへ移行することが推奨されます。モバイルブラウザーエクスペリエンスではより多くの機能を利用できまた最新の改良などのアップデートも継続されます。

廃止までのタイムライン

2025年6月下旬

アプリ内に情報バナーが表示され、アプリの廃止が近いことまたモバイルWebエクスペリエンスへの移行を推奨することをユーザーに通知します。

2025年9月中旬

新規ユーザーはモバイルアプリをインストールできなくなります。

2025年11月中旬

アプリは新規ユーザーに対してAppleアプリストアやGoogle Play からダウンロードできないように非表示になります。既存のアプリのユーザーはアプリを開くとエラーとなります。

廃止後

以上の通り、

廃止後はアプリのインストールやインストール済みのアプリは利用できくなります。

なお、モバイルアプリが利用できなくなるだけで既存のリストデータに影響はありません。Windows版のリストアプリやモバイルブラザーからは引き続きリストを利用できます。

2025年6月10日 (火)

リストとライブラリの[自動化]メニューに独自の定型的な操作を作成する、"クイック操作" が利用できるようになりました。

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といってもテナントによってはロールアウトが進んでいるところで、まだ利用できないテナントもあるはずです。

📅ロールアウト時期

  • 対象リリース: 2025年5月下旬~6月上旬
  • 一般提供: 2025年6月上旬~6月下旬

クイック操作とは?

クイック操作では、特定のアクションを素早く利用するための操作メニューを独自に追加できるようになります。基本的な使い方はMicrosoft サポート情報にも公開されています。

リストまたはライブラリの簡単な手順を作成する - Microsoft サポート

ただ、あまり詳細までは書かれていないためここでは少し詳しく説明していきましょう。

作成できるクイック操作

作成できるクイック操作はリストとライブラリとで多少違いがあります。また、選択したファイルやアイテム単位で操作できるものとリストやライブラリ全体に対して操作するものと2種類あります。

[リスト]

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[ライブラリ]

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リストに対してクイック操作として利用できるのは次の機能です。

リスト ライブラリ
選択済みの場合 現在のリストの場合 選択されたファイル用 現在のドキュメントライブラリの場合
メールの下書きを書く フローを実行する メールの下書きを書く フローを実行する
Teams チャットを開始する Teams チャットを開始する
値を設定する   値を設定する
フローを実行する   フローを実行する
    ファイルまたはフォルダーを移動する
    ファイルまたはフォルダーをコピーする

メールの下書きを書く

この操作では特定のユーザーに対してメールの下書きを素早く作成できます。

クイック操作を作成するときに宛先を指定できますが、そのほかにも CC や件名を指定できます。アイテム(ファイル) のリンクを本文に追加するかどうかを決定することも可能です。

ちなみに、このクイック操作は閲覧権限を持つユーザーでも利用できます。

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クイック操作を作成するとアイテム選択時に[自動化]メニューにクイック操作が表示されます。ただし、同時に複数のアイテムを選択している場合はこの機能は利用できません。

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クリックすると、ローカルのメーラーを立ち上げようとします。手元の環境では Web版の Outlook をPWA としてインストールしているためこれを起動しようとします。ちなみに、直接 Web版のOutlook を起動するように指定することはできないようです。

実際にOutlookを起動してみると、次のようなメールの下書きが表示され、指定したToのアドレス、件名、アイテムへのリンクが生成されていることがわかります。必要に応じて本文を追記して、メールを送信することになります。

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Teams チャットを開始する

指定したアイテムやファイル/フォルダーに対して特定のメンバーとTeams チャットを開始します。メッセージの本文にアイテムのリンクを含めるかどうかを選択することも可能です。

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チャットを開始する場合は、一度に選択できるアイテムまたはファイル/フォルダーは1つのみです。複数の項目を選択している場合は、自動化メニューには当該クイック操作は表示されません。ちなみに、このクイック操作は閲覧権限を持つユーザーでも利用できます。

値を設定する

特定の列の値を指定した値に変更します。指定できるのは1つの列のみです。またシステム列は対応していません。

この操作はアイテムの更新を行うことになるため使用するユーザーは投稿アクセス許可レベル以上を持っている必要があります。

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複数のアイテム/ファイルを選択している場合は一括で操作できます。

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フローを開始する

Power Autamate のフローを呼び出せます。

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選択したアイテムまたはファイルの場合

事前に Power Automate 側でSharePoint コネクターの「選択したアイテムの場合」または「選択したファイルの場合」のいずれかでフローを作成しておく必要があります。フローの作成先は「既定の環境」であることも確認しておきましょう。またユーザーはこのフローに対して実行できる権限を持っている必要があります。

フローを開始するクイック操作を作成するときには、作成したフローのIDが必要です。

実行時は複数のアイテムの同時選択はできません。アイテム(ファイル)を1つだけ選択して実行します。

現在のリストまたはドキュメントライブラリの場合

リスト全体またはライブラリ全体のアイテムに対する処理を行うフローを実行することになります。

事前に Power Automate のフローを作成する必要がありますが、特定のアイテムやファイルを選択したトリガーは使えません。この操作はリストやライブラリ内のアイテムを何も選択していない状態でないと表示されないためです。フローを手動でトリガーするといったトリガーでフローを作成する必要があります。また、フローの作成先は「既定の環境」であることも確認しておきましょう。そうしないとフローIDが見つかりませんというエラーが表示されます。

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ファイルまたはフォルダーの移動

この操作では選択したファイルやフォルダーを特定の場所に移動できます。任意のサイトのライブラリおよびフォルダーを指定できます。移動であるため登録者や更新者、更新日時、登録日時などは操作した日付で更新されることはありません。

複数のファイルやフォルダーを同時に移動できます。

ファイルまたはフォルダーのコピー

この操作ではファイルやフォルダーを特定の場所にコピーできます。任意のサイトのライブラリおよびフォルダーを指定できます。コピーであるため登録者や更新者、更新日時、登録日時などは操作した日付で更新されます。

複数のファイルやフォルダーを同時に移動できます。

注意点

移動やコピーする際には移動先に対して少なくともアイテムの追加ができる権限以上が必要です。たとえば、投稿や編集アクセス許可レベルなどを持っておく必要があります。

この点、SharePoint Premium のライセンスがある場合はルールでファイルの移動やコピーを行えますが、移動およびコピー先に対するユーザーのアクセス権限は問わないため、例えば法定保存文書を補完するような一般には読み取り専用のサイトへの移動なども手軽に行えます。

必要な権限

クイック操作を作成および管理するにはユーザーが “編集” アクセス許可レベル以上を持っている必要があります。

2024年8月28日 (水)

2024年8月より、Microsoft Lists (& SharePoint リスト) で、アイテムの並び替えをドラッグ&ドロップで行える新機能がロールアウトされてきています。標準ビューはもちろん、グリッドビュー、グループ化、ボードビュー、ギャラリービューでも利用できます。

Introducing Drag and Drop to Reorder Items in Microsoft Lists - Microsoft Community Hub

ドラッグ アンド ドロップしてリスト アイテムを並べ替える - Microsoft サポート

ドラッグ&ドロップするためのビューの設定

ドラッグ&ドロップによる並び替えを行うためにビューのオプションを切り替える必要があります。ビューの並び替えオプションに新たに[順序の設定]が追加されています。これを選択しているときにドラッグ&ドロップによる並び替えができます。

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つまり、従来の列ごとの並び替えオプションとは別になるということです。併用はできません。たとえば、[順序の設定]をオンにした状態でドラッグ&ドロップで並び替えたとします。この並び替え状態は保持されます。そのため「ステータス」列での並び替えを選択した後、再び「順序の設定」をクリックすると先ほどのドラッグ&ドロップで並び替えた状態に戻ります。

「元に戻す/やり直し」機能

ドラッグ&ドロップを利用する場合は、「元に戻す」および「やり直し」ボタンは利用できません。そのため、元の状態に戻すには自分で元の並び順に戻す必要があります。

アイテムの更新トリガー

アイテムを並び替えると「アイテムの更新」がトリガーされます。そのため Power Automate フローや自動化処理、アラートなどアイテムの更新に紐づいているものがアクティブ化される可能性があります。

キーボード操作およびスクリーンリーダーの利用者

キーボードやスクリーンリーダーを利用している場合は、上へ/下へ移動するための機能を実装しています。

アイテムを1つ選択して[その他]から実行できます。ただし、複数アイテムを選択している場合は[上へ移動]または[下へ移動]メニューは表示されません(マウスを利用する場合は複数アイテムのドラッグ&ドロップは可能)。

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2024年4月25日 (木)

SharePoint リストおよび Microsoft Lists は Windows デバイスと自動的に同期をとるようになっています。ローカルストレージにWebコンテンツをキャッシュできるようになるため、リストで操作する際のパフォーマンスが向上します。その代わりデータを更新してすぐに画面上に最新情報が表示されないことがあります。その場合は同期のタイミングを確認し、更新されるまで少し待ってみてください。

Microsoft Lists アプリのオフライン利用

Microsoft Lists アプリを PWA (Progressive Web Apps) としてインストールしておけば、同期の仕組みと組み合わせることで、オフライン状態やインターネット接続が失なわれた状態でも作業が継続できるようになっています。

同期の仕組みは?

リストの同期は、OneDrive 同期アプリの既存のメカニズムを通じて行われます。この同期機能は Project Nucleus (ニュークレアス)と呼ばれています。まずは、Microsoft Lists で利用されますが、これ以外にも Webアプリケーションに応用していく予定のようです。

この機能の背景にあるのが “Microsoft.SharePont.exe” であり OneDrive の同期と同時に提供されるコンポーネントです。このコンポーネントがインストールされると、ローカルデバイス上に Webアプリのデータをキャッシュすることで Webアプリとリンクします。Webアプリは常にクラウドからデータを取得するのではなく、ローカルキャッシュにデータをプルしたり、プッシュしたりするようになり、ローカルのWebサーバーとして機能することになります。

コンテンツの変更は最初にローカルキャッシュ内で行われ、その後、クラウドにプッシュすることになります。オフラインの場合は接続が回復するときにクラウドにプッシュします。このようにすることで、ネットワーク帯域も節約でき、ボトルネックを解消できるようになります。また、ビュー内のアイテム数やインデックス化された列の有無にかかわらず、スロットルされることもなくなります。

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同期されているか確認する

同期しているリストにアクセスするとリスト名の隣に同期のアイコンが表示されます。マウスホバーするといつごろ同期されたのかがわかります。

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同期を組織で制御したい

Microsoft Lists (SharePoint リスト)の同期はグループポリシー オブジェクト(GPO)で管理できるようになっています。具体的には次のような指定ができます。

  • このデバイスで Lists 同期が実行されないようにする
  • ユーザーが他の組織から共有されたリストを同期できないようにする
  • ユーザーが Web上のオフラインエクスペリエンスにサイレント サインインできないようにする

Lists 同期ポリシー - SharePoint in Microsoft 365 | Microsoft Learn

参考資料