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2023年12月14日 (木)

2023年の Microsoft 365 Advent Calendar に参加しています。※2023年12月11日付で公開する予定が体調不良によりずれ込みました。すみません💦。

Microsoft 365 Advent Calendar 2023 - Adventar

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OneDrive の製品の歴史について知らない方も多くなってきているようなので、SharePoint に携わって20年ほどになる経験者としてこれまでの経緯を記憶を掘り起こしながらここにまとめておきたいと思います (あくまでも 2023年12月時点までの話)。

※古い記憶をたどるので誤りがあるかも。誤りがあれば、どうぞご指摘ください🙇‍♀️。

すでにこのブログでも何度も話に出てきていますが、OneDrive には企業組織や教育機関で利用する OneDrive for Buusinss と一般消費者向けの OneDrive とがあります。それぞれ別物です。私個人は一般消費者向けの OneDrive の旧製品に関してはあまり携わってきていないため、ここでは for Business にターゲットを絞って説明していきます。

一般消費者向けの OneDrive の変遷は Wikipedia が詳しいのでどうぞ (英語版の記事が情報が充実している)

OneDrive - Wikipedia

OneDrive (Business)

OneDrive (Business) は組織や教育機関で利用する Microsoft 365 のファイルのストレージサービスです。とはいえ、実体は SharePoint サイトであるため OneDrive 内には Microsoft リストを作成することもできます。

振り返ってみるとオンプレミス時代の SharePoint Server 2007 のころに OneDrive の元となる機能が登場します。これは「個人用サイト」と呼ばれていました。ユーザーひとりずつに割り当てる SharePoint サイトであり、それぞれがサイトの管理者となるので自分の裁量で自由に利用できます。基本的には自分だけのサイトであるため中のコンテンツは他者には公開しませんが、自分で特定のファイルやフォルダーを共有すれば当然、ほかの人も参照できるようにはなります。この考え方は現在の OneDrive (Business) も変わりません。

ところで、個人用サイトは英語では My Site と呼ばれていたので、その名前のほうが馴染みがあるという方もいるかもしれません。

オンプレミス時代はサーバーを自前で構築していたわけですが、SharePoint や OneDrive のデータは SQL Server (データベース サーバー)に格納していましたから、SQL Server も構築していました(むろん、今もオンプレだよという組織もありますが)。大規模組織で全社員が利用するとなると容量のコストが高くなりがちで自分専用とはいえ容量は一人当たり1GB にも満たないケースが多かったのではないかと思います(500MBとかそんな感じ)。現在、Microsoft 365 の OneDrive (Business) は1人当たり最低でも1TBの容量が割り当てられており、管理者の設定によっては5TBまで拡張できるわけですから隔世の感があります。

単なるファイルストレージではなかった個人用サイト

ちなみに、当時の個人用サイトは単なるファイルストレージだけでなく、自分のプロファイルや所属する組織なども公開できるようになっていました。

昔のスクリーンショットを探していたら見つかりました。下の図を見るとわかりますが、左側のナビゲーションに2つのライブラリのリンクがあります。この一つである「個人用ドキュメント」が現在の OneDrive (Business) につながるものです。ただ、それ以外にホーム画面は今とは異なり、少し雑然とした感じがあります。

Photo

個人用サイトにはサブサイトとしてブログサイトを追加することもできるようになっていました。現在はプロファイル情報は Delve 側で管理するようになり(Delve Webは 2024年11月16日に廃止予定で、新たなプロファイル更新の仕組みが2024年後半にでてくるようです)、ブログサイト機能は提供されなくなっています。今だとブログ代わりには Viva Engage のストーリーラインを使うのがよいのではないでしょうか? 

ということで、当初は「個人のファイルストレージ」+「SNS の情報発信の起点」にしていこうという流れが個人用サイトにはあったのです。この流れは SharePoint Server 2010 で強まってきます。個人用サイトには、次のメニューが用意されていました。

  • 個人用ニュースフィード
  • 個人用コンテンツ
  • 個人用プロファイル

Sp2010

個人用ニュースフィード機能は SharePoint Server 2010 の新しい機能として追加されました。Webページになっており、ここには仕事仲間からの最近の活動情報が個人用サイトに流れてくるようになりました。当時すでに Twitter は登場していたようですが、現在のような認知度はまだありません。ですが、そういった短文のSNSが登場しはじめた時代です。類似する機能として個人用サイトに「タグとメモ」という機能が用意されており、短文でほかの人と情報共有する仕組みが用意されました。タグはいわゆるハッシュタグです。なかなかよさそうな機能な気もしますが、実際にはあまり使い勝手の良いものではなく使っているユーザーは多くなかったはずです。さて、このうちの「個人用コンテンツ」がいわゆる現在のOneDriveに通じるものであり、ようするに個人用サイトに既定で用意されているドキュメント ライブラリへのリンクでした。

SharePoint Server 2013 でもこの流れは続きます。個人用サイトにアクセスするとサイトの上部のメニューは次のように変化します。

  • ニュースフィード
  • SkyDrive
  • サイト

Sp2013

Sp2013_2

ニュースフィードは「タグとメモ掲示板」を強化したようなものとなり、今でいうと若干 Facebook に近いUXを持っていて、ほかの人とスレッド形式で会話できるというものでした。

SkyDrive

さて、ここで注目すべきが「SkyDrive」です。正式には SkyeDrive Pro と呼ばれ、「個人用コンテンツ」と呼ばれていたところの名称が変わりました。名前が変わっても実体はドキュメント ライブラリです。個人的なファイルを格納していく場所です。ところで、"Pro" とついているのは個人消費者向けのファイルストレージサービスとして SkyDrive が登場しており、ビジネス向けと個人向けとに分かれていることを示すためビジネス向けは "Pro" として区別できるようになっていたのです。現在のOneDrive と OneDrive (Business) と同じ関係がここで出来上がります。

「ひと目でわかる SharePoint Server 2013」を確認すると、このころのファイルの容量は既定値が最大100MB まで、このころすでに登場していた SharePoint Online は当時の最大値が 7GB だったようです。今となってはずいぶん少ないですね。

ということで、OneDrive につながるややこしさが生まれたのが SharePoint Server 2013 からだったようです。このあと、SkyDrive は商標上の理由などから結果的に名前を変え OneDrive という名前に変わって今に至っています。

マイクロソフト、SkyDriveをOneDriveに変更 SkyDrive ProはOneDrive for Businessに |ビジネス+IT (sbbit.jp)

同期アプリとしての OneDrive の変遷

現在、Windows に標準搭載されているのは OneDrive 同期アプリです。クラウド側の OneDrive に格納されているフォルダーやファイルのうちよく利用すものを手元のPC上に同期して常にクラウドとPC上のファイルが同じ状態になるようにします。

同期対象は OneDrive (Business) ですが、OneDrive は SharePoint がベースであることから、SharePoint のドキュメント ライブラリも OneDrive の同期アプリで同期できるようになっています。

※ただし、現在は SharePoint のドキュメント ライブラリを直接同期するのではなく、OneDrive にライブラリのショートカットを追加して、OneDrive 側で一括して同期するアプローチを進めようとしているようです。下手をすると、2重同期になりかねないですからね。

このファイルの同期機能の元となるのが Microsoft Office Groove 2007 です。Office 2007 製品ファミリーに新しく導入されたアプリであり、もともとは Notes の開発者であるレイオジー氏が立ち上げた組織である Groove Works 社の Groove Workspace という製品を買収したものです。この製品がファイルの同期機能を持っていたのです。当時注目されていた P2P での同期機能であり、Groove クライアント同士で同期します(当時は Winny というのが流行っていた)。ただし、それ以外にもチャット、ホワイトボード、スケジューラ、ディスカッションボードなどのコラボレーション機能もあり多機能でした。特にNotes を使ったことがあるユーザーなら Notes に似たアプローチでカスタマイズなどもできました。残念ながら、手元に昔の資料が残っていなかったため、ZDnetさんの当時の記事のリンクを貼っておきます。

Officeのニューファミリー「Groove」で何ができる? - ZDNET Japan

このアプリは Office 2010 では SharePoint Workspace 2010 に名前を変更してファイルの同期機能に特化したものに変わります。「SharePoint に格納されたコンテンツをオフラインでも使えるようになる」というのがアピールポイントでした。ファイルだけでなく、リストも対象。

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調べてみるとサポート文書に情報が残っているのでこれもリンクを貼っておきます。

SharePoint Workspace 2010 の基本的な作業 - Microsoft サポート

そしてこの次に登場するのが SkyDrive Pro デスクトップアプリです。SkypDrive Pro と同期をする専用のアプリケーションです。またまた、名前が変わっただけでなくファイルの同期に特化するようになったのが特徴的です。さて、先ほど述べた通り SkyDrive という名称はのちに使えなくなり、その後、OneDrive 同期クライアントが登場することになります。ちなみに現在は OneDrive同期アプリと呼ばれています。

SharePoint Workspace から OneDrive 同期クライアントになるまでしばらくの間、同期エンジンは Groove.exe でした。OneDrOneDrive の同期用とSharePoint のドキュメント ライブラリの同期用で Groove.exe と OneDrive.exe のエンジンとが平行していた時期もあったのですが、現在は新しいエンジンである OneDrive.exe に変わりました。

ということで、要するに Windows に標準搭載されている OneDrive は同期アプリであるということを意識してもらえればと思います。本体はあくまでもクラウドのWebサイトである OneDrive(Business) 。Microsoft も OneDrive と話を切り出す時には本体の側を指します。Windows 側のアプリをいうときには Sync アプリなどと必ず表記します。

ちなみに、現在の OneDrive の同期アプリは実はファイルの同期だけではなく、Microsoft リストの同期などにも利用されるようになっています。同期エンジンも日々進化しています。2021年に発表された "Project Nucleus" という同期エンジンの情報なども参考にしてみてください。

Building fast, offline-capable Microsoft 365 web applications

ということで、とりあえず、ざっと OneDrive の歴史をまとめてみました。また思い出したら書き足すかもしれませんがここまで。

SharePoint にまつわる、四方山話でした。

2023年10月 5日 (木)

OneDrive の同期機能も改善や強化されるようです。詳しくは下記の記事に書かれています。

🔗 New OneDrive Sync Enhancements - Microsoft Community Hub

この内容の対象はあくまでも OneDrive (Business) 向けです。

上記の記事を読めばいいわけですが、ここでは自分自身の備忘録を兼ねて要約したり、手元で確認した内容を追記していきます。

ということで、ここから機能を確認していこうと思いますが、実は上記の記事はコメント欄が結構大事で、いろいろな方がフィードバックしています。「私も、そう思ったんだよね」と思うところが書かれていたり。そんな点も参考になると思います。

ではピックアップしましょう。

不用意な削除を防ぐ

PCと同期しているファイルを削除すると、大元のファイルの削除となり全ユーザーに影響します。そこで、削除しようとするときに「みんなからも削除されるけどいいの?」という趣旨の警告が出るようなるそうです。現在ロールアウト中。

共有されたコンテンツのショートカットの削除

OneDrive に追加した SharePoint のコンテンツのショートカットは、削除すると大元のファイルも一緒に削除されてしまっていました。が、今回のアップデートでショートカットだけを削除し、大元のファイルは温存されるようになります。ただし、従来通り、ショートカットの削除と同時に大元のファイルも削除したいという場合はファイルのコンテキストメニュー(右クリックすると出てくるメニュー)からそれを選べるそうです。

ファイルエクスプローラーの強化

ファイルエクスプローラーのホームが OneDrive の Web版と似たようなホーム画面になります。推奨されたコンテンツ、お気に入り、最近使ったファイルなど表示される。ファイルを選択する右側のウィンドウにサムネイル、共有の状況、最近のアクティビティ、関連ファイルなどが表示されるようになります。ということですが、手元の環境だと Windows 11 (22H2) ですが、すでにそうなっていますね。

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同期設定のアップデート

同期の設定メニューがよりわかりやすくなりました。よく使う設定が最初に表示され、その他は「詳細設定」に移動しています。

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さらに、近く、同期から除外したいファイルの種類(ファイル、フォルダーまたは拡張子)をより細かく制御できるようになるようです。

アプリで開く

Word, Excel, PowerPoint のファイルは選択して、...>[開く]>[アプリで開く]メニューが用意されており、デスクトップアプリで直接開いて編集できます。これがOfficeドキュメント以外にも拡大されて PDF や CADファイル(JPEG, MP4 など)でも利用できるようになるそうです。2023年12月までに利用できるようになるようです。OneDrive だけでなく、SharePointおよびTeamsでも。

デスクトップアプリで開いて編集後は上書き保存すれば、Web版のOneDriveの側に同期されます。

コメントの抜粋

この記事のコメント欄から、いくつか意訳して抜粋しておきます(だいたいあっていると思いますけど、ニュアンスが違うかもしれないので、きちんと元の文書は読んでくださいね)。

  • SharePointのコンテンツを同期するとき最大パスの長さを越えているファイルを同期することで OneDrive が壊れてしまう。リンクの削除もできなくなってしまう。
  • SharePointからカスタムのメタデータもファイル エクスプローラーに同期できたらいいのに
  • 同期できないときにははっきりと示してほしい。
  • Mac クライアントにはこの強化機能は追加されるの? 
  • 不用意な削除を防ぐ機能が追加されるとのことだが、ダイアログを表示しても防げないのでは? そもそも全ユーザーに対してファイルが削除されることをユーザーは理解していないと思う。もっと具体的な対策を去らないとダメだろう。たとえば、ファイルエクスプローラーから一度に削除できるファイルの数を50に制限するとか。空のフォルダーのみを削除できるとか。ユーザーにとってはクリーンナップできないので不満は出るだろうけれど、偶発的に削除される方がより大きい混乱を招いている。

以上です。

2023年10月 4日 (水)

2023年10月3日(米国時間)付で OneDrive 3.0 の発表がありました。詳しくは下記のページとページ内のビデオを参照してください。

Unveiling the Next Generation of OneDrive - Microsoft Community Hub

ただ上記ではすでに利用できている新機能も改めて紹介されていることもあり、このブログでは、私が個人的に興味をもったポイントのみをかいつまんでおこうと思います。簡単な要約なら Bing Chat や ChatGPTでもできますしね。

ちなみに、OneDrive には無料で利用できる個人用(office.com)と組織向けの有償で利用する OneDrive for Business とがありますが、OneDrive for Business が中心です。あと、Windows エクスプローラからアクセスできる OneDrive はあくまでも Windows に搭載されているOneDrive同期アプリが同期したファイルやライブラリであり、実態はWeb上の OneDrive です。基本には公式の資料等で OneDrive と言えば本体 (Web版) のことです。

OneDrive の変遷

OneDrive は今、3世代目へと突入していっています。これまでの世代で掲げてきた目標は以下の通り。

  • OneDrive 1.0 - どこからでもどのデバイスからでもファイルを保存しアクセスできる
  • OneDrive 2.0 - 同期、共有とシームレスでセキュアなコラボレーション

そして、時代は OneDrive 3.0 へ。

3世代目に移行するにあたり、上記のJeff Teper 氏の話では現状を取り巻く環境について説明されています。現在、 OneDrive には、日々 20億近くのファイルが追加されているそうです。

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 Microsoft 365 のファイル管理の中核(プラットフォーム) は引き続き SharePoint です。セキュリティ、コンプライアンス、ガバナンス、コラボレーションの基盤です。この点は変わらないので、しっかり把握しておいてください。

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そしていよいよい OneDrive は3.0 世代へと突入していきます。

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ここまでのJeff Teper 氏の話から私なりのまとめと考察を加えてみましょう。

現在、私たちを取り巻く環境ではローカルPCだメールだ、Teams だとあちこちにファイルが散らばっています。しかもファイルの量は、数年前と比較しても格段に、しかも膨大に増えていっている。そんな中、IT担当者はセキュリティやコンプライアンスを確保していかなければいけない現状があります。こうした困難を解決していくには、ユーザーにとっては自分が必要な情報を1か所から素早くアクセスできるような仕組みが必要で、そこの部分を OneDrive に担わせるということでしょう。AIの力も借りながら。

SharePoint はあくまでも共有のファイル置き場であり、どうしても最大公約数的な見せ方になります。必ずしも自分が欲しいファイルが決まった場所にあるとは限らない。欲しいファイルは人ごとに異なる。となれば、OneDrive 側でユーザーごとの切り口でファイルのリンクを集める方が理にかなっている。そういうことでしょう。

余談ですが、従来のファイルの形式でなく、Notion や Microsoft Loop のような形式で情報を整理したいという声もあるようです。ですが、Microsoft 365 の Loop に関しては、結局、作成されるのは .loop という拡張子のファイルであるため、Word, Excel, PowerPoint などのファイル群と結果的には変わりません。そうすることで、既存のセキュリティやコンプライアンスの仕組みも流用できる利点があります。

そして今回の発表の目玉はやはり "Copilot in OneDrive" でしょう!

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ここからは、上記のビデオから個人的に面白いと思った機能を私の所感とともに取り上げてみます。

お気に入り機能の進化

OneDrive ではファイルやフォルダーにお気に入りを設定できるようになっています。Webブラウザーのブックマークのような機能ですね(ちなみに、SharePoint ページの「後で見る」をクリックしたページもここに入ります。Web版の OneDrive の話ですが)。この「お気に入り」が OneDrive だけでなく、モバイル版の OneDrive, Teams, Windows エクスプローラーとも同期されるようになります。それこそどこからでも自分が必要なファイルにアクセスしやすくなります。

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SharePoint サイトのコンテンツのショートカットを手軽に追加できる 

SharePoint サイトのライブラリにあるファイルのお気に入り(星アイコン)をクリックすると、お気に入りに追加されますが、それだけでなく、ショートカットを OneDrive の任意のフォルダーに追加できるようになります。ひとが作成したフォルダー構成は必ずしも自分にとって使いやすいとは限りません。OneDrive には好きなようにフォルダー構成を作り、そこにショートカットをためていくことで自分オリジナルの階層も作成できるわけです。

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メディアビューの追加!

あちこちから要望が上がっていたようですね。写真やビデオだけを表示する「メディア」ビューが追加されるそうです!! 個人的にもこれは欲しかった。

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OneDrive の新規追加メニューからテンプレートを選択できる

OneDriveの新規追加メニューをクリックすることで、各アプリのテンプレートをプレビューしながら適切なものを選んで新たなファイルを作り始めることができるようになります。個人的にはこれは良いなぁと思っているんですが、日本の組織の場合は、誰かが作成したファイルをコピーしてアレンジしていくことが多いようで一からファイルを作ることが意外と少ないようです。ならば、独自のテンプレートを作って追加できればいいとも思いますが、それはそれでテンプレートのメンテナンスを誰がやるのかとういう問題がでたり。それでも新規にファイルを作ることの多い人は重宝するのではないかと思います(日本語フォントに適したテンプレートがもっと増えるといいんですけどね)。

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オフライン編集 (Files On-Demand for Web)

OneDrive に同期しているライブラリやフォルダーであることが前提ですが、これから出かけるよというような場合に、ファイル単位で一時的にオフラインで編集したいと思うことはあったのですがこれができるようになります! Web版の OneDrive 上から Windows エクスプローラーに移動することなく、直接オフラインで利用できるのが利点。 

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パフォーマンスの改善

OneDrive の起動速度、スクロール速度、並び替え速度などが2倍以上速くなります。写真などファイルの数が多くなるとスクロールが重いなぁと思ことはよくあったので、これも嬉しい機能ですね。

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Windows エクスプローラーでも OneDrive Home が!

Windows エクスプローラーの Home ではOneDriveと同様に AI がユーザーごとにお勧めしてくれるファイル群が上部に表示されるようになり、お気に入りや最近使ったファイルなどが表示されるようになります。ファイルを選択すると右側にプレビュー、アクティビティ関連するファイルが表示されます。ちなみに、手元のWindows 11 (22H2) で確認したら、ほぼこうなっていますね。20231004_113326

 管理面

これは、Microsoft Syntex Advanced Managment のライセンスを持っておきましょうという話につきますね。

  • SharePoint 管理センターで「コラボレーションインサイト」レポートを確認できる (コラポレーションの状況を俯瞰できる)。またユーザーごとにどのくらいの数のファイルを外部などに共有しているかわかる
  • 特定のユーザーの OneDrive へのアクセスに MFA を必須とするなどの「詳細な条件付きアクセスポリシー」を適用できる
  • OneDrive でも「制限付きアクセス」を適用することで、コンテンツの過剰共有を低減する

など。

写真の検索

これは個人向けの OneDrive の話になりますが、写真を検索できるようになります。セマンティクインデックスを作成するようになっており、自然言語で検索できます。つまり、文脈で画像を探しに行ってくれる。タグ付けなど特にしなくても。まずはプレビューだそうですが、今日から使えるとのこと。写真が趣味で、膨大な量の写真を個人の OneDrive に格納しているんですが、探すのに一苦労だったのでこれは助かります。あとで、日本語でどの程度、検索できるのかを試してみないと。

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Copilot in OneDrive

ようやく目玉の機能、Copilot ですね。検索ボックスに自然言語で欲しいファイルを説明すれば、合致するものを見つけてきてくれます。

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選択したファイルを要約してくれと言えば、要約してくれます(ここは想定内)。

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凄いのは、ユーザーの意図をくみ取ってくれるということ。たとえば、ファイルをフォルダーにまとめるよう依頼する。

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すると関連するファイルも探してきてくれてフォルダーに追加しないかと提案してくれる。提案されるファイル群は 自身の OneDrive 内だけでなく、SharePoint などからも。これらのファイルはショートカットを追加することになる。こういうのは、AI ならではですね。

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しかも、フォルダーを共有するときにも Copilot がそばで支援してくれる!

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さらには、見逃したかもしれない OneDrive 内の更新情報をピックアップしてくれる。これで終わりではなく、次のステップをそれぞれ提案してくれているのが凄い。PowerPoint なんか、「内容をみて、返事を作成する」んですからね。。。

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この Copilot in OneDrive ですが、利用するには Microsoft 365 Copilot のライセンスが必要であり、12月までに利用できるようになるそうです! 

と、ここまでがビデオの内容をもとにした話です。

最初に紹介したリンク先では、さらに多くの情報が公開されています。

たとえば、Teams や Outlook に OneDrive アプリが追加されます。Teams はファイルアプリが 新しいOneDrive アブリになっています。こちらは新しい Teams アプリではすでに利用できる。Outlook への追加はこれからのようですね。

ファイル管理の在り方が、少しずつ変わってきている過渡期ですが、個人的には従来から抱えている各種の課題を超えるべく、新たなファイル管理のありようを追求して行きたいと思っています。

2023年5月 9日 (火)

米国のラスベガスで2023年5月2日~4日にかけて、Microsoft 365 のコミュニティイベントである「Microsoft 365 Conference 2023」が開催されました。このイベントは基本的に毎年ラスベガスで開催されています。

コミュニティイベントでありながら、このイベントの最大スポンサーは Microsoft 社であり、今回はこのイベントにタイミングをあわせて数多くの大型アップデート情報が解禁となりました

イベント自体はコロナ禍になってから、ようやくの対面式となりハイブリッド開催でもなく現地に参加することで楽しめる内容になっていたようです。私もすごく現地に行きたかったんですが、残念ながら、今回は参加が難しく😢。ですが、Microsoft の SharePoint の公式Twitter アカウント(@SharePoint)や Microsoft の Jeff Teper 氏の Twitter アカウント (@jeffteper) でも、このイベントでSharePoint は大型アップデート情報を公開するよ! というツイートはされていたので、待ち遠しく思っていたのです😀。

ということで公開された情報を整理していきましょう。きっとワクワクしますよ!

公開されたアップデート情報のリンク集

SharePoint、OneDrive、Microsoft Lists, Microsoft Stream に関してそれぞれ詳しく情報が公開されています。それぞれ非常に情報量が多く各記事をしっかり読み込んでみてください。

(参考) 現在、世界中でどのくらい Teams および SharePoint が使われているのか?

Jeff Teper 氏の話では、Teams の月当たりのアクティブユーザー数(MAU)が 300Mに達したそうです。300M = 3億ですね。そして SharePoint に蓄積されているデータ量が月当たり、200PB(ペタバイト)。20230507_163427_2

ここからコンテンツの量がいかに膨大になってきているかを窺い知れます。そうなるとやはり気になるのはコンテンツ管理でしょう。これからは大量のデータをどうセキュアに管理するかという課題管理がますまず重要になってきます。ところで Twitter を見ていると、「この SharePoint のデータの多くは Teams のビデオ会議の録画の容量じゃないの?」という少々揶揄したような意見も出ていましたが、これには Jeff氏がきっぱり反論していて、それらを除いたデータ量だとのこと。

今回のアップデート情報の気になるポイントを拾おう!

細かい話は上記のリンク先を見ていただければよいのですが、じっくり目を通している時間がない方向けに、私が独断と偏見で気になった情報をここに一通りまとめておきます。
※Twitter でもつぶやきましたが、ツイートはあとから見返しにくいので。

SharePoint

SharePoint に関してはポータル機能(サイトとページ) が大きく進化します! 

Copilot in SharePoint

近い将来、サイトやページ作成に Copilot が利用できるようになります。SharePoint に AI時代がいよいよきます。

Microsoft 365 Copilot の一つですね。Copliot (コパイロット: 副操縦士) は OpenAI のGPT-4を Microsoft 365 に組み込んだもの。 詳しくは下記のアナウンスを確認してください。

📢Microsoft 365 Copilot を発表 – 仕事の副操縦士 - News Center Japan

さて、話を戻しましょう。これにより、チャットベースで WordドキュメントやPowerPointのプレゼンテーションからもページを生成できるそうです。日本語でどれくらい使えそうなのかも早く確認したいですね。Fvkfuyqacaa1lzc

この機能は今年の11月にロールアウト開始を予定しています。

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サイトの見栄えが柔軟にカスタマイズできる

従来、パッと見れば「SharePointだ!」とわかるくらいモダンサイトの外観のカスタマイズは、あまり表現の幅が広くなっかったのですが、これががらりと変わります。下記の画像がすべて SharePoint サイトです。素敵ですねー。

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SharePoint スタートページ

Microsoft 365 アプリ起動メニューからSharePoint のロゴをクリックしたときに表示されるのが SharePoint スタートページですが、このページも見た目だけでなく機能面でも大きく様変わりするようです。Fvkiy9iacaaziwy

この機能は今年の9月にロールアウト開始予定です。

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SharePoint ページの同時編集

SharePoint ページは現時点では同時編集はできませんが、いよいよ複数名での同時編集も可能になります!

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同一ページ上でもWebパーツごとに担当を分けて、それぞれに一斉に担当の記事を書いてもらうとか、ちょっとしたレポートを一斉に書いてもらうなどもできそうです。また打ち合わせしながらページに情報をまとめつつ、全員であーだこーだ言いながら編集できますね。「確認しました。ここと、あそこを修正してください」というようなやり取りなく、「ここ修正しますねー」と互いにその場で気が付いたら修正するなどもできるわけです。こうした同時編集機能は Office アプリでもすでに使えますが、これまで使ってきたことがないから使い方がわからないという組織が結構あるものですが、気軽に「使ってみよう」と試して経験を積むことが大事だと思います。

この機能のロールアウト時期はちょっと先で、来年の3月を予定しているそうです。

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ページ単位での共有

これまでページ単独での共有はできなかったため、サイトに対する権限を相手に付与する必要がありました。が新しい機能ではページ単位での共有ができるようになりサイトの共有をしなくても部分的に情報共有ができるようになります。

この機能はまもなく利用できる予定で7月にロールアウト開始となっています。

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セクション単位でのデザインレイアウト

ページ (ニュース) のセクション単位でデザインレイアウトを提案してくれるようになります。Fvkygkyaeaafpln

画面右側はコンテンツペインという新機能。Webパーツや画像やビデオ、デザインアイディアといった項目が見られます。デザインアイディアといえば PowerPointに搭載されていますがそれと基本的な発想は同じですね。ちなみに、現在はセクションの背景画像は指定できません。この背景画像も込みで提案してくれるようです。

さて、このコンテンツペインも2023年10月にロールアウト開始予定になったようです!20230509_143123

SharePoint ページのデザインアイデアは、来年の1月にロールアウト開始予定。20230509_151504

画像Webパーツの進化

ページを作成しているとよく使うのがこの画像Webパーツですが、Webパーツ内で画像の加工までできるようになります。トリミングしたり、角を丸くしたり。表現の選択肢が増えます!3_assetidimageedit

この機能はすでにロードマップに追加されていて7月にロールアウト開始予定となっているようです! 

ブランドセンター (Brand center)

SharePoint サイトの見栄えのカスタマイズ機能を大幅にアップデートするのに伴い、ブランドセンターというものが用意されるようです。現在のサイトのテーマだと種類も限定的でフォントなどは指定できませんが、こちらだとできるよう。サイトのデザインのカスタマイズやその展開手法も大きく変わりますね。Fvknjcuacainvmh

この機能は2023年12月にロールアウト開始予定です。

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 ページの内容を丸ごとメール送信 (Outlook)

現在はページをメール送信しようとすると先頭の文言の一部だけがメール送信され、続きは SharePoint サイトのリンクをクリックしましょうという流れになっています。組織によってはライセンスの問題などもあり、全員が SharePoint サイトにアクセスできないため内容をメールでも丸ごと送りたいというケースもあります。標準ではできなかったので独自に SharePointのAPIを利用するなどして Power Automate などと組み合わせて丸ごと送信しようと取り組むところもあるではないでしょうか。ただ、この場合、懸念されるのはページへのアクセス数(利用状況分析)が正しく取得できないというところでした。

しかし、今回のアップデート情報によればページを丸ごとメール送信できるだけでなく、メールを見た人もアクセス数としてカウントされるとのこと。これは朗報ですね。詳細情報を待ちたいところです。ちなみに、対象はOutlookです。

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この機能もまもなく使えるようになる予定で、7月にロールアウト開始となっていますね。SharePoint でも Outlook でも機能するように6つのテンプレートが追加されると書かれています。SharePoint のWebパーツによっては Outlook でサポートされない表現もあるでしょうから、それに対応したものだと思います。


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ロードマップ

ロードマップも公開されました。来年出てくるものも結構ありますね。Fvkvjrqaeaaawvm

管理者向けの SharePoint 情報

複数テナント間での SharePoint サイトのコンテンツを移行できるようになります。企業の獲得、統合などに対応する機能で「SharePoint Mergers and Aquisitions」とタイトルがついています。移行したコンテンツはリンクも維持してくれるようです。

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現在この機能へのプライベート プレビューにエントリーできます。

https://aka.ms/ODSPSecurityPreviews

関連情報

OneDrive (for Business)

OneDrive は現在すでに 対象リリーステナントを中心に、見栄えも含め新機能が色々とロールアウト中です。上記のOneDrive のTech Community の記事を見ても、もう知っているという情報も少なくないと思います。無論ご存じない方もいると思います。そういった方はぜひ、元の記事の方をしっかり読んでおいてください。情報量はとても多いです。

その中でも、これからの新機能として注目したいのは「フォルダーの色分け」ですね(最近、リストやライブラリの列としてビュー上で選択できるようになっている Color Tag ってこれのためのものかしら。。。)。

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Open in app (アプリ内で開く)

これまでOfficeファイルに関してはデスクトップ版またはブラウザー版のいずれかで開くためのオプションが用意されていましたが、新しいアップデートではOfficeファイルでないPDFやJPEG、MP4などをデスクトップアプリで開けるようになります。そのためメニューも「Open in app」となるそう。この機能は今年の後半に提供予定で OneDrive だけでなく SharePoint, Teams でも利用できるようになるそうです。

1つのビュー上ですべての会議のファイルを見る

会議の招待状、録画、チャットなどからファイルを探すのは大変です。そこで、OneDriveに新たに「会議ビュー」が用意されます。このビューには今後の会議と最近行われた会議ごとに共有されたファイルのリンク集が表示されます。これは便利そうですね!

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ロードマップ

ロードマップをよく見ると年末までに同期できるファイルの上限が400K以上になると書かれています。現在は30万ファイルまでが同期できるファイル数の上限ですが、これが拡大されるようです。

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Microsoft Lists

Microsoft Lists に関しては読み込み時間が半分になるといったパフォーマンスの改善も見られます。
それはもちろんですが、個人的にもっとも一番目を引いたのが、リストから直接入力フォームが作成できるというもの。Forms_2

現在、何かしらデータ入力をしてもらうために Microsoft Forms を使っている方も多いと思いますが、フォームに入力されたデータを SharePoint リストに直接格納したいと思うとどうしても Power Automate を使ったフロー作成が必要になってきます。また、Power Apps で入力画面を作ってデータは裏でリストにためていくようにするという使い方も多いと思います。

ですが、この機能を使えば、標準機能を使って手軽に入力フォームが作成できます。フォームも複数作成でき、どうも共有リンクで共有するようなので、リストに直接アクセスさせずに○○部はこのフォームから入力、○○チームはこっちのフォームからというように入り口を分けることもできそうです。フォーム自体からも列の追加ができるようで、フォームを作っている最中で「あれ、項目が不足するな」と思えばそのまま列の追加もできるということですね。モバイルでも使えるということで、早く使いたいですね。なお情報が明らかではありませんが、個人的には添付ファイルの扱いが気になるところ。

画像列に画像をドラッグ&ドロップ

画像の列に手持ちの画像を直接ドラッグ&ドロップできるようになります。

Dragndrop

評価列

評価列が新しくなります。新しい評価列では統計機能が確認しやすくなるなど機能が充実してきます。

個人向けで提供されてきた機能がエンタープライズ環境へ

また個人向けのMicrosoft アカウント(MSA) 用の Microsoft Lists で提供されている機能がエンタープライズ環境でも使えるようになります。

  • 新しいフィルター機能
  • リストの同時編集
  • 新しいビュー (タブ化)

新しいフィルター機能はフィルターした項目がカプセル型で上部に表示されるようになります。対象リリーステナントではすでにロールアウトされているので、動作については下を確認してみてください。

リストの同時編集もできるようなり、会議していて関係者が一堂に会しているような場合は皆で同時アクセスして、例えばリストを使った案件や懸案事項の状況確認や修正・追加なども手早く行えるようになります。Collab

ロードマップ

ロードマップを見ると、この夏に新機能が続々と投入されるよう。これは楽しみです♪
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Microsoft Stream 

Microsoft Stream からVideoポータルを SharePoint 上に手軽に作れるようになります! 教育コンテンツ、インタビュービデオ集、会議の録画集など色々と作成できそうです。Fvkidg4aqaaxufk

こうしたビデオに特化したページを素早く作成するためにビデオ ページテンプレートが用意されます。このテンプレートは SharePoint と Stream の両方から使えるようになるとのこと。この機能は8月にロールアウトを予定しています。

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新しいSteam Webパーツは2023年6月からプレビュー開始でロールアウトは7月からとなっています。特定のフォルダー内のビデオを一覧できるようになるみたいですね。

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参考情報ソース

2022年11月11日 (金)

Microsoft 365 の OneDrive for Business では以前からフォルダー自体を共有することなく、指定したフォルダーに社内外からファイルのアップロードのみをしてもらう機能として「ファイルの要求 (Request files)」があります。この機能を使えば、フォルダー内は相手に見られることがないので非常に便利です。

操作画面を少し補足したビデオを作ったのでどうぞ。

ファイルが届くと自動的にメールで通知もしてくれます。

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Microsoft MVP 仲間の中村 太一さんによるご協力

この説明は拙著の「ひと目でわかる Microsoft 365 SharePoint 運用管理編」をお持ちの方は 、P581~書いていますのでご確認ください。

とても便利な機能ですが、テナントレベルでの事前設定が必要です。つまりは IT部門側でいくらかお膳立てしてもらう必要があるわけです。設定がされていない場合はたとえ「ファイルの要求」メニューが表示されたとしても、次のようにエラーとなります。

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しかし、この設定に必要な要件がともすればセキュリティレベルが下がりかねないため、組織にとってはなかなか受け入れにくいものだったのです。参考までに、以前の設定は同じく書籍の P831に書いていますので、そちらもどうぞ。

ですが、朗報です! 最新のアップデートによりセキュリティレベルを下げることなく利用できるようになりました。設定は下記の公式情報に書かれています。

ファイル要求を作成する - Microsoft サポート

ですが、少々わかりにくいので整理していきます。ということで、ここからは管理者向けです。

設定の詳細

OneDrive の社外共有を許可する場合

OneDrive for Business 上のファイルやフォルダーをユーザーが社内外の不特定多数と共有したい場合は、テナントレベルで共有ポリシーの設定から 「すべてのユーザー」にしておきます。これだけでユーザーはファイルの要求機能を OneDrive 上から利用できます。もし、この設定になっていれば特になにもする必要はありません。

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既定ではこの設定のみで不特定多数の社外との共有が許可されるのですが、下記のように共有ポリシーで外部共有を許可するユーザーを制限することもできます。

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ただ、この設定には組織によってはいくつかの課題も。まず、そもそも SharePoint 側の外部共有のレベルも同時に「すべてのユーザー」に外部共有するように設定しておく必要があるのです。そうしないと OneDrive 側は「すべてのユーザー」に設定できません。無論、この設定はガスの元栓のようなもので、実際にはこれに加えてさらに各 SharePoint サイトの共有設定を外部共有を許可するように指定しないと、気軽に社外に共有はできないのでこれだけでセキュリティレベルが下がるわけではありません。また、ファイルの要求機能のみを利用させたいのに、フォルダーやファイルを社外に共有する機能も追加されることが懸念されることもありました。

そこで新たに追加されたのが次のオプションです。

OneDrive の社外共有を許可しない場合

OneDrive for Business の外部共有レベルを「すべてのユーザー」に設定することなく、ファイルの要求機能が使えるようになりました。ただし、新機能はPowerShell コマンドで設定する必要があります。最新の SharePoint 管理シェルを使うようにしてください。

1. まず、SharePoint 管理センター上の共有ポリシー設定で「[全員]リンクの有効期限とアクセス許可のオプションを選択します]でフォルダーの設定を「表示、編集、アップロード」にしておきます。必要に応じて共有リンクの有効期限も設定しておくとよいでしょう。

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ところでこの設定を行うには SharePoint の共有設定を次のように「すべてのユーザー」にしておく必要があります。ここで、「あれ、結局、不特定多数への社外共有も許可しないとダメなのか!」と思う方もいると思いますが、そうではありません。

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ここで設定しておくことに意味があります。このファイル要求の設定に関わりがあるのが SharingCapability というプロパティです。このプロパティの値が ExternalUserAndGuestSharingとなっていないとファイルの要求機能は動作しません。もしも次のように SharePoint も OneDrive も共有レベルを最も制限された設定にすると、この値は Disabled に変わります。

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これではファイルの要求をしようとするとエラーとなってしまうのです。そこでいったんは SharePoint のレベルを「すべてのユーザー」に指定しておきましょう。これでExternalUserAndGuestSharing になります。

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さて、この状態だと SharePoint サイトの社外共有は元栓は開いている状態にはなります。ただ、次の2.で説明するコマンドを組み合わせることで、外部共有を制御できます。

2. SharePoint と OneDrive の共有設定を変更します。まずは Get-SPOTenant コマンドを使って現状がどうなっているのかを確認しておきましょう。全ユーザーのOneDrive に対する設定は OneDriveSharingCapabilityというプロパティです。

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既定では ExternalUserAndGuestSharing となっているはずですが上記ではこれを私がすでに Disabled に変更しています。この設定を変更するには下記のコマンドを実行します。

#すべての OneDrive
Set-SPOTenant -OneDriveSharingCapability Disabled

この設定はSharePoint 管理センター上で行う設定と同じで管理センター側でも変更結果を確認できます。

OneDrive 連動

OneDrive for Business 側はユーザーごとに外部共有を制御する設定がありません。そのためテナントレベルでの一括設定になります。ですから、 (※2022/11/12 訂正と以下追記 : 前川さんからご指摘いただきました! 感謝)

ちなみに、OneDrive の共有ポリシーはテナントレベルで「既存のゲスト」以上に設定しておけば、ユーザーごとに共有レベルを変更することは可能です。たとえば、次のように設定しておくとします。

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ユーザー単位での OneDrive の Microsoft 365 管理センターのアクティブなユーザーから行います。

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ここで余談を2つ。まずは一つ目。個人の外部共有のポリシー設定はSharePoint管理センター側での共有ポリシーのレベルが「既存のユーザー」以外なら表示されますが、どのレベルにしていても表示される項目は同じです。一見するとどの設定にしていてももしかして匿名ユーザーの外部共有を指定できてしまうのでは? と思うのですが、管理センターよりも制限が緩い設定を選んで保存しようとすると怒られます(エラーになる)。

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そしてもう一つ。SharePoint管理センター側での共有ポリシーのOneDrive側のレベルが「自分の組織内のユーザーのみ」だと、そもそも Microsoft 365 管理センターのアクティブなユーザー上には項目が表示されません(※実は当初、この設定にしているのを忘れていて、あれ、個人設定ってできなくなっているなと勘違いしてました)。

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[共有ポリシーの設定項目が非表示]
 

話を本筋に戻します。

Disabledにすることで社外への共有はさせずに、ファイルの要求だけを許可することができるようになります。もちろん、外部共有が必ずしも "悪" ではなく、必要があればパートナー企業などとのやり取りにそもそも外部共有が必要なケースもあるでしょうし、機密情報を漏えいしないように考慮するならこれ以外に  Microsoft Purview のコンプライアンス機能を用いてファイルへ秘密度ラベルを適用するとか、DLP(データ損失防止ポリシー)を利用するといったプラスアルファを考慮する必要があります。

さて、一方の SharePoint サイトはサイト単位で外部共有を許可するかどうかを指定できます。既定ではサイトの種類に応じて既定値が決まっています。

⚒️ サイトの共有設定を変更する - SharePoint in Microsoft 365 | Microsoft Learn

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基本的には従来通り、個々のサイトで社外との共有をさせるかどうか、また共有させるならどのレベルまで許可するのかなどを決めて設定することです。ただし、全SharePoint サイトに対して共有設定を一括変更したい場合は、CoreSharingCapabilityというプロパティを使います。これにより必要に応じて共有レベルを変更できますし、さらに強制できます。その代わりサイトごとの設定はできなくなるので注意しましょう。外部共有レベルをどのように決めるのかが組織内で決まっていなかったり、テナント管理者側で不意にサイトのセキュリティを変えてしまうことがないようにしたりする予防策としては有効でしょう。

⚒️ Set-SPOTenant (Microsoft.Online.SharePoint.PowerShell) | Microsoft Learn

既定ではこの値は ExternalUserAndGuestSharing となっています。

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これを次のコマンドで Disabled にしてみましょう。

#すべての SharePoint サイト
Set-SPOTenant -CoreSharingCapability Disabled

先ほどの OneDrive とは異なり共有レベル側は何も変化がありません。

SharePoint側の連動梨

しかし、サイト単位での共有ポリシーを確認すると、すべてのサイトが「組織内のユーザーのみ」になります。新規に作るサイトも同様です。

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これによりテナントレベルの SharePoint 管理者といえども、サイト単位での外部共有レベルを変更することは一切できなくなります。PowerShell (Set-SPOSite) やSharePoint 管理センター上からは一見するとサイト単位で「すべてのユーザー」設定に変更できるように見えますが、試すと結果変更されず「組織内のユーザーのみ」になります。

つまり、SharePoint 管理センター上からは一見すると外部共有できるように元栓が開いているように見えるのですが、すべての SharePoint サイトではCoreSharingCapabilityで指定した値に強制され、変更できなくなるのです。

 

3. 最後に下記のコマンドを用いて OneDriveRequestFilesLinkEnabled を True に設定します。

Set-SPOTenant -OneDriveRequestFilesLinkEnabled $true

ちなみに、私のテナントでは Get-SPOTenant を使ってOneDriveRequestFilesLinkEnabledオプションを確認したところ最初から True になっており、Set-SPOTenant -OneDriveSharingCapability Disabled コマンドだけで済むのではないかと考えたのですが、これだけでは有効になりませんでした。最後にこのプロパティを確実に True に更新するのがよさそうです。

 

ファイルの要求リンクの有効期限と削除

一度作成した共有リンクは、リンクの有効期限が設定されている場合はリンクのみの削除できないようです。その代わり有効期限が画面上に表示されます。生成したリンクは次の手順で確認できます。

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自然に期限が切れるのを待つか、急いでいるときには中のファイルを別のフォルダーに移動させて、フォルダーごと削除してしまうのも一つの方法でしょう。

有効期限が設定されていない場合は、即座に共有リンクを削除できますし、有効期限を明示することも可能です。

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なおファイルの要求リンクの有効期限は Set-SPOTenant -OneDriveRequestFilesLinkExpirationInDays コマンドで指定できます。