2020年12月

2020年12月23日 (水)

このブログではこれまでも Microsoft Lists について機能などをご紹介してきましたが、そもそも Microsoft Lists は SharePoint リストと何が違うのか、よく理解できていない方が多いのではないでしょうか。

そこで今回は Microsoft Lists の機能面ではなく、「なぜ、Microsoft Lists 」なのか、という点をしっかりと取り上げておこうと思います。そして、今後の展望も確認していきたいと思います。

なお、この記事は Office 365 Advent Calendar 2020 に参加しています。

Office 365 Advent Calendar 2020

(おさらい) Microsoft 365 の Microsoft Lists アプリ

まずは基本的な内容をおさらいしましょう。Microsoft 365 の Microsoft Lists リストアプリは アプリ一覧から利用できるようになっています。

2020-12-23_14-04-54

ユーザーが利用できるリストの一覧が表示されるだけでなく、リストの新規作成もできます。 2020-12-23_14-08-16

これだけでなく、Microsoft Teams 内からも Microsoft Lists アプリが利用できるようにもなっています。詳しくは後程。

大切なのはSharePoint サイトを意識させず利用できること!

よく言われることなのですが、Microsoft Lists は基本的には SharePoint リストそのものです。ですから、管理したり他人にリストのことを説明する立場にある人は必ず SharePoint リストの基本的な使い方と管理方法を学んでおきましょう。

ここからはSharePoint リストを知っている前提で書き進めます。

SharePoint リストはあくまでもサイト内の1つの機能であるため、リストにアクセスしたり、リストを作成したりするには「サイト」を意識する必要があるわけです。リストだけが使いたくても「SharePoint サイト」が必要です。たとえば、「まずはサイトにアクセスしてから、リストへアクセスする」こともあれば、リストのURLをピンポイントに知っていたとしてもサイトの画面内にリストが配置されるため、サイトを強く意識することになります。

[SharePoint サイト内のリスト]

サイト内のリスト

一方の Microsoft Lists は SharePoint サイトをあまり意識させません。たとえば、Microsoft 365 の Lists アプリを利用すれば、いきなり「リスト」が作成できます。もちろんリストの作成先は SharePoint サイトを選ぶ必要がありますが、Microsoft Lists アプリからアクセスすると画面はリストだけを表示してくれるため 利用者からすればSharePoint サイトを意識しなくてもよいようになっています。

平たく言えば、「SharePoint リストの機能だけを使いやすく改善していこう!」といったところでしょうか。余談ですが、Microsoft Lists アプリからリストにアクセスしたほうが、見た目が少しファンシーな感じです。

[Microsoft 365 のMicrosoft Listsアプリ]

Microsoft Lists アプリ

データベースとリストの関係

SharePoint リストのデータはバックエンドのデータベース (Azure SQL)に格納されており 、リストにはこれまでSharePoint サイト経由でアクセスしてきましたが、新たに Microsoft Lists からアクセスするアプローチも増えたということです。SharePoint サイトからアクセスしても、Microsoft Lists アプリからアクセスしても表示される、列、ビューなどは一緒です。またMicrosoft Lists のリストのアクセス権限管理は SharePoint リストとして管理することになるわけです。機能的な制約も SharePoint リストと同様です。

[SharePoint リストと Microsoft Lists の関係のイメージ図]

イメージ図

Microsoft Lists の発表は SharePoint リストを大幅に進化させる大義名分

2020年の5月に Microsoft Lists が発表されたことで、これにあわせてベースとなる SharePointリストの側も大幅なアップデートが追加されていくことになりました。発表されてから、この記事を書いている 2020年12月現在までに新機能としては主に次のような機能が追加されています。

  • 「クイック編集」メニューの名称が「グリッドビューでの編集」に変更された
  • グリッドビューで複数アイテムのコピーができるようになった
  • グリッドビューに新たなビューのオプションとして「高さを固定」と「高さを自動フィット」が追加された
  • グリッドビューで列の書式がサポートされるようになった
  • グリッドビューで、「元に戻す」「やり直し」が利用できるようになった
    2020-12-23_13-22-09


  • 新たにカレンダー表示できるビューが作れるようになった
    2020-12-23_14-51-20

  • ギャラリービューが利用できるようになった
    2020-12-23_14-43-48

  • アイテム単位でコメントが書けるようになった
    2020-12-23_14-53-20

  • SharePoint ホームページからのリスト作成画面が Microsoft Lists と共通化した
  • リスト作成時に Microsoft Lists のテンプレートが利用できるようになった
    2020-12-23_14-23-05

トラッキングアプリの意味

ところで、Microsoft Lists はマイクロソフト社からは「トラッキング アプリ」だと説明されています。何かを追跡するということです。では、これの意味するところは? 一番のポイントはアイテム単位で「コメント」なり「チャット」なりのコミュニケーションが取れることにあります。この部分は 「SharePoint リスト / Microsoft Lists 」を使っているのか、「Teams 内の Microsoft Lists」アプリを使っているのかで、すこし機能が異なってきます。

「SharePoint リスト / Microsoft Lists 」では、アイテムのタイトル列のところやコマンドバーにある[会話](吹き出しのアイコン) をクリックすることで、アイテム単位でコメントが書けるようになっています。ちなみに、現時点では @メンションはできません。ロードマップ上は、メンションもできるようになるようです。

2020-12-23_15-30-59

つまりアイテムを起点として、ことの経緯がコミュニケーションをとりながら追いかけられるということです。

Microsoft Teams 内でも Microsoft Lists アプリがタブとして追加できるようになっています。これもおさらいですね。

このようにして Microsoft Lists をチームのチャネルに追加すると、アイテムの表示や編集画面は Teams のウィンドウに適したレイアウトになります。さらに、アイテムごとのコメントは Teams のチャット機能が利用できるため、@メンションなども自由に行えます。コミュニケーションにおける表現力でいえば、コメント機能より強力です。このように、Microsoft 365 の Lists アプリを使うにせよ、Teams 内の Lists アプリを使うにせよ、アイテムごとにコミュニケーションをとりながら「ことの経緯」を追いかけられるというのが、リストの魅力の一つと言っていいでしょう。

2020-12-23_17-03-35

まだ発展段階にある Microsoft Lists 

Microsoft 365 Roadmap に公開されている Microsoft Lists の機能のうち、In Development (開発中) になっているものだけを取り上げてみました。ちなみに、下記のファイルは弊社の SharePoint 上で共有している Excel ファイルです。
全画面表示したい方は下記のリンクをクリックしてください。

2020年12月現在の Microsoft Lists の開発中の機能一覧

今後にも期待!

ということで、まだまだこれから新機能が続々と投入されてきます。

個人的には

  • Microsoft Lists のモバイルアプリ
  • ルール作成
  • フォームカスタマイズ

あたりが期待しているところですが、皆さんはどんな機能に興味を持たれたでしょうか?

今年は本当にいろんなことが様変わりして大変な一年でしたが、来年は少しでも状況が改善しているといいなと祈りつつ、皆様よいお年をお迎えください。

2020年12月17日 (木)

SharePoint のドキュメント ライブラリでは任意のプロパティを持たせることができます。これにより、ファイル名からだけだと内容が推測できない場合も、プロパティを見ればおよそ内容が把握できるようになります。このプロパティの値は、ファイルをアップロードするたびにユーザーがつど設定する必要があり、なかなか面倒です。

2020-12-17_23-52-15

たとえば、 Excel のファイルを例に、SharePoint のライブラリに Excel ファイルがアップロードされたら、自動的にファイルの内容を読み取って必要な情報をプロパティに設定してもらえるようにしたい。

そこで登場するのが Office ScriptsPower Automate です。

なお、この記事は Office 365 Advent Calendar 2020 に参加しています。

Office 365 Advent Calendar 2020

Office Scripts は Web用の Excel (Excel Online) 上で利用できるスクリプトであり、TypeScript で記述します。これと Power Automate を組み合わせると実に様々な処理が可能です。とはいえ、Office Scripts を利用するには Office 365 E3 または E5 のライセンスが必要であり、テナントレベルで機能がオンになっている必要があります。既定でオンになっていますが、テナント管理者のさじ加減で設定がオフにされていることもあるので、組織内で確認してください。また Office Scripts は 2020 年12月、現在まだプレビューの状況です。

実際の動作を確認するためにデモンストレーションと構築方法をビデオで公開しました。詳しくは次のビデオ (YouTube) をご参照ください。

ビデオの補足情報

SharePoint サイト側では任意のドキュメント ライブラリを用意します。このデモでは次の列を4つ追加しています。

  • 見積金額…通貨
  • 組織名…1行テキスト
  • 部署名…1行テキスト
  • 担当者名…1行テキスト

Excel は次のサンプルファイルを用意しています。類似したファイルを用意して試すとよいでしょう。

2020-12-18_0-00-13

Office Scripts は次のようなスクリプトを用意しています。

2020-12-18_0-03-06

これを次のような Power Automate のフローで呼び出します。

2020-12-18_0-11-29