Microsoft は SharePoint の「通知」機能を廃止することを発表しました。
通知はリストやライブラリで構成できるもので、この機能はオンプレミス時代からある機能です。
ちなみに、すでにこのレガシーな機能に代わって「自動化」メニューから “ルール”を作成することで柔軟に通知が行えるようになっているため、拙書の「ひと目でわかるMicrosoft 365 SharePoint 運用管理編」では従来の通知機能については言及していないためこの機能の存在をあまり意識したことがない方も少なくないでしょう。従来の通知機能はメールの送信タイミングが柔軟にコントロールできないことが課題でした。
たとえば、通知でトリガーされるタイミングは基本的は次の4つのみです。
- すべての変更
- 新しいアイテムの追加
- 既存アイテムの変更
- アイテムの削除
さらに細かい条件が指定できるとしても次の条件に限定されています(次はファイルの例)。
- 変更があったとき
- 作成したドキュメント
- 作成したドキュメントを他のユーザー/グループが変更したとき
- 自分が最後に更新したドキュメントを他のユーザー/グループが変更したとき
このためオンプレミス時代からこの機能による通知は使っている組織はあるものの、無駄に通知がされすぎてしまい通知自体がジャンクメール化してしまうことで結果的にユーザーが見逃してしまうということも多かったのです。
ルール
比較的新しく追加された "ルール" は、こうした課題をクリアするものでした。たとえば、
次のような条件が指定できます(※ライブラリ/リストの順で併記)。
- ファイルまたはメタデータが変更されました / アイテムが変更された時
- 新しいファイルが追加されました / 新しいアイテムが作成されたとき
- 1個のファイルが削除されました / アイテムが削除されたとき
- 日付が近づいています ※リストとライブラリで共通
特に、ドキュメントの追加時任意の列の値をもとに条件を細かく指定できるようになっているのはこれまでにない機能です。さらに最新のアップデートにより、通知メッセージをカスタムで指定できるようになりました。
Power Automate の利用
SharePoint のルール以外にも Power Automate の登場により、任意のタイミングでのメールによる通知自体を柔軟に制御できるだけでなく、Teams にもチャットやメッセージを投稿できるようになっています。
※ちなみに、むかーしは Power Automate がない時代は SharePoint Designer というツールで独自の通知フローを作ったものでした。
こうした背景を考えても、そろそろレガシーな通知機能はお役御免といったところでしょう。
廃止のタイムライン
このレガシーな通知機能の廃止のタイムラインを書き留めておきます。
2025年7月~
新たに追加されたテナント上では次第にSharePointの通知を新規に作成できなくなっていきます。
2025年9月~
全てのテナントで SharePointの通知の新規作成は次第にオフになっていきます。
2025年10月~
SharePoint 通知の廃止機能が次第にアクティブ化されていきます。一度アクティブ化されると、すべての SharePoint 通知も最初に実行されてから30日間は有効ですが、それ以降は期限切れになります。ユーザーは自分で 無効化されたSharePoint の通知を再度有効化してもう30日間延長することができます。再有効化と延長は、リストやライブラリの「通知の管理」画面から指定できます。詳細な手順は次のサポート文書に書かれています。
🔗SharePoint Alerts retirement - Microsoft Support
2026年7月~
Microsoft は SharePoint の通知機能の利用を削除します。既存の通知は延長することはできず、これ以降動作しません。
代替のソリューション
すでに説明した通り、レガシーな通知に代わるソリューションは次の2つです。
- リストやライブラリで利用できる「SharePoint のルール」
- ちなみに、「通知」は最低限 “閲覧” アクセス許可レベルがあれば自分用に構成することができました。しかし、「ルール」が新規に作成できるは"編集"アクセス許可レベル以上であるため、権限管理については再確認が必要です。
- Power Automate のクラウドフローを利用した通知
アセスメント ツール
Microsoft は組織の管理者などが SharePoint の通知の利用状況を把握するためのアセスメントツールを提供しています。詳しくは下記のページを参照してください。
SharePoint Alerts Assessment | Microsoft 365 Assessment Tool
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