2021年6月

2021年6月28日 (月)

AvePoint Japan の中村太一さんの企画で下記の通りオンライン イベントを開催します。

私もセッション スピーカーとして5枠あるうちの1枠で登壇しますので、ご都合のつく方は同僚の方などお誘いあわせのうえ、ぜひ、ご一緒にご参加ください! 

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  • タイトル : 【Microsoft MVP の祭典 2021】Microsoft 365 + Power Platform 利活用デモ祭!!
  • 日時 : 2021/7/13 9:30 ~ 15:00 
  • 形式 : オンライン (AvePoint 社が利用しているウェビナー配信の仕組みを使う)
  • 参加費 : 無料
  • お申込み : 下記のAvePoint 社のページより事前にご参加登録をお願いします。 
    URL : イベントへのお申込み

<<イベントの概要の抜粋>>>

Microsoft 365 をより便利に使いこなしたいという声にお応えして、Microsoft 製品とサービスに関する深い知識をもち、多方面で活躍中のコミュニティリーダーである Microsoft MVP 受賞者が大集結。 各セッション中で「必ずデモをする!」という縛りを課して最前線の様々な利活用方法をお話いただきます。

「 Microsoft 365 ってどんな事ができるのかわからない」
「 Microsoft Teams って他のサービスと組み合わせると便利だというけどピンとこない」
「 Power Platform って名前は聞くし気になるけど使うにまで至っていない」
というかた必見の内容となっています。

「Microsoft MVP って何?」 という疑問をお持ちの方も大丈夫。特別ゲストとしてマイクロソフト コーポレーションのコミュニティ プログラム マネージャーである森口様にもご登壇いただきます。

<<抜粋ここまで>>

登壇予定の内容について

私が何を話すのかということですが、まず対象者から。

私のセッションの対象者の想定 : Power Platform を絡める以上、まるっきり Microsoft 365 がわからないという方ではなく、使い始めたんだけど全体的によくわからないというような方を対象しようと思っています。

セッションタイトル : 「Microsoft 365 を使い、よりよい業務環境の在り方と仕事への向き合い方を考えよう​」

Microsoft 365 の全体像を俯瞰し、「結局、Microsoft 365 を導入と何が嬉しいの? どこに向かうの? 」という根本的な話をデモを交えてお伝えしたいと考えています。特に、私の得意とする SharePoint を中心に据えながら、Microsoft 365 を使った場所を選ばない柔軟な働き方にフォーカスをあてつつ、Microsoft Teams、Yammer、Power Platform のそれぞれの特徴を説明するとともに、どのようにそれぞれが連携できるのかを整理します。新しいサービスの Microsoft Viva も少しご紹介し、今後の方向性についても触れます。

さらにもう一つのお楽しみ

私の登壇予定は 13:00 ~ですが、直前の12:00 ~ は登壇者全員参加のテーブルトークを開催します! 話す内容は、その場で皆さんからのリクエスト集めてそれをもとに決定します。ワイワイ、ガヤガヤと楽しく話をする予定です。

皆さんも、昼食をとりながらラジオ番組的な感覚で聞いていただけるといいなぁと思っています。

ちなみに、各セッションは原則録画されますが、テーブルトークの方は録画はありませんのでご注意を!!

最後に

ということで、Microsoft 365 に関する役立つ情報を、登壇者全員で皆さんに楽しくお伝えできればと思っています。

ぜひお楽しみに~♪  

2021年6月16日 (水)

  昨年末に次の記事を公開しました。

[Office Scripts] Excel 内のデータを使って SharePoint ライブラリのプロパティを自動設定しよう (weblogs.jp)

この記事で使っていたのは GA 前の Office Scripts でパブリック プレビューでした。しかし、2021年5月27日に General Availability (GA) に達したことが発表されました。

Office Scripts is now generally available in Excel for the web - Microsoft Tech Community

さて、この記事で説明したフローですが、久しぶりにファイルをアップロードして動作させてみると SharePoint コネクターを使ったファイルのプロパティ更新のアクションが実行できない。で、原因を探るためエラーを確認するとファイルがロックされてしまっているようです。

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エラーのメッセージの要点は「ファイル <ファイルパス> は、<フローの所有者> が排他的に使用するためにロックしています。」というところです。Office Scripts 実行時にファイルの内容を読み取っているので、File Open の状態となっているのでしょう。比較のために単純に、SharePoint コネクターだけを使って「ファイルが作成されたとき(プロパティのみ)」のトリガーを使い、次のステップで「ファイルのプロパティの更新」を実行してみますが、特にファイルがロックされることはありません。

さて、これをどう対処しよう。が、結局のところファイルが排他ロックされるとSharePoint 上でファイルが解放されるまで待つしかありません。ですが、どのタイミングで解放されるのかはよくわからない。そこで、Power Automate を使って SharePoint 上のファイルのプロパティを更新するときに何らかの理由でファイルロックに遭遇した人はいるだろうと、なにかよさそうなアプローチがないかネット上で探してみます。予想通り、複数の記事を見つけましたが、結局、みな共通しているのはファイルのロック状態が解除されるまで Do Until で繰り返しトライするしかなさそうです。

まず結果から言うと、5分ほど待機すればロックが解除されるようです(現時点)。

ですが、念のため30秒ごとにロック解除を繰り返し確認するようにロジックを変更してみましょう。まず、ロック状態を判定するために IsFileLockedという名前でブール値の変数を用意します。既定値は true。

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Office Script 実行後すぐにファイルのプロパティを変更していましたが、直後にDo until を追加しこの中に「ファイルのプロパティ更新」アクションを 移動させます。Do until の条件は 「IsFileLocked の値が false に等しい」です。

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次に変数の設定アクションを追加し、IsFileLocked にファイルが引き続きロックされていれば true、そうでなければ false を格納するように式を書きます。

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if
(
  and
  (
    equals(outputs('ファイルのプロパティの更新')?['body']?['status'],400), 
    contains(outputs('ファイルのプロパティの更新')?['body']?['message'], 'ロックされています')
  )
  ,true
  ,false
)
 
ただし、このままでは前のステップが失敗すると次に進まないため、実行条件の構成を行い、成功だけでなく失敗時にもこのステップに進むように変更します。
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あとは、IsFileLocked の値を条件判定して、true なら 30秒待機するように構成します。
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以上でファイルアップロード後に5分程度待てば、Excel の内容を読み取り SharePoint ドキュメントライブラリ上の列を自動的に更新してくれるようになるはずです。
 
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なお参考にしたサイトは下記の通りです。

 

2021年6月13日 (日)

Microsoft 365 の SharePoint で「ポータル起動スケジューラー」機能が利用できるようになっています。少し前に PowerShell による構成ができるようになったのですが、現在、Webブラウザーを使って簡単にこの機能がつかえるようになっています(2021年6月13日現在、ロールアウト中)。

トラフィックが高いサイトへのスムーズなアクセスを提供する

数週間で10,000 から 100,000 を超える閲覧者からのアクセスがあるようなトラフックの高いポータルサイトがあったとします。このポータル ラウンチ スケジューラーを使うことで、新しいポータルに対してユーザーがスムーズにアクセスできるようになります。

このスケジューラーを使うことで閲覧者をウェーブ(Wave) に分け、新しいポータルへのアクセスを段階的にロールアウトできます。サイトへのアクセス権限設定は最終的なサイトの公開を想定し事前に設定しておきつつ、ユーザーを第一波、第二波などに分けながら徐々にサイトアクセスできるユーザーを拡大していけます。例えば、第一波はパイロットユーザーのみに限定し、それ以外のユーザーは第二、第三波の期日になるまではサイトにアクセスさせません。アクセスできるまでは、たとえURLがわかったとしても任意のサイトやページに強制的にリダイレクトすることができます。

注意事項等の確認

ポータル起動スケジューラーの公式ドキュメントは下記の通りです。

Launch your portal using the Portal launch scheduler - Microsoft 365 Enterprise

このうち確認項目の一部抜粋しておきます。とはいえ、詳しくは公式ドキュメントを確認してください。

  • この機能は、2021 年 5 月からターゲット リリースのお客様向け SharePoint コミュニケーション サイトのホーム ページにある 設定 パネルからアクセス可能になり、2021 年 7 月までにはすべてのユーザーが利用できる予定です。
  • このツールの PowerShell バージョンは現在利用できます
  • この機能は、最新のコミュニケーションサイトでのみ利用できます 
  • ポータルの起動をスケジュールするには、サイトのサイト所有者レベルの権限が必要です
  • 起動は少なくとも 7 日前にスケジュールする必要があります。各ウェーブは 1 日から 7 日間続く場合があります。
  • 必要なウェーブの数は、予想されるユーザー数によって自動的に決定されます。
  • ポータルの起動をスケジュールする前にSharePointページ診断ツールを実行して、サイトのホーム ページが正常な状態にあるか確認する必要があります。
  • 起動が終わると、サイトへのアクセス許可を持つすべてのユーザーが新しいサイトにアクセスできるようになります

ポータルのラウンチ ロールアウトを計画する

この機能を単なるリダイレクト機能として受け止めないようにしましょう。しっかりとしたラウンチのロールアウト計画に基づいて実施する必要があります。これを計画するには、Microsoft 365 上でのSharePoint におけるキャパシティプランニングや負荷テストについて基礎的な内容を把握しておくことが大切です。

プランニングに関する公式ドキュメントは下記のリンク先に公開されています。

Planning your portal launch roll-out plan in SharePoint Online - Microsoft 365 Enterprise

要点として押さえておくべきところをまとめてみました。

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クラウド上にある SharePoint はマイクロソフト側で毎日数百万の大規模ユーザーに対してサービス提供ができるように設定しており、キャパシティプランニングを常に行い、チューニングしています。もちろん、テナントの成長は予測ができないことも多いのですが、リクエストの総数は時間の経過とともに予測できるようになります。SharePoint Online の成長傾向を把握することで将来の拡張計画が立てられるわけです。効率的にキャパシティを使用し、予期せぬ成長にも柔軟に対応できるよう、どのファームに対しても、様々な要素を追跡監視しています。その指標の一つに CPU負荷があります。この指標をフロントエンドサーバーのスケールアップするためのシグナルとして利用しています。またSQL環境は時間の経過とともに負荷や成長に応じてスケールアップしていくため、フェーズやウェーブに従うことで負荷や成長を適切に分散させることができるため、フェーズ/ウェーブアプローチを推奨しています。

キャパシティは単にハードウェアを継続的に追加することではなく、キャパシティを管理・制御することで負荷要求に確実に対応することを意味します。ユーザーが最高の体験ができるように、マイクロソフトが推奨するガイダンスに従っていただくことをお勧めします。また、サービス内での「悪質な」行為を許さないために、スロットリングパターンとコントロールを設けています。すべての「悪質な」行為が意図的なものではありませんが、その行為の影響を確実に制限する必要があります。スロットリングとその回避方法についての詳細は、「スロットリングを回避する方法」をご覧ください。

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推奨ガイドラインに従ってページを最適化する

ポータルサイトは推奨ガイドラインに従って、ページの最適化を常に行っていくようにしましょう。そのために SharePoint 用のページ診断ツールを使うとよいでしょう。

オンラインのページ診断ツールを使用SharePointする - Microsoft 365 Enterprise

Wave / Phased ロールアウトのアプローチをとる

サイトをラウンチするための従来のビッグバンアプローチによる、カスタマイズ、外部ソース、サービスなどの検証は許可されていません。

推奨されるのはウェーブ ロールアウト計画に従ったサイトのラウンチです。次のフェーズに進む前にロールアウトを一時停止して問題を解決することもできるため、問題の影響を受けかねないユーザー数が少なくて済みます。 SharePointは利用状況と予測された使用状況に基づいて容量を拡大縮小するのでサイトのラウンチをマイクロソフトに通知する必要はありませんが、サイトのラウンチを成功させるためにガイドラインに従うようにしてください。

各ウェーブの間に機能やパフォーマンスに関するユーザー フィードバックを収集します。 こうすることで、ゆっくりとシステムを導入しながら、システムの使用の進み方に従って改善策を講じられるという利点があります。サイトが徐々に多くのユーザーに展開されるとともに、ガイドラインに従ってページが最適化されることで、マイクロソフトとしても負荷の増加に対応できるようになります。

ポータル ラウンチスケジューラーについて

ポータル ラウンチ スケジューラーは以前は PowerShell による設定しかできませんでした。サイト内から利用できるツールとの違いは次の通りです。

PowerShell 版

  • SharePoint 管理者の権限を使って PowerShell を実行する必要がある
  • 最小要件としては1つのウェーブがあればよい
  • UTCタイムゾーンに基づいてスケジュールする必要がある

サイト内のツール (In-product)版

  • サイトの所有者が実行できる
  • 最小要件として2つのウェーブが必要
  • サイトの地域の設定に基づく時間でスケジュールできる

使い方

使い方の詳細は公式ドキュメントに書かれています。この中でも大事な点だけ抜粋しましょう。

1.権限を設定する 

ポータル ラウンチ スケジューラーを使う前に、サイトの所有者、サイトのメンバー、訪問者を使ってサイトにアクセスする必要があるユーザーをすべて追加します。たとえば、全社員がアクセスするポータルの場合は「外部ユーザーを除くすべてのユーザー」を訪問者として指定しておきます。

2. スケジュールの開始方法を確認する

スケジュールの開始方法は2つ用意されています。1つは、ホームページを編集して再発行する際にページのバージョンが3.0 になるまでの操作であり、もう一つは設定メニュー(歯車)から[サイトの起動をスケジュール]をクリックする方法です。

ホームページを編集して再発行する場合は、バージョンが3.0になるまで、ポータル ラウンチ スケジューラーの使用を求めるメッセージが表示されます。この時[再発行]をクリックすれば、スケジュールすることなく即時、ページが発行されます。スケジュールしたい場合は[起動をスケジュール]をクリックします。

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歯車アイコンから[サイトの起動をスケジュールする]をクリックする場合は、歯車アイコンの[サイトの起動をスケジュールする]メニューを使えば好きなタイミングでサイトの起動をスケジュールできます。

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ではスケジュールを開始してみましょう。最初に現れる画面にはスケジュールに必要な全4つの工程が表示されています。しかし、[次へ]が押せない。

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そこでいったんホームページに戻り[ページの診断]ツールを実行します。

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ページ診断ツールを開始する

診断後に特に問題がないことが確認されたら診断を停止します。

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診断結果からサイトに特に問題ないことがわかる

再びサイトの起動スケジューラー画面にアクセスします。すると、今度はページの正常スコアが表示され、[次へ]がクリックできるようになります。ということで次へをクリックします。

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続いての画面では予想されるユーザー数やリダイレクト方法、リダイレクト先のURLを指定します。

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予測されるユーザー数を指定する
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リダイレクト方法を選択する
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リダイレクト先のURLを指定する

指定が終わったら[次へ]をクリックします。次はウェーブを指定します。先ほど選択したユーザー規模数により指定できるウェーブの数が自動で決まります。なお、Webブラウザーからの設定では最低でも2つのウェーブが必要ですが、PowerShellから行う場合はウェーブは1つだけを指定することもできます。

各ウェーブの開始日時と各ウェーブで開放する相手となるセキュリティグループをそれぞれ最大20個まで指定できるようになっています。なお、指定する日付はウェーブ1は今日から7日後以降の日付を指定します。その後は各ウェーブは前のウェーブと最低でも24時間空けて指定することになります。また、ウェーブに関係なくアクセスできるユーザーを「ウェーブから除外されるユーザー」として指定できるようになっているのですが、ユーザーまたはセキュリティグループを指定します。

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[次へ]をクリックします。ここまでの設定の確認画面が表示されるので、内容を確認したら[送信]をクリックします。

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最後にスケジュールが正常に開始されたことを示すメッセージが表示されます。

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動作を確認するとウェーブが来る前に当該ユーザーがサイトにアクセスすると事前に設定したURLに強制的にリダイレクトされるようになります。

まとめ

以上、独断と偏見で要件をまとめると、日々 SharePoint のユーザーがスムーズに利用できるように Microsoft 側もインフラをチューニングしているので、サイトアクセスにかかる負荷が予測しやすいように、また変に過負荷にならないようにガイドラインに従ってサイトはロールアウトしてほしいということでしょう。ガイドラインに従うことで、さっとページが開けるようにもなるわけでお互い Win-Win の関係にもなるわけですから、こうした点も踏まえたポータル構築・運営を心がけたいですね。