2008/7/15 付けで WSS 3.0 、 SharePoint Server 2007、Project Server 2007 の更新プログラムがダウンロードできるようになりましたが、今回の更新プログラムは "Infrastructure Updates" とされており、バグフィックスだけでなく Search Server 2008 および Search Server 2008 Express に搭載されていた検索機能が既存のWSSやMOSS環境に追加されます。つまり、既存のSharePoint サイトからインターネット上のLive Search などの検索サイトからの検索結果をMOSS上に表示できるようになります(こうした機能をフェデレーションと呼びます)。
更新プログラムを適用後は、すぐに拡張された検索機能が利用できます。
詳細は Microsoft SharePoint Team Blog に掲載されています。
http://blogs.msdn.com/sharepoint/archive/2008/07/15/announcing-availability-of-infrastructure-updates.aspx
なお、検索の設定や機能は Search Server 2008 およびSearch Server 2008 Express と同様です。ちょうどマイクロソフトのエバンジェリストである田辺さんがブログにSearch Server 2008 に関する記事を書かれていますので、詳細についてはそちらが参考になると思います。
「MS田辺さんのブログ」
http://blogs.technet.com/stanabe/archive/2008/03/13/start-enterprise-search-today.aspx
早速、検証環境を準備すべくWSS 3.0 および MOSS 2007 用の更新プログラムをインストールしてみましたので、手順と結果を備忘録として記載しておきます(ただし、まだ検索の精度がどの程度向上するものなのか、またあまり変わらないのかなどは検証できおりません)。
手順
検証環境では基本的にSP1を適用した時と同様に行ってみました。
1. WSS 3.0 (KB951695) および MOSS 2007 (KB951297) の日本語版の更新プログラムをダウンロード
- WSS 3.0 KB951695 : http://www.microsoft.com/downloads/details.aspx?FamilyID=256ce3c3-6a42-4953-8e1b-e0bf27fd465b&displaylang=ja
- MOSS 2007 KB951297 : http://www.microsoft.com/downloads/details.aspx?displaylang=ja&FamilyID=3811c371-0e83-47c8-976b-0b7f26a3b3c4
2. WSS 3.0 の更新プログラムをインストール (インストール後、構成ウィザードはキャンセル)
3. MOSS 2007 の更新プログラムをインストール (インストール後、構成ウィザードを実行)
結果
インストール後にまず、SharePoint ハイブ内の次のディレクトリが更新されているか確認しました。ざっと確認したところ以下のようないくつかのディレクトリが更新されていました。
- BIN
- CONFIG
- ISAPI
- Resources
- TEMPLATE\LAYOUTS
- TEMPLATE\IMAGES
- TEMPLATE\FEATURES
- TEMPLATE\ADMIN
- TEMPLATE\SQL
- TEMPLATE\XML
- TEMPLATE\Site Template\SRCHCENTERLITE
- TEMPLATE\Site Template\SRCHCEN
- TEMPLATE\Site Template\OSRV
- TEMPLATE\GLOBAL\XML
この中でも特に注目すべきは、Feature ディレクトリと Site Template ディレクトリに含まれるテンプレートでしょう。
- Site Template の "SRCHCENTERLITE" は "検索センター"サイトのテンプレートです。
- 同じく "SRCHCEN" は " タブ付き検索センター" サイトのテンプレートです。
- 同じく "OSRV" は"共有サービス管理"サイトです。
実際に、インストール後のサイトを確認してみると上記のサイトに変化が見られます。まず、共有サービス管理サイトには [検索] セクションに "検索管理" メニューが追加されます。
このメニューをクリックすると、Search Server 2008 /Search Server 2008 Express では既に提供されている検索管理画面が表示されます。
検索管理の画面では、検索に関係するメニューがサイドリンクバーに集められており、使い勝手が良くなっています。たとえば、検索サーバーの待機時間を指定するタイムアウトの設定はアプリケーション構成の管理サイトで設定する必要がありますが([アプリケーション構成の管理]-[Search サービスの管理]-[ファームレベル検索の設定])、こうしたメニューもこの管理画面に集約されています([プロキシとタイムアウト]というメニュー)。また、ヘルプも用意されているので、最低限必要な情報はここから収集できます。
さて、新機能であるフェデレーション機能ですが、既定では Live Search を使用できるよう構成されています。この設定は、検索管理のサイドリンクバーに表示される[フェデレーション場所]から確認できます。
既定では次の3つの場所が定義されいます。
- インターネット検索結果
- インターネット検索用語候補
- ローカルの検索結果
たとえば、[インターネット検索の結果]の内容を確認してみます。
フェデレーション場所では、それぞれ特定のクエリに特定のプレフィックスが含まれている場合や特定のパターンに一致するクエリの場合のみ特定の場所から検索するなどのトリガや、検索結果の表示場所の指定、検索結果として返されるXMLをHTMLとして整形するXSLの指定、この検索場所が利用できるサイトの制限などが設定できるようです。
なお今回の検索などの機能拡張に伴い新しくFeature が追加されています。SharePoint ハイブ\TEMPLATE\FEATURES フォルダには主に次のようなディレクトリが更新されていました。
- SearchWebParts
- SearchServerWizardFeature
- S2SiteAdmin
- S2SearchAdmin
- S2BaseSiteStapling
- PortalLayouts
- OSearchSRPAdminLinks
- PublishingResources
- PublishingLayouts
以上を確認したうえで、新たに検索センターサイトを作成してみました。すると検索ボックスWebパーツが更新されており、[検索内容の取扱いについて]というリンクが表示されるようになっていました(これは "情報リンク" Web パーツと呼ばれるもので提供されています)。
[図.検索ボックスWebパーツ]
※表示されるリンクをクリックすると以下のようなヘルプが表示される。
またフェデレーションによる検索結果は新たに加わった「フェデレーション検索結果」および「上位フェデレーション検索結果」Webパーツによって表示できるようになっています。
[図.新規に作成した検索センターでの検索結果]
なお、更新プログラム適用前に作成されている既存の検索センターサイトは 既定ではこうしたWebパーツなどは自動的に配置されないので注意が必要です。
ということで、まずは環境が構築できたので、まずは気づいた点などを挙げてみました。これから少しずつ検証作業を進めてみたいと思います。
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