※2015/5/27 記事をよりわかり易いようにブラッシュアップしました。
現在 日本マイクロソフト社が de:code 2015 を開催中ですが、イベントの規模からみても、Office 365 関連の情報は Microsoft Ignite 2015 と比較すると少ない印象ですね。
さて、2015年末までに、Office 365 ではエンタープライズ検索用の新たなハイブリット検索シナリオが利用できるようになります。
そもそも現在はどうなっているかといえば、Office 365 とオンプレミスの SharePoint Server との検索連携はそれぞれの検索インデックスに結果が格納され、Office 365 または オンプレミスの SharePoint Server 2013 いずれからかの検索結果にそれぞれの検索結果を取得できるようになっています。検索結果が格納されている検索インデックスが異なるため、結果は個別の結果セットとして扱われます。
新しいサービス アプリケーションによりオンプレミスの検索結果が統合される
簡単に言うと、今後はバラバラになっている検索インデックスが Office 365 に統合できるようになります。2015年度末までにオンプレミスのSharePoint Serverに対して Cloud Search Service Application が提供される予定になっています(SharePoint Server 2013 だけでなく、SharePoint Server 2016 も同様になるようです)。このサービス アプリケーションが提供されることで、Office 365 上からオンプレミスにある次のコンテンツが検索できるようになります。
- 既存の SharePoint Server 2007, 2010, 2013
- ファイル共有
- BCS コネクター
理屈は次の通りです。オンプレミスの新しいサービス アプリケーションを導入することで、オンプレミス側はコンテンツクロールとコンテンツ解析のみを受け持ち、この情報をセキュアな状態で Office 365 側に渡します。Office 365 側では、受け取ったデータを処理し、SharePoint Online の検索インデックスに格納します。このようにして、今までバラバラになっていた検索インデックスが統合できるようになるわけです。
[Microsoft Ignite 2015 より]
そのため、SharePoint Online 上からの検索結果は、SharePoint Online もオンプレミスも同一の検索結果ページに表示されるようになります。とはいえ、たとえば、オンプレミスからの結果なのか、それとも SharePoint Online 上からの結果なのか、区別して検索結果ページをカスタマイズしたいというニーズもあるでしょうから、isExternal というメタデータが設定されるようになるようです。
Office 365 導入ユーザーの方からは、オンプレミスと Office 365 の検索の違いを研修などでご案内すると、「ファイルサーバー検索ってオンプレミスだけなんですか、残念」といわれてきましたので、これは朗報といえると思います。
ただ、これで万々歳とはいきません。当然、Office 365 に一本化と思っていたところに再びオンプレミス環境が必要ということになりますし、基盤の準備が必要です。具体的には、この仕組みを使うには、サービス アプリケーション以外に次の条件を満たす必要があります。
- SharePoint を含むOffice 365 サブスクリプション (アクティブ化されたユーザー)
- Active Directory ユーザーとグループのディレクトリ同期
- オンプレミスの Office Web Apps サーバーへの戻るためのリバースプロキシ (検索結果プレビューに必要)
ということで、弊社の「Microsoft SharePoint 2013 エンタープライズ検索の構成とカスタマイズ基礎」コースでは、アップデート情報なども適宜ご紹介していく予定です。
現在オンプレミス環境を使っている方は今後 Office 365 に移行するという選択肢もあると思いますし、Office 365 導入済みまたは導入予定の組織の方にとっても既存資産を生かすために有用だと思います。今現在は未提供のサービスですが、今後の導入を見据えての予備知識としてオンプレミスでのエンタープライズ検索の構成や仕組みを一通り学習しておくと安心です。ご受講も併せてご検討ください。