2019年11月11日 (月)

Microsoft Ignite 2019 Orlando - Epsode 3

おとといの 11/9 夜に帰国しました。

さて、Ignite 情報を引き続きまとめておきたいと思います。前回までの補足も含めて書き足します。

Business Process and List

PowerApps や Power Automation (旧 Flow) 、リストの組み合わせでの利用に関するロードマップが公開されています。つぶやいているように、今年一瞬の間、利用できそうなメニューだけは表示されていた「Excel から新規リスト作成」機能が来年に延期されています。現在もExcel スプレッドシートからリストを作成する機能は利用できますが、ActiveXを利用する上、出来上がるのはクラシックリストという制限付きになっています。これが、モダンリストが生成できるようになるはずなんですが。。。去年の Ignite 2018 ではデモしていたんですげど、いろいろと事情があるようで来年に持ち越しのようですね。

SharePoint Framework 

次はそろそろ 2.0 が出るのか、と思っていましたが次は v1.10 です。

1.10 から SPFx for Teams はアプリカタログから配布できるようになります。

あと新しい拡張機能として "Query Modifications for search " 。

また今年5月に Microsoft Build で発表された Fluid Framework を SharePoint 上でも利用できるようになるとのこと。そもそも Fluid Framework とはという方は下記の記事をどうぞ。

ところで Fluid Framework の機能は大体わかった。が、ビジネスソリューションとしてどんな使い方がよいだろうというところの提示はなく、AI との組み合わせをからめつつ模索する必要がありそうです。

Stream 

Stream についてあまり詳しく触れませんでしたので補足します。前回の記事でもご紹介した通りね録画ビデオのバックグラウンドノイズを AI を使って低減する機能が搭載されます。GA は CY20 の Q2。

 

また日本語を含む追加言語対応も行われ、トランスクリプトなどが利用できるようになります。これは既に GA。 手元の環境で確認してみると下記のようにトランスクリプトが生成されており、検索もできます。下手な議事録は不要ですね。ビデオ検索は現在は Stream 上でしか行えませんが、近い将来 Microsoft Search から Stream 上のビデオも検索できるようになります。

Stream-Transcript

 

PowerApps 上でのビデオ再生は YouTubeくらいしか利用できないのですが、ようやく Stream上のコンテンツも再生できるようになるようです。GA は CY20 Q1を予定。

また、Stream モバイルアプリでは短いビデオの録画ができ、絵文字やカスタムイメージ、テキストなどを挿入するといった編集も可能です。こちらはGA の予定が CY20 Q1。

Teams 

Teams もいろいろな機能がアナウンスされていますが、主だったところを。

まずはプライベートチャンネル。同一チーム内の特定のメンバーでだけ会話やファイル共有ができるようにプライベート チャネルが利用できるようになります。Slack では既にある機能らしいですが。ちなみに、この機能はいくつか注意事項があるのでそれを踏まえた運用が必要です。プライベートチャネルごとに、裏でサイトコレクションが作成されていきます。このサイトコレクション内のサイトは特殊な設定になっているため、一般的なチームサイトとは異なると考えた方がよさそうです。またプライベートチャネル利用時の制限等もあるので、気を付けたいところ。

チャット、ミーティング、ファイルなどをポップアップ表示できるオプションが追加されるとのこと。つまりマルチウィンドウで操作できるということ。ミーティング中にちょっと別のタブで開いてたファイルを確認したい、、といったことがよくあるので、これがあればかなり操作性が上がりますね。

あとSharePoint 関連では、SharePoint 上のリストやライブラリを Teams 上で利用するには URL をコピーしていちいちタブとして貼り付けていたのですが、少しでもその手間を省けるようにSharePoint側から Teams 側にタブとしてコンテンツを追加する機能が搭載されるようです。

PowerApps は Teams 内で利用できますが、モバイルアプリからは利用できません。しかし、IT 管理者は PowerApps をテナントのアプリカタログへと発行できるようになり、Teams モバイルアプリ内からも PowerApps にアクセスできるようになります。

ということですでに PowerApps のポータル画面には [Teams に追加] メニューが表示されるようになっています。これを使って展開できるというわけですね。

Teams-App

Power Platform (Power Automate, Power Virtual Agent)

Power Platform は Office 365 で重要な要素の一つです。ここに新たに Power Automate と Power Virtual Agent が加わります。

まず最初にPower Automate から。これはもともと Microsoft Flow と呼ばれていた機能がリネームされたものであり、RPA が搭載されたことが大きな目玉です。Power Automate はデスクトップ上で操作した内容を記録し、そのまま再生できる。記録した内容とステップはクラウド上に保管されるだけでなく、270種類以上のコネクターと連動させられます。

Power Virtual Agent はチャットボットをローコードで手軽に作れるというもの。

Twitter を追いかけていると、この2つに関しては、発表があってからすぐにかなりの方が試されたようですね。RPA という言葉がパワーワードですし、それだけ期待値が高いということでしょう。特に Virtual Agent, 所謂、チャットボットは個人的にとても注目していただけあり、やはりな、という感じです。

そして個人的にはアメリカ赤十字社の事例にあった「IT担当者でなくとも自分で導入する」という点がとても重要だなと感じています。ITは難しいとか、専門家が対応するとかという時代はとっくに過ぎ去っていると思っています。ユーザーであっても Excel や PowerPoint がちょっと使えますというごく初歩的なスキルで甘えていられない。コンピューターサイエンスを知らなくても、もっと高度なITを利用できるようになっているし、利用できるようになるべきだと思っています。IT部門の役割を見直す時期に来ているんですが、あまりそうした意識が持てずにいる方も少なくないように思いますね。

さて、この Power Platform もちろん、SharePoint ともかかわりが深い。Epsode 1 の記事でも紹介した通り、ドキュメント ライブラリ上でメタデータを設定するフォームが PowerApps でカスタマイズできるようになります。この機能は今月ロールアウトが開始されるとのこと。

Power-Apps-Custom-Form-in-SharePoint-Document-Library-1024x541

なお、来年の早々に、SharePoint Online の管理者はカスタムアプリとフォームのパッケージを含めてサイトテンプレートをプロビジョニングできるようになるようです。

あと、既存 PowerApps ユーザーには朗報がもう一つ。ゲストアクセスが GA になりました!

Office 

Excel もいろいろと進化があるようです。たとえば、AI を利用し、自然言語クエリによって欲しいグラフなどを手軽に生成することもできるよう。

まず注目すべきは Office Script でしょうね。Excel 上の操作を記録し、再生する機能です。まぁ、マクロみたいなものなのですが、面白いのが手動でスクリプトを開始できるだけでなく、PowerApps Automate を使って定期的に実行したり、フロー内で特定の条件で実行させることができる点ですね。この機能は2019年末までに Excel on the web 上で Public Preview として利用できるようになるそうです。

他にも個人的には「Sheet View」という新機能が興味深いなと思っています。これ SharePoint リストのビューをExcel に持ち込んだような形の機能です。表のフィルター条件をビューとして何パターンが登録して、ビューを切り替えて利用できるようになります。同時編集時にもそれぞれにビューを切り替えて操作できるようです。

その他の詳細は下記を参照のこと。

Excel Announcements @ Ignite 2019

Microsoft Ignite 2019 has begun and there are lots of announcements coming your way throughout the week. Here is some of the Excel news that will be presented at Ignite this year: Easily turn data into insights with natural language query Rolling out today to Office Insiders, natural language qu...

モバイル向け Office アプリはこれまで Word, Excel , Power Pointを別々にダウンロードしていたが、新しい Office は、1つに統合するとのこと。詳しくは ITmedia さんがまとめているので、こちらの記事がおすすめです。

Microsoft Officeのモバイル版プレビュー公開 Word、Excel、PowerPointを1つにまとめた高機能アプリ

米Microsoftは11月4日(現地時間)、フロリダ州オーランドで開催の年次テクニカルカンファレンス「Microsoft Ignite ...

Visual Studio Online

VS Online はWebアプリケーションとして実装された統合開発環境であり、Visual Studio Code がベースになっている。このツールは Microsoft Build で発表されたが、今回は Public Preview 開始のアナウンスとなりました。

ということで、Git リポジトリや拡張機能わ備えたブラウザーベースのエディタが搭載されているため、Webブラウザーさえあれば、どのデバイスからでも開発ができるというもの。DevOps のメリットも多く享受できる。Self-hosted な環境を利用するならノーコストで利用可能。Visual Studio Code からも拡張をインストールすることクラウド上の開発環境を利用できるようにもなるとのこと。SharePoint Framework を使った開発は VS Code を利用するため、このあたりがどうなるかは確認しておく必要がありそうです。

Visual Studio Online VS Code Quickstart

[番外編]

機能云々ではないところも少し。

マイクロソフト認定試験が無料に

今回のMicrosoft Ignite 2019 および各国で開催される Microsoft Ignite The Tour 2019-2020 のいずれかに参加していると、Microsoft のいくつかの認定試験が無料で提供されるそうです。イベントの最終日から 180 日間有効だそうで、どれがその対象になるのかは下記のリンク先を参照してください。

Microsoft Ignite and Microsoft Ignite The Tour: Free Certification Exam Offer

Thank you for attending Microsoft Ignite 2019 or a Microsoft Ignite The Tour 2019-2020 event. All attendees will be given a free certification exam, subject to certain exceptions,* to help you continue skilling up and prove your technical expertise to employers and peers.

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Episode 4 に続く (たぶん)。。。

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