2024年5月
Copilot for M365の導入: 11×11の転換点
米マイクロソフト社が公開している記事で Copilot の導入に関する興味深い記事が公開されました。
AI Data Drop: The 11 by 11 Tipping Point (microsoft.com)
記事によると、Microsoft が Copilot for Microsoft 365 を利用している 1,300ユーザーへの調査を行った結果、"11" というマジックナンバーが浮かび上がってきたそうです。
AIにより、1日11分の時間短縮ができることでAIは役に立っていると感じる。また、1日11分の時間短縮を11週間利用し続けることで、生産性、仕事の楽しさ、ワークライフバランス、会議への出席回数を減らすという4つの主要な成果を改善できると答えたそう。
これが 11×11の転換点であり、スモールステップを継続しつづけることで少しずつ習慣を変えそれが定着していく。
ユーザーひとり一人に1日11分 Copilot を使って何かしらの業務を短縮できることを考えて貰い、行動してもらう。これを11週間促すことで、四半期足らずで AI の習慣が身につくようになるということです。
Microsoft Copilot に下書き作成と適した Microsoft 365 アプリを提案してもらおう
2024年4月に導入された機能で Help me create: 作成をサポートしてください が追加されました。
Latest updates for Microsoft Copilot - Microsoft Support
やりたいことを具体的に説明したうえで、下書きを生成し、どの Microsoft 365 アプリを使うのがコンテンツに最適なのかを提案してくれます。基本的な使い方はビデオで確認できます。
YouTube: Copilot にやりたいことを伝え下書き作成とともに適した Microsoft 365 アプリを提案してもらおう
※この機能は 2024年5月時点ではエンタープライズ ユーザーのみが利用できます。
この機能はLLM(大規模言語モデル)を使って必要なコンテンツの初期の下書きの作成を支援してくれるだけでなく、コンテンツに適した Microsoft 365 アプリを提案してくれます。
生成されたテキストは選択したアプリ (Word、Excel、PowerPoint) にコピーされます。それ以外の場合は、生成されたテキストを手動でコピーして貼り付ける必要があります (Forms、OneNote、Lists、Sway、Loop、Viva エンゲージ)。
この機能はテキストベースのLLMに基づいているため、生成物したい対象が文字でなくビデオや画像などの場合は生成できないため、単純にアプリの推奨のみを行います (Clipchamp、Visio、Stream、PowerBI、Whiteboard)。
Power Automate: フローを使って SharePoint 上のファイルに保持ラベルを適用する
Microsoft 365 コンプライアンス コネクターを利用することで、SharePoint サイト上の任意のファイルに保持ラベルを任意のタイミングで適用できます。
ちなみに、Microsoft 365 コンプライアンス コネクターは💎プレミアムコネクターです。
利用するのは「品目に保持ラベルを適用します」アクションです。
保持ラベルについて
各ラベルは次のいずれかになっています。
- 無期限または一定期間保持する。保持期限終了後の振る舞いはラベルごとに決定する (自動削除したり、Power Automate のフローを呼び出して後続の処理を続けたりできる)
- 保持せずに特定の期間後にアクションを適用する (自動削除するなど)
- ラベル付けのみ (分類の目的であり何もしない)
保持ラベルはライブラリの既定値として指定することもできます。なお、フローではいずれの保持ラベルも適用できます。
シナリオ例
フローを利用した保持ラベルの適用では、例えばファイルのプロパティに Status という列があり、この値が Open から Close に変更されたら特定の保持ラベルを適用して、保持を始めるといった処理が可能です。
フローの作成
トリガーには「ファイルが作成または変更されたとき (プロパティのみ)」を指定します。
次のアクションとして「アイテムやファイルの変更を取得する(プロパティ)のみ」のアクションを配置します。あとは条件分岐を用意して、True の場合に Microsoft 365 コンプライアンス コネクターの「品目に保持ラベルを適用します」を追加します。
「アイテムやファイルの変更を取得する(プロパティ)のみ」では、IDはトリガーで取得したアイテム ID を指定します。以降と期限はそれぞれ ウィンドウ開始のトークンのトリガーとウィンドウ終了のトークンのトリガーを指定します。
条件では、AND を使います。1つ目の条件では「アイテムやファイルの変更を取得する (プロパティのみ)」アクションの結果の「列が変更されています。 Status」が、is equal to 「true」となるように指定します。もう一つの条件では「ファイルが作成または変更されたとき(プロパティのみ)」トリガーの「Status Value」が is equal to 「Close」になるように指定しします。
「品目に保持ラベルを適用します」では、サイトのアドレスを指定します。ただし、URLの末尾に “/” を入れないように注意してください。フローが実行時にエラーになります(将来的には修正されるかもしれませんが)。
Copilot for M365: 制限された SharePoint 検索について
Copilot for Microsoft 365 の活用を支援するために “制限された SharePoint 検索” が導入されます。
※ 2024年4月17日現在、この機能はパブリックプレビューとなっています。ロールアウトは2024年4月から開始されています。
制限された SharePoint 検索とは?
制限された SharePoint 検索は組織全体検索を無効化して、管理者が指定した特定のサイトおよび Microsoft Copilot のみを検索で利用できるようにするための設定です。これによりサイトの権限の見直しと監査を行う猶予を持てます。
Copilot for Microsoft 365 は Microsoft 365 内のコンテンツをもとにユーザーがプロンプトで対話する際に関連するコンテンツを生成したりします。秘密度ラベルを適用するなどの情報漏洩に対する対応が十分でない場合は、Copilot が利用するコンテンツの範囲を制限したいわけです。 Copilot による情報サーチは Microsoft 365 の検索機能を利用するためこれとともに制限するしかない。
この制限された機能を有効にするとCopilot のユーザーだけでなく Copilot を使っていないユーザーにも影響するようになります。
Microsoft 365 ホームページや SharePoint スタートページ、SharePoint ホームサイトから検索すると既定で SharePoint の検索は組織全体検索となりますが、この時の検索範囲が制限されるということです。
この機能は既定ではオフです。PowerShellを使ってオンにする必要があります。検索を許可するサイトは最大で100サイトまでとなっています。
使いどころ
ちなみに、この設定は最初からサイト間の横断的な検索の範囲を限定しようという発想です。いったん狭めてから徐々に広げていくという戦略です。
ですが、すでに検索できていたものが検索できなくなる可能性がありあるため利便性が損なわれる可能性があります。この場合は、全体的な検索は有効にしたまま、特定のサイトのみを検索対象から外すということをしたいこともあると思います。特定のサイトのみを検索対象から外す設定は昔からあり、該当するサイトの管理者またはサイトの所有者はサイトの設定ページから「検索とオフラインの使用制限」設定で "このサイトを検索結果に表示する" オプションを "いいえ" にするだけです。