2024年5月

2024年5月15日 (水)

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SharePoint サイトで作成するページにはコメント機能があります。既定ではオンになっています。うまく利用すれば、閲覧者とのコミュニケーションの場として利用できます。

とはいえ、コメントが不要なケースもあります。その場合、ページ単位で有効・無効にはできます。それ以外にテナント全体で一括でオフにすることもできます。が、コメント機能が不要なのは自分が利用しているサイトだけで組織全員がどう考えているかまで把握できないものです。そこでサイト単位でオフにできないかという話になってきます。

実際にサイト単位での無効化はできるのですが、これはAPIを経由する必要があるため PowerShellなどを使わないといけません。SharePoint サイトを利用しているユーザーのほとんどは PowerShellに精通してはいないでしょうから、この選択肢をとるのもなかなか難しい。

そこで比較的ユーザーとして手軽な手段として Power Automate を使う方法を紹介します。Power Automate の SharePoint コネクターには「HTTP要求を送信」するアクションがあります。これを使うと SharePoint の REST APIを利用できます。

フローの作り方

今回は手動でトリガーするフローにします。次のようにフローを作成します。

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「SharePoint にHTTP要求を送信します」アクションは次のように構成します。

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まず、目的のサイトのURLを指定します。方法は POST を選択します。URIは「_api/web」と指定します。これで SP.Webオブジェクトを操作できます。

「すべてを表示」ボタンをクリックして、ヘッダーやボディの入力画面を表示します。

ヘッダーは次のように指定します。X-HTTP-Methodは大文字で “MERGE” を指定します。

Accept application/json;odata=verbose
Content-Type application/json;odata=verbose
X-HTTP-Method MERGE
If-Match *

ボディは次のようにJSONを指定します。CommensOnSitePagesDisabledプロパティの値を true にすることで無効化します。再び有効化したければ false にします。

{
"__metadata":{"type":"SP.Web"},
"CommentsOnSitePagesDisabled":"false"
}

以上でフローは完成です。

実行を試す

動画で確認してみてください。


YouTube: SharePoint ページ上のコメント機能をサイト単位でオフにする

Microsoft Forms のフォームへの回答結果が Excel ファイルと同期する機能がプレビューとしてロールアウトされる話については以前、記事を投稿しました。

SharePoint Technical Notes : Microsoft Forms: Excel とのライブデータ同期のサポート(プレビュー) (lekumo.biz)

[関連情報] Introducing Forms data sync to Excel - Microsoft Community Hub

2024年5月15日現在で確認したところ、すでにこの機能が予定通りロールアウトされてきているので改めて機能についてまとめておきたいと思います。

おさらい

まずはおさらい。新機能は次の通りです。

  • フォーム/クイズのページ上で自分の OneDrive 内に Excel ワークブックを作成できる
  • フォームへの回答はこのワークブックに自動的に同期される
  • ワークブックを Excel for the web で開いている間は新しい回答も自動的に同期される
  • Excelの共同編集者も Excel for the web 上で同期された回答を受け取れる

注意点は次の通り。

  • ライブデータをトリガーできるのは Excel for the web 上に限定される。データをデスクトップアプリで分析したい場合でも自動的に最新情報を受け取りたいのなら Excel for the web でファイルを開いておく必要がある
  • フォームはフォーム、Excel は Excel で別々に権限は管理することになる。要するにFormと同期するようにしたExcelファイルの編集者がその フォームの作成者になるわけではないということ

既存のグループフォームと Excel 用フォームも引き続き使えますが利用しているテクノロジーは古く、最終的にはすべてのフォームの種類が新しいソリューションへと徐々に移行する予定とのこと。

個人用フォーム/クイズの場合

個人用フォーム/クイズの場合は、「応答」タブで結果を表示するときに「Excel で結果を開く (プレビュー)」ボタンが表示されます。これをクリックするとここまでの応答を含む Excel ファイルが OneDrive (Business)内に作成され、同期が開始されます。作成場所は OneDrive 直下で、フォームと同じ名前のファイルが作成されます。

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作成された Excel ファイルを開くと、同期されていることを知らせるアクションバーが表示されます。

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実際の挙動は下記の通り。

グループ フォームの場合

グループ フォームの場合はフォームで初めて「Excel で開く」をクリックすると新規にExcel ワークブックが作成されます。作成先は、チームサイト内の「ドキュメント(Shared Document)」です。

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ちなみに、別ファイルとして保存する場合は、「Excel で開く」の横の三点マーク (...)をクリックし、「すべての回答を新しいブックへ同期する」を選択すると新規にExcelブックを作成して同期します。ファイル名は末尾に "1" などの数値がつき、一意になります。

クイズの対応は?

なお、現時点ではグループの場合は「クイズ」は Excel との同期は行われません。

ファイル名の変更

個人用、グループ用ともにファイル名は変更可能で、同期は引き続き行われます。

以上です。また GA された時に、何か変更点があれば記事にします。

2024年5月10日 (金)

Sharepoint_web

SharePoint のページとニュースではタイトル領域の利用が強制ではなくなります。その代わり、新しくバナーWebパーツが登場します。ページ上には複数のバナーWebパーツが追加できます。ちなみに、ページのタイトル自体は必要です。領域が不要になるだけです。検索時にはタイトルを優先的に検索することになりますし、タイトルの指定をしなくいていいことにはなりません。

新機能は次の通りです。

  • ユーザーはページ上のタイトル領域を削除できるようになり必ずしもタイトル領域を持たせる必要はなくなります。
  • タイトル領域は新たなレイアウトとともにバナー Webパーツとしてリブランドされます。ユーザーはページの任意の列(全幅幅のセクションを含む)に複数のバナーを追加できます。

ロールアウト

対象リリース: 2024年5月下旬にロールアウトが開始され、2024年6月上旬までにロールアウトが完了予定

GA (Worldwide, GCC, GCC hight and DoD): 2024年6月中旬~2024年6月下旬までにロールアウト完了予定

バナーWebパーツと新しいレイアウト

ロールアウト後は、これまでのタイトル領域レイアウトに加え、次の2つのバナーレイアウトが追加利用できるようになります。

  • Author
    Fade

ページの先頭に追加する最初のバナーはタイトルとして考えられます。画面上部のコマンドバーにはページ「タイトル」と自動的に同期されます。追加のバナーはページの見出しとして機能します。

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ロールアウト後は新規にページやニュースを作成する際に新しいタイトル領域を利用できるようになりますが、既存のページに関しては新しいバナーに合わせて自動的に変わるわけではありません。新しいレイアウトオプションが選べるようになります。

  • ロールアウト前に作成されたタイトル領域は削除することも、そのまま残すことも可能
  • ロールアウト前に作成されたタイトル領域を持つページをコピーするとき、ユーザーはコピーされたページ内のタイトル領域を削除することも、そのまま残すこともできる
  • タイトル領域のあるカスタムテンプレートを使って新しいページを作成するときもタイトル領域を削除することも、そのまま残すこともできる

まとめ

これから SharePoint のポータル機能はいろいろとアップデートがされる予定ですが、レイアウトの柔軟性が増していきます。Microsoft Teams はリアルタイムでのコミュニケーションには最適ですが、最新情報が重視されるというチャットの性質上「読み捨てる」ことになるため、お知らせなどまとまった情報を掲示して周知し、後からいつでも素早く閲覧できるかというとそうではありません。

SharePoint の新しいポータル機能を組み合わせていくことで、こうした欠点を補完できるようになります。Microsoft 365 の機能をうまく組み合わせて、よりスムーズな情報共有を行っていきたいですね。

2024年5月 9日 (木)

Entra 認証コンテキストを使用すると、特定の秘密度ラベルを適用したサイトにのみ特定の条件付きアクセスポリシーを適用できるようになります。これにより特定のサイトに対して厳しい認証条件を適用することなどが可能になります。

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ちなみに秘密度ラベルを使わずに直接ポリシーをサイトに適用することも可能ですが PowerShellコマンド (Set-SPOSite)を利用する必要があります。

※ただし、SharePointのルートサイトにはこのポリシーは適用できないので注意してください。

ライセンス

SharePoint サイトで認証コンテキストを利用するには、次のいずれかのライセンスが必要です。

  • Microsoft Syntex - SharePoint Advanced Management
  • Microsoft 365 E5/A5/G5
  • Microsoft 365 E5/A5 コンプライアンス
  • Microsoft 365 E5 Information Protection and Governance
  • Office 365 E5/A5/G5

設定手順の概要

  1. Entra ID 管理センターで認証コンテキストを追加し、条件付きアクセスポリシーを構成する。
  2. Microsoft Purview コンプライアンス ポータルで秘密度ラベルを用意し、認証コンテキストを使用して制限を適用する。

Entra 認証コンテキストの準備

Entra 認証コンテキストは次の手順で設定できます。

まず、Entra 管理センターにアクセスします。「保護」>「条件付きアクセス」の順にアクセスし、「認証コンテキスト」をクリックします。ここで「新しい認証コンテキスト」をクリックます。認証コンテキストの追加画面で、名前と説明を指定して作成します。認証コンテキストは要件ごとに複数作成できます。

Photo_2条件付きアクセス ポリシーの構成

次に条件付きアクセスポリシーを作成します。名前を指定して対象となるユーザーなどを指定します。「ターゲットリソース」の設定でポリシーの適用対象として 認証コンテキスト を選び、作成した認証コンテキストを選択します。

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秘密度ラベルの作成

Microsoft Purview コンプライアンス ポータルにアクセスし、秘密度ラベルを作成します。ラベルの範囲の定義で「グループ&サイト」を選択します。

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「グループとサイトの保護設定を定義」で “外部共有および条件付きアクセス” を選択します。

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「外部共有および条件付きアクセスの設定の定義」で "Microsoft Entra 条件付きアクセスを使用してラベル付き SharePoint サイトを保護する」を選択し、使用する認証コンテキストを選択します。

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このように秘密度ラベルを作成したあとは、適切なラベルポリシーを作成してユーザーに発行しておきます。

SharePoint サイトへの適用

作成した秘密度ラベルをテナント管理者、サイトの管理者またはサイトの所有者が特定の SharePoint サイトに適用します。

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サイトへのアクセスを実験してみましょう。結果は次の通りです。

制限事項などの詳細

この設定には制限事項が比較的たくさんあります。実際に利用するときおよび最新情報の確認は下記の Microsoft Learn の記事を参照してください。

SharePoint サイトと OneDrive の条件付きアクセス ポリシー - SharePoint in Microsoft 365 | Microsoft Learn

2024年5月 8日 (水)

Sharepoint

2024年5月現在、SharePoint ブランドセンターパブリックプレビューがロールアウトされてきています

SharePoit ブランドセンターは、組織全体で SharePoint サイト上で利用する色、フォント、画像、その他のWeb資産を一元管理するサイトです。

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現在、サイトの見栄えを変更したい場合、既定のテーマから選択するか独自のテーマを作成するかくらいしかありません。独自のフォントを利用させるといったことができませんし、独自のテーマの作成もPowerShell等を使う必要があり、微調整がこまごま必要だったりと作業効率が良いとはお世辞にも言えません。しかし、ブランドセンターは Webサイトから直感的に展開できるようになります。

現時点で独自に展開できるのはカスタム フォントのみです。今後、機能が拡張される予定です。

SharePoint ブランドセンターを有効にすると、SharePoint と Viva Connections でカスタム フォントが利用できるようになります。

ブランドセンターは組織のアセット ライブラリー(Organization Asset Library: OAL)を利用してバックグラウンドで資産の保管と管理を行います。

現在、SharePoint ブランドセンターではテナント内で1つのサイトしかもてません。このサイトはグローバル管理者が管理します。

準備

ブランドセンターアプリはパブリックCDNを利用するため、これを有効化しておく必要があります。また組織のアセット ライブラリの設定も必要です。

組織のアセットライブラリが事前設定されていない場合は、SharePoint ブランド センターを有効化するときにこれらを一括して設定できます。

必要な手順

必要な手順は現在のテナント構成で異なります。次の3つのシナリオがあります。

  1. SharePoint 組織のアセット機能を利用していない
  2. プライベートCDNを使っていて、SharePoint 組織のアセット機能を使っている
  3. パブリックCDNを使っていて、SharePoint 組織のアセット機能を使っている

シナリオ別の手順の詳細は次のリンク先を参照してください。

SharePoint ブランド センター - SharePoint in Microsoft 365 | Microsoft Learn

ブランドセンター

ブランドセンターが利用できるようになると、ブランドセンターサイトの歯車アイコンをクリックすると「ブランドセンター(プレビュー)」メニューにアクセスできるようになります。

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ここからブランドセンター (アプリ) にアクセスできるわけです。

※このアプリは、ブランド センターのURLの末尾に "/_layouts/15/BrandCenter.aspx" を指定したページが実体です。

ここにはフォントを格納するための特殊なライブラリが用意されており、ここに独自に利用したいフォントをアップロードします。なお、現時点ではアップロードしたフォントは削除ができません。その代わりプロパティで非表示に設定できます。

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フォントは Web-safe フォントを入手するようにしましょう。

ブランドセンターアプリのトップページから「フォントの追加」をクリックします。ここにブランドフォントをアップロードします。たいていは zip ファイルとして提供されているため、これを解凍してここにアップロードします。サポートされているファイルの種類は次の通りです。 

フォントの種類 拡張子
True Type フォント .ttf
Open Type フォント .otf
Web Open Format フォント .woff
Web Open Format フォント .woff2

 アップロードできるフォントファイルのサイズの上限は10MBです。

 Microsoft が既定で用意しているもの以外は、各組織でフォントのライセンス管理をする必要があります。インターネット上には一部のフォントは商用販売されていますし、シェアウェアや無償利用できるものもあります。下記の Microsoft が提供するフォントライブラリでは、 Microsoft 以外でフォントを提供するユーザーや組織へのリンクが用意されています。ここからフォントを見つけることも可能です。

Font library - Typography | Microsoft Learn

SharePoint ブランドセンターが有効になると各サイトでは「外観」設定に「フォント(プレビュー)」が利用できるようになります。したがって各サイトでフォントを変更できます。独自のブランドフォントを用意しなくても Microsoft が既定で用意している複数のフォントから任意のものを選択することもできます。

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既定で用意されているフォントはフォントパッケージというもので配布されており、次の通りとなっています。

  • Microsoft default: Segoe UI
  • Amasis Pro
  • Aptos-Aptos Serif
  • Georgia Pro Condensed-Verdana Pro Condensed
  • Office: Aptos Display-Aptos
  • Sitka Heading-Sitka Text
  • Verdana Pro-Georgia Pro
  • Walbaum-Trade Gothic Next

SharePoint でサポートされるカスタム フォント コンポーネント

現時点では次の箇所でカスタム フォントが利用できます。

  • サイト ヘッダー - サイト タイトル
  • ハブ ヘッダー – ハブ タイトル
  • ナビゲーション (ハブとサイト) – リンクとラベル
  • ニュース Web パーツ
  • ページ タイトル領域
  • クイック リンク Web パーツ
  • ボタンViva Connectionsのダッシュボード
  • 画像 Web パーツ
  • サイト ヘッダー - 完了
  • セクション見出し
  • ヒーロー Web パーツ
  • サイト Web パーツ
  • 連絡先 Web パーツ
  • コール トゥ アクション Web パーツ
  • テキスト Web パーツ (RTE)
  • すべての Web パーツ タイトル (Microsoft から)

Viva Connections でサポートされるカスタム フォント コンポーネント

  • ウェルカム/グリーティング テキスト
  • セクション見出し
  • ダッシュボード カードレベル 1
  • リソース

フォントパッケージの作成

さて、独自のフォントをサイトで利用できるようにしましょう。このために作成するのがフォントパッケージです。

ブランド センター フォント パッケージ - SharePoint in Microsoft 365 | Microsoft Learn

作成方法の基本は次の通りです。

1. すでにアップロードしているフォントから表示フォントとコンテンツフォントとして利用するものを選択する

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2. フォントを見出しやタイトルなどに割り当てていく。

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3. サイドにパッケージに名前をつけ、ユーザーに表示するかどうかを指定して「保存」をクリックする。

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4. パッケージは複数作成できます。あとから編集も可能です。ただし、現時点ではパッケージの削除はできません。不要な場合は非表示にします。

20240508_213947SharePoint サイトへの適用

フォント パッケージが作成できから、あとは各SharePoint サイトの外観設定からブランド フォントを指定します。

Viva Connections アプリへの適用

Micorosft Teams の Viva Connections への適用手順は次のとおりです。適用すると SharePoint ホームサイトも同じフォントが適用されます。

参考情報