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2025年5月20日 (火)

Microsoft は SharePoint の「通知」機能を廃止することを発表しました。

通知はリストやライブラリで構成できるもので、この機能はオンプレミス時代からある機能です。

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ちなみに、すでにこのレガシーな機能に代わって「自動化」メニューから “ルール”を作成することで柔軟に通知が行えるようになっているため、拙書の「ひと目でわかるMicrosoft 365 SharePoint 運用管理編」では従来の通知機能については言及していないためこの機能の存在をあまり意識したことがない方も少なくないでしょう。従来の通知機能はメールの送信タイミングが柔軟にコントロールできないことが課題でした。

たとえば、通知でトリガーされるタイミングは基本的は次の4つのみです。

  • すべての変更
  • 新しいアイテムの追加
  • 既存アイテムの変更
  • アイテムの削除

さらに細かい条件が指定できるとしても次の条件に限定されています(次はファイルの例)。

  • 変更があったとき
  • 作成したドキュメント
  • 作成したドキュメントを他のユーザー/グループが変更したとき
  • 自分が最後に更新したドキュメントを他のユーザー/グループが変更したとき

このためオンプレミス時代からこの機能による通知は使っている組織はあるものの、無駄に通知がされすぎてしまい通知自体がジャンクメール化してしまうことで結果的にユーザーが見逃してしまうということも多かったのです。

ルール

比較的新しく追加された "ルール" は、こうした課題をクリアするものでした。たとえば、

次のような条件が指定できます(※ライブラリ/リストの順で併記)。

  • ファイルまたはメタデータが変更されました / アイテムが変更された時
  • 新しいファイルが追加されました / 新しいアイテムが作成されたとき
  • 1個のファイルが削除されました / アイテムが削除されたとき
  • 日付が近づいています ※リストとライブラリで共通

特に、ドキュメントの追加時任意の列の値をもとに条件を細かく指定できるようになっているのはこれまでにない機能です。さらに最新のアップデートにより、通知メッセージをカスタムで指定できるようになりました。

Sharepoint

Power Automate の利用

SharePoint のルール以外にも Power Automate の登場により、任意のタイミングでのメールによる通知自体を柔軟に制御できるだけでなく、Teams にもチャットやメッセージを投稿できるようになっています。
※ちなみに、むかーしは Power Automate がない時代は SharePoint Designer というツールで独自の通知フローを作ったものでした。

こうした背景を考えても、そろそろレガシーな通知機能はお役御免といったところでしょう。

廃止のタイムライン

このレガシーな通知機能の廃止のタイムラインを書き留めておきます。

2025年7月~

新たに追加されたテナント上では次第にSharePointの通知を新規に作成できなくなっていきます。

2025年9月~

全てのテナントで SharePointの通知の新規作成は次第にオフになっていきます。

2025年10月~

SharePoint 通知の廃止機能が次第にアクティブ化されていきます。一度アクティブ化されると、すべての SharePoint 通知も最初に実行されてから30日間は有効ですが、それ以降は期限切れになります。ユーザーは自分で 無効化されたSharePoint の通知を再度有効化してもう30日間延長することができます。再有効化と延長は、リストやライブラリの「通知の管理」画面から指定できます。詳細な手順は次のサポート文書に書かれています。

🔗SharePoint Alerts retirement - Microsoft Support

2026年7月~

Microsoft は SharePoint の通知機能の利用を削除します。既存の通知は延長することはできず、これ以降動作しません。

代替のソリューション

すでに説明した通り、レガシーな通知に代わるソリューションは次の2つです。

  • リストやライブラリで利用できる「SharePoint のルール」
    • ちなみに、「通知」は最低限 “閲覧” アクセス許可レベルがあれば自分用に構成することができました。しかし、「ルール」が新規に作成できるは"編集"アクセス許可レベル以上であるため、権限管理については再確認が必要です。
  • Power Automate のクラウドフローを利用した通知

アセスメント ツール

Microsoft は組織の管理者などが SharePoint の通知の利用状況を把握するためのアセスメントツールを提供しています。詳しくは下記のページを参照してください。

SharePoint Alerts Assessment | Microsoft 365 Assessment Tool

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2025年5月17日 (土)

OneDrive だけでなくSharePoint に関しても 2025年春のアップデート情報が Microsoft SharePoint Blog で公開されています。

公開されている記事

SharePoint in the Era of AI: Spring 2025 Updates | Microsoft Community Hub

記事の概要

記事の前半はこれまでリリースされた SharePoint エージェントの機能のおさらいやヒーローリンクについて書かれています。ヒーローリンクは先日このブログでも情報をまとめたものを公開しています。

📒 SharePoint Technical Notes : Microsoft 365 に導入される次世代の共有機能について: ヒーローリンク

ワークフロー/メタデータ

ワークフローやメタデータについても取り上げられていますがこちらもすでに提供済みの機能の話です。簡単に振り返っておくと、ワークスローは SharePoint リストやドキュメントライブラリに標準で追加された機能であり Microsoft Teams の承認機能と連携します。Power Automate を使わないシンプルな承認機能です。これは Word 内からもこの承認機能を呼び出すこともできるようになっています。このあたりの情報は、弊社の研修ではずいぶん前から紹介しているのですが、このブログでは記事にしていなかったので折を見て記事にしておくつもりです。メタデータについては Autofill ですね。SharePoint Premium (旧 SharePoint Syntex) の機能で、このブログやコミュニティイベントでの登壇時などにもよく紹介している機能です(が、これもよく考えるとブログできちんと紹介していなかったので、これも記事にしておかないと。)

[参考]

SharePoint eSignature

Microsoft ブログの中ほどでは契約書管理の機能について言及されています。電子承認などを含めたソリューションで SharePoint eSignature などが含まれています。ただ、この機能は基本的には英語圏のみの提供となっており、日本での利用はまだです。ただワールドワイドでの展開は2025年末までに予定されているので、利用できるようになったらまた情報をまとめていきたいと思っています。

Copilot Studio + SharePoint 

あとは Copilot StudioとSharePointに関する情報がありますが、これも既出の機能のおさらい的な内容です。

ShaerPoint ポータル

ポータル作成に関してはフレックスセクションや編集カード、ブランドセンター、Viva Amplify に関する情報がありますがこれらも既出の機能で、あらためて周知しているようですね。

ちなみに新機能として Microsoft 365 Copilot 有償ライセンスなどがあれば、SharePoint 内の Copilotによりプロンプトを提供するだけで関連するセクションをページにあったビジュアルとレイアウトを自動生成してくれます。現在は、ページ全体の自動生成のみで部分的なコンテンツの生成ができないのでこれがあるとかなり助かると思います。

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もう一つ期待の新機能として「FAQ Webパーツ」についてアナウンスされました。ページの編集者はこのWebパーツを使って方針に関するドキュメントや主要な会議/イベントのトランスクリプトなどのような非常に関連性の高いソースからFAQを生成できるようになります。カテゴリの並び替えや、正確性や関連性を確認するために公開前に質問と回答を確かめることもできます。

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開発者向け

後半では開発者向けの情報が取り上げられており、まずはSPFx について言及されています。ちなみに、SPFx は最新バージョンが1.21 で、v1.0 から21バージョンまでマイナーバージョンアップが続いていますね。ちなみに、SPFx では SharePoint エージェントに対応するWebパーツやカスタム カードの作成が可能です。あとは SharePoint Embeddedの for Visual Studio がGAされたという情報が書かれています。

SharePoint Embedded for Visual Studio の情報

SharePoint Embedded for Visual Studio Code | Microsoft Learn

他にもカスタムの SharePoint Embedded エージェントと SharePoint Embedded Power Platform のサンプルアプリを数か月前にリリースし、正式な Power Platform コネクターのプライベートプレビューも近日中に発表予定とのこと。ちなみに、SharePoint Embedded Power Platformとは Power Apps や Power Automate のドキュメント管理機能を SharePoint Embedded を使って、保管するためのソリューションのこと。SharePoint サイトを作らず SharePoint Embedded コンテナを利用することでセキュリティ管理、バージョン管理、検索などのSharePoint ドキュメント管理の機能だけ流用しようというもの。詳しくは下記をどうぞ。

Building SharePoint Embedded solutions with Power Platform

管理者向け

SAM(SharePoint Advanced Management) の機能によるガバナンス強化とCopilot対応の機能についても新し情報がでてきていますが、これは別の記事にまとめます。

2025年5月16日 (金)

2025年5月に米国ラスベガスで開催された Microsoft 365 Community Conference にて2025年後半に導入される次世代の共有の仕組みがアナウンスされました。

Microsoft Tech Community の記事

Simple, Smart, and Secure: The next step in sharing files in Microsoft 365 | Microsoft Community Hub

この機能がリリースされるとユーザーにとっては非常にインパクトが大きいものになるため、現段階で公開されている情報の要点を日本語で補足しつつ抑えておこうと思います。

ヒーローリンクの登場

2011年に SharePoint Online では直接アクセス権限を付与することで共有できるようにしていました。これはオンプレミス時代の SharePoint と同じです。

そこから3年後の2014年に「リンクベースの共有」が導入されました。つまり「共有リンク」のことで、これまでは管理者が決めた範囲でのコンテンツの共有だけができていたのですが、これに加え、ユーザー自身が共有範囲を自ら決めて安全な範囲内でそのリンクを他者と共有できるようになりました。

さらに現在はユーザー規模は大幅に拡大し、毎月12億人以上が Microsoft 365 の共有ダイアログを使うようになりました。そんな中で新たなニーズも出てきます。こうした背景から Microsoft 365 の第三世代の共有機能が登場することになったのです。

この第三世代の共有リンクを「ヒーローリンク (hero link) 」と呼びます。

ヒーローリンクの登場により、共有はよりシンプルに、よりインテリジェントに、そして既定でセキュアな状態を保てるようになります。

ヒーローリンクでは、 “リンクをコピー”をクリックしても、電子メールで送信しても、WebブラウザーのアドレスバーからURLをコピーしたとしてもすべてヒーローリンクになります。つまり、これまでは共有方法によってアクセス権限がまちまちになっていたものが統一されるわけです。

また、従来の共有リンクの場合は共有範囲が変わる場合はリンクを再度作り直す必要がありました。ですがヒーローリンクでは送信済みのリンクであっても、共有範囲のみを編集できるようになるためリンクの再作成は不要ですし、リンクを送信後にアクセスできないユーザーがいたとしても素早く対応できます。

Herosmallv2_1

[共有範囲を「追加されているユーザー」から 「組織内の全ユーザー」へと変更している]

Secure by default (セキュア バイ デフォルト)

ヒーローリンクは既定ではドキュメントにすでに追加されているユーザーのみがアクセスできます。そこからコラボレーションを進める中で必要に応じて直接人やチームを追加するなどして共有範囲を広げることも可能です。

外部ユーザーに共有されるファイルについては、共有の設定画面上にゲストとしてタグ付けされ、素早く把握できるようになります。次の図では外部ユーザーの場合は「External」とタグが表示されているのが分かります。Clipboard_image21746639511693

管理者は必要に応じてサイトコレクションやOneDriveごとに既定値を変更できます。

まただれがユーザーを追加したりファイルやフォルダーへのアクセスを更新したりできるかを制御することでよりセキュアにできます。これにより、非常に重要なコンテンツを保護する必要がある場合は、細かなアクセス権限を付与できるようになります。

画面を確認すると、選択肢は今のところ次の2つです。

  1. ファイルの所有者だけがアクセス権限を管理できる
  2. ファイルの所有者と編集権限を持つユーザーに限定する

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新しい用語 「ファイルの所有者」

“ファイルの所有者” というのは新しい用語ですが、フルコントロールを持つすべてのユーザーを意味しています。サイトの場合はサイトの所有者、OneDrive ならOneDrive の所有者などが該当します。

共有ダイアログと管理画面のエクスペリエンスの統合

次世代では、ファイルにアクセスできるのが誰なのかだけでなく、どのようにアクセスするのかもすぐにわかるようになっています。共有ダイアログとアクセス管理のエクスペリエンスが1つに統合されたためです。権限はリアルタイムで更新されます。またアクセス権限の一括更新もできるようになります。

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より細かい単位で共有する必要があれば、特定の用途で利用する追加の共有リンクを作成することも可能です。

これらの追加の共有リンクには名前を付けることができるため、リンクを追跡して特定のタスクに割り当てることも容易に行えます。

次の図は左が追加の共有リンクの作成画面で、上部で名前が付けられるようになっているのがわかります。共有範囲は組織内のユーザー全員または特定のユーザーのいずれかを選択できるようです。

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ちなみに原文では言及はないのですが、画面最下部を見ると社内向けのリンクにも “パスワード”を指定できるようですね。

その他の気になる点

原文の下の方に質問欄があり、いくつかやり取りがされています。その中から主なものをピックアップしておきます。

下位互換性

気になる既存の権限ですが、完全に下位互換性を持つとのことで従来通り動作するそうで、これまでのアクセス権限もダイアログの「追加のリンク」セクションに表示されることになります。

ファイルの名前の変更や移動

共有リンクの場合は同一サイト内であればファイル名を変更したり移動させたりした場合でも動作しましたが、ヒーローリンクも同様に動作することが期待されているそうです。詳細はロールアウトが近くなったら情報を共有するとのことです。

有効期限

リンクの有効期限についても追加のリンク機能としてサポートが続くそうです。

既存のアクセスでの共有

現在、共有リンクにある「既存のアクセス権で共有」するオプションがヒーローリンクの説明画面では見当たりませんが、ヒーローリンクの一部となっているとのこと。ヒーローリンクの既定値は「追加されたユーザーのみ」であり、これが「既存のアクセス権」と同じように機能するそうです。ただし、これまでとの違いはヒーローリンクの方が柔軟性があり、URLを変更することなくセキュリティの範囲や役割を変更できることでにあると言及されていました。

ダウンロード禁止

ダウンロード禁止も引き続き利用できるとのこと。直接のアクセス許可、ヒーローリンクおよび追加のリンクでも引き続きオプションとして選択できるそうです。

従来の「高度なアクセス権限の設定」

これまで通り、高度なアクセス権限の設定画面は引き続き利用できるそうです。

さいごに

さて、ここまで紹介してきた次世代の共有モデルである「ヒーローリンク」ですが、冒頭でも述べたように2025年後半にロールアウトが予定されています。最新情報は下記のMicrosoft 365 Roadmapでも確認できます。

Microsoft 365 のロードマップ | Microsoft 365

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リリースが近くなれば、スムーズに移行できるようにドキュメント、ビデオとガイダンスを提供する予定であるとのことです。

2025年3月 4日 (火)

2024年11月末に開催した Japan Microsoft 365 コミュニティ カンファレンス 2024 で自分が登壇したセッションの録画をブログで案内するのを失念していたので改めて共有します。

私が担当したセッションは次の2つです。

  • Microsoft 365 の高度なドキュメント管理徹底詳解 ~フル機能を使った高度な管理~ (A13)
  • Microsoft Planner: タスクの配布機能を利用して繰り返しタスクを作成しよう! (A05)

ドキュメント管理について

Microsoft 365 のドキュメント管理の中心は SharePoint です。SharePoint および OneDrive, Teams と Power Automate, SharePoint Premium、Microsoft Purview の秘密度ラベルと保持期限、Microsoft 365 Copilot を組み合わせることで高度なドキュメント管理が可能です。それぞれをシナリオベースで1時間ほどデモしています。SharePoint が持つドキュメント管理のポテンシャルを一通り把握できるとおもいますので、まだご覧になっていない方はぜひどうぞ。


YouTube: A13「Microsoft 365 のドキュメント管理徹底詳解 フル機能を使った高度な管理」

ちなみに過去にも一貫してドキュメント管理を題材にセッションを行っています。関連セッションも書きに掲載しておきます。

Planner による複数の繰り返しタスクの配布

もう一つはニッチな路線なので、少しでも刺さる人がいればいいなぁという思惑で登壇してみました。

内容としては初心者向けではなく、どちらかというと組織の管理者向けであり、Planner をある程度使ったことのある方向けの内容です。アンケートでは参加していただいた方から、もっと Planner の基本的なところでこんな使い方はできないのか、というような基本的な使い方とQ&A のようなセッションの方がよかったと書かれている方もいましたが、今回のセッションの目的はそこではないので予めご了承ください。

複数の拠点に毎月決まったタスクを割り当てる必要があり、各拠点のタスクの進捗などを一元的に把握できたり、もしくは複数の特定のチームの個々のメンバーにタスクを配信するといった機能の話です。

こちらも良ければどうぞ。


YouTube: A05「Microsoft Planner: タスクの配布機能を利用して繰り返しタスクを作成しよう!」

SharePoint チームサイトにある「自分たちと共有」(Shared with us) 機能が 2025年4月から5月にかけて廃止されます。現在、Microsoft はSharePoint 全体のエクスペリエンスの改善に注力しているとのことで、その一環としての対応だそうです。

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この機能に直接アクセスするには次のURLを利用します。末尾に ?view=3を指定すればアクセスできます。

https://<任意のチームサイトのドキュメントライブラリのURL>?view=3

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この機能はサイトのメンバーと共有されているファイルやフォルダーを一元的に確認できるように用意されていたものです。

とはいえ、実際、たぶん多くの方がこの機能を使っていなかったのではないかと思います。操作の同線としてここにわざわざ見に来ることがほとんどないんですよね。

今後は?

さて、これに代わる直接の機能は用意されないようですが、大体の方法が2つ提示されています。

1. OneDrive の「共有」にアクセスして「あなたと」(With you) にアクセスする

自分と共有されているファイルやフォルダーがここには一元的に表示されます。

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2. Microsoft Teams またはメールで通知を受け取る

現在、Teams や Outlook 経由でファイルを共有するときに、ユーザーは直接 Teams のチャットやメールでファイルの共有通知を受け取れますので、それをそのまま利用するということです。

まとめ

以前にもブログに書きましたし、イベントでも話していますが、ユーザーがファイルにアクセスする入り口として OneDrive という1つの入り口から、Microsoft 365 内のさまざまなドキュメントにアクセスできる導線が用意されています。

メールなどで新しいファイルの共有通知がきてアクセスすれば、OneDrive にも最近開いたファイルとして履歴が残ります。自分が関わりのあるファイルは OneDrive からアクセスするのが妥当でしょう。