カテゴリ「SharePoint Premium (旧Syntex)」の12件の投稿 Feed

2023年3月25日 (土)

SharePoint 管理センターの管理者がMicrosoft Syntex Advanced Management (SAM) アドオンのライセンスを持っていれば、Auzre ADの条件付きアクセスポリシーを使わずに特定の SharePoint サイトに対してファイルのダウンロードを一切禁止できます。 

できることは次の通りです。

  • ブラウザーからのみコンテンツを閲覧できる
  • 検索

できないことは次の通りです。

  • ファイルのダウンロード
  • 印刷
  • 同期
  • Office デスクトップアプリからのアクセス

その他、サイトのロゴやタイトルの背景画像なども画像がダウンロードできないため非表示になります。

詳しくは下記の Microsoft のページを確認してください。

SharePoint サイトと OneDrive のダウンロード ポリシーをブロックする - SharePoint in Microsoft 365 | Microsoft Learn

設定

SharePoint 管理シェルを使って指定する必要があります。SharePoint 管理シェルは最新版を使うようにしましょう。

基本構文は次の通りです。

Set-SPOSite -Identity  -BlockDownloadPolicy $true

なお、既定ではサイト管理者を含むすべてのユーザーに対してダウンロードがブロックされますが、サイト管理者のみを対象から外したり、特定のグループを除外することも可能です。除外したユーザーは従来通りファイルのダウンロードを行えるようになります。

サイト管理者を除外する場合は次のパラメータを指定します。

Set-SPOSite -Identity  -BlockDownloadPolicy $true -ExcludeBlockDownloadPolicySiteOwners $true

他にも特定のグループ内のユーザーのみを除外するオプションとして 
-ExcludeBlockDownloadGroupIds があります。

設定結果

設定結果に関しては公式情報にはスクリーンショットなどがないため、試した結果をここに掲載しておきます。これを構成することで、サイトの上部にはダウンロードできないことを知らせるメッセージバーが表示されるようになります。

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実際にライブラリにアクセスするとダウンロードメニューや同期メニューが非表示となります。

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アプリ内からも印刷やダウンロードできません。

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👇Excelのマクロを使っているものも有効にできない084562b952694ac68de8f0408e357c40

2023年3月 2日 (木)

つい先日までは Microsoft Syntex Advanced Management としてプレビューとなっていた機能が 2023年3月1日付け(米国時間) で Microsoft Syntex - Microsoft SharePoint Advanced Managment (SAM) という名前で GA に達し一般提供開始となりました。

Microsoft Syntex – SharePoint Advanced Management (SAM) Add-on – Announcing General Availability - Microsoft Community Hub

機能概要

多くの組織で SharePoint サイトコンテンツが乱立し、不必要に過剰共有されていることが問題となっています。サイトコンテンツの乱立とは、ユーザー自身によるサイト作成を許可している場合にSharePoint サイトを大量に作成することであり、過剰共有とは、意図的または偶然に必要な閲覧すべきでない人とコンテンツを共有することを指しています。

SharePoint 管理者と IT 管理者がこうした乱立や過剰な共有に対処できるよう、高度なセキュリティとコンテンツ管理できるようにするための新機能群を含んでいるのが Microsoft SharePoint Advanced Management (SAM) アドオンです。

具体的には次のことができるようになります。

  • SharePoint および OneDrive の管理と統制
  • Microsoft 365 の安全なコラボレーション機能の強化

Microsoft Syntex の管理機能については去年の10月に実施された Microsoft Ingite 2022 でも発表がありました。詳しくは下記の記事も参照してください。ページの下の方に管理機能について触れています。

SharePoint Technical Notes : Microsoft Ignite 2022 Recap: 凄い! Microsoft Syntex による最新のMicrosoft 365 コンテンツ管理を学ぼう (lekumo.biz)

Microsoft Syntex はもともとは SharePoint Syntex という名称でリリースされており、AIを使ったドキュメント管理機能が主です。Microsoft Syntex は SharePoint のアドオンライセンスとしてすでに提供が開始されています。

ここに新たに管理機能が加わるということで、今回の GA により各機能群がいよいよ順次展開されてくるということなのですが、この管理機能を利用するのに SharePoint Advanced Management (SAM) アドオンというライセンスの購入が必要になります。ユーザー単位のライセンスとなるそうですが、詳しくは下記のページを確認してください。

Microsoft Syntex - SharePoint Advanced Management overview - SharePoint in Microsoft 365 | Microsoft Learn

ちなみに、SharePoint Advanced Management は2023年3月2日現在ロールアウト中です。ライセンスおよび機能は3月から4月上旬にかけて各組織で利用できるようになる見込みです。

すでに私の利用しているテナントではライセンスが購入できるようになっています。30日間のトライアル版もあるので、まずは機能を検証すべくトライアルを追加してみました。25ライセンスが利用できるようになっています。ちなみに、有償の場合の料金は一人あたり月額3ドルということで、日本価格は現時点では 330円となっています。20230302_144151

試しに SharePoint 管理センターを利用する管理者アカウントにライセンスを付与したところ、しばらくするとSharePoint 管理センターの左側ナビゲーションに「💎Advanced management」メニューが追加表示されます。

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現時点 (2023年3月2日)ではこのページに表示される項目をクリックしても表示されるのは Microsoft Learn へのリンクなどであり、実際に何かをここから設定することはできません。各設定へのリンク集といったところです。

2つの柱

さて、SAM が提供する機能には次の2つの柱があります。

  • セキュアコラボレーションのための高度なアクセスポリシー
  • 高度なサイトコンテンツのライフサイクル管理

詳しくは冒頭に掲載した GA のアナウンスページに書かれていますが、各機能を簡単に要約しておきます。

セキュアコラボレーションのための高度なアクセスポリシー

これには次のものが含まれます。

  • SharePoint サイトのデータアクセス ガバナンス (DAG) インサイト V1 - GA
    コンテンツが過剰に共有されているサイトを見つけ出し、サイトの所有者に確認を促す。この機能は以前は E5 のライセンスがあれば使えていたものが、今後は SAM のライセンスを求められるようになる (※E5 縛りがなくなるのかは、個人的にまだ試せていません)。ちなみに、2023年3月2日現在では過去30日の間に作成された共有リンクの数が多いサイトのトップ100が表示され、リンク数は確認できるものの、サイトの所有者への確認を促す機能までは提供されていない。
  • SharePoint サイトの制限されたアクセス制御ポリシー(RAC) - GA
    コンテンツの共有相手を特定のユーザーに限定する (不用意な共有をしてしまった場合のセーフティネットとなる)。当面は、Microsoft 365グループに接続されたサイトのアクセスをそのグループのメンバーにのみ限定し、グループのメンバー以外からのアクセスは拒否する。2023年の第二四半期には、クラシックサイト、コミュニケーションサイト、共有チャネルなどのチャネルサイトにも拡大する予定。
  • OneDrive の制限されたアクセス制御ポリシー(RAC) - GA
    SharePoint だけでなく OneDrive 側の過剰なコンテンツ共有を行えないように共有相手を特定のユーザーに限定できる。たとえば、共有先は従業員だけに限定するといったことが可能になる。当面はすべてのユーザーの OneDrive に対しての設定となるが、2023年第二四半期には特定のユーザーのOneDriveに限定した設定も可能になる予定。
  • SharePoint サイトおよび OneDrive の条件付きアクセス - GA
    サイトごとに格納されているコンテンツのセキュリティ要件は異なるものである。そこでサイトおよびOneDrive ごとにユーザーがコンテンツにアクセスできる条件をアクセスポリシーとして SharePoint Online PowerShellコマンドレットで適用できる。例えば機密情報を含むサイトであれば、MFAを要求するといったことができる。また職位の高い管理職のユーザーの OneDrive にアクセスするには管理されたデバイスを常に要求する条件付きアクセスを構成するといったことができるようになる。秘密度ラベルをサイトやチームに適用している場合は、秘密度ラベルとポリシーを関連づけるだけでよい。
  • 安全な SharePoint ドキュメントライブラリ - 2023年4月1日にGA 
    ドキュメントライブラリごとに既定の秘密度ラベルを適用できる。この機能は SAM がなくてもプレビューとしてすでに利用可能だが、2023年4月1日以降はSAMライセンスが必須となる。

高度なサイトコンテンツのライフサイクル管理

これには次のものが含まれます。

  • 非アクティブなサイトのサイトライフサイクル管理ポリシー - 2023年 第二四半期
    しばらく使われていないサイトを発見して管理する機能。特定のサイトに対して独自の非アクティブ サイトポリシーを作成することで、非アクティブになっている各サイトの所有者にアラートを通知し、維持するのか削除するのか、その他のアクションを取るのか促すことができる。また非アクティブなサイトに制限されたアクセス制御ポリシーを適用して未許可のユーザーからの常時アクセスを排除できる。Microsoft Teamsのチームと接続されている場合は、サイトの所有者だけでなくチームの所有者にも非アクティブの通知が可能。
  • 最近の SharePoint 管理者のアクション - GA
    SharePoint 管理者が最近行った変更を一覧できるようになる。これによって意図しない変更でユーザーに迷惑をかけることを低減できる。これは SharePoint 管理センターに新たに追加される Recent admin actions パネル~30日分の変更を表示して必要に応じておく素ポートもできる。近日中に、共有設定やクォータのへ変更などの SharePoint のテナントレベルの設定もこのパネルに表示できるようになる。
  • サイトの履歴 - 2023年 第二四半期
    サイトの所有者やサイトの管理者が行ったすべてのアクティビティを履歴として閲覧できるようになる。これにより、例えばサイトにアクセスできなくなったサイトのトラブルシューティングなどの際にどのような設定変更が行われたのかなどの手がかりにできる。
  • SharePointサイトおよび OneDriveのダウンロード禁止ポリシー - GA
    組織内の重要情報、企業秘密文書、歴史的な知的財産などをホストしているサイトから情報漏えいすることがないようにファイルのダウンロードを禁止することができる。ユーザーはブラウザ上からコンテンツを閲覧できるが、 Office デスクトップアプリからの印刷、同期、ダウンロードなどはできなくなる。ただし、対象から一部のユーザーを除外することは可能。なお、Microsoft Teams によって作成された会議の録画(格納先は OneDrive または SharePoint) をテナント全体で一括してダウンロードできないように構成することもできるようになる。この機能は2023年第二四半期に提供される予定であり、SharePoint 管理シェルを使ってSet-SPOTenant -BlockDownloadFileTypePolicy $true -BlockDownloadFileTypeIds TeamsMeetingRecordingを実行するだけで済む。

今後、Microsoft Syntex にはさまざまな機能が登場する予定です。楽しみです。

2023年2月13日 (月)

SharePoint のアドオンライセンスである Microsoft Syntex のライセンスがあれば、ドキュメント ライブラリのルールからファイルの移動やコピーの自動化ができます。これには独自の技術が用いられるため Power Automate は一切使いません。

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ドキュメント ライブラリ間でファイルを移動またはコピーするルールを作成Microsoft Syntex | Microsoft Learn

そもそも「ルール」機能はドキュメント ライブラリに何らかの変更が加えられたときに通知メールを自動送信するために利用できるものです。ここに Syntex のライセンスを持つユーザーはファイルの移動やコピーを自動化する機能が加わります。そもそも「ルール」機能はドキュメント ライブラリに何らかの変更が加えられたときに通知メールを自動送信するために利用できるものです。ここに Syntex のライセンスを持つユーザーはファイルの移動やコピーを自動化する機能が加わります。

ライブラリに新規にファイルが作成されたら、すぐに別のライブラリに移動または移動させることができます。また特定の列の値がある値に変更されたら、ファイルを移動させたりコピーしたりできるわけです。列の値ということであれば、Syntex の持つ AI によるタグの自動設定が利用できるため、これとうまく組み合わるとファイルを放り込むだけで処理が済んでしまいます。

利用する際のポイント

この機能を使うときのポイントは移動先はライブラリであるということです。以前、SharePoint のクラシックサイトでは類似した機能でコンテンツ オーガナイザーというものがありましたが、その時から変わらず移動はライブラリ単位です。したがってファイルを仕分けるのにライブラリ内のフォルダー構造のみに頼るのはお勧めしません。メタデータの設定もライブラリ単位ですし、秘密度ラベルの既定値もライブラリ単位での設定です。大量のドキュメントを分類して管理するのならできるだけライブラリを分けるよう設計することが肝心です。

またこの機能によって移動やコピーする際にはメタデータも保持されます。移動先に同名の列が用意されていれば、そこに値が維持されます。なお移動やコピー元の列と全く同じ列構成である必要はなく、必要な列だけ移動およびコピー先に同名で用意しておけば問題ありません。※ちなみに、自動的やコピー時に同名のファイルが既にある場合はファイル名の末尾に"1"などの数値が付きます。

さらに確認しておきたいのが権限のことです。移動やコピー元のライブラリで「編集」アクセス許可レベルを持っていたとして、移動やコピー先には「閲覧」しかないというような、一定期間の保管庫として使う予定ライブラリへの移動やコピーもできることです。たとえば、完成したファイルの「プロパティ」を "完成済み" などに変えると、自動的に別のライブラリに移動させることができ、そこではユーザーは閲覧しかできないようにファイルが保護できます。

たとえば、次のようなシナリオを描けます。

Photo

デモ

具体的な操作をデモしていますので下記を確認してください。

2022年10月25日 (火)

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これまで SharePoint Syntex として提供されてきた機能がパワーアップし、Microsoft Syntex という名称に変わりました。単なる名称の変更だけでなく、"SharePoint" という冠が外れたことで従来の機能だけでなく、適用範囲も広がります。

そもそも SharePoint Syntex (シンテックス) って何? という方もいると思うので過去勉強会などで公開してきた情報をまずは並べておきます。予習にご利用ください。

Microsoft Ignite 2022 でも複数のセッションが提供されていたのでリンクを共有します。

なお、ビデオは基本的には英語ですが「Microsoft Could 向けコンテンツ AI のご紹介」のビデオに関しては AUDIO TRACKS を切り替えれば Japanese を指定できるようになっており、日本語の同時通訳(録画)で視聴できます。そのほかは字幕で日本語を指定できます。

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最初に見てもらうといいのが Jeff Teper 氏がメインスピーカーとなっている「Microsoft Syntex: Microsoft Cloud 向けコンテンツ AI のご紹介」です。これとともに Microsoft 365 のブログとして公開されている「Welcome to Microsoft Syntex—Content AI integrated in the flow of work」も目を通しておくとベスト。主にこの2つの記事を交えて、新機能のポイントを確認していきましょう。

なお、これから登場する機能も多く、価格帯など未発表のものもありますの。その点は今後の発表を待ちましょう。さらに、現在のところフォーム処理モデル以外は基本的に英語のみがサポートされています。とはいえ、他の言語の対応も鋭意進めているとのこと。この資料では近い将来、コンテンツ管理がどうなっていくのかを中心に確認していくといいと思います。特にサイト管理に関わるところは要チェックです。

では内容に移りましょう。Jeff Teper氏の話から。

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Microsoft 365 には毎日、なんと 16憶ドキュメントが追加されているそうです。5年前の10倍ほど。業界では 2025年までに非構造化コンテンツが1,300億テラバイトを超えるコンテンツが蓄積されると予想。コンテンツの蓄積と管理に年間で460億ドル(2022年10月21日時点の為替レートだと日本円で約7兆円)以上かかる試算です。

コンテンツ AI

こうした中、コンテンツ管理を AI を使って行おうというのが Syntex の中核ですが、この AI をコンテンツ AI と呼びます。SharePoint Syntex でもこの AIが使われてきたのですが、Microsoft Syntex になることで今後はこの機能の適用範囲が SharePoint だけにとどまらなくなります。

新機能の概要は次の通りです。

  • Microsoft Syntex を利用するとドキュメントのタグ付け、要約、翻訳を行えるだけでなく、蓄積されたコンテンツを再利用して新たなコンテンツを生成することも可能
  • AIを活用した検索、自動署名、ビジネスプロセスの統合が可能です。コンテンツが見つけやすくなり、再利用しやすくなる
  • AI主導のセキュリティ コンプライアンス、バックアップと復元、高度なセキュリティ管理ができ、ライフサイクル全体を通じたコンテンツの分析および保護ができる

コンテンツ クラウド プラットフォーム

SharePoint はサイト、リスト、ファイル、ビデオをサポートするコンテンツ クラウド プラットフォームと位置付けられています。Microsoft Syntex は、SharePoint から始まっています。今後、さらに Stream や Viva, Loop, Teams などコンテンツ コラボレーションをさらに強化していくとのこと。

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ここまでを総合すると Microsoft Syntex は大まかには次のように言えそうです。

Microsoft Syntex = SharePoint + コンテンツ AI+ コンテンツ管理 / バックアップ / 復元

先ほども述べた通り、Microsoft Syntex は SharePoint から端を発したものの、この適用範囲が SharePoint にとどまらず Microsoft Azure, Microsoft Purview, Power Platform にも広がります。

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これからは業務フローにコンテンツ AI が統合されていきます。具体的には次のような機能群を提供されます。

  • 強化
    • ドキュメントの理解と組み立て
  • 接続
    • 発見と再利用
  • 管理
    • 分析と保護
  • ビルド
    • コンテンツ AI の機能をフルに利用してアプリを作成する

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強化 (Enhance)

Syntex を利用することでコーディングすることなく AI の力を借りてドキュメントを理解し、タグ付けし、保持ラベルや秘密度ラベルを自動適用できます。ここまでは SharePoint Syntex で提供されてきた機能です。こうした機能に加えて新たに翻訳と要約の機能が加わります。

複数ファイルの一括翻訳と要約

ドキュメントがライブラリに格納されていれば、言語を問わず複数ファイルを一括翻訳できるようになります。デモでは PDF ファイルを一括翻訳しており、新たに生成された翻訳後のファイルは同一ライブラリ内のフォルダーに格納されていました。画面の右側にはファイルの要約が AI によって生成されています。要約は自分でルールを作成して自動生成するように指定することもできるとのこと。これによって長い内容のファイルを隅々まで読み込まなくても重要なポイントを素早く確認できます。

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複数ファイルの一括翻訳

 

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画面の右側に要約が表示されている

メタデータの抽出

 

SharePoint Syntex の機能は引き続き利用できるため、契約書や請求書などを自動的に解析してメタデータを抽出して、列として自動設定してくれます。この辺りは、冒頭に示した勉強会の過去の資料などを確認してみてください。

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コンテンツ アセンブリ

たとえば、提案書の要約を見てよい提案書を見つけたら、契約書を作成してサプライヤーに送信する必要があります。こうしたときに使えるのがコンテンツ アセンブリです。事前に用意されているテンプレートをもとに既存のリストデータなどを取り込んで自動入力し、新たな契約書などを素早く生成できます。この辺りも設定のみであり、ノンコーディングなのが魅力ですね。

コンテンツ アセンブリについてもすでに提供されている機能であり、過去にブログでも紹介しています。

画像、音声、ビデオ処理

画像を処理しタグ付けします。これには 10,000ほどのあらかじめ用意されている自動認識用のオブジェクトを使用します。また、SharePoint や Exchange 内の画像から OCR (光学式文字認識)を使ってテキストを自動的に抽出し、検索やコンプライスを最適化します。

デジタルメディアは現代のコンテンツでは欠かせない重要な要素の一つです。 Syntex の機能の一部として、音声およびビデオのトランスクリプションを作成できるようになっています。特に会議などの音声からテキストを抽出することは検索とコンプライアンスには不可欠です。 

接続 (Connect)

コンテンツ ルール処理 (Content rules processor)

コンテンツルール処理では単純なルール設定もできます。

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これにより、次のアクションをトリガーできます。

  • アラートやワークフローの実行
  • 適切なライブラリへやフォルダーへの移動

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[考察] 処理後に別のライブラリやフォルダーへ移動するという機能については、以前、オンプレミスの SharePoint サーバーが持っていたコンテンツ オーガナイザー機能を思い出します。この機能は特定のライブラリにファイルをアップロードするとメタデータの設定を要求され、その設定が終わるとメタデータに応じて事前に設定している複数の場所にファイルを振り分けて移動させてくれるというものでした。図書館の「返却棚」のようなもので、そこに返せば図書館司書の方が本にタグ付けされた情報に基づいて適切な棚に戻してくれるのと似ています。

ただし、以前と異なるのはドキュメントをAIが理解、解析してメタデータを自動抽出し、その後の処理へといざなってくれるところでしょう。手動で判断していたところが、自動化できるわけです。

[考察] このルール機能はドキュメント ライブラリにビルトインで用意されているルール機能と画面が似ているため、この機能の拡張版だろうとみています。ビルトインの機能は通知機能の置き換えでありメールの送信しかできませんが、これ以外にトリガーとなる条件やアクションが増えているようで、ユーザーは簡単に設定できそうです。

PDFファイルの分割や結合

PDFファイルのプレビュー画面から、複数の PDF ファイルを結合できるようになります。ファイルの分割もできるそうです。

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電子署名

ファイルのプレビュー表示から直接、電子署名を依頼できます。これは画期的だなぁと個人的には思っています。利用できるのは Syntex標準の eSigniture だけでなく、 Adobe Acrobat Sign や DocuSign なども利用できます。

 

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1 電子署名メニューから設定を開始する
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2 ビルトインの Syntex電子署名以外に Adobe社や DocuSign 社のものも選べる
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3 署名を求める相手のメールアドレスを順に指定する
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4 署名してもらう場所を決定する(色がついているところ)

設定が終わったら画面左上の Send メニューから送信すれば相手にメールが自動送付されます。メールにはファイルが添付(? リンクだと思いますが) されています。
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あとはファイルを開いて 署名を追加するだけです。画面の右上には[Decline to sign] もあり署名を拒否することもできます。

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このようにして署名された書類が蓄積されていきます。

さて、同僚は何か質問したいことがあるかもしれません。まずは目的のファイルを見つけ出したいのですが、この時に重要なのはメタデータが自動抽出されているということです。メタデータは各列に格納されています。Syntex は検索機能(Microsoft Search)とも協調しており、高度な検索ボックスが利用できるようになっています。これによりユーザーは複数の項目(メタデータ)に検索したいキーワードを指定することで柔軟に素早く検索できるのです。

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各項目に検索キーワードを指定して検索する



ファイルを見つけたら、そのまま直接、注釈やインクを追加できるようになっています。オリジナルファイルは更新することなく、こうした情報を追加できるようになっています。

 

検索

Syntex の一部として提供されるMicrosoft Searchはさらに強力になっています。最先端のディープラーニングモデルを利用して、セマンティック理解、自然言語処理、質問と回答を駆使して、適切な検索結果を提供します。

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自然言語検索している例
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検索結果の右側には関連情報へのリンクも表示されている

アクセラレータとテンプレート

すでに SharePoint Syntex では契約書管理 (Contract management) 用のソリューションが用意されています。今年の末までに新たなソリューションとして買掛金(Accounts payable)用のソリューションが登場する予定だそうです。

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管理

Microsoft 365 はレジリエンス(resilience: 回復力)と信頼性の高いストレージ ファブリックですが、ますます多くの情報を取り込むにはより柔軟な管理方法が必要になってきます。

Syntex はコンテンツ管理、バックアップ、復元をするためのツールとして提供していきます。ストレージコストを管理して長期的なアーカイブもニーズに対応できるようにします。

アクセスの制限

サイトごとにアクセスを制限できるようになります。

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具体的には、この設定によりメンバーシップタブに一覧表示されるサイトの所有者とメンバーのみがサイトのコンテンツにアクセスできるように制限します。その他のユーザーは一切サイトのコンテンツにアクセスできません。

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[補足] ビデオの説明だけでは詳細が不明でしたが、サイトの共有設定を自由にはさせない設定なのかなと。共有リンクも使えない? 機密情報にアクセスできるユーザーを社内の特定のチームおよび社外の認められたユーザーに限定するのに使えるとのこと。

データ アクセス ガバナンス

これはすでに提供されている機能ですが、共有リンクファイルに適用された秘密度ラベルのレポートを生成するものです(※E5のライセンスが必要)。

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共有リンクでは、3種類の共有リンクの利用状況を確認できるようになってり、過剰に共有されていないかを確認できるようになっています。

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過剰に共有リンクが生成されているサイトを見つけたら、そのサイトの所有者に対してレビューの依頼をすることができるようになっています。この機能は今はまだ提供されていません。

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サイトアクセスのレビューを要求するとサイトの所有者に次のようなメールが送信されます。メールのリンクをクリックするとサイトのアクセスレビューページが表示されます。ここから共有リンクを一覧できるようになっており、必要のない共有リンクを削除できます。

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非アクティブなサイトのストレージの解放

SharePoint 管理センターサイトのホームにある「SharePoint ストレージ使用率」カードに「ストレージを解放する(Free up storage)」メニューが追加されます。

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クリックすると非アクティブなサイトの総数と使用してい容量が表示されます。

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画面の環境ではストレージが不足しているため、対処方法が提示されています。具体的にはポリシーを作成して次のことを行うように促しています。

  • 非アクティブなサイトの検出
  • サイト所有者にサイトのアーカイブまたは削除を促す
  • サイトの所有者に4回通知したのち、サイト所有者がサイトの利用状況を確認していない場合は、サイトが自動的に削除される

ライフサイクル管理ポリシー

ライフサイクル管理ポリシーを利用することで非アクティブなサイトを識別できます。

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とはいえ、アクティブでなくても、機密性の高い情報を保持しているサイトは削除されるのは困ります。そこで、"極秘"などの秘密度ラベルがサイトに適用されている場合は、そのサイトを低コストの不変ストレージ階層に移動して容量を解放してコストを削減できます。(※価格は未発表)

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[補足] SharePoint が長年標準では持っていなかったアーカイブ機能がいよいよ登場!!

可用性

BCPを確保するには、ランサムウェアからの回復、削除したユーザーの復元などを容易に行えることが重要です。Syntex では新しい強化された共有バックアップと復元により、将来のPoint in recovery (PITR)  のために Outlook, OneDrive, SharePoint を全体をバックアップできます。

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SharePoint 管理センターのホームに「ランサムウェアの検知」メッセージが表示されている

カードをクリックすると、詳細情報が確認できます。セキュリティインパクトや解決方法なども提示されます。

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影響を受けているサイトが一覧できます。
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サイトごとに復元したい時点や復元方法を選択できます。Recommendation を見るとどの時点を戻せばデータ損失が最小になるかが示されています。復元方法は新しくサイトを作成してそこにバックアップを戻すのか、同一サイトに復元するのかのいずれかを選べます。

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Power Automate 

Syntex のコネクターが用意され、Power Automate からも利用できます。スクリーンにあるのは「Generate document using Microsoft Syntex」というアクションです。文字通りドキュメントを生成できるということでしょうがこれだけだと詳細がわかりません。

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既存環境で確認したところ、Power Automate のプレビュー環境ではすでにアクションが利用できるようになっていました。名称は今のところ SharePoint Syntex ですけど。またコネクターも SharePoint のコネクターとして提供されています。これが将来的には Microsoft Syntex コネクターに変わるのでしょう。SharePoint コネクタの説明を見るとコンテンツ アセンブリ機能を使ってドキュメントを自動生成する機能ですね。

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ビルド

Syntex data lake

数十億個にも上る Microsoft 365 内のすべてのコンテンツを調べるクエリを作成するのにSyntex data lake を使用して巨大なデータセットをAzure Data ツールに取り込み、データ分析やモデリングが可能になります。

費用

Syntex のほとんどの機能は一度アクティブ化すれば従量課金で利用できます。 Azure サブスクリプションの pay-as-you-go を利用できるというわけです。

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[備考] Azure サブスクリプションの従量課金の仕組み( pay-as-you-go)は Power Platform にも導入されましたね。

ロードマップ

全体的なロードマップは次の通りです。

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全体的な感想

これから様々な機能が投入されてくるとのことで個人的にはとても楽しみです。何より日本語対応を待ちたいところ。今のところフォーム処理モデルを利用したコンテンツ処理は日本語をサポートしていますが、それ以外は来年以降となるようです。

一通りの機能を見ると、SharePoint Server 2007 から培ってきたナレッジの集大成になってきそうだなぁと感じています。電子署名も Office 2007 の頃は判子の印影を使った署名機能があったんですが、事前設定などが面倒でしたしそもそも PDF は対応していませんでした。タグ付けを自動化することで、その次のアクションもいろいろとつないでいける。この辺りは、本当に画期的でメタデータを起点にアクションを起こすことは出来はいましたが、手動だったというのも大きく。検索も本当に進化していっています。単一のライブラリに類似ファイルを集約し、自動的にタグ付けしていけばフォルダーにしまい込む必要がないですし、検索ボックスから手軽に探せる。こういったシナリオは非常に魅力的。あとは、保持期限や秘密度ラベルも自動的に適用できるわけですから、トータルで考えると本当に理想的。無論、実装していくときには色々と課題はあるでしょうが。

Syntex はノーコードというのも魅力です。ここに、必要に応じて部分的に Power Platform を組み合わせていけるわけです。しかし、管理機能もここまで強化されてきていて、Syntex に含めてしまうとは!!

弊社でもこうしたソリューションに対応できるべく研修コースをご用意しています。SharePoint 管理者向けのコースはもちろん、Power Apps と Power Automate、Microsoft Search, Microsoft Purview コンプライアンス入門など関連するコースを複数用意していますので、将来のコンテンツ管理の基盤づくりのために情報をしっかりと整理しておくのも大切です。是非、併せてご利用ください。

Microsoft Syntex へのエントリー

最新情報などを得るために Microsoft Syntex アダプションに登録しておくとよさそうです。

Microsoft Syntex Adoption – Microsoft Adoption

関連情報

2022年10月24日 (月)

今更ですが、Microsoft 365 Virtual Marathon 2022 で登壇した(2022年5月に実施) セッションの資料をブログにまとめていなかったので、改めてここにまとめておきます。Syntex 、これからすごいことになりますよ。この後ブログを公開しますが、SharePoint Syntex は Microsoft Syntex に名称が変わりました。名称変更とともに様々な新機能や機能強化が提供されます。

念のためですが、Syntex の読み方はシンテックスです。また Syntax (シンタックス)ではないのでお間違えなく。

Syntex の予習のためにも下記をどうぞ。。。

Microsoft 365 Virtual Marathon 2022 Japanese Track - connpass


2022-10-24_18-26-13

セッション タイトル: SharePoint Syntex を使ったドキュメント管理

概要: SharePoint Syntex を使うことでより高度なドキュメント管理ができるようになります。このセットションでは AI Builder と Power Automate を組み合わせることで請求書などを "自動処理するフォーム処理機能" と既存ドキュメントの再利用を効果的に行うモダン ドキュメント テンプレート機能について説明します。

使用したスライドは下記の通りです。

 
録画は YouTube に公開されています。