2021年3月

2021年3月23日 (火)

2021/3/24に開催される Microsoft Ignite Recap Community Day に少しだけ登壇します。

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このイベントはコミュニティイベントであり、2021年3月上旬に開催された Microsoft Ignite 2021 の内容を日本語でかいつまんでご紹介しようというものです。

私は、同じ Microsoft MVP の 太田 浩史さん、村地 彰さん、中村 太一さんと一緒に4名で登壇の予定でして、登壇時間とタイトル、概要は下記の通りです。

 

[12:35-13:05] ハイブリッドワークプレイスってなんだ? ずっと Microsoft 365 を見てきた 4 人で振り返る Microsoft Ignite 2021


概要:さまざまな要因で私たちの働きかたが変わる中で、今回の Microsoft Ignite では「ハイブリッドワークプレイス」がキーワードとして打ち出されました。Microsoft がイメージするハイブリッドプレイスってなんだろうな?そのヒントが今回のイベントで数多く発表された機能から見えてくる気がします。
このセッションでは、これまでずっと Microsoft 365 を見てきた 4 人が、発表された機能を振返りつつハイブリッドワークプレイスやそれによって変わる働きかたについて語り合いたいと思います。

 

お時間のある方は Connpass サイトにて事前登録の上、ご参加ください。多くの方のご参加をお待ちしています。

 

 

2021年3月10日 (水)

昨年 Microsoft Stream の新しい Stream 機能が発表され、段階的な移行が既に始まっています。

そこで移行に向けて情報を整理しておきたいと思います。

まず手始めに把握すべきは、Microsoft Teams の録画の保存先が従来の Stream のストレージではなく、 OneDrive for Business または SharePoint にとって代わることになるということです。このことに関しては以前にもブログに投稿しています。未読の方はご一読ください。

SharePoint Technical Notes : 新しい Microsoft Stream と SharePoint (lekumo.biz)

現在の移行に向けたスケジュールの確認

Microsoft 社が公開している新たな Stream に向けたロードマップは次のリンクを確認しておきましょう。

Use OneDrive for Business and SharePoint for meeting recordings - Microsoft Teams | Microsoft Docs

この一部下記に抜粋します(少し読みやすく翻訳を変更しています)。

日付  イベント     
2020 年 10 月 5 日

(完了)      
Teams 会議ポリシーを有効にして、会議の録画を Microsoft Stream (クラシック) ではなく OneDrive for Business と SharePoint に保存できるようになる
2021年1月7日より開始

(完了)      

組織の Teams ミーティング ポリシーを変更して明示的にストリームに設定しない限り、新しい Teams ミーティングの記録はすべて OneDrive for Business と SharePoint に保存されます。

引き続き Microsoft Stream (クラシック)に保存する場合は、ポリシーの値を明示的に Stream に設定する必要があります。

2021 年 7 月 7 日から段階的に展開する 

すべてのお客様 (エンタープライズ、教育、GCC)
Microsoft Stream (クラシック) には、新しい会議の記録を保存できません。ユーザーがをチームの会議ポリシーを Stream に変更した場合でも、すべての顧客の会議記録は、OneDrive for Business と SharePoint に自動的に保存されます。

 

お客様がリリースのタイミングをコントロールできるように、この日までにこの機能をロールアウトすることをお勧めします

会議の録画の保存場所の確認

今後の録画の保存場所は次の通りです。

チームのチャネル以外の会議の録画

レコーディングしたユーザーの OneDrive for Business / レコーディング フォルダー内に保存されます。

チャネル会議の録画

チームに紐づく SharePoint サイトの「ドキュメント」ライブラリ内の「チャネル名」>「Recordings」フォルダ内に格納されます。

ダウンロードを禁止する方法の確認

チーム会議以外の場合は、録画は OneDrive for Business に保存され、同じ組織内の参加者にはこの録画へのリンクが読み取り専用で渡されます。とはいえ、ダウンロードはできる状態となります。

チャネル内での会議以外で会議を開催したときに社外のメンバーがいる場合は録画に対して権限は付与されません。そのため閲覧もダウンロードもできない状態となります。しかし、社内のメンバーの場合は表示のみのリンクが表示され、これのリンクが Teams 内に共有されます。

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一方でチーム内のチャネル上での会議の場合、チームメンバーがアクセスできる SharePoint サイトに録画ファイルが格納されることになるため基本的にはチームメンバーはファイルの削除やダウンロードできてしまいます。

このように、会議の開催および参加方法によって生成される録画ファイルに付与される権限や保存場所が異なります。詳しくは下記のリンク先を確認してください。

OneDrive for Business と SharePoint を使用して会議の記録を行う - Microsoft Teams | Microsoft Docs

2021年4月以降の変更 

チャネル会議以外の録画については読み取り専用のリンクは、既定でダウンロードを禁止するオプションがオンになった状態で生成されるように変更されます

しかし、引き続きチャネル会議ではチームメンバーに対して SharePoint サイトの既定の権限が付与されることになるため、[編集]アクセス許可レベルが付与されることになります。またチームの所有者はサイトコレクションの管理者権限となるわけです。そのため、ダウンロードなどが許可される状態になります。

したがって機密性の高い内容が録画されるようなケースではダウンロードを含めて制限するために、チャネル会議は使ってはいけません。OneDrive for Business から必要なメンバーにダウンロードを禁止した形でリンクを配ることが必要です。

将来的にはチャネルの録画の取り扱いに関しては新しい仕組みが出てくるようですが、今のところ詳細は不明です。

なお、これらの変更は新たに作成される録画に対してだけ影響し、既存の録画ファイルの権限を自動で変えるようなことはありません。

この変更の適用時期は次の通りです。

  • 2021年4月上旬から6月上旬まで

会議の録画の保存先をOneDrive および SharePoint に切り替える方法の確認

2021年7月7日以降は Microsoft Stream(クラシック) には新しい会議の録画を保存できなくなります。

しかし、これより前に保存先を OneDrive for Business および SharePoint に切り替えることもできますし、逆に Stream のままにしておくこともかのうです。こうした変更には PowerShell を利用し、Teams の会議のポリシーを変更します。従来通り Stream をしばらく使い続ける場合は次のコマンドを実行します。

制約についての確認

SharePoint や OneDrive for Business 上に格納された録画に関して現時点では下記のような制限事項があります。

  • クローズド キャプションは英語のみ対応
  • トランスクリプトの表示、編集、検索などは行えない
  • トランスクリプトは編集できないが、キャプションのオン/オフを切り替えられる
  • 記録を共有するユーザーを制御することはできるが、共有アクセス権を持つユーザーが記録をダウンロードできないようにすることはできない
  • 記録の保存が完了しても、メールは送信されない。完了したレコーディングは、会議のチャットに表示される
2021年3月 8日 (月)

Microsoft 365 の SharePoint (SharePoint Online)では、2021年3月よりアプリバー(App Bar) が順次ロールアウトされています。

これは大幅なアップデートの一つとなっており、テナント内のすべての SharePoint サイト(現時点ではモダンサイトのみ)の共通ナビゲーションとなるものです。

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画面左端に表示されているのが App Bar (アプリバー)

そのため、サイト単位でカスタマイズするといったことはできません。また、テナント管理者が一時的にこの機能の利用を延期することはできますが(2021年10月31日まで延長は可能)、将来的にはどの SharePoint サイトにも表示されるメニューになっています。

うまく構成すれば複数のSharePoint ハブへの行き来が容易になるので、しっかりと活用しましょう。

私が管理しているテナントの一つは「対象指定リリース」として指定しており、いち早くこの機能が利用できるようになりました。そのため、実際に私の環境をベースに解説していきたいと思います。

読み進める前に

この記事を読み進めるには SharePoint モダンサイトと SharePoint ハブや SharePoint ホームサイトの基礎知識が必要です。少なくとの下記の記事を未読の方は、一読してから読み進めてください。

SharePoint ハブ (Hub) を利用しよう (weblogs.jp)

メニューの構造

アプリバーはすべての SharePoint サイトの左端に表示されます。既定では次の4つで構成されます。

  • グローバル ナビゲーション
  • 個人用サイト
  • 自分のニュース
  • 自分のファイル

[動作イメージ(音声なし)]

グローバル ナビゲーション

ホーム(家)のアイコンをクリックすると表示されるナビゲーションです。既定ではここには、 SharePoint スタートページにリンクされます。ただし、テナント内でSharePoint ホームサイトを設定している場合はグローバルナビゲーションをカスタマイズできます。

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個人用サイト

個人用サイトは、SharePoint スタートページと同様にフォローしているサイトと最近使ったサイトが表示されます。

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自分のニュース

AI がログインユーザーに対してお勧めのニュースを表示してくれます。

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自分のファイル

ログインユーザーが最近使ったファイルが一覧表示されます。

グローバル ナビゲーションの構成

テナント内で SharePoint ホーム サイトを指定している場合は、グローバル ナビゲーションが構成できるようになっています。ホームサイトの設定をしていない場合は、グローバル ナビゲーションを構成できません。

たとえば、私が管理するテナント内では Home@オフィスアイという名前の コミュニケーション サイトを SharePoint ホームサイトとして設定しています。このサイトを組織内で最初にユーザーがアクセスするサイトとして位置づけています。こういうサイトをランディングサイト(着地点となるサイトという意味)とも呼びます。

ホームサイトの設定は SharePoint 管理者やテナントの全体管理者が設定するものです。詳しくは下記のリンク先を参照してください。

組織のホーム サイトをセットアップする - SharePoint in Microsoft 365 | Microsoft Docs

このサイトがあると、このサイトの管理者は歯車のアイコンから[グローバル ナビゲーション]設定が利用できます。ここからアプリバー(App Bar) のグローバル ナビゲーションの設定を行えるようになっています。ちなみに、グローバル ナビゲーション以外はカスタマイズができません。出来合いの機能をそのまま利用する必要があります。

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既定ではグローバル ナビゲーション設定はオフになっています。そのため既定では SharePoint スタートページが表示されます。

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これをオンにすると、下記の設定ができるようになります。

  • ロゴ
  • タイトル
  • ナビゲーションソース

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ロゴ

ロゴに画像を指定すると、アプリ バーには既定のホーム アイコンではなく、指定した画像が表示されるようになります。

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ロゴの使用は次の通り。

  • ロゴのサイズは 20x20 ピクセルである必要がある
  • ファイルの種類は PNG
  • 透明の背景が推奨される

タイトル

ナビゲーション内の最初の見出しがタイトルです。ここには会社名やポータルの愛称などを自由に指定できます。

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ナビゲーション ソース

グローバルナビゲーションパネルに表示されるナビゲーションソースを選択するところです。ソースを選択した後、必要に応じてグローバルナビゲーションを編集できるようになっています。この部分は SharePoint ホームのサイトの所有者やサイトコレクションの管理者が編集できます。

なお、グローバルナビゲーションの実装は設定が反映されるまで、最大24時間かかることもあるとのこと。このテナントも有効かしてからきちんと動き出すのに結構時間がかかりました。一度、反映された後はナビゲーションソースの変更などは比較的早く反映されているようです。

ソースには次の2つの選択肢があります。

  • Home site navigation
  • Hub or global navigation

Home site navigation

これを選択すると SharePoint ホームサイトのナビゲーションがそのまま、このナビゲーション部分に表示されるようになります。

つまり、どのサイトからでも素早く SharePoint ホームサイトのナビゲーションにアクセスできるので、ホームサイトのナビゲーションに様々な SharePoint ハブへのリンクを追加しておけば、様々なハブへとすぐにアクセスできるわけです。

ホームのナビゲーション

もし SharePoint ホームサイトがハブサイトになっている場合は、もう一つの Hub or global navigation を選択すると、ホームサイトのナビゲーションでなく、ハブナビゲーションが表示されるようになります。

Edit global navigation リンクをクリックすると、グローバルナビゲーションを編集できます。この編集画面は SharePoint のナビゲーション設定なので、ラベルやリンクの追加はもちろん、対象ユーザー(Audiences to target) も指定できます。

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Home global navigation を選択している場合は、ここで編集すると SharePoint Home サイトのナビゲーションを編集していることになります。

SharePoint ホームサイトがハブサイトとして指定されていない状態で、Hub or global navigation を選択したらどうなるでしょうか?この場合は、グローバルナビゲーション パネルに表示される内容を独自に作成できます(セカンダリ セットと呼ばれる)。

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実際に試してみると次のようにユーザーには独自のナビゲーションが表示されるようになります。

独自のナビゲーション構成

最後に

アプリバーは特にハブが複数あるような場合に、各ハブへのリンクをグローバル ナビゲーションとして用意できるので使ってみると、必要な情報に素早くアクセスできるようになり、とても使い勝手が良いものです(目的のリンクをできるだけ探さなくて済む)。

うまく取り入れていただきたいところですが、そのためにはしっかりとした SharePoint ハブの設計と SharePoint ホームサイトを全社的に取り決めていく必要があります。ホームサイトはテナント内で1サイトしか指定できません。

さらに、この アプリバーはまだ準備が整っていない組織では機能を一時的に無効化できます。といっても延命措置にほかならず、2021年10月31日までの延長でそれを過ぎれば必ず全サイトに表示されるようになります。なるべく早い段階で運用方針やルールを取り決める必要がある部分でしょう。

延長する設定等の公式情報については下記のリンク先を参照してください。

新しい SharePoint アプリ バーを使用してグローバル ナビゲーションを設定する - SharePoint in Microsoft 365 | Microsoft Docs

 

2021年3月 5日 (金)

2021年2月に Microsoft 365 の新しいサービスとして Microsoft Viva が発表されました。そして先日実施されたオンラインイベント- Microsoft Ignite 2021 でも Microsoft Viva のセッションがありました。セッション内容に関しては適宜 Twitter (@ai_yamasaki) でつぶやいていたのですが、改めてブログに整理しておきたいと思います。

お勧めセッション

Microsoft Viva の概要を把握するには下記のセッションがお勧めです。この記事はこのセッションの内容をベースにしています。

MyIgnite - Meet Microsoft Viva: a new kind of employee experience

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Microsoft Viva は 4つのコンセプトで構成されている

Microsoft Viva は特に今回の新型コロナウィルス(COVID-19) の影響により、多くの人に働き方を変えることを余儀なくされました。ただし、これは必ずしも悪いことばかりではなく、これからの新しい働き方を強力に推し進めることにもなっています。そこで Microsoft Viva の登場です。ニューノーマルの世界で、よりよく働いていけるよう Microsoft 365 が持っている様々な機能をうまく連携させて支援しようというものです。

Microsoft Viva には次の4つのコンセプト(=製品)があります。

  • Viva Topics 
  • Viva Connections
  • Viva Insights
  • Viva Learning

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それぞれ個別にみていきましょう。

Viva Topics 

日々の業務ではなんかしら情報を探したり、再作成するのに、年で平均すると7週間もの時間をかけているそうです。情報をいかに探しやすくしていくかというは、業務の効率化では非常に重要です。

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Viva Topics とは、組織のナレッジを蓄積し、いわば組織内の Wikipedia を作ろうではないかというのが基本コンセプトにあります。Viva Topics は AI を使って組織全体にわたりコンテンツやかかわりのある精通したひとを自動的に関連付けて分別し、整理してくれる。たとえば、プロジェクト、製品、プロセス、顧客などの単位で情報を自動的に関連付けまた仕分けてくれます。

Viva Topics はトピックス(社内の用語など)をクリックすることで、 Office, SharePoint, Teams といったアプリ内にカード形式でこうしたドキュメントやビデオ、関連する人などの情報を提示してくれます。また、Microsoft Search 内でも利用できるようになっています。このことについては以前、自分の検証環境で実験を行っているので、そのビデオを共有しておきましょう(音声はありません)。ちなみに、Viva Topics は現在英語環境でのみ動作がサポートされているため、日本語はまだ認識してくれていません。ビデオではSharePoint のサイトページに記載している SharePoint Syntex や Power Automate などのトピックスを AI が自動的に検出し、リンクを生成してくれていることがわかります。リンク先にはトピックスページがあるのですが、これは本来 AI が作ってくれるもののようです。ですが、日本語環境では動作していないため、手動でトピックスを登録し実験しています。

もととなるトピックスは Topic Center という特殊な SharePoint サイトを用意し、そこでトピックスページを管理していきます。画面では、AI がまだうまく日本語情報などを拾ってくれていないため、各トピックはすべて手動登録しています。

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トピックスページは次のようなページです。

Topics

こうしたトピックは、ページ内で発見されたトピックスに対してリンクが自動生成されたり、検索結果に表示されたりします。

なお、トピックはページ(ニュースを含む) 内で ハッシュタグとしてリンクすることもできます。

ちなみに、これからMicrosoft Teams 内でも Viva Topics は利用できるようになります。

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Teams 内でトピックの詳細をクリックすると、Teams 内の Viva Topics アプリ内にトピックページが表示されます。

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このトピックスページに関連する Yammer のコミュニティも自動的に集めてきてくれます。

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中央に位置するのがトピックに関連する Yammer コミュニティ

さらに Outlook 上ではメール送信者などのコンタクト カード上にも、その人のスキルなどの一環として関連トピックスが表示されます。

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以上のように社内に散らばる関連ドキュメント、SharePoint サイト、人、Yammer コミュニティ等を自動的にうまく集約して、素早く組織のナレッジにアプローチできるように支援してくれるのが Microsoft Viva Topics です。

今後予定されている機能などのロードマップも公開されています。

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Viva Connections 

Viva Connections は組織内の文化とコミュニケーションに対する機能です。

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まずはベースとなるコンセプトを見ていきましょう。

リモートワークになって実に 60% の人がひととのつながりが希薄だと感じているそうです。

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Microsoft 365 では、コミュニケーションと人との結びつき(エンゲージメント)には SharePoint, Yammer, Teams が利用できるわけですが、自分たちの経験を1か所から共有したい。そんなニーズにこたえるアプリが Viva Connections です。これは Digital Gateway とも呼ばれており、いろいろな情報への入り口ととらえることができます 。

Viva connections は Microsoft Teams 内で使用できるようになっており、各自の業務に必要な情報を素早く得られます。ログイン ユーザーごとに必要な情報を提示できるため、その人にとって不要な情報(ノイズ)をカットしてくれる。さらにこのアプリはシームレスに Yammer のコミュニティと接続されており、考えやアイディアを組織内に素早く共有できるようになっています。ひとと素早くつながることができるということですね。

適切なタイミングで適切な人に必要な情報を伝えられるように考慮されているのですが、これを支えているのは SharePoint です。SharePoint が持つ、ページのスケジュール発行機能や Azure AD のグループと組み合わせてリンクに対象ユーザー指定するなどして実現しています。

Teams 内の Microsoft Viva アプリ
Teams 内の Microsoft Viva アプリ

ここまでのことを踏まえると、Microsoft Viva Connections は SharePoint, Stream, Yammer, Microsoft Teams にそれぞれ散らばって蓄積されている情報をログインユーザーに最適な形で集約してくれるアプリであるととらえることができそうです。"Connections"  という単語にはどうやら、「人のつながり」という意味だけでなく、「システムのつながり」も含めた二重の意味合いが含まれているのでしょう。

Viva Connections はログインしている人に関連するニュース、会話、コミュニティなどを接続することで人とのつながりを形成し、組織の文化をも新たに創出できるよう支援することが主たる目的ですね。組織内のデジタル トランスフォーメーション(DX)を推進するツールの一つといえます。

なお、今月から順次 Windows デスクトップ用の Microsoft Teams 内で Viva Connections が使えるようになるそうです。

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Viva connections はモバイルアプリも提供されるとのことですが、提供時期は今年の夏の終わりごろとなる見込みです。

Viva Insights (インサイト)

Viva Insighs のテーマは「生産性とウェルビーイング」。

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米国内の労働者の 76% が燃え尽き症候群(burnout) を経験しているそうです。由々しき問題ですね。

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つまりは、がむしゃらに働ぎすぎるのではなく、時間をうまく使って働くことが大切です。Viva Insights ではここを支援したい。

Microsoft Viva Insights は個人、マネージャー、組織のリーダーらの経験に基づき設計しており、プライバシーやセキュリティには十分に配慮して作られています。Viva Insights は対象により次の3つに細分化されています。

  • Personal Insights
  • Management Insights
  • Organizational Insights

Personal Insights 

Personal Insights の言葉のニュアンスは個々人の時間の使い方を客観的にとらえ洞察するといったところでしょうか。 「ウェルビーイングを優先し、生産性を高める」というのがコンセプトです。

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ところで "ウェルビーイング"は最近よく耳にしますが、これは心身共に健全な状態でいられることを指します。心身が疲れ切っていては仕事の効率もあがりませんからね。

この Personal Insights はパブリック プレビューとなっておりMicrosoft Teams  内ですでに利用できるようになっています。 Teams 内でアプリを検索すると見つかります。

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現在このアプリでは、 One on One ミーティングの設定とフォーカス時間の確保のみが利用できるようになっています。ただし、今後、いろいろと機能が追加されてくるようです。

ところで、この機能、どこかで見たことがあるなぁと思った方はご明察。MyAnalytics ですね。ということで、MyAnalytics と密接に関係しています。Microsoft Viva Insights の登場により MyAnalyticsの側にもいくつかの新機能が登場しています。たとえば、「メール配信の遅延設定」が追加されました。メールを送信する際に、業務時間外などの場合、同僚が勤務時間になるまでメール配信を遅らせようというものです。ひとの時間をへたに奪わないための配慮ができますね。

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詳しくはこの辺り。

Outlook のインライン提案 - Workplace Intelligence | Microsoft Docs

この設定は Windows 用の Outlook のみで利用できるとのことですが、現在利用できるのは Microsoft E5 のみ。ですが、Microsoft 365 E1/E3 も対象となっておりロールアウトプロセスに入っているそうです。

その他にもMyAnalytics ではフォーカス時間(自分の仕事に専念できる時間帯)をOutlook上にスケジュールとして確保できるようになっていますが、それ以外にも、フォーカス時間を確保するタイミングであるとか、Microsoft Teams の通知をフォーカス時間の間は、無音にするように設定できるようにもなっています。

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さて、以前アナウンスのあったバーチャル通勤 (Virtual Commute) の機能ですが、これは次の四半期に Viva Insights アプリにロールアウトされる予定だそうです。バーチャル通勤って何? と思った方は、次のビデオで確認してみてください。

Manager Insights 

Manager Insights は従業員をマネージメントする立場の人が、ストレスや燃え尽き症候群につながるような働き方のパターンを見出すのが目的です。具体的には、やたらに会議が多すぎたり、自分の仕事に専念できる時間が十分にとれていないといった傾向を見ることになります。

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Organizational Insights

直訳すれば組織レベルでの洞察ということです。組織全体としての働き方のパターンや傾向に光を当てようという試み。

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働き方だけでなく、従業員がどう感じているのかも重視します。

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アプリでその日の気分を報告している

ちなみに Manager Insights や Organizational Insights 機能を利用するには Microsoft Workplace Analytics を別途購入する必要があるとのこと。そのためか、セッションでは案外さらっと案内されて終わりでした(Microsoft Docs 等を見ているとこのあたりの Organizational Insights は Leaders Insights と表示されているようです)。

コンセプトは下記のビデオを見るとイメージしやすそうです。

[関連情報]

その他、時間の使い方への提案

Microsoft Viva アプリはストレスの低減のために、瞑想へといざなってくれます。

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瞑想(meditation) の実施

この辺は私自身が最近 Fitbit を使っているのですが、こうしたアプリでも同様に瞑想機能がついているので比較的最近ではなじみのある機能でしょう。となると、将来的にはスマートウォッチと連携したりするとよさそうですね。

他にもこのアプリは、1日の時間を計画的に使っていくためにいろいろと支援してくれます。たとえば、メンタルを休める時間を1日2回は確保するとか、新しいスキルの習得や自己研鑽のために勉強の時間を2時間まで確保するといったことができるようです。意識的にこうした時間を計画的に確保することは非常に重要ですね。

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Viva Learning

最後に Viva Learning 。コンセプトは「スキルの習得と成長」です。

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従業員のスキル習得は、各自のキャリア形成を支援するだけではなく強い組織づくりに役立つものです。 最近の LinkedInの報告によると、組織が教育や人材開発に投資することで 94% の従業員がより長く組織に留まってくれることが分かったそう。 人材育成に投資する組織は、良い人材の確保しやすくなるといえます。

Viva Learning は Microsoft Teams 内に学習用の中央となるハブを提供してくれます。従業員はこのハブから様々な教材にアクセスできるのです。Viva Learning でも AI を使って、適切なタイミングで適切な教材をユーザーに薦めてくれます。各教材(コンテンツ) は LinkedIn Learning, Microsoft Learn や独自コンテンツなどを取り入れられるようになっています。

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そのほか、主導型学習システムなどとも一緒に利用できるそう。

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Viva Learning のアプリは Microsoft Teams 内のチャネルタブとして追加もできるようになっています。チャネルタブとして追加するときに、タブを追加する人が目的のコンテンツをライブラリから選んで追加できるので、業務ごとに必要な教育コンテンツを用意しておけるということです。

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マネージメント側にもうれしい機能が用意されています。例えば、各メンバーの学習の進捗なども一覧できるようになっています。

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Viva Learning は 来月4月にパブリックプレビューになる予定です。

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最後に

Microsoft Viva は、Microsoft 365 がもつそれぞれの機能をうまく活用していくソリューションとしての真価を発揮する製品群といえます。こうしたツールを有効活用するためにも、こうした仕組みの要となる SharePoint や Microsoft Teams, Yammer  などもこれからも継続的に情報をキャッチアップしていく必要がありますね。

なお、ここで紹介しきれていない詳細は下記の関連セッションやブログなどのリンク先を参照してください。

関連セッション

その他の関連セッションは次の通りです。

Blog

Microsoft Viva の公式ブログです。

Microsoft Viva Blog - Microsoft Tech Community

今回の Ignite 2021 に関連するブログの記事は次の通りです。

公式ハッシュタグ

Microsoft Viva の公式ハッシュタグは #MSFTViva です。Twitter での情報発信および収集などで利用していきましょう。