2024年5月

2024年5月17日 (金)

Microsoft 365は検索機能を更新し、特定の自然言語ベースの検索サポートを2024年7月1日以降、廃止します。ただし、キーワードベースの検索機能は引き続き利用可能です。とはいえ、もともと日本人はキーワード検索が主流だったのでさほどインパクトはないとは思います。

Updates to natural language-based search in Microsoft 365 - Microsoft Support

ここからは個人的な見解です。もともとMicrosoft Search は Bing.com で培ってきた自然言語検索と SharePointが長年培ってきたキーワード検索とを包括的に使えるようになっていました。Microsoft Search は SharePoint だけでなく、Outlook, Teams などでも利用されてきたのです。ですが、ここにきて自然言語ベースの検索をやめてキーワード検索だけにするという発表があったということは、Microsoft Copilot for Microsoft 365 との差別化が進むということでしょう。Copilotはセマンティックインデックス検索を導入して、プロンプトからユーザーの指示の意図を推測して検索するという全く新しいタイプの検索を行います。従来の自然言語での開発は中止して、Generative AI へと全面投資することではないかと思います。

Microsoft 365 グループに接続されたチームサイトで利用できる Webパーツの一つに「Office 365 コネクター」があります。20240517_194637

このWebパーツが廃止になります。あまり利用されてこなかったことが原因のようです。公式情報は下記のサポート文書を確認してください。

コネクタ Web パーツを使用する - Microsoft サポート

タイムライン

  • 2024年6月15日以降…新たに接続を作成できなくなる
  • 2024年8月1日以降…既存の接続の更新や管理ができなくなる (完全廃止)

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Microsoft Puview のアイテム保持ポリシーで特定の SharePoint サイトに対して一定期間、コンテンツを保持するようにライフサイクル管理をしている場合、フォルダー内にファイルやサブフォルダーなどが含まれているとフォルダーごと削除できないという仕様になっていました。

ですが、2024年5月上旬から中旬にかけて新たなアップデートが展開されており、従来のように「空でないフォルダー」でも削除ができるようなりました。

OneDrive の同期アプリ

OneDrive の同期アプリでドキュメント ライブラリをオフライン同期している場合でも、削除したフォルダーがユーザーに再表示されることはありません。

2024年5月15日 (水)

Photo

SharePoint サイトで作成するページにはコメント機能があります。既定ではオンになっています。うまく利用すれば、閲覧者とのコミュニケーションの場として利用できます。

とはいえ、コメントが不要なケースもあります。その場合、ページ単位で有効・無効にはできます。それ以外にテナント全体で一括でオフにすることもできます。が、コメント機能が不要なのは自分が利用しているサイトだけで組織全員がどう考えているかまで把握できないものです。そこでサイト単位でオフにできないかという話になってきます。

実際にサイト単位での無効化はできるのですが、これはAPIを経由する必要があるため PowerShellなどを使わないといけません。SharePoint サイトを利用しているユーザーのほとんどは PowerShellに精通してはいないでしょうから、この選択肢をとるのもなかなか難しい。

そこで比較的ユーザーとして手軽な手段として Power Automate を使う方法を紹介します。Power Automate の SharePoint コネクターには「HTTP要求を送信」するアクションがあります。これを使うと SharePoint の REST APIを利用できます。

フローの作り方

今回は手動でトリガーするフローにします。次のようにフローを作成します。

20240514_193452

「SharePoint にHTTP要求を送信します」アクションは次のように構成します。

20240514_193633

まず、目的のサイトのURLを指定します。方法は POST を選択します。URIは「_api/web」と指定します。これで SP.Webオブジェクトを操作できます。

「すべてを表示」ボタンをクリックして、ヘッダーやボディの入力画面を表示します。

ヘッダーは次のように指定します。X-HTTP-Methodは大文字で “MERGE” を指定します。

Accept application/json;odata=verbose
Content-Type application/json;odata=verbose
X-HTTP-Method MERGE
If-Match *

ボディは次のようにJSONを指定します。CommensOnSitePagesDisabledプロパティの値を false にすることで無効化します。再び有効化したければ true にします。

{
"__metadata":{"type":"SP.Web"},
"CommentsOnSitePagesDisabled":"false"
}

以上でフローは完成です。

実行を試す

動画で確認してみてください。


YouTube: SharePoint ページ上のコメント機能をサイト単位でオフにする

Microsoft Forms のフォームへの回答結果が Excel ファイルと同期する機能がプレビューとしてロールアウトされる話については以前、記事を投稿しました。

SharePoint Technical Notes : Microsoft Forms: Excel とのライブデータ同期のサポート(プレビュー) (lekumo.biz)

[関連情報] Introducing Forms data sync to Excel - Microsoft Community Hub

2024年5月15日現在で確認したところ、すでにこの機能が予定通りロールアウトされてきているので改めて機能についてまとめておきたいと思います。

おさらい

まずはおさらい。新機能は次の通りです。

  • フォーム/クイズのページ上で自分の OneDrive 内に Excel ワークブックを作成できる
  • フォームへの回答はこのワークブックに自動的に同期される
  • ワークブックを Excel for the web で開いている間は新しい回答も自動的に同期される
  • Excelの共同編集者も Excel for the web 上で同期された回答を受け取れる

注意点は次の通り。

  • ライブデータをトリガーできるのは Excel for the web 上に限定される。データをデスクトップアプリで分析したい場合でも自動的に最新情報を受け取りたいのなら Excel for the web でファイルを開いておく必要がある
  • フォームはフォーム、Excel は Excel で別々に権限は管理することになる。要するにFormと同期するようにしたExcelファイルの編集者がその フォームの作成者になるわけではないということ

既存のグループフォームと Excel 用フォームも引き続き使えますが利用しているテクノロジーは古く、最終的にはすべてのフォームの種類が新しいソリューションへと徐々に移行する予定とのこと。

個人用フォーム/クイズの場合

個人用フォーム/クイズの場合は、「応答」タブで結果を表示するときに「Excel で結果を開く (プレビュー)」ボタンが表示されます。これをクリックするとここまでの応答を含む Excel ファイルが OneDrive (Business)内に作成され、同期が開始されます。作成場所は OneDrive 直下で、フォームと同じ名前のファイルが作成されます。

20240515_140414

作成された Excel ファイルを開くと、同期されていることを知らせるアクションバーが表示されます。

20240515_140634

実際の挙動は下記の通り。

グループ フォームの場合

グループ フォームの場合はフォームで初めて「Excel で開く」をクリックすると新規にExcel ワークブックが作成されます。作成先は、チームサイト内の「ドキュメント(Shared Document)」です。

20240515_141615

ちなみに、別ファイルとして保存する場合は、「Excel で開く」の横の三点マーク (...)をクリックし、「すべての回答を新しいブックへ同期する」を選択すると新規にExcelブックを作成して同期します。ファイル名は末尾に "1" などの数値がつき、一意になります。

クイズの対応は?

なお、現時点ではグループの場合は「クイズ」は Excel との同期は行われません。

ファイル名の変更

個人用、グループ用ともにファイル名は変更可能で、同期は引き続き行われます。

以上です。また GA された時に、何か変更点があれば記事にします。