カテゴリ「Microsoft 365 - SharePoint」の360件の投稿 Feed

2023年4月19日 (水)

下記のリンク先の記事によると、従来 SharePoint Syntex のシートライセンスを別途購入していないと利用できなかった下記の機能が、この夏(2023年)、Microsoft 365 E3, E5, A3, A5 のユーザーへと移管されることになったそうです。

  • コンテンツ クエリ
  • ユニバーサル アノテーション
  • アクセラレーター
  • タキソノミーサービス
  • ルール

Microsoft recognized as a Leader in Forrester Wave for Content Platforms - Microsoft Community Hub

結果的にユーザーごとに必要になっていた SharePoint Syntex は2023年7月1日に廃止され、その代わりに Microsoft Syntex の pay-as-you-go モデル(従量課金モデル)に移行されることになりました。

各機能の概要を確認しておきましょう。

コンテンツ クエリ

まずコンテンツ クエリですが、ライブラリにサイト列が追加されていれば、高度な検索が手軽にできるというもので、ライブラリ内に多くのドキュメントがある場合に難しい検索クエリを覚える手間が減ります。契約書などを検索するときに、任意のキーワードと組み合わせて、契約日の列の値で「いつから、いつまで」と範囲指定した検索などが容易にできるようになります。


20230419_163016

ユニバーサル アノテーション

PDFファイルなどにブラウザーから注釈を書き込む機能です。書き込むといっても直接ファイルを変更するわけではありません。詳しくは下記の記事を参照してください。

SharePoint Technical Notes : Syntex: PDFなどに注釈する (ユニバーサル アノテーション) (lekumo.biz)

アクセラレーター

チームサイトに対して素早く Syntex 機能を利用できるようにするための契約書管理や売掛金のサイトテンプレートを適用できるようになるというものです。

20230419_165847

タキソノミーサービス

用語セットの利用状況のレポートなどを管理者が利用できるようになるということですが、この記事だけだと詳細は未だよくわかりません。

ルール

ライブラリへのファイル保存時に列の値によってファイルの移動やコピーなどができる機能であり、Power Automate は必要としません。詳しくは下記の記事を参照してください。

SharePoint Technical Notes : SharePoint: ルール機能を使ったドキュメントの移動とコピー (lekumo.biz)

まとめ

個人的にこれはとてもインパクトのある変更だと感じています。より多くの人が手軽に新たなドキュメント管理機能が使えるようになれば、ドキュメント管理に課題を抱えている組織に対して私としても提案できる選択肢が増えることになります。

Microsoft Syntex のライセンスを持っているユーザーは SharePoint および OneDrive for Business に格納されているPDFファイルおよび TIFF形式のファイルにハイライトや注釈を書き込めるようになりました。この時、元のファイルは変更されません。この機能は Universal annotations (ユニバーサル アノテーション)と呼ばれます。

20230419_171429

2023年1月よりロールアウトが開始されており、2023年2月10日現在、このテナントで利用できるようになっています。当初は PDF と TIFF のみとのことですが、順次対応を拡大するとのことで、試すと *.ai ファイルも注釈を書き込めました。

実際の動作👇

この機能は、裁判の証拠や記録として保存するために文書を変更する必要がある場合でも、情報を呼び出したり、簡単にメモを取ったりする必要があるような法的環境で特に有用です。

[参考]

Microsoft Syntex: December updates and a 2022 wrap-up - Microsoft Community Hub

続きを読む »
2023年4月12日 (水)

以前、2023年2月10日付けの記事で、OneDrive for Business だけでなくSharePoint のドキュメント ライブラリから「ファイルを要求」できるようになったという記事を書きましたが、アップデート情報があったので、改めて記事にします。

SharePoint Technical Notes : SharePoint: ファイルの要求 - 社外からファイルを送付してもらおう (lekumo.biz)

軽くおさらい

この機能は社外のユーザーから指定したフォルダーにファイルを直接送信してもらう機能であり、フォルダーそのものは相手には見せないようにできるのがメリットです。そもそも社外にライブラリなどを公開するにはサイト単位で外部に共有できるように指定をする必要があったのですが、この機能を使うと社外への共有はさせずに「ファイルをもらうことだけ」ができます。

20230412_180812_2 [関連記事]

変更点

2月時点では OneDrive for Business 側から操作しないと「ファイルの要求」ができなかったのですが、2023年4月12日現在、SharePointのドキュメント ライブラリから直接指定できるようになりました! 

20230412_175233

公式情報

公式情報は下記の Tech Community に記事が公開されています。

Request external files into SharePoint document libraries (microsoft.com)

必要な設定

必要な設定に関しては前回の記事に書いた通りで、基本的にはテナントレベルのSharePoint管理者が共有ポリシーを「すべてのユーザー」に変えて、「[全員] リンクの有効期限とアクセス許可のオプションを選択します。」のフォルダー設定を「表示、編集、アップロード」にしていれば既定で設定は有効になっています。

無効にしたい場合は SharePointの管理者シェルで設定することになります。また「ファイルの要求」メニューが表示されない場合はテナントレベルでオフになってしまっている可能性があるためこれも PowerShellで確認および有効化する必要があります。

また、テナントレベルで有効にしつつ、特定のサイトでしか利用できないように制御することも可能です。これも PowerShellで設定します。

詳しくは下記のリンクを参照してください。

SharePoint または OneDrive でファイル要求を有効にする - SharePoint in Microsoft 365 | Microsoft Learn

おまけ: アップロード画面の違い

OneDrive for Business から共有する場合と比較すると、共有するときはアップロード画面に要求している本人の名前が表示されましたが、SharePoint の場合は「<サイト名>のメンバー」と表示されるようになっており個人を特定するようにはなっていません。

Photo

2月時点ではまだ未完成だったんですね。やっと、SharePoint から直接操作できるようになったので、うまく活用したいところです。

2023年4月 7日 (金)

Microsoft 365 で OneDrive や SharePoint の検索をするときに、さっき削除したばかりのファイルが検索結果にまだ出てきてしまうということがあります。これは検索インデックスにしばらく情報が残ってしまうため。とはいえ、通常は数分程度で検索結果からも削除はされます。ちなみに、この現象は Google でも同じように起こります。

私たちが日々 SharePoint などで検索できるよう、検索のための情報が定期的に作成されています。どこにどんな情報があって、そこにはどういった言葉が含まれているのかなどが登録されているのです。この情報は検索インデックスといいます。

Photo

このインデックスを定期的に更新するプロセスが検索クロールという処理です。Google などの他の検索エンジンでも検索クロールが定期的に行われています。

Microsoft 365 の場合はテナント全体で共通の検索インデックスがあり、ここには情報を保護するためにアクセス権限の情報も含まれています。

Microsoft 365 内では検索クロールのタイミングは特に公開されていませんが、新しくファイルなどを使いすると早ければ1分くらいで検索結果には表示されるようになるので、かなりの頻度でクロールされているようです。新規作成だけでなく、「消した」という情報のアップデートもクロールのタイミングで行われるため時差が生まれるのです。

さて、冒頭の削除したのに検索結果に表示されてしまうかもしれないという問題ですが、もし検索結果に削除済みのファイルなどが表示されたとしても、実際には実体は削除済みなので検索結果をクリックしてももう存在しないと言われるはずです。

20230407_154904

なお削除したコンテンツがどのくらい残っているのかはタイミングによります。実験すると数分で検索結果からも消えてくれることが殆どです。

アクセス権限と検索

SharePoint (および Microsoft Search)での検索結果はログインしているユーザーが持っているアクセス権限が反映されます。そのため閲覧できないコンテンツは検索結果には表示されません。自分には検索結果として表示されているファイルやページなどでも、他のユーザーにはそもそも表示されていないこともあります。

情報を漏えいしないためにも権限管理については、ユーザーといえども基本的な理解はとても重要です。

また、うっかり機密情報をうっかり共有してしまう場合に備えるファイルは秘密度ラベルという設定をすれば暗号化することも可能です。暗号化することで特定のユーザーしかファイルを開くことができないような制限ができます。秘密度ラベルの定義は組織全体で事前設定が必要なので、すぐに利用できない組織もあるでしょうし、すでに利用しているところもあると思います。なおファイルは暗号化すると検索ではヒットしなくなるというトレードオフもあり、うまく使い分けないと生産性は下がります。

秘密度ラベルに関しては弊社で研修も行っているのでご参考まで。

【オフィスアイ株式会社】Microsoft Purview コンプライアンス入門~Microsoft 365 ファイルおよびメールに対する機密情報保護と情報ガバナンス~ (office-i-corp.jp)

検索インデックスからの強制削除

かなり前はクロールに非常に時間がかかっていたため削除したコンテンツがしばらく残ることもよくありました。そのため、どうしても迅速に検索結果からも削除したいコンテンツがあれば、URLさえわかれば組織の管理者に依頼することで、検索インデックスから当該URLを削除してもらうこともできます。

SharePoint 管理者(※サイトの管理者ではなく、組織全体の管理者相当の管理者) は次の場所から検索インデックス内の特定のURLの情報を削除できます (下記の操作画面はオンプレミスのサーバー時代からあるものです)。ただ、前述した通り、現在は素早く削除情報もインデックスに反映しているようなので、数分程度待てば消えているはずです。どうしても消えていない情報があれば試してみるといいと思います。

  1. SharePoint 管理センターにアクセスする。
  2. [その他の機能]>[検索]の[開く]をクリックする。

    20230407_155129

  3. [検索結果の削除]をクリックする。

    20230407_155157

  4. 削除したいURLを入力して[今すぐ削除]をクリックする。

    20230407_155305




 補足: ごみ箱について

ごみ箱は最初から検索インデックスの対象外なので、クロールされてもインデックスに含まれることはありません。したがって、検索結果には表示されません。

2023年4月 5日 (水)

※あくまでも 2023年3月時点の情報です。現時点で Loop アプリはハブリック プレビューの段階です。

Microsoft Loop アプリ: Public Preview

2023年3月22日付(米国時間)で Microsoft Loop アプリがパブリック プレビューになりました。ちなみに、Microsoft Loop アプリの一部である Loop コンポーネント(旧名称: Live Component)は先行してすでに利用できる状況です。

Microsoft Loop には大別すると2種類あります。

  • Microsoft Loop コンポーネント
  • Microsoft Loop アプリ

この新しいツールを使いこなすには、この2つの違いをきちんと把握することが重要です。

Microsoft "Loop"とは?

Microsoft 社からの公式情報としては下記に公開されています。

YouTube

日本マイクロソフト社が公開している情報

"Loop" の意味とは? (個人的な見解)

Microsoft Loop と聞いたときに気になったのは "Loop" というキーワードです。どういった想いが込められているのかは製品名を確認するのが一番です。

なぜ、Microsoft は "Loop" という言葉を選んだのか?

"Loop" という言葉の意味するところは IT分野では循環構造、繰り返しなどの意味で使われます。つまりポイントは "情報の再利用" です。20年以上前から働き方を効率化するために言われ続けてきているのが情報の再利用であり、例えば手作業による単純なコピー&ペーストはデータの再利用として行われてきましたが、これにより情報の重複や最新情報がわからない、情報が更新されていないなどいろいろな課題もあります。

こうした背景を受けて、Microsoft Loop を使う上で  "Loop コンポーネント" の活用は重要なカギになります。

Loop コンポーネント

コンポーネントとは部品、成分、構成要素などの意味です。Loop コンポーネントは再利用したい情報を部品化したものです。次のような場所で Loop コンポーネントが使えるようになっています。

対話中心

  • Microsoft Teams チャット (オンライン会議のチャットも含む)
  • Outlook のメール

コラボレーション中心 (会話以外に情報の整理やブレインストーミングなどができる)

  • Word for the web
  • Microsoft Whiteboard
  • Microsoft Loop ページ

Microsoft Loop Public Preview の勉強会の実施

2023年4月3日に有志4名に登壇者として集まってもらい、無償の勉強会をオンラインで実施しました。Microsoft Loopコンポーネントと Microsoft Loop アプリの機能面での話をざっくばらんにしていますので、どんなものなのかについては下記のビデオで内容を把握していただくとよいと思います。

ご協力いただいたのが次の登壇者の皆さんです。ご協力をほんとうにありがとうございました!

📽️YouTube

📝資料

余談

Teams 会議を利用して参加者にはチャットも公開することにしていたため、あまり大人数過ぎても対応が難しいと考え、当初は登録者の上限を300名としていたのですが、おもったより反響が大きく最終的には400名を上限としました。そのため、上限を超えてしまいキャンセル待ちのまま参加できなかった方は申し訳ありませんでした。ちなみに、実際のオンラインの参加者は約300名ほどでした。歩留まり7~8割で、夜間の実施でしたが非常に多くの方にご参加いただけたことからも関心の高さが窺い知れます。

勉強会の内容のおさらいと補足

ここからは勉強会でも取り上げた内容をおさらいしつつ、補足していきましょう。

Microsoft Loop コンポーネント

Microsoft Loop コンポーネントの作成は次の場所から行えます(Whiteboard上からはコンポーネントは現時点では作れないが、作成済みのコンポーネントを貼り付けることはできる)。

  • Microsoft Teams チャット
  • Outlookメール
  • Word for the web
  • Microsoft Loop アプリ (ページ)

コンポーネントにはタイトルと内容が必要です。基本的にはタイトル名でファイルが作成されます(格納場所については後述)。内容は直接文言が書けますが、作成するときには箇条書きなどから始められるよういくつかの選択肢が提示されます。ツールによって既定の項目は異なります。

■Microsoft Teams チャット (日本語)20230402_215508_2

■ Teams チャット (英語)20230405_171246

■Outlook

20230403_003235

■Word

20230405_171621_2

格納場所

Microsoft Loop アプリ内のページ上から作成しない限り、Microsoft Loop コンポーネントは作成したユーザーの OneDrive for Business に実体が格納されます。拡張子はもともと .fluid ですが、4月から.loop に置き換わる予定です。

Loop

作成されたコンポーネントはそれぞれ OneDrive for Buiness 内の下記の場所に保存されます。

  • Teams チャット ⇒ Microsoft Teams Chat Files
  • Outlook ⇒ 添付ファイル
  • Word ⇒ Word Loop Files

各ファイルの実体への共有リンクを使って各場所から共有相手に公開することになります。

バージョン管理

OneDrive に格納されているファイルであるため、他のファイルと同様にバージョン管理されています。Loop_2

Loop コンポーネントのプレビュー表示

OneDrive または SharePoint サイトに格納されている Loop コンポーネントファイルをクリックすると直接コンポーネントの表示や編集ができます。

Photo

OneDrive for Business に格納されているファイルは移動できる?

勉強会内で実験しましたが、移動は可能で SharePoint サイトのドキュメントライブラリに持っていくことはできます。ただし、コンポーネントを参照していたチャットやメールなどはリンク先が変わるため、リンクを共有しなおす必要はあります。

共有リンクを取得しなおすには、SharePoint 上で .loop (.fluid) ファイルを開き、office.com でホストされるページが表示されたら共有リンクを取得します。20230405_170513

OneDrive だと退職時の扱いを考慮しておく必要がありますが、SharePoint にも移動できるのでその点は何かしら運用方法を考えておけば対応できるでしょう。

読み取りモードで共有できるのか? 

Microsoft 社が実施した Microsoft Loop AMA (Ask Microsoft Anything: 1時間限定で Microsoft のLoop担当者に誰もが直接リアルタイムに質問できるというイベント。時差を考慮して開催前に事前に質問を投稿しておくこともできる) で確認すると Loop は読み取り専用にできるのかという質問が上がっていました。

やり取りを読んでいると、リアルタイムに他のメンバーと一緒に最新情報に更新していくことを目的としているので本来は読み取り専用にするというのは相反する。なぜ、読み取り専用が必要になるのか。よくよく考えていくと、段階として「編集」⇒「最終化(finalization)」があるのだろうという理解に至ったと。

現時点では Loop コンポーネントファイルを直接クリックして表示されるSharePoint上の画面 (Office.com) からなら読み取り専用の設定が可能になっているとのこと。

この辺は勉強会の時にははっきりしていなかったんですが上記を踏まえて試しました。まずは共有リンクを生成するときに「読み取り専用」にオプションを変える。

20230404_185218

リンクをチャットなどで共有すると相手は編集できない。20230405_182916

オフラインで使える?

Webブラウザーで利用することを想定している機能であるため Microsoft Loop アプリもコンポーネントもローカルにダウンロードして利用することはできません。既定ではダウンロードメニューが利用できません。OneDrive の同期アプリなど使うとダウンロードできますが、利用する場合は必ず SharePoint サイトまたは OneDrive for Business 上で利用する必要があります。

Microsoft Loop アプリ

Microsoft Loop アプリは https://loop.microsoft.com からアクセスできます。

利用できるアカウント

現時点では Micorosft Loop アプリは組織アカウントでのみ利用可能であり、個人で利用する Microsoft アカウント(いわゆる MSA )では利用できません。

事前設定

勉強会でも話していますが、Microosft Loop を利用するにはテナント管理者による事前設定が必要であるため組織によっては利用できないこともあると思いますのでご確認ください。

SharePoint でループ エクスペリエンス (ループ アプリとループ コンポーネント) を管理する - SharePoint in Microsoft 365 | Microsoft Learn

※ただ、Microsoft 365 開発者プログラムにサインナップしていれば、組織とは関係なく個人が勉強目的で Microsoft 365 E5 の環境を無償で3か月間利用できます。勉強会に参加された方も、そうした環境で試している方も結構いらっしゃったようです。

ポリシー設定時のセキュリティグループについて

事前設定ではポリシーを構成する必要があり、その時にセキュリティグループの指定が必要になります。いろいろと検証していると Microsoft Loop アプリにはマイアイディアとワークスペースというものがあるのですが、これらは特殊な SharePoint サイトになっているようです。セキュリティ グループに指定すると、マイアイディアという個人用の場所(サイト)が作られ、ワークスペース(サイト)を新規に作成できるということのようです。ただし、新規にワークスペースなどを作成する必要がなければ、セキュリティメンバーに追加しなくても、既存のワークスペースにメンバーとして追加したり、特定のページのリンクを相手から共有してもらえれば使えます(試しました)。

ちなみに、このサイトはSharePoint管理センター上からは確認できませんが SharePoint 管理シェルからアクセスするとサイト一覧にこれが現れます。管理パスが"contentstroage"でサイトのパスは "CSP_" で始まります。サイトの管理者は設定されておらず(PowerShellからは取得できない)、サイトテンプレートは CSPCONTAINER#0 です。20230327_143505

Loop アプリの構造

Loop アプリには個人がアイディアを書き溜めるマイアイディアとチームのワークスペースがあります。

20230405_194951

アイディア内にページを複数作りますが、こちらは階層化できません。一方のワークスペースは階層化ができます(最大、入れ子は4つまで)。ページの中に直接文言を書いたり、一部を Loop コンポーネント化したりできます。

Loop_3

表 と Microsoft 365 アプリの比較

Microsoft Loop 内で表を作成できます。

20230405_181602

そもそも表形式での情報管理となると Microsoft 365 では複数の選択肢があり、適材適所での使い分けはしたいところ。

  • Excel スプレッドシート
  • Microsoft Lists (SharePoint リスト)

タスク管理に特化すると次のようなものがあります。

  • Microsoft ToDo 
  • Microsoft Planner

また目標管理といえば Viva Goals。OKRが利用できます。Viva Goals のタスク管理は Microsoft Planner と連携可能です。

さて、Loop の表機能では、勉強会でも試したようにいくつかの種類の列が追加できるようになっています。ただし、現時点では機能的には Microsoft Lists の方が機能は豊富であり、比較される Notion の表と比較的近いのは Microsoft Lists でしょう。

Microsoft Lists と Loop の表との現時点での違いを主な機能でざっと比較してみましょう。

機能 Loop Microsoft Lists
ビュー × リストビュー、カレンダービュー、ギャラリービュー、ボードビューなどがある
参照列 × ある
1行テキストの列
複数行テキスト
ファイルのリンクの添付は容易
投票 ×
通貨列 ×
日時
ユーザーとグループ
個人のみ
集計値 ×
数値列
列の集計、合計など ×
グループ化 ×
フィルター ×
ごみ箱 ×
Excel, CSVへのエクスポート ×
Power Platform 連携 ×

なお、これも勉強会でやりましたが タスクは Microsoft Planner と同期できます。ただ、Loop専用のプランが作られるため既存のリストとは連携させることができません。

勉強会では、Viva Goals で使う Planner のプランといっしっょにつかえないかなぁとつぶやきましたが、よく考えると Viva Goals 側でプランに対して同期するので、これと Loop 側との2重同期は難しいだろうと思っています(まだ試していません)。OKRとして管理するなら、Viva Goals で完結させた方がよさそうですね。その代わり、目標設定をしていくための、ディスカッションなり目標定義は Loop アプリと Loop コンポーネントを他のメンバーに公開しながらすすめていけるかなと思っています。

入力方法

ページ内では自由に書き込めますが、マークダウン記法も一部サポートしています。まだプレビューではあるので色々と試してみてください。

検索

Loop コンポーネントもページも全文検索(内容も含めた検索のこと)できます。検索する場合は、https://www.microsoft365.com/ (もしくは https://www.office.com ) から検索しましょう。

Loop だけを対象にしたければ "filetype:fluid OR filetype:loop <検索キーワード>" を組み合わせれば検索できます。

20230405_164620

外部共有

Loop コンポーネントも Loop ワークスペースおよびページも含め、現時点では組織内の利用に限定されており、社外への共有はできません。

Microsoft 365 Copilot (AI連携)

先日、Microsoft 365 Copilot が発表されました。Microsoft 365 の各ツールで Copilot として AI 機能が利用できるようになるとのこと。

Copilot in Loop 

今後、Microsoft Loop 内でも Copilot が使えるようになる予定です。まっさらから文章などを書き始めるのではなく、何かしら「作ってほしい」事柄のリクエストを Copilot に伝えることで、コンテンツを自動的に生成してくれます。現時点では日本語環境では使えませんが、今後に期待したいですね。

Reinventing collaboration with AI in Microsoft Loop - Microsoft Community Hub

価格体系

価格体系は詳細は GA (General Availability: 一般提供開始) までは不明です。現時点ではプレビューとなっており、プレビューの間は無料で利用できるとのこと。

Loop アプリと Loop コンポーネントのまとめ

勉強会をして感想として多くいただいたのが、利用シーンが浮かばないということ。これは SharePoint のページにも言えることで、どうしてもなんでもファイルに書き込んで共有するという文化が根強いと発想の転換はしにくいのではないかなと思います。Loop アプリはワークスペース内にページを複数作っていきますが、これは軽量化された SharePoint ページといったところで、Teams 内の会話だと情報の整理がしにくいですが、Loopだとこうした情報整理がしやすい。

このページは完成形というよりは手軽に編集できるという側面を考えると文字通りワークスペースとしての利用が適しているだろうと思っています。公式の情報は広く読み取り専用で公開するのであれば 従来通りSharePoint サイトのサイトページ(ニュースを含む)を使った方が制御しやすいでしょうし、SharePoint の強みとしては「検索」をベースに情報を自動的に収集できるところだと思っていて、その点は Loop は手動での情報収集なので、使い訳の観点はよく見極めておきたいと思っています。

あとイメージがどうしてもしにくいという方は、強く意識されていると言われている Notion の製品情報などを当たってみてもいいと思います。ページの使い方のヒントは色々と得られるだろうと思います。Notes を使ってきた方だとNotes DBっぽさもあり、操作していると割と感覚はつかみやすいのではないでしょうか? 

個人的にはツールは次のような使い分けで考えています。

ブレインストーミングで頭の中をざっと1枚の紙の上にそれぞれ展開して、整理していく過程は Whiteboard で。レイアウトが自由なので一斉に何か書き始めても、他のひとの場所とかさならない。

Microsoft Loop アプリはページが主体で、ページは SharePoint ページなどと同じでとにかく自由に情報を書き溜めていくのですが、Whiteboardのようにレイアウトは自由ではなく、Wordに近いレイアウトなので担当する段落を最初に決めておかないと一斉の書き込みはしにくい。また、基本的に参加者は共同編集者となり、そこが魅力でもあるのでブレインストーミング後の情報の整理、企画書のための素材情報とか、会議の議事録などによさそう。

Microsoft Loop コンポーネントは何を部品化するのかがポイント。そもそも部品化はなぜ必要か? といえば、次の点があげられるでしょう。

  • 他のメンバーと共同して常に最新情報を保つ
  • メンバーが直接書き込んでしてかまわない
  • コメントが欲しい
  • これによって合意形成がその場でできる

こういったものが必要になるものは何があるだろうかと考えるわけです。チャットやメールを見返してみてもいい。「確認してください」とか「追記して返信してください」というような内容の類からあたってみるとよいでしょう。

例えば、次のような事柄がコンポーネントに向いていそうです。互いに確認して必要があれば、その場で追加修正を行うようなもの。

  • チェックリストの洗い出し 
  • タスクの割り当て、進捗管理
  • 日程のなどの調整 (投票機能がある)
  • セミナーなどの概要のチェック

具体的には例えば、議事録を Loop ページで取るようにする。議事内容と次のアクションアイテムをタスクとして書き出しておく。このタスクがコンポーネント化されていると、誰が何をするかなどの進捗確認などをチャットに素早く持ち込める。そして、次回の議事録のページにそのまま貼り付けることができるので、常に最新情報が各議事録に引き継がれていく(単なるコピーではないので)。※ちなみに、この機能は Meeting Notes という機能として Teams に搭載されるようになるようです。ライセンスなどは未定ですが、Microsoft 365 ロードマップに開発中となっています。

そう考えていくと、合意形成ではやはりチャットが便利で、どうしてもTeamsが使えない場合は Outlookで合意形成をライブで行うというスタイルが大切だろうと。だから、最初に Loopの肝である Loop コンポーネントが登場して、まずはチャットと Outlookで使わせたのだなぁと思うのです。

最後に

勉強会では機能の調査がメインで、Microsoft Loop の利活用シーンをあれこれ考えてみるところまで至りませんでした。

いずれにしても、各組織にあった使い方シナリオは、自分たちで作り上げていかなといけないでしょうし、何よりそうした利用シーンをベースにした体験型のユーザー教育も最初は必要だろうとなと思います。自分たちの業務に即した形で。

あとは管理者は何を気を付ければいいかという話ですが、情報漏えい対策あたりがまずは急務かなと思っています。試しましたが、DLPはすでに動いてはくれています。

またGAのタイミングあたりで、今回の内容を基礎知識編として、次回は応用編として利活用シーンについてワイガヤしたいなぁと思っています。