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2020年12月23日 (水)

このブログではこれまでも Microsoft Lists について機能などをご紹介してきましたが、そもそも Microsoft Lists は SharePoint リストと何が違うのか、よく理解できていない方が多いのではないでしょうか。

そこで今回は Microsoft Lists の機能面ではなく、「なぜ、Microsoft Lists 」なのか、という点をしっかりと取り上げておこうと思います。そして、今後の展望も確認していきたいと思います。

なお、この記事は Office 365 Advent Calendar 2020 に参加しています。

Office 365 Advent Calendar 2020

(おさらい) Microsoft 365 の Microsoft Lists アプリ

まずは基本的な内容をおさらいしましょう。Microsoft 365 の Microsoft Lists リストアプリは アプリ一覧から利用できるようになっています。

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ユーザーが利用できるリストの一覧が表示されるだけでなく、リストの新規作成もできます。 2020-12-23_14-08-16

これだけでなく、Microsoft Teams 内からも Microsoft Lists アプリが利用できるようにもなっています。詳しくは後程。

大切なのはSharePoint サイトを意識させず利用できること!

よく言われることなのですが、Microsoft Lists は基本的には SharePoint リストそのものです。ですから、管理したり他人にリストのことを説明する立場にある人は必ず SharePoint リストの基本的な使い方と管理方法を学んでおきましょう。

ここからはSharePoint リストを知っている前提で書き進めます。

SharePoint リストはあくまでもサイト内の1つの機能であるため、リストにアクセスしたり、リストを作成したりするには「サイト」を意識する必要があるわけです。リストだけが使いたくても「SharePoint サイト」が必要です。たとえば、「まずはサイトにアクセスしてから、リストへアクセスする」こともあれば、リストのURLをピンポイントに知っていたとしてもサイトの画面内にリストが配置されるため、サイトを強く意識することになります。

[SharePoint サイト内のリスト]

サイト内のリスト

一方の Microsoft Lists は SharePoint サイトをあまり意識させません。たとえば、Microsoft 365 の Lists アプリを利用すれば、いきなり「リスト」が作成できます。もちろんリストの作成先は SharePoint サイトを選ぶ必要がありますが、Microsoft Lists アプリからアクセスすると画面はリストだけを表示してくれるため 利用者からすればSharePoint サイトを意識しなくてもよいようになっています。

平たく言えば、「SharePoint リストの機能だけを使いやすく改善していこう!」といったところでしょうか。余談ですが、Microsoft Lists アプリからリストにアクセスしたほうが、見た目が少しファンシーな感じです。

[Microsoft 365 のMicrosoft Listsアプリ]

Microsoft Lists アプリ

データベースとリストの関係

SharePoint リストのデータはバックエンドのデータベース (Azure SQL)に格納されており 、リストにはこれまでSharePoint サイト経由でアクセスしてきましたが、新たに Microsoft Lists からアクセスするアプローチも増えたということです。SharePoint サイトからアクセスしても、Microsoft Lists アプリからアクセスしても表示される、列、ビューなどは一緒です。またMicrosoft Lists のリストのアクセス権限管理は SharePoint リストとして管理することになるわけです。機能的な制約も SharePoint リストと同様です。

[SharePoint リストと Microsoft Lists の関係のイメージ図]

イメージ図

Microsoft Lists の発表は SharePoint リストを大幅に進化させる大義名分

2020年の5月に Microsoft Lists が発表されたことで、これにあわせてベースとなる SharePointリストの側も大幅なアップデートが追加されていくことになりました。発表されてから、この記事を書いている 2020年12月現在までに新機能としては主に次のような機能が追加されています。

  • 「クイック編集」メニューの名称が「グリッドビューでの編集」に変更された
  • グリッドビューで複数アイテムのコピーができるようになった
  • グリッドビューに新たなビューのオプションとして「高さを固定」と「高さを自動フィット」が追加された
  • グリッドビューで列の書式がサポートされるようになった
  • グリッドビューで、「元に戻す」「やり直し」が利用できるようになった
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  • 新たにカレンダー表示できるビューが作れるようになった
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  • ギャラリービューが利用できるようになった
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  • アイテム単位でコメントが書けるようになった
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  • SharePoint ホームページからのリスト作成画面が Microsoft Lists と共通化した
  • リスト作成時に Microsoft Lists のテンプレートが利用できるようになった
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トラッキングアプリの意味

ところで、Microsoft Lists はマイクロソフト社からは「トラッキング アプリ」だと説明されています。何かを追跡するということです。では、これの意味するところは? 一番のポイントはアイテム単位で「コメント」なり「チャット」なりのコミュニケーションが取れることにあります。この部分は 「SharePoint リスト / Microsoft Lists 」を使っているのか、「Teams 内の Microsoft Lists」アプリを使っているのかで、すこし機能が異なってきます。

「SharePoint リスト / Microsoft Lists 」では、アイテムのタイトル列のところやコマンドバーにある[会話](吹き出しのアイコン) をクリックすることで、アイテム単位でコメントが書けるようになっています。ちなみに、現時点では @メンションはできません。ロードマップ上は、メンションもできるようになるようです。

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つまりアイテムを起点として、ことの経緯がコミュニケーションをとりながら追いかけられるということです。

Microsoft Teams 内でも Microsoft Lists アプリがタブとして追加できるようになっています。これもおさらいですね。

このようにして Microsoft Lists をチームのチャネルに追加すると、アイテムの表示や編集画面は Teams のウィンドウに適したレイアウトになります。さらに、アイテムごとのコメントは Teams のチャット機能が利用できるため、@メンションなども自由に行えます。コミュニケーションにおける表現力でいえば、コメント機能より強力です。このように、Microsoft 365 の Lists アプリを使うにせよ、Teams 内の Lists アプリを使うにせよ、アイテムごとにコミュニケーションをとりながら「ことの経緯」を追いかけられるというのが、リストの魅力の一つと言っていいでしょう。

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まだ発展段階にある Microsoft Lists 

Microsoft 365 Roadmap に公開されている Microsoft Lists の機能のうち、In Development (開発中) になっているものだけを取り上げてみました。ちなみに、下記のファイルは弊社の SharePoint 上で共有している Excel ファイルです。
全画面表示したい方は下記のリンクをクリックしてください。

2020年12月現在の Microsoft Lists の開発中の機能一覧

今後にも期待!

ということで、まだまだこれから新機能が続々と投入されてきます。

個人的には

  • Microsoft Lists のモバイルアプリ
  • ルール作成
  • フォームカスタマイズ

あたりが期待しているところですが、皆さんはどんな機能に興味を持たれたでしょうか?

今年は本当にいろんなことが様変わりして大変な一年でしたが、来年は少しでも状況が改善しているといいなと祈りつつ、皆様よいお年をお迎えください。

2020年12月17日 (木)

SharePoint のドキュメント ライブラリでは任意のプロパティを持たせることができます。これにより、ファイル名からだけだと内容が推測できない場合も、プロパティを見ればおよそ内容が把握できるようになります。このプロパティの値は、ファイルをアップロードするたびにユーザーがつど設定する必要があり、なかなか面倒です。

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たとえば、 Excel のファイルを例に、SharePoint のライブラリに Excel ファイルがアップロードされたら、自動的にファイルの内容を読み取って必要な情報をプロパティに設定してもらえるようにしたい。

そこで登場するのが Office ScriptsPower Automate です。

なお、この記事は Office 365 Advent Calendar 2020 に参加しています。

Office 365 Advent Calendar 2020

Office Scripts は Web用の Excel (Excel Online) 上で利用できるスクリプトであり、TypeScript で記述します。これと Power Automate を組み合わせると実に様々な処理が可能です。とはいえ、Office Scripts を利用するには Office 365 E3 または E5 のライセンスが必要であり、テナントレベルで機能がオンになっている必要があります。既定でオンになっていますが、テナント管理者のさじ加減で設定がオフにされていることもあるので、組織内で確認してください。また Office Scripts は 2020 年12月、現在まだプレビューの状況です。

実際の動作を確認するためにデモンストレーションと構築方法をビデオで公開しました。詳しくは次のビデオ (YouTube) をご参照ください。

ビデオの補足情報

SharePoint サイト側では任意のドキュメント ライブラリを用意します。このデモでは次の列を4つ追加しています。

  • 見積金額…通貨
  • 組織名…1行テキスト
  • 部署名…1行テキスト
  • 担当者名…1行テキスト

Excel は次のサンプルファイルを用意しています。類似したファイルを用意して試すとよいでしょう。

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Office Scripts は次のようなスクリプトを用意しています。

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これを次のような Power Automate のフローで呼び出します。

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2020年10月 3日 (土)

現在、Microsoft 365 上でのビデオ共有を行う場所としては次の2つがあります。

  • Microsoft Stream
  • Microsoft 365 内のSharePoint (OneDrive for Businessを含む)

この2つには機能差があり、大規模な人数でビデオストリームを利用する場合は Microsoft Stream を利用し、小規模の場合は SharePoint を使うというような使い分けをしてきました。

この Microsoft Stream は独自のプラットフォームを使っているのですが、これが今後 SharePoint ベースとなり新しい New Microsoft Stream となることが先日の Microsoft Ignite 2020 で発表されました。

Microsoft Stream の変遷

ここで少し変遷を見てみましょう。Microsoft Stream が登場する前は Office 365 Video というサービスがありました。その後、Microsoft Stream が登場するのですが、時間軸で見ると次のようになっています。

Streamの変遷

  • 2014年… Office 365 Video 登場 (SharePoint ベース + Microsoft Azure Media Service )
  • 2017年… Microsoft Stream 登場 (独自プラットフォーム + Microsoft Azure Media Service + AI)
  • 2020年…New Microsoft Stream がアナウンスされる (SharePoint ベース + Microsoft Azure Media Service + AI)

見るとわかる通り新しい Microsoft Stream の基盤は再び SharePoint ベースに戻るということです。ここ数年で SharePoint を土台としたコンテンツ 管理の仕組みも大幅に進化し、検索や AI やコンプライアンス管理などの機能面では飛躍的に性能が向上しています。Microsoft Graph もかなり機能が充実してきました。そんな中での満を持しての SharePoint ベースへのプラットフォームの移行となったようです。

ちなみに、現状での Microsoft Stream のメリットをざっと挙げてみましょう。

  • ビデオのトランスクリプトおよびキャプションの自動生成 (文字起し)
  • ノイズ低減
  • Microsoft Teams との連携 (ビデオ会議の録画を自動的にアップロードしてくれる)
  • SharePoint 上で再生するより細かな速度調整などが可能
  • 画面操作の録画

以上のような魅力的な機能がある反面下記のような課題があります。

  • 検索のしにくさ (日本語は特に検索でヒットしない、Microsoft Search でも検索できない)
  • 一覧のしにくさ
  • ビデオの公開範囲の分かりにくさ (独自の権限管理機能を持つ)
  • コンプライアンス対応の遅れ
  • 分析機能があまり充実していない など

さらに、Office 365 Video 時代から長年、リクエストは上がってきていたもののついに Microsoft Stream になってもついに実現されなかった外部共有機能などもあります。外部共有は匿名アクセスも含めた外部へのビデオ公開のことです。

新しい Microsoft Streamへ

現在の Microsoft Stream は クラシックとして位置づけされ、今後出てくる新たに SharePoint プラットフォーム上に構築される Microsoft Stream は New Microsoft Stream となり、Microsoft 社が公開する各種の公式ドキュメントでは現行の Microsoft Stream は 「Microsoft Stream (クラシック)」と表記されるようになっています。

予定されている機能は次の通りです。

New Microsoft Stream

新しい Microsoft Stream についての公式ドキュメントは下記のリンク先に公開されています。

この公式情報を見ると Microsoft Stream の説明は「the intelligent video app in Microsoft 365」となっており、日本語で訳せばそのまま「インテリジェント ビデオ アプリ」ですね。"インテリジェント" と名がつくと、何かしら仕組みの中で AI が取り入れられているということです。

またマイクロソフトが掲げる Microsoft Stream の新しいビジョンは次の通り。

Our vision is that Microsoft Stream will empower every Microsoft 365 user to achieve more with fast, intelligent video.

このビジョンを達成するために次のことを行うとのこと。

  • Stream expands its role to unlock the intelligence of Microsoft Graph and enhance videos across the Microsoft 365 services.
    ⇒StreamはMicrosoft Graphのインテリジェンスのロックを解除し、Microsoft 365サービス全体でビデオを拡張する役割を拡大します。

  • Stream web app follows the model of the Office web apps to easily work with video like any other document format.
    ⇒Stream Web アプリは、Officeウェブアプリのモデルを踏襲し、他のドキュメント形式と同様にビデオを簡単に操作できるようにします。

  • Stream videos—like any files—can be uploaded and accessed from Teams, Yammer, SharePoint, and OneDrive.
    ⇒ストリーミング ビデオは、Teams、Yammer、SharePoint、OneDriveからアップロードしてアクセスできます。

  • Stream leverages the power of SharePoint content services to store and manage video using integrated Microsoft 365 compliance, governance, permissions, external sharing, go local storage, bring your own keys, and government environments.
    ⇒Stream は SharePoint が持つコンテンツ サービス管理機能を活用して、統合された Microsoft 365 コンプライアンス、ガバナンス、パーミッション、外部共有、ローカル ストレージの利用、独自のキーの持ち込み、政府機関の環境を利用して動画の保存と管理を行います。

  • Stream is flexible to allow customers to use a provided video portal template to easily modify and brand their own video portals or fully customize and integrate video experiences with their intranet and Microsoft 365.
    ⇒ストリームは、提供されたビデオポータルテンプレートを使用して、独自のビデオポータルを簡単に変更してブランディングしたり、完全にカスタマイズしてイントラネットやMicrosoft 365にビデオ体験を統合したりすることができる柔軟性を備えています。

  • Stream delivers new intelligent capabilities including faster and more effective consumption of video content, quick location and extraction of relevant snippets of video, and easy end-user tools to capture screens and record video in Stream and across all Microsoft 365 apps.
    ⇒ストリームは、動画コンテンツのより迅速かつ効果的な使用、ビデオに関連するスニペットの素早い位置情報と抽出、エンドユーザーが簡単に画面をキャプチャして録画できるツールなど、新しいインテリジェントな機能を提供し、すべての Microsoft 365 アプリで利用できます

新たな Microsoft Stream のコンセプトは Microsoft 365内で扱う他のファイルと同様に SharePoint 内でビデオも音声も格納できるようにすることで、従来 Microsoft Stream で培ってきたビデオ共有機能と SharePoint が持つファイル管理機能とを組み合わせて、利点を最大化しようということですね。もっとも、ビデオファイルだけ Microsoft Stream の独自の世界で管理するというのは、ツールを使いこなすうえでは Microsoft Teams や SharePoint などの日々使うツールと使い分けが必要で、操作もシームレスさに欠けていたのは事実でしょう。

ユース ケースは次のように変化します。

Stream (クラシック)

まずはクラシックは次の通り。ビデオ ファイルは他のファイルとは別に格納する必要があり、Microsoft Stream 内にファイルをアップロードし、管理し、Stream 内へのリンクを SharePoint や Teams など別途追加する必要があります。

ファイルの共有、編集などの操作

Apps-do-stuff-files-self
ファイルを作成する & 自分のファイルに戻る Apps-file-creation-self-stream-alone
ストレージ & ファイル群 Apps-storage-extensions-self-stream-alone

 

New Stream

新しい Stream では次のように変わります。Office アプリケーションのファイルなどと同様に、ビデオファイルは Teams や Yammer などどこからでもアップロードでき、自動的に SharePoint プラットフォームに格納されます。そしてビデオファイル自体は、SharePoint, OneDrive, Yammer, Teamsなどどこからでも Stream ビデオとして扱われ、今後権限設定なども他のファイルと同じように行えます。

図を見ていると、現在 SharePoint 内に格納する mp4 などのビデオは、再生時にはSharePointにビルトインされている専用のビューアーが使われますが、これが Stream ベースに置き換わるということなんでしょうね。

ファイルの共有、編集などの操作

Apps-do-stuff-files-video
ファイルを作成する & 自分のファイルに戻る Apps-file-creation-video-stream-merged
ストレージ & ファイル群 Apps-storage-extensions-video-stream-merged

Microsoft 365でビデオ管理する方々は SharePoint の基本機能をきちんと理解しておくことが、今後ますます重要になってきますし、SharePoint を担当する管理者の方は Stream の知識も持ち合わせる必要があると言えます。

そしてこの変更により、今度こそ、外部共有を実現できるようですし、また Graph API を使ったビデオ コンテンツへのアクセスも可能になるとのこと。ビデオポータルを自分の好きなレイアウトで作るといったこともできるようになりそうです。学習用ポータルなんかも柔軟に作れるのではないでしょうか? ここに期待しています。

再生

最近のアップデートで SharePoint に格納されるビデオは Azure Content Delivery Network (CDN) にキャッシュされる仕組みに変更され、再生と信頼性が向上しています。このアップデートは 2020年9月から World wide でのロールアウト中となっています。

「SharePoint: Caching SharePoint videos on the Azure Content Delivery Network (CDN) to improve playback and reliability - ID: 66065

Stream はクラシックの場合は、ビデオをアップロード時に事前にエンコードして暗号化するようになっています。その後、複数のビットレートと解像度でアップロードし、再生時にはCDN を経由して適切なビットレートでストリーミングできるようになります。

現在、OneDrive と SharePoint でビデオ再生するときにはビットレートに応じて次のような再生技術がつかわれているそうです(これは知らなかった!)。

  • 3Mbps ビットレート未満またはビデオ自体が5Mb未満の小さなサイズのビデオは、プログレッシブ再生する
  • 中程度のビットレートのビデオ(3-50Mbps) は、ジャストインタイム(Jus in time) エンコーディングを使ってビデオ再生する。誰かがクリックして動画を再生し、複数の人が同じ地域から動画を再生する際に、CDN 上で動画の暗号化された部分をキャッシュすることで、その場に適したビットレートのストリーミングを行えるようになっている
  • 大きいビットレート(50Mbps 以上)は、サービス内では再生できないため、いったんローカルにダウンロードして再生する必要がある

今後、新しい Stream は、OneDrive や SharePoint に存在する上記の再生技術を改善し、動画のビットレートやコーデックを気にする必要のない Stream (Classic) に匹敵する高品質でパフォーマンスの高い再生体験を実現するとのこと。動画をアップロードするだけで、Streamは視聴者がスケールに合わせて再生できるようになるそうです。

Microsoft Teams 会議の録画

現在、Microsoft Teams 会議は録画すると自動的に Microsoft Stream 上にアップロードされますが、New Steamの登場により格納先が変わります。チャット内での会議の録画は OneDrive for Business へ、チーム内での会議の録画は SharePoint に格納されるようになります。特に気を付けたいのは OneDrive for Business  です。容量が1人当たり1TBあるので、録画を格納する場所としてはここを使えれば、容量的には大抵の場合は余裕があると思います。とはいえ、その人が退職した場合にどうするのかを考える必要があり、録画の保持期限をどうするかという一定のルールは必要になるでしょう。

  • 2021年Q1に Teams 会議の録画は Microsoft Stream には格納されなくなる
  • チャット上での録画は個人の OneDrive for Businessへ、チーム内での録画は SharePoint 上に格納される

SharePoint または OneDrive に録画を格納する場合の制限事項は次の通りです。

  • There will be English-only closed captions and transcripts. (英語のみクローズドキャプションとトランスクリプトが利用できる)
  • You won't be able to search transcripts or their content.(トランスクリプトやコンテンツ検索はできない)
  • You won’t be able to edit the transcripts, but you'll be able to toggle captions off/on.(トランスクリプトは編集できないが、キャプション表示のオン/オフはできる)
  • You can control with whom you share the recording, but you won't be able to block people with shared access from downloading the recording.(だれと録画を共有するかを制御できるが、録画を共有アクセスできる人にダウンロードをさせないようにはできない)
  • You'll not get an email when the recording finishes saving, but the recording will appear in the meeting chat once it’s finished. This will happen much quicker than it did in Stream previously (録画の保存の完了通知をメールで取得することはできない。その代り、録画が終わるとミーティング内に録画が表示される。以前の Stream よりも素早く録画にアクセスできる)

OneDrive および SharePoint への移行は 2020年10月より(今月から!) 段階的に開始されます。

Microsoft Stream を使い続ける場合は11月にオプトアウトする必要があるとのこと。詳しくは下記のリンク先も参照してください。

 

移行

今後はクラシックから New Stream への移行が必要になってきます。

そこで誰もが気になるところがストレージ容量。これは SharePoint のストレージを消費することになります。もともと Office 365 Video は、SharePoint ストレージを消費する仕様でしたから、元に戻るということですね。ですから、以前にも増して保持期限なども考慮したいところです。1時間のTeams会議で約400MBほどのファイル容量となるため、ここからベースを算出するのがよさそうです。保持期限に関しては保持ラベルとポリシーを使って自動的なクリーンナップも可能になります。

また一定の日数が経過すると会議の録画を自動削除したり、逆に長く保持するフラグ設定する機能なども予定しているとのこと。

We are also going to be adding a new feature for all license types that expires and deletes meeting recordings automatically after a certain number of days, with the ability for the admin to change that limit, and for the user to flag specific recordings that need to be kept longer.

New Stream はリリース当初は、クラシック Stream と比較するとデグレードする部分もあり、日本語の文字起しなどがまだ利用できないようですが、これが使えるようになれば、ビデオの内容を文字起しし Word ファイルに格納して保存するといったアーカイブ方法も取れるでしょう。

ちなみに直接 Stream には関係ありませんが、英語ではあれば Word on the web が利用できます。これを使うことで録音からの文字起し機能が利用できます。参考:「Transcribe your recordings

これから提供される予定はあるものの、提供開始日が未定となっているのは次の通りです(※部分は私の心の声)。

  • OneDrive と SharePoint のビデオで使用されるストリームビデオプレーヤーおよびプレーヤーページ
  • 古い録画をクリーンナップするための Microsoft Teams 会議録画の自動有効期限
  • ビデオ用の強化されたSharePoint Webパーツ  (※専用の Webパーツが出てくるのか、ファイル ビューア Webパーツがアップデートされるのかは不明)
  • 音声およびビデオのトランスクリプトとクローズドキャプションの生成機能 (※これが早く欲しい)
  • トランスクリプトの検索 (※ Microsoft Search で検索できるということでしょうね)
  • トランスクリプトの情報ガバナンスのサポート (電子情報開示、法的情報保留など)
  • IT 管理者による継続的な改善と新機能のサポート (クラシックストリームから新しいストリームへの移行)
  • クラシックストリームから新しいストリームへのエンドユーザーによる移行のサポート
  • 特定のビデオに関するニーズをよりよくサポートするための Microsoft Graph File API に対する改善
  • プレイリスト (※これは今までなかったな。一応チャネルがこれに該当するといえばするか。。)

 

以上、Microsoft 365 は進化し続けていますが、いち早く情報収集を行い新しい変化に備えておきましょう。

 

2020年9月26日 (土)

Microsoft Ignite 2020 にて SharePoint の新機能も多く紹介されました。

ポータルサイトにまつわるところを取り上げてみましょう。結構、多いですよ~。

App Bar 

左端に新たなメニューとして App Bar (アプリ バー) が登場。ここから SharePoint ホームサイト、ニュースなどにアクセスできるようです。

※SharePoint ホームサイトって何? という方は調べてみてください。
※弊社の研修でも取り扱っています⇒「SharePoint モダン ポータルサイトの設計・デザイン・展開ワークショップ

AppBar

App bar - news

自動ニュース ダイジェスト

ユーザーごとに未読のニュースを自動的にメールで配信してくれます。

News Digest Mail

Microsoft Edge 内へのニュースの表示

SharePoint のニュースが Microsoft Edge 内にも表示できるようになるようです。

Edge - News

そもそも、新しいEdge (クロミウム ベース)では、設定から既定値の「Microsoft News」から 「Office 365 」に切り替えられるオプションが用意されています。

Edge - Settings 02

現時点でこれに切り替えると Office 365 ホームページと同様のものが表示されます。ここの挙動が変わるようです。

Edge - Settings 03

SharePoint ホームが Teams 内にアプリとして追加できる

SharePoint ホームサイトが Teams 内にパーソナルアプリとして追加できるようになります。

Teams-pages-embed

Home site apps in Teams

詳しくは下記に記事が公開されています。

Embedding modern SharePoint pages in Microsoft Teams as personal apps (preview)

拡張ヘッダーオプション

ヘッダーのレイアウトに拡張オプションが追加されます。これにより、背景画像や文字などを指定できるようになります。

Extended Header

ページやニュースを Yammer や Teams 上で簡単に共有する

従来のメール送信機能に加え、ページ上からYammer や Teams 上に投稿できるようになります。

Page Share - Yammer - Teams

ニュースのブースト(押上げ)機能

組織内の重要なニュースをフィードのトップに押し上げる機能。オプション設定によっては、期待する閲覧数の上限を設定して、そこに達するまでブーストを続けることもできます。

Boost

ブーストされたニュースは自動ニュース ダイジェストにも重要なニュースとして配信されます(未読でなくても)。ブーストされているかどうかがひと目でわかるように雷マークがつきます。

Boost - News Digest

セクションのオプション (アコーディオン、タブ)

セクションにオプションが加わります。アコーディオンとタブ。

Section - New Options

アコーディオンで指定すると、セクションが折りたためるようになります。

Section - Accordion

タブにもできる。

Section - Tab 1

タブにすると、例えば複数の ニュース Web パーツをタブで切り替えるなんてことも!

Section - Tab 2

現在のところ 2020年11月にリリース予定 (SharePoint : Modern pages get collapsible sections)
https://www.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365/roadmap?filters=SharePoint%2CIn%20development&searchterms=67147

ページの利用状況分析

ページ単位での利用状況分析が表示できるようになります。

Page Analyitcs 01

Page Analytics 02

読み終わり時間の予測

ページ編集時に、画面上部にユーザーがこのページを読み終わるまでにかかる時間の予測が表示されます。これにより、ページ内のコンテンツの長さなどを調整し、ユーザーにとって読みやすいように工夫できるというわけ。

読み終わるまでの時間

 

クイック リンク Web パーツ (対象ユーザー機能の追加)

リンクごとに対象ユーザーが指定できるようになります。

Quick Links - Target Audience

組織図 Webパーツ

2020年10月リリース予定 (ロードマップ Feature ID : 67131)

組織図Webパーツ

画像ギャラリーのオプション (Masonry)

Masonry (石積み) が増えます。

New 画像ギャラリー

ちなみに、現在は次の通り。

画像ギャラリー - 2020 Sept

Web パーツ ドラッグ時のプレビュー

既に一部のテナントにはロールアウトされていますが、Webパーツを移動させるときにWebパーツの内容がクイックプレビューできるようになっています。

Preview - Webパーツ

ひとまずこんなもんかな。あとは、はロードマップ。

 

関連コンテンツ

2020年9月23日 (水)

Microsoft Ignite 2020 にて SharePoint 管理センターの最新情報が公開されました。このことに関しては下記 Tech Community に情報が公開されています。

SharePoint admin and migration announcements at Ignite 2020

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日本語で要点を整理しておきましょう。

SharePoint 管理センター ホームページ

現在の管理センターと比べられるように、まずは現行のホームページのスクリーンショットを掲載しておきます。

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現在は全体的なサイトの利用状況の傾向が大まかにわかるという程度で、それほど詳細なレポートはありません。

ここに、Microsoft 365 管理センターと同じようにカード機能が追加され、モニター機能が強化されます。

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このカードはボタンなどが用意されており「アクション可能なカード(Actionable card)」とも呼ばれます。具体的には次のようなカードが配置できるようになります。SharePoint の Webパーツのような感覚で自分の管理ホームページが作れるということですね。注目すべきは OneDrive の情報も SharePoint 管理センターから徐々に確認できるようになってきているところでしょう。また、これからProject Cortex でも重要になってくる用語ストアや、機密情報管理に必要な秘密度ラベルに関してもカードが用意されているというのも重要です。

·         Site search (サイト検索)

·         Message center (メッセージセンター)

·         Service health (サービス正常性)

·         Active users (アクティブユーザー)

·         SharePoint site usage (サイトの利用状況)

·         SharePoint file activity (ファイルのアクティビティ)

·         SharePoint storage usage (ストレージの利用状況)

·         Sites creation breakdown (サイト作成 ブレイクダウン)

·         OneDrive usage (OneDrive の利用状況)

·         OneDrive file activity (OneDrive ファイル アクティビティ)

·         Term store operations (用語ストア 操作)

·         Sensitivity labels across sites (サイト間での秘密度ラベル)

これに加えカスタム カード作成もできますが、こちらは検索ドリブンなカードとのこと。がカスタム カードの画像です。作り方はこのページの下部にあるビデオを見るのが早いです(38分前後あたりを見るといいですよ)。

SP-admin_Ignite20_006_custom-search-cards

他にもホームページの上部には「SharePoint に関する改善案」をお勧めしてくれる「proactive recommendations」も追加されます。下図でいうところの「Modernize your root site」と表示されているものが、これにあたります。

SP-admin_Ignite20_005_home-page-4

SharePoint 管理者として役割を割り当てられたユーザーはホームページは自分でカスタマイズ(パーソナライズ)できるようになっているため、他の管理者のことを意識せずに、カードの入れ替えなどは使う人の利便性に併せて自由にカスタマイズができます。

SharePoint admin center - updated home page dashboard | Roadmap ID: 68812.

あと、これは個人的にとても良い改善だなと思ったのが、「アクティブサイト」の一覧です。ここに「そのサイトがどこから作られたのか」を表示する Created from 列が追加されます。この列には PowerShell, APIや Microsoft Teams などが表示されます。

SP-admin_Ignite20_007_created-from

手元のテナントで確認したところ、この列は利用できるようになっていました。日本語だと「作成元」ですね。

CreatedFrom

また各サイトが Microsoft Teams に関連づいているかどうかをひと目で確認できるようになります。 ようは、Microsoft Teams のアイコンが表示されます。既に Microsoft 365 管理センターのグループ一覧ではこれが確認できているので、ようやく SharePoint 管理センターにも入ってきたかぁという感じではありますね。

SP-admin_Ignite20_008_connected-to-Teams

それから、OneDrive 管理センターへの統合が着々と進みつつあるのだなということを感じさせるのが、設定メニューです。たとえば「削除済みユーザーのOneDriveの保持期限」設定や、既定のストレージ容量などの OneDrive 関連の設定もここからできるようになります。

SP-admin_Ignite20_011_OneDrive-settings

最後に、マイクロソフト社が買収した Mover 関連。

SharePoint 管理センター上で、3rdパーティのクラウド ストレージから直接、コンテンツ移行ができるようになる。まずは Box.comのようです。ただ、私のところの研修などに来られる方に伺うと、日本ではSharePoint ではなくて Box と Teams との併用をするという組織が少なからずいて、Box から SharePoint への移行を考えているという話はあまり聞かないので(あくまでも少ないという個人的な印象です)、これはそんなに引きが強くはないかもしれません。

ということで、この記事ではご紹介程度にとどめます。詳しく知りたい方は元の Microsoft Tech Community の記事をご確認ください。

SP-admin_Ignite20_009_Box-migration-1

けど、クラウドストレージに関しては、日本国内以外でのトレンドがどうなっているのか。どこかで情報を仕入れたいところです。

以上の内容は ビデオでも公開されています。下記も併せてご確認ください。

ということで、まずは SharePoint 管理センターに関する情報でした!