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2021年6月13日 (日)

Microsoft 365 の SharePoint で「ポータル起動スケジューラー」機能が利用できるようになっています。少し前に PowerShell による構成ができるようになったのですが、現在、Webブラウザーを使って簡単にこの機能がつかえるようになっています(2021年6月13日現在、ロールアウト中)。

トラフィックが高いサイトへのスムーズなアクセスを提供する

数週間で10,000 から 100,000 を超える閲覧者からのアクセスがあるようなトラフックの高いポータルサイトがあったとします。このポータル ラウンチ スケジューラーを使うことで、新しいポータルに対してユーザーがスムーズにアクセスできるようになります。

このスケジューラーを使うことで閲覧者をウェーブ(Wave) に分け、新しいポータルへのアクセスを段階的にロールアウトできます。サイトへのアクセス権限設定は最終的なサイトの公開を想定し事前に設定しておきつつ、ユーザーを第一波、第二波などに分けながら徐々にサイトアクセスできるユーザーを拡大していけます。例えば、第一波はパイロットユーザーのみに限定し、それ以外のユーザーは第二、第三波の期日になるまではサイトにアクセスさせません。アクセスできるまでは、たとえURLがわかったとしても任意のサイトやページに強制的にリダイレクトすることができます。

注意事項等の確認

ポータル起動スケジューラーの公式ドキュメントは下記の通りです。

Launch your portal using the Portal launch scheduler - Microsoft 365 Enterprise

このうち確認項目の一部抜粋しておきます。とはいえ、詳しくは公式ドキュメントを確認してください。

  • この機能は、2021 年 5 月からターゲット リリースのお客様向け SharePoint コミュニケーション サイトのホーム ページにある 設定 パネルからアクセス可能になり、2021 年 7 月までにはすべてのユーザーが利用できる予定です。
  • このツールの PowerShell バージョンは現在利用できます
  • この機能は、最新のコミュニケーションサイトでのみ利用できます 
  • ポータルの起動をスケジュールするには、サイトのサイト所有者レベルの権限が必要です
  • 起動は少なくとも 7 日前にスケジュールする必要があります。各ウェーブは 1 日から 7 日間続く場合があります。
  • 必要なウェーブの数は、予想されるユーザー数によって自動的に決定されます。
  • ポータルの起動をスケジュールする前にSharePointページ診断ツールを実行して、サイトのホーム ページが正常な状態にあるか確認する必要があります。
  • 起動が終わると、サイトへのアクセス許可を持つすべてのユーザーが新しいサイトにアクセスできるようになります

ポータルのラウンチ ロールアウトを計画する

この機能を単なるリダイレクト機能として受け止めないようにしましょう。しっかりとしたラウンチのロールアウト計画に基づいて実施する必要があります。これを計画するには、Microsoft 365 上でのSharePoint におけるキャパシティプランニングや負荷テストについて基礎的な内容を把握しておくことが大切です。

プランニングに関する公式ドキュメントは下記のリンク先に公開されています。

Planning your portal launch roll-out plan in SharePoint Online - Microsoft 365 Enterprise

要点として押さえておくべきところをまとめてみました。

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クラウド上にある SharePoint はマイクロソフト側で毎日数百万の大規模ユーザーに対してサービス提供ができるように設定しており、キャパシティプランニングを常に行い、チューニングしています。もちろん、テナントの成長は予測ができないことも多いのですが、リクエストの総数は時間の経過とともに予測できるようになります。SharePoint Online の成長傾向を把握することで将来の拡張計画が立てられるわけです。効率的にキャパシティを使用し、予期せぬ成長にも柔軟に対応できるよう、どのファームに対しても、様々な要素を追跡監視しています。その指標の一つに CPU負荷があります。この指標をフロントエンドサーバーのスケールアップするためのシグナルとして利用しています。またSQL環境は時間の経過とともに負荷や成長に応じてスケールアップしていくため、フェーズやウェーブに従うことで負荷や成長を適切に分散させることができるため、フェーズ/ウェーブアプローチを推奨しています。

キャパシティは単にハードウェアを継続的に追加することではなく、キャパシティを管理・制御することで負荷要求に確実に対応することを意味します。ユーザーが最高の体験ができるように、マイクロソフトが推奨するガイダンスに従っていただくことをお勧めします。また、サービス内での「悪質な」行為を許さないために、スロットリングパターンとコントロールを設けています。すべての「悪質な」行為が意図的なものではありませんが、その行為の影響を確実に制限する必要があります。スロットリングとその回避方法についての詳細は、「スロットリングを回避する方法」をご覧ください。

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推奨ガイドラインに従ってページを最適化する

ポータルサイトは推奨ガイドラインに従って、ページの最適化を常に行っていくようにしましょう。そのために SharePoint 用のページ診断ツールを使うとよいでしょう。

オンラインのページ診断ツールを使用SharePointする - Microsoft 365 Enterprise

Wave / Phased ロールアウトのアプローチをとる

サイトをラウンチするための従来のビッグバンアプローチによる、カスタマイズ、外部ソース、サービスなどの検証は許可されていません。

推奨されるのはウェーブ ロールアウト計画に従ったサイトのラウンチです。次のフェーズに進む前にロールアウトを一時停止して問題を解決することもできるため、問題の影響を受けかねないユーザー数が少なくて済みます。 SharePointは利用状況と予測された使用状況に基づいて容量を拡大縮小するのでサイトのラウンチをマイクロソフトに通知する必要はありませんが、サイトのラウンチを成功させるためにガイドラインに従うようにしてください。

各ウェーブの間に機能やパフォーマンスに関するユーザー フィードバックを収集します。 こうすることで、ゆっくりとシステムを導入しながら、システムの使用の進み方に従って改善策を講じられるという利点があります。サイトが徐々に多くのユーザーに展開されるとともに、ガイドラインに従ってページが最適化されることで、マイクロソフトとしても負荷の増加に対応できるようになります。

ポータル ラウンチスケジューラーについて

ポータル ラウンチ スケジューラーは以前は PowerShell による設定しかできませんでした。サイト内から利用できるツールとの違いは次の通りです。

PowerShell 版

  • SharePoint 管理者の権限を使って PowerShell を実行する必要がある
  • 最小要件としては1つのウェーブがあればよい
  • UTCタイムゾーンに基づいてスケジュールする必要がある

サイト内のツール (In-product)版

  • サイトの所有者が実行できる
  • 最小要件として2つのウェーブが必要
  • サイトの地域の設定に基づく時間でスケジュールできる

使い方

使い方の詳細は公式ドキュメントに書かれています。この中でも大事な点だけ抜粋しましょう。

1.権限を設定する 

ポータル ラウンチ スケジューラーを使う前に、サイトの所有者、サイトのメンバー、訪問者を使ってサイトにアクセスする必要があるユーザーをすべて追加します。たとえば、全社員がアクセスするポータルの場合は「外部ユーザーを除くすべてのユーザー」を訪問者として指定しておきます。

2. スケジュールの開始方法を確認する

スケジュールの開始方法は2つ用意されています。1つは、ホームページを編集して再発行する際にページのバージョンが3.0 になるまでの操作であり、もう一つは設定メニュー(歯車)から[サイトの起動をスケジュール]をクリックする方法です。

ホームページを編集して再発行する場合は、バージョンが3.0になるまで、ポータル ラウンチ スケジューラーの使用を求めるメッセージが表示されます。この時[再発行]をクリックすれば、スケジュールすることなく即時、ページが発行されます。スケジュールしたい場合は[起動をスケジュール]をクリックします。

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歯車アイコンから[サイトの起動をスケジュールする]をクリックする場合は、歯車アイコンの[サイトの起動をスケジュールする]メニューを使えば好きなタイミングでサイトの起動をスケジュールできます。

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ではスケジュールを開始してみましょう。最初に現れる画面にはスケジュールに必要な全4つの工程が表示されています。しかし、[次へ]が押せない。

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そこでいったんホームページに戻り[ページの診断]ツールを実行します。

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ページ診断ツールを開始する

診断後に特に問題がないことが確認されたら診断を停止します。

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診断結果からサイトに特に問題ないことがわかる

再びサイトの起動スケジューラー画面にアクセスします。すると、今度はページの正常スコアが表示され、[次へ]がクリックできるようになります。ということで次へをクリックします。

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続いての画面では予想されるユーザー数やリダイレクト方法、リダイレクト先のURLを指定します。

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予測されるユーザー数を指定する
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リダイレクト方法を選択する
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リダイレクト先のURLを指定する

指定が終わったら[次へ]をクリックします。次はウェーブを指定します。先ほど選択したユーザー規模数により指定できるウェーブの数が自動で決まります。なお、Webブラウザーからの設定では最低でも2つのウェーブが必要ですが、PowerShellから行う場合はウェーブは1つだけを指定することもできます。

各ウェーブの開始日時と各ウェーブで開放する相手となるセキュリティグループをそれぞれ最大20個まで指定できるようになっています。なお、指定する日付はウェーブ1は今日から7日後以降の日付を指定します。その後は各ウェーブは前のウェーブと最低でも24時間空けて指定することになります。また、ウェーブに関係なくアクセスできるユーザーを「ウェーブから除外されるユーザー」として指定できるようになっているのですが、ユーザーまたはセキュリティグループを指定します。

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[次へ]をクリックします。ここまでの設定の確認画面が表示されるので、内容を確認したら[送信]をクリックします。

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最後にスケジュールが正常に開始されたことを示すメッセージが表示されます。

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動作を確認するとウェーブが来る前に当該ユーザーがサイトにアクセスすると事前に設定したURLに強制的にリダイレクトされるようになります。

まとめ

以上、独断と偏見で要件をまとめると、日々 SharePoint のユーザーがスムーズに利用できるように Microsoft 側もインフラをチューニングしているので、サイトアクセスにかかる負荷が予測しやすいように、また変に過負荷にならないようにガイドラインに従ってサイトはロールアウトしてほしいということでしょう。ガイドラインに従うことで、さっとページが開けるようにもなるわけでお互い Win-Win の関係にもなるわけですから、こうした点も踏まえたポータル構築・運営を心がけたいですね。

 

2021年4月 7日 (水)

モダンサイト用の新たなサイトテンプレートが利用できるようになります!

[Microsoft 356 Roadmap]

新しいサイトテンプレートの概要

サイト テンプレートはシナリオベースとなっており、各テンプレートにはあらかじめ入力されたコンテンツやWebパーツが含まれており、組織のニーズに合わせてカスタマイズも可能。モバイルでも利用できるとのことです。

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テンプレートの選択画面
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テンプレートの適用とプレビュー

SharePoint look book で公開されているものと同じようなものなのかなと思っていたのですが、画面を見る限りデザインは異なっているようです。

クラシックな SharePoint サイトは比較的手軽にテンプレート化できましたが(といっても課題も多かったですけど)、モダンサイトにはこれがなく、似たようなことをしようとするとサイトデザインとサイトスクリプトを自分で用意する必要がありました。新たなサイト テンプレートは、このサイトデザインをビルトインで Microsoft がいくつか新たに用意するよということです。まだサイトデザインやサイトスクリプトについて学習していない方は、この機会に学習して準備しておきましょう。ということで、従来のサイト デザインが「サイト テンプレート」と呼ばれるようになります。

"以前のバージョンの SharePoint では、サイト テンプレートはサイト デザインと呼ばでしたが、今後はサイト テンプレートと呼ばれます。" 

SharePoint サイト テンプレートを適用およびカスタマイズする - Office サポート (microsoft.com)より引用

ロールアウトの時期

まずは対象指定リリースのテナントから段階的に導入されることになるということで、標準リリースとなっているテナントでは利用できるようになるのは少し先になるようです。

  • 対象指定リリース(選択されたユーザーまたは組織) : 4月下旬から5月中旬
  • 標準リリース : 5月中旬から6月下旬

なお、この新しいテンプレートは無効化することはできないとのこと。

利用可能なシナリオ ベースのサイトテンプレート

コミュニケーション サイトとしては従来のショーケース、トピック、空白以外に、次の4つが追加されます。

イメージ テンプレート名 説明
256b4b21-4480-4ee3-a9c5-9537c115575a 部署 閲覧者と部門のニュースを関連付け、今後のイベントを強調表示し、頻繁にアクセスするファイルに簡単にアクセスできます。
15e9d40c-2a7c-4102-a864-8697bce9d893 リーダーのつながり (Leadership connection) 会話、ニュース、イベントに参加して、リーダーとチーム メンバーをつなげて、組織の文化を構築します。
F87d13fb-ccf0-4239-a5aa-612c6c2d13b6 ラーニング の中心 (Learning Central)  イベント、ニュース、および特別なカリキュラムリソースを紹介する 1 つの場所として、組織内でユーザーが最初にたどり着くサイトです。
8a61badc-7178-4e38-9818-265299fbf325 新しい従業員のオンボーディング  新入社員の研修プロセスを通じて新入社員を関与して指導することで、新入社員のオンボーディングを合理化および調整します。 

「ラーニングの中心」というサイトテンプレートは、なんだか日本語としてしっくりこないので実際にロールアウトされるときにはそのままカタカナでラーニング セントラルなどになるのではないかなと思っていますが、社内外の研修の情報を整理するのに必要な Webパーツなどがそろっていそうです。オンラインでの研修が可能なのであれば、これとMicrosoft Teams のウェビナー機能を組み合わせていくとよさそうです。

あとは、従業員のオンボーディングとありますが、この辺りは Microsoft Lists にも同じ名前でテンプレートが用意されており、これと組み合わせると入社したらやるべきことを整理できそうです。もちろん、不足する部分は Power Apps でアプリを作ったり、Power Automate で自動化することも念頭に入れておくことが大切でしょう。

あと、コミュニケーションサイト テンプレートがベースであるため、コミュニケーションは必要があれば、 Yammer を使って補っていこうというのが、テンプレートの特徴の一つです。例えば、リーダーシップのつながり サイトもリーダシップチームとのコミュニケーションは、 Yammer で行うことを前提としたテンプレートになっています。

チームサイトとしては従来のテンプレートに加えて新たに次の4つが用意されます。なお、従来のチームサイトのテンプレートは「チームの共同作業」という名称になるようです(独り言 : サイトのフィーチャーにも「チームの共同作業」というのがありましたが、サイト自体がシナリオベースになったことで、サイトの一機能だったものが格上げされたような印象です)。

イメージ テンプレート名 説明
12319460-3768-42a8-adda-4e4cccc31668 イベントの企画 チームとイベントの詳細を調整して計画します。 既製のイベントのまとめとイベントの状況に関するニュース投稿テンプレートを使用して、チームを最新の状態にすばやく更新します。
93b79ce3-73ff-4d63-b9e8-b2811956f837 プロジェクト管理 頻繁に使用するツールにアクセスし、プロジェクトの更新を共有し、会議のメモを投稿し、チームドキュメントをアップロードできる、チームの共同作業スペースを作成します。
D4502edd-cfd0-46fa-bb35-7e855ee0fe21 トレーニングとコース コースのリソース、ニュース、イベントを共有して、コースの参加者と学生を特定の学習機会に備えます。
2f24fb97-d7ea-4054-adec-e7f009983197 トレーニングと開発チーム  ブレーンストーミングを行い、他のユーザーの学習と成長を支援する機会を計画します。

このチームテンプレートは、基本的には Microsoft 365 グループとともに使うことになるでしょうから、Microsoft Teams のチームと組み合わせて利用することになることを想定しておくことが大切だといえそうです。

プロジェクト管理の場合は、チームメンバーで Teams上で会話しファイル共有をしていくことに加え、サイト機能もうまく組み合わせる必要があるところでしょう。テンプレートだけではなく、どんな使い方をしていくとよさそうか、組織内でディスカッションできるといいでしょうね。ということで、Teams でチームを作るときにプロジェクト管理を行う用途なのであれば、このテンプレートを適用しておくとよさそうです。

そのほか気になるのはトレーニング(研修)関連です。「トレーニングとコース」は、主に先生と生徒の間で利用することを想定しているようです。Teams を使ってオンラインでのコミュケーションに加え、ファイル共有など含め研修参加者や学生との情報共有をする場として利用しやすいように、Webパーツ等が事前設定されているようです。「トレーニングと開発チーム」は講師や先生同士でのコミュニケーションを支えるサイトテンプレートのようです。カリキュラムの相談や学生もしくは社員の育成に関してやり取りする場として使えそうです。たとえば、ここで話あった内容から Microsoft Viva Learning のコンテンツが決まるといったフローも考えらそうです。

新しいサイトテンプレート(サイトデザインとサイトスクリプト)を利用するメリット

サイトデザインとサイトスクリプトは、従来のサイトテンプレート化とは概念が全く異なります。従来のサイトテンプレート (*.wspを作る場合) は、鋳物の鋳型のようなものでサイト作成時に選ぶ必要があり、サイト作成後にはテンプレートがアップデートされたとしても、よくも悪くも影響を受けませんでした。

一方のサイトデザインとサイトスクリプトですが、サイトスクリプトと呼ばれるスクリプトを SharePoint 管理者が用意します。これは JSON形式で書かれたサイトの部品作成指示書のようなものであり、Aというスクリプトを実行するとリストが作成される。Bというスクリプトを実行するとナビゲーションとサイトのテーマを変更する。といったように、複数のスクリプトを用意できるようになっています。サイトスクリプトはそのままでは実行することができず、サイトデザインというものにひとまとめにしていく必要があります。たとえば、コミュニケーションサイトには「トピックス」や「ショーケース」というサイトデザインがあります。このサイトデザインを適用したら、AとBのスクリプトを呼び出そうとか、Cだけ呼び出そうとか、そういうようなことができるわけです。つまりこのアプローチというのは、空白のコミュニケーションサイトまたはチームサイトのテンプレートからサイトを作って、一から手で設定していく内容を Excel のマクロのように自動化するという発想がベースとなっています。

そのため、サイトデザインは、作成後のサイトに再適用できるのです。この点が、従来のサイトテンプレートとは発想が大きく異ります。

以上のことから、新たなサイトテンプレートというのは新規にサイトを作成するときに選べますし、既存サイトにも適用できます。新たなリストが作られたり、テーマが適用されたり、ナビゲーションが追加されてりすることになります。心配なのは既存のリストやライブラリ、ページがすべて置き換わってしまうのかという点だと思いますが、基本的にこれはありません。基本的には足し算または上書きであり、すでにあるものはそのままです。これはサイトデザインとサイトスクリプトの挙動がそうなっているためです。

サイトデザインについて学ぼう

不安のある方は、とにかくまずはサイトデザインとサイトスクリプトを学習しておきましょう。独自のサイト テンプレート作成もできますが、結局この部分は自分でサイトデザインを作る必要があるのです。

独学したい方は下記に情報が公開されていますので、これが参考になります。

SharePoint サイト デザインとサイト スクリプトの概要 | Microsoft Docs

また実際に試せる環境があるのがベストですので、Microsoft 365 開発者プログラムにサインアップして、気軽に利用できる自分用の学習用テナントを手に入れることも大切です。このプランは学習用途のものなので運用環境としては利用できませんが、Microsoft 365 E5の機能が25シートまで付属しており、これを無料で試せます。詳しくは下記のリンク先を参照してください。

Microsoft 365 開発者プログラムに参加する | Microsoft Docs

新しいテンプレートを利用するために準備すること

新しいテンプレートを利用するために準備することとして、まずはユーザーにこうしたテンプレートが利用できるようになることの周知をすることが大切です。

すでに Microsoft のサポート文書が公開されているので、まずはこれを確認することでしょう。

SharePoint サイト テンプレートを適用およびカスタマイズする

このページ内で大事なのは FAQ の部分です。特に抑えておくべきところを書き出しておきます。

  • サイト デザインを適用するには、サイトの所有者権限以上が必要
  • ハブに関連付けられている場合は、テーマは従来通りハブから継承することになる。テンプレートを適用してすぐにはテンプレートのテーマが自動的に使われるものの、発行後しばらくするとハブのテーマに更新される
  • 一度サイトテンプレートを適用すると、自動的に元に戻すことはできないが、手動で元の状態に戻していくことはできる(ナビゲーションを削除したり、テーマを更新するなど) ⇒ ※筆者注※前の状態を覚えておくことができれば、の話ではありそうですね。
  • サイトの[設定]パネルに表示される[サイト デザイン]が[サイトテンプレート]に置き換えられる

ということで、新しいテンプレートの知識をしっかりと身に着けるには「サイトデザインとサイトスクリプト」について学んでおいた方がいいよ、ということでもありますね。

2021年3月10日 (水)

昨年 Microsoft Stream の新しい Stream 機能が発表され、段階的な移行が既に始まっています。

そこで移行に向けて情報を整理しておきたいと思います。

まず手始めに把握すべきは、Microsoft Teams の録画の保存先が従来の Stream のストレージではなく、 OneDrive for Business または SharePoint にとって代わることになるということです。このことに関しては以前にもブログに投稿しています。未読の方はご一読ください。

SharePoint Technical Notes : 新しい Microsoft Stream と SharePoint (lekumo.biz)

現在の移行に向けたスケジュールの確認

Microsoft 社が公開している新たな Stream に向けたロードマップは次のリンクを確認しておきましょう。

Use OneDrive for Business and SharePoint for meeting recordings - Microsoft Teams | Microsoft Docs

この一部下記に抜粋します(少し読みやすく翻訳を変更しています)。

日付  イベント     
2020 年 10 月 5 日

(完了)      
Teams 会議ポリシーを有効にして、会議の録画を Microsoft Stream (クラシック) ではなく OneDrive for Business と SharePoint に保存できるようになる
2021年1月7日より開始

(完了)      

組織の Teams ミーティング ポリシーを変更して明示的にストリームに設定しない限り、新しい Teams ミーティングの記録はすべて OneDrive for Business と SharePoint に保存されます。

引き続き Microsoft Stream (クラシック)に保存する場合は、ポリシーの値を明示的に Stream に設定する必要があります。

2021 年 7 月 7 日から段階的に展開する 

すべてのお客様 (エンタープライズ、教育、GCC)
Microsoft Stream (クラシック) には、新しい会議の記録を保存できません。ユーザーがをチームの会議ポリシーを Stream に変更した場合でも、すべての顧客の会議記録は、OneDrive for Business と SharePoint に自動的に保存されます。

 

お客様がリリースのタイミングをコントロールできるように、この日までにこの機能をロールアウトすることをお勧めします

会議の録画の保存場所の確認

今後の録画の保存場所は次の通りです。

チームのチャネル以外の会議の録画

レコーディングしたユーザーの OneDrive for Business / レコーディング フォルダー内に保存されます。

チャネル会議の録画

チームに紐づく SharePoint サイトの「ドキュメント」ライブラリ内の「チャネル名」>「Recordings」フォルダ内に格納されます。

ダウンロードを禁止する方法の確認

チーム会議以外の場合は、録画は OneDrive for Business に保存され、同じ組織内の参加者にはこの録画へのリンクが読み取り専用で渡されます。とはいえ、ダウンロードはできる状態となります。

チャネル内での会議以外で会議を開催したときに社外のメンバーがいる場合は録画に対して権限は付与されません。そのため閲覧もダウンロードもできない状態となります。しかし、社内のメンバーの場合は表示のみのリンクが表示され、これのリンクが Teams 内に共有されます。

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一方でチーム内のチャネル上での会議の場合、チームメンバーがアクセスできる SharePoint サイトに録画ファイルが格納されることになるため基本的にはチームメンバーはファイルの削除やダウンロードできてしまいます。

このように、会議の開催および参加方法によって生成される録画ファイルに付与される権限や保存場所が異なります。詳しくは下記のリンク先を確認してください。

OneDrive for Business と SharePoint を使用して会議の記録を行う - Microsoft Teams | Microsoft Docs

2021年4月以降の変更 

チャネル会議以外の録画については読み取り専用のリンクは、既定でダウンロードを禁止するオプションがオンになった状態で生成されるように変更されます

しかし、引き続きチャネル会議ではチームメンバーに対して SharePoint サイトの既定の権限が付与されることになるため、[編集]アクセス許可レベルが付与されることになります。またチームの所有者はサイトコレクションの管理者権限となるわけです。そのため、ダウンロードなどが許可される状態になります。

したがって機密性の高い内容が録画されるようなケースではダウンロードを含めて制限するために、チャネル会議は使ってはいけません。OneDrive for Business から必要なメンバーにダウンロードを禁止した形でリンクを配ることが必要です。

将来的にはチャネルの録画の取り扱いに関しては新しい仕組みが出てくるようですが、今のところ詳細は不明です。

なお、これらの変更は新たに作成される録画に対してだけ影響し、既存の録画ファイルの権限を自動で変えるようなことはありません。

この変更の適用時期は次の通りです。

  • 2021年4月上旬から6月上旬まで

会議の録画の保存先をOneDrive および SharePoint に切り替える方法の確認

2021年7月7日以降は Microsoft Stream(クラシック) には新しい会議の録画を保存できなくなります。

しかし、これより前に保存先を OneDrive for Business および SharePoint に切り替えることもできますし、逆に Stream のままにしておくこともかのうです。こうした変更には PowerShell を利用し、Teams の会議のポリシーを変更します。従来通り Stream をしばらく使い続ける場合は次のコマンドを実行します。

制約についての確認

SharePoint や OneDrive for Business 上に格納された録画に関して現時点では下記のような制限事項があります。

  • クローズド キャプションは英語のみ対応
  • トランスクリプトの表示、編集、検索などは行えない
  • トランスクリプトは編集できないが、キャプションのオン/オフを切り替えられる
  • 記録を共有するユーザーを制御することはできるが、共有アクセス権を持つユーザーが記録をダウンロードできないようにすることはできない
  • 記録の保存が完了しても、メールは送信されない。完了したレコーディングは、会議のチャットに表示される
2021年3月 8日 (月)

Microsoft 365 の SharePoint (SharePoint Online)では、2021年3月よりアプリバー(App Bar) が順次ロールアウトされています。

これは大幅なアップデートの一つとなっており、テナント内のすべての SharePoint サイト(現時点ではモダンサイトのみ)の共通ナビゲーションとなるものです。

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画面左端に表示されているのが App Bar (アプリバー)

そのため、サイト単位でカスタマイズするといったことはできません。また、テナント管理者が一時的にこの機能の利用を延期することはできますが(2021年10月31日まで延長は可能)、将来的にはどの SharePoint サイトにも表示されるメニューになっています。

うまく構成すれば複数のSharePoint ハブへの行き来が容易になるので、しっかりと活用しましょう。

私が管理しているテナントの一つは「対象指定リリース」として指定しており、いち早くこの機能が利用できるようになりました。そのため、実際に私の環境をベースに解説していきたいと思います。

読み進める前に

この記事を読み進めるには SharePoint モダンサイトと SharePoint ハブや SharePoint ホームサイトの基礎知識が必要です。少なくとの下記の記事を未読の方は、一読してから読み進めてください。

SharePoint ハブ (Hub) を利用しよう (weblogs.jp)

メニューの構造

アプリバーはすべての SharePoint サイトの左端に表示されます。既定では次の4つで構成されます。

  • グローバル ナビゲーション
  • 個人用サイト
  • 自分のニュース
  • 自分のファイル

[動作イメージ(音声なし)]

グローバル ナビゲーション

ホーム(家)のアイコンをクリックすると表示されるナビゲーションです。既定ではここには、 SharePoint スタートページにリンクされます。ただし、テナント内でSharePoint ホームサイトを設定している場合はグローバルナビゲーションをカスタマイズできます。

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個人用サイト

個人用サイトは、SharePoint スタートページと同様にフォローしているサイトと最近使ったサイトが表示されます。

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自分のニュース

AI がログインユーザーに対してお勧めのニュースを表示してくれます。

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自分のファイル

ログインユーザーが最近使ったファイルが一覧表示されます。

グローバル ナビゲーションの構成

テナント内で SharePoint ホーム サイトを指定している場合は、グローバル ナビゲーションが構成できるようになっています。ホームサイトの設定をしていない場合は、グローバル ナビゲーションを構成できません。

たとえば、私が管理するテナント内では Home@オフィスアイという名前の コミュニケーション サイトを SharePoint ホームサイトとして設定しています。このサイトを組織内で最初にユーザーがアクセスするサイトとして位置づけています。こういうサイトをランディングサイト(着地点となるサイトという意味)とも呼びます。

ホームサイトの設定は SharePoint 管理者やテナントの全体管理者が設定するものです。詳しくは下記のリンク先を参照してください。

組織のホーム サイトをセットアップする - SharePoint in Microsoft 365 | Microsoft Docs

このサイトがあると、このサイトの管理者は歯車のアイコンから[グローバル ナビゲーション]設定が利用できます。ここからアプリバー(App Bar) のグローバル ナビゲーションの設定を行えるようになっています。ちなみに、グローバル ナビゲーション以外はカスタマイズができません。出来合いの機能をそのまま利用する必要があります。

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既定ではグローバル ナビゲーション設定はオフになっています。そのため既定では SharePoint スタートページが表示されます。

Content

これをオンにすると、下記の設定ができるようになります。

  • ロゴ
  • タイトル
  • ナビゲーションソース

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ロゴ

ロゴに画像を指定すると、アプリ バーには既定のホーム アイコンではなく、指定した画像が表示されるようになります。

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ロゴの使用は次の通り。

  • ロゴのサイズは 20x20 ピクセルである必要がある
  • ファイルの種類は PNG
  • 透明の背景が推奨される

タイトル

ナビゲーション内の最初の見出しがタイトルです。ここには会社名やポータルの愛称などを自由に指定できます。

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ナビゲーション ソース

グローバルナビゲーションパネルに表示されるナビゲーションソースを選択するところです。ソースを選択した後、必要に応じてグローバルナビゲーションを編集できるようになっています。この部分は SharePoint ホームのサイトの所有者やサイトコレクションの管理者が編集できます。

なお、グローバルナビゲーションの実装は設定が反映されるまで、最大24時間かかることもあるとのこと。このテナントも有効かしてからきちんと動き出すのに結構時間がかかりました。一度、反映された後はナビゲーションソースの変更などは比較的早く反映されているようです。

ソースには次の2つの選択肢があります。

  • Home site navigation
  • Hub or global navigation

Home site navigation

これを選択すると SharePoint ホームサイトのナビゲーションがそのまま、このナビゲーション部分に表示されるようになります。

つまり、どのサイトからでも素早く SharePoint ホームサイトのナビゲーションにアクセスできるので、ホームサイトのナビゲーションに様々な SharePoint ハブへのリンクを追加しておけば、様々なハブへとすぐにアクセスできるわけです。

ホームのナビゲーション

もし SharePoint ホームサイトがハブサイトになっている場合は、もう一つの Hub or global navigation を選択すると、ホームサイトのナビゲーションでなく、ハブナビゲーションが表示されるようになります。

Edit global navigation リンクをクリックすると、グローバルナビゲーションを編集できます。この編集画面は SharePoint のナビゲーション設定なので、ラベルやリンクの追加はもちろん、対象ユーザー(Audiences to target) も指定できます。

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Home global navigation を選択している場合は、ここで編集すると SharePoint Home サイトのナビゲーションを編集していることになります。

SharePoint ホームサイトがハブサイトとして指定されていない状態で、Hub or global navigation を選択したらどうなるでしょうか?この場合は、グローバルナビゲーション パネルに表示される内容を独自に作成できます(セカンダリ セットと呼ばれる)。

図1

実際に試してみると次のようにユーザーには独自のナビゲーションが表示されるようになります。

独自のナビゲーション構成

最後に

アプリバーは特にハブが複数あるような場合に、各ハブへのリンクをグローバル ナビゲーションとして用意できるので使ってみると、必要な情報に素早くアクセスできるようになり、とても使い勝手が良いものです(目的のリンクをできるだけ探さなくて済む)。

うまく取り入れていただきたいところですが、そのためにはしっかりとした SharePoint ハブの設計と SharePoint ホームサイトを全社的に取り決めていく必要があります。ホームサイトはテナント内で1サイトしか指定できません。

さらに、この アプリバーはまだ準備が整っていない組織では機能を一時的に無効化できます。といっても延命措置にほかならず、2021年10月31日までの延長でそれを過ぎれば必ず全サイトに表示されるようになります。なるべく早い段階で運用方針やルールを取り決める必要がある部分でしょう。

延長する設定等の公式情報については下記のリンク先を参照してください。

新しい SharePoint アプリ バーを使用してグローバル ナビゲーションを設定する - SharePoint in Microsoft 365 | Microsoft Docs

 

2021年3月 5日 (金)

2021年2月に Microsoft 365 の新しいサービスとして Microsoft Viva が発表されました。そして先日実施されたオンラインイベント- Microsoft Ignite 2021 でも Microsoft Viva のセッションがありました。セッション内容に関しては適宜 Twitter (@ai_yamasaki) でつぶやいていたのですが、改めてブログに整理しておきたいと思います。

お勧めセッション

Microsoft Viva の概要を把握するには下記のセッションがお勧めです。この記事はこのセッションの内容をベースにしています。

MyIgnite - Meet Microsoft Viva: a new kind of employee experience

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Microsoft Viva は 4つのコンセプトで構成されている

Microsoft Viva は特に今回の新型コロナウィルス(COVID-19) の影響により、多くの人に働き方を変えることを余儀なくされました。ただし、これは必ずしも悪いことばかりではなく、これからの新しい働き方を強力に推し進めることにもなっています。そこで Microsoft Viva の登場です。ニューノーマルの世界で、よりよく働いていけるよう Microsoft 365 が持っている様々な機能をうまく連携させて支援しようというものです。

Microsoft Viva には次の4つのコンセプト(=製品)があります。

  • Viva Topics 
  • Viva Connections
  • Viva Insights
  • Viva Learning

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それぞれ個別にみていきましょう。

Viva Topics 

日々の業務ではなんかしら情報を探したり、再作成するのに、年で平均すると7週間もの時間をかけているそうです。情報をいかに探しやすくしていくかというは、業務の効率化では非常に重要です。

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Viva Topics とは、組織のナレッジを蓄積し、いわば組織内の Wikipedia を作ろうではないかというのが基本コンセプトにあります。Viva Topics は AI を使って組織全体にわたりコンテンツやかかわりのある精通したひとを自動的に関連付けて分別し、整理してくれる。たとえば、プロジェクト、製品、プロセス、顧客などの単位で情報を自動的に関連付けまた仕分けてくれます。

Viva Topics はトピックス(社内の用語など)をクリックすることで、 Office, SharePoint, Teams といったアプリ内にカード形式でこうしたドキュメントやビデオ、関連する人などの情報を提示してくれます。また、Microsoft Search 内でも利用できるようになっています。このことについては以前、自分の検証環境で実験を行っているので、そのビデオを共有しておきましょう(音声はありません)。ちなみに、Viva Topics は現在英語環境でのみ動作がサポートされているため、日本語はまだ認識してくれていません。ビデオではSharePoint のサイトページに記載している SharePoint Syntex や Power Automate などのトピックスを AI が自動的に検出し、リンクを生成してくれていることがわかります。リンク先にはトピックスページがあるのですが、これは本来 AI が作ってくれるもののようです。ですが、日本語環境では動作していないため、手動でトピックスを登録し実験しています。

もととなるトピックスは Topic Center という特殊な SharePoint サイトを用意し、そこでトピックスページを管理していきます。画面では、AI がまだうまく日本語情報などを拾ってくれていないため、各トピックはすべて手動登録しています。

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トピックスページは次のようなページです。

Topics

こうしたトピックは、ページ内で発見されたトピックスに対してリンクが自動生成されたり、検索結果に表示されたりします。

なお、トピックはページ(ニュースを含む) 内で ハッシュタグとしてリンクすることもできます。

ちなみに、これからMicrosoft Teams 内でも Viva Topics は利用できるようになります。

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Teams 内でトピックの詳細をクリックすると、Teams 内の Viva Topics アプリ内にトピックページが表示されます。

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このトピックスページに関連する Yammer のコミュニティも自動的に集めてきてくれます。

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中央に位置するのがトピックに関連する Yammer コミュニティ

さらに Outlook 上ではメール送信者などのコンタクト カード上にも、その人のスキルなどの一環として関連トピックスが表示されます。

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以上のように社内に散らばる関連ドキュメント、SharePoint サイト、人、Yammer コミュニティ等を自動的にうまく集約して、素早く組織のナレッジにアプローチできるように支援してくれるのが Microsoft Viva Topics です。

今後予定されている機能などのロードマップも公開されています。

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Viva Connections 

Viva Connections は組織内の文化とコミュニケーションに対する機能です。

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まずはベースとなるコンセプトを見ていきましょう。

リモートワークになって実に 60% の人がひととのつながりが希薄だと感じているそうです。

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Microsoft 365 では、コミュニケーションと人との結びつき(エンゲージメント)には SharePoint, Yammer, Teams が利用できるわけですが、自分たちの経験を1か所から共有したい。そんなニーズにこたえるアプリが Viva Connections です。これは Digital Gateway とも呼ばれており、いろいろな情報への入り口ととらえることができます 。

Viva connections は Microsoft Teams 内で使用できるようになっており、各自の業務に必要な情報を素早く得られます。ログイン ユーザーごとに必要な情報を提示できるため、その人にとって不要な情報(ノイズ)をカットしてくれる。さらにこのアプリはシームレスに Yammer のコミュニティと接続されており、考えやアイディアを組織内に素早く共有できるようになっています。ひとと素早くつながることができるということですね。

適切なタイミングで適切な人に必要な情報を伝えられるように考慮されているのですが、これを支えているのは SharePoint です。SharePoint が持つ、ページのスケジュール発行機能や Azure AD のグループと組み合わせてリンクに対象ユーザー指定するなどして実現しています。

Teams 内の Microsoft Viva アプリ
Teams 内の Microsoft Viva アプリ

ここまでのことを踏まえると、Microsoft Viva Connections は SharePoint, Stream, Yammer, Microsoft Teams にそれぞれ散らばって蓄積されている情報をログインユーザーに最適な形で集約してくれるアプリであるととらえることができそうです。"Connections"  という単語にはどうやら、「人のつながり」という意味だけでなく、「システムのつながり」も含めた二重の意味合いが含まれているのでしょう。

Viva Connections はログインしている人に関連するニュース、会話、コミュニティなどを接続することで人とのつながりを形成し、組織の文化をも新たに創出できるよう支援することが主たる目的ですね。組織内のデジタル トランスフォーメーション(DX)を推進するツールの一つといえます。

なお、今月から順次 Windows デスクトップ用の Microsoft Teams 内で Viva Connections が使えるようになるそうです。

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Viva connections はモバイルアプリも提供されるとのことですが、提供時期は今年の夏の終わりごろとなる見込みです。

Viva Insights (インサイト)

Viva Insighs のテーマは「生産性とウェルビーイング」。

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米国内の労働者の 76% が燃え尽き症候群(burnout) を経験しているそうです。由々しき問題ですね。

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つまりは、がむしゃらに働ぎすぎるのではなく、時間をうまく使って働くことが大切です。Viva Insights ではここを支援したい。

Microsoft Viva Insights は個人、マネージャー、組織のリーダーらの経験に基づき設計しており、プライバシーやセキュリティには十分に配慮して作られています。Viva Insights は対象により次の3つに細分化されています。

  • Personal Insights
  • Management Insights
  • Organizational Insights

Personal Insights 

Personal Insights の言葉のニュアンスは個々人の時間の使い方を客観的にとらえ洞察するといったところでしょうか。 「ウェルビーイングを優先し、生産性を高める」というのがコンセプトです。

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ところで "ウェルビーイング"は最近よく耳にしますが、これは心身共に健全な状態でいられることを指します。心身が疲れ切っていては仕事の効率もあがりませんからね。

この Personal Insights はパブリック プレビューとなっておりMicrosoft Teams  内ですでに利用できるようになっています。 Teams 内でアプリを検索すると見つかります。

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現在このアプリでは、 One on One ミーティングの設定とフォーカス時間の確保のみが利用できるようになっています。ただし、今後、いろいろと機能が追加されてくるようです。

ところで、この機能、どこかで見たことがあるなぁと思った方はご明察。MyAnalytics ですね。ということで、MyAnalytics と密接に関係しています。Microsoft Viva Insights の登場により MyAnalyticsの側にもいくつかの新機能が登場しています。たとえば、「メール配信の遅延設定」が追加されました。メールを送信する際に、業務時間外などの場合、同僚が勤務時間になるまでメール配信を遅らせようというものです。ひとの時間をへたに奪わないための配慮ができますね。

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詳しくはこの辺り。

Outlook のインライン提案 - Workplace Intelligence | Microsoft Docs

この設定は Windows 用の Outlook のみで利用できるとのことですが、現在利用できるのは Microsoft E5 のみ。ですが、Microsoft 365 E1/E3 も対象となっておりロールアウトプロセスに入っているそうです。

その他にもMyAnalytics ではフォーカス時間(自分の仕事に専念できる時間帯)をOutlook上にスケジュールとして確保できるようになっていますが、それ以外にも、フォーカス時間を確保するタイミングであるとか、Microsoft Teams の通知をフォーカス時間の間は、無音にするように設定できるようにもなっています。

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さて、以前アナウンスのあったバーチャル通勤 (Virtual Commute) の機能ですが、これは次の四半期に Viva Insights アプリにロールアウトされる予定だそうです。バーチャル通勤って何? と思った方は、次のビデオで確認してみてください。

Manager Insights 

Manager Insights は従業員をマネージメントする立場の人が、ストレスや燃え尽き症候群につながるような働き方のパターンを見出すのが目的です。具体的には、やたらに会議が多すぎたり、自分の仕事に専念できる時間が十分にとれていないといった傾向を見ることになります。

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Organizational Insights

直訳すれば組織レベルでの洞察ということです。組織全体としての働き方のパターンや傾向に光を当てようという試み。

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働き方だけでなく、従業員がどう感じているのかも重視します。

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アプリでその日の気分を報告している

ちなみに Manager Insights や Organizational Insights 機能を利用するには Microsoft Workplace Analytics を別途購入する必要があるとのこと。そのためか、セッションでは案外さらっと案内されて終わりでした(Microsoft Docs 等を見ているとこのあたりの Organizational Insights は Leaders Insights と表示されているようです)。

コンセプトは下記のビデオを見るとイメージしやすそうです。

[関連情報]

その他、時間の使い方への提案

Microsoft Viva アプリはストレスの低減のために、瞑想へといざなってくれます。

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瞑想(meditation) の実施

この辺は私自身が最近 Fitbit を使っているのですが、こうしたアプリでも同様に瞑想機能がついているので比較的最近ではなじみのある機能でしょう。となると、将来的にはスマートウォッチと連携したりするとよさそうですね。

他にもこのアプリは、1日の時間を計画的に使っていくためにいろいろと支援してくれます。たとえば、メンタルを休める時間を1日2回は確保するとか、新しいスキルの習得や自己研鑽のために勉強の時間を2時間まで確保するといったことができるようです。意識的にこうした時間を計画的に確保することは非常に重要ですね。

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Viva Learning

最後に Viva Learning 。コンセプトは「スキルの習得と成長」です。

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従業員のスキル習得は、各自のキャリア形成を支援するだけではなく強い組織づくりに役立つものです。 最近の LinkedInの報告によると、組織が教育や人材開発に投資することで 94% の従業員がより長く組織に留まってくれることが分かったそう。 人材育成に投資する組織は、良い人材の確保しやすくなるといえます。

Viva Learning は Microsoft Teams 内に学習用の中央となるハブを提供してくれます。従業員はこのハブから様々な教材にアクセスできるのです。Viva Learning でも AI を使って、適切なタイミングで適切な教材をユーザーに薦めてくれます。各教材(コンテンツ) は LinkedIn Learning, Microsoft Learn や独自コンテンツなどを取り入れられるようになっています。

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そのほか、主導型学習システムなどとも一緒に利用できるそう。

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Viva Learning のアプリは Microsoft Teams 内のチャネルタブとして追加もできるようになっています。チャネルタブとして追加するときに、タブを追加する人が目的のコンテンツをライブラリから選んで追加できるので、業務ごとに必要な教育コンテンツを用意しておけるということです。

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マネージメント側にもうれしい機能が用意されています。例えば、各メンバーの学習の進捗なども一覧できるようになっています。

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Viva Learning は 来月4月にパブリックプレビューになる予定です。

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最後に

Microsoft Viva は、Microsoft 365 がもつそれぞれの機能をうまく活用していくソリューションとしての真価を発揮する製品群といえます。こうしたツールを有効活用するためにも、こうした仕組みの要となる SharePoint や Microsoft Teams, Yammer  などもこれからも継続的に情報をキャッチアップしていく必要がありますね。

なお、ここで紹介しきれていない詳細は下記の関連セッションやブログなどのリンク先を参照してください。

関連セッション

その他の関連セッションは次の通りです。

Blog

Microsoft Viva の公式ブログです。

Microsoft Viva Blog - Microsoft Tech Community

今回の Ignite 2021 に関連するブログの記事は次の通りです。

公式ハッシュタグ

Microsoft Viva の公式ハッシュタグは #MSFTViva です。Twitter での情報発信および収集などで利用していきましょう。