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2022年11月11日 (金)

Microsoft 365 の OneDrive for Business では以前からフォルダー自体を共有することなく、指定したフォルダーに社内外からファイルのアップロードのみをしてもらう機能として「ファイルの要求 (Request files)」があります。この機能を使えば、フォルダー内は相手に見られることがないので非常に便利です。

操作画面を少し補足したビデオを作ったのでどうぞ。

ファイルが届くと自動的にメールで通知もしてくれます。

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Microsoft MVP 仲間の中村 太一さんによるご協力

この説明は拙著の「ひと目でわかる Microsoft 365 SharePoint 運用管理編」をお持ちの方は 、P581~書いていますのでご確認ください。

とても便利な機能ですが、テナントレベルでの事前設定が必要です。つまりは IT部門側でいくらかお膳立てしてもらう必要があるわけです。設定がされていない場合はたとえ「ファイルの要求」メニューが表示されたとしても、次のようにエラーとなります。

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しかし、この設定に必要な要件がともすればセキュリティレベルが下がりかねないため、組織にとってはなかなか受け入れにくいものだったのです。参考までに、以前の設定は同じく書籍の P831に書いていますので、そちらもどうぞ。

ですが、朗報です! 最新のアップデートによりセキュリティレベルを下げることなく利用できるようになりました。設定は下記の公式情報に書かれています。

ファイル要求を作成する - Microsoft サポート

ですが、少々わかりにくいので整理していきます。ということで、ここからは管理者向けです。

設定の詳細

OneDrive の社外共有を許可する場合

OneDrive for Business 上のファイルやフォルダーをユーザーが社内外の不特定多数と共有したい場合は、テナントレベルで共有ポリシーの設定から 「すべてのユーザー」にしておきます。これだけでユーザーはファイルの要求機能を OneDrive 上から利用できます。もし、この設定になっていれば特になにもする必要はありません。

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既定ではこの設定のみで不特定多数の社外との共有が許可されるのですが、下記のように共有ポリシーで外部共有を許可するユーザーを制限することもできます。

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ただ、この設定には組織によってはいくつかの課題も。まず、そもそも SharePoint 側の外部共有のレベルも同時に「すべてのユーザー」に外部共有するように設定しておく必要があるのです。そうしないと OneDrive 側は「すべてのユーザー」に設定できません。無論、この設定はガスの元栓のようなもので、実際にはこれに加えてさらに各 SharePoint サイトの共有設定を外部共有を許可するように指定しないと、気軽に社外に共有はできないのでこれだけでセキュリティレベルが下がるわけではありません。また、ファイルの要求機能のみを利用させたいのに、フォルダーやファイルを社外に共有する機能も追加されることが懸念されることもありました。

そこで新たに追加されたのが次のオプションです。

OneDrive の社外共有を許可しない場合

OneDrive for Business の外部共有レベルを「すべてのユーザー」に設定することなく、ファイルの要求機能が使えるようになりました。ただし、新機能はPowerShell コマンドで設定する必要があります。最新の SharePoint 管理シェルを使うようにしてください。

1. まず、SharePoint 管理センター上の共有ポリシー設定で「[全員]リンクの有効期限とアクセス許可のオプションを選択します]でフォルダーの設定を「表示、編集、アップロード」にしておきます。必要に応じて共有リンクの有効期限も設定しておくとよいでしょう。

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ところでこの設定を行うには SharePoint の共有設定を次のように「すべてのユーザー」にしておく必要があります。ここで、「あれ、結局、不特定多数への社外共有も許可しないとダメなのか!」と思う方もいると思いますが、そうではありません。

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ここで設定しておくことに意味があります。このファイル要求の設定に関わりがあるのが SharingCapability というプロパティです。このプロパティの値が ExternalUserAndGuestSharingとなっていないとファイルの要求機能は動作しません。もしも次のように SharePoint も OneDrive も共有レベルを最も制限された設定にすると、この値は Disabled に変わります。

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これではファイルの要求をしようとするとエラーとなってしまうのです。そこでいったんは SharePoint のレベルを「すべてのユーザー」に指定しておきましょう。これでExternalUserAndGuestSharing になります。

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さて、この状態だと SharePoint サイトの社外共有は元栓は開いている状態にはなります。ただ、次の2.で説明するコマンドを組み合わせることで、外部共有を制御できます。

2. SharePoint と OneDrive の共有設定を変更します。まずは Get-SPOTenant コマンドを使って現状がどうなっているのかを確認しておきましょう。全ユーザーのOneDrive に対する設定は OneDriveSharingCapabilityというプロパティです。

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既定では ExternalUserAndGuestSharing となっているはずですが上記ではこれを私がすでに Disabled に変更しています。この設定を変更するには下記のコマンドを実行します。

#すべての OneDrive
Set-SPOTenant -OneDriveSharingCapability Disabled

この設定はSharePoint 管理センター上で行う設定と同じで管理センター側でも変更結果を確認できます。

OneDrive 連動

OneDrive for Business 側はユーザーごとに外部共有を制御する設定がありません。そのためテナントレベルでの一括設定になります。ですから、 (※2022/11/12 訂正と以下追記 : 前川さんからご指摘いただきました! 感謝)

ちなみに、OneDrive の共有ポリシーはテナントレベルで「既存のゲスト」以上に設定しておけば、ユーザーごとに共有レベルを変更することは可能です。たとえば、次のように設定しておくとします。

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ユーザー単位での OneDrive の Microsoft 365 管理センターのアクティブなユーザーから行います。

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ここで余談を2つ。まずは一つ目。個人の外部共有のポリシー設定はSharePoint管理センター側での共有ポリシーのレベルが「既存のユーザー」以外なら表示されますが、どのレベルにしていても表示される項目は同じです。一見するとどの設定にしていてももしかして匿名ユーザーの外部共有を指定できてしまうのでは? と思うのですが、管理センターよりも制限が緩い設定を選んで保存しようとすると怒られます(エラーになる)。

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そしてもう一つ。SharePoint管理センター側での共有ポリシーのOneDrive側のレベルが「自分の組織内のユーザーのみ」だと、そもそも Microsoft 365 管理センターのアクティブなユーザー上には項目が表示されません(※実は当初、この設定にしているのを忘れていて、あれ、個人設定ってできなくなっているなと勘違いしてました)。

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[共有ポリシーの設定項目が非表示]
 

話を本筋に戻します。

Disabledにすることで社外への共有はさせずに、ファイルの要求だけを許可することができるようになります。もちろん、外部共有が必ずしも "悪" ではなく、必要があればパートナー企業などとのやり取りにそもそも外部共有が必要なケースもあるでしょうし、機密情報を漏えいしないように考慮するならこれ以外に  Microsoft Purview のコンプライアンス機能を用いてファイルへ秘密度ラベルを適用するとか、DLP(データ損失防止ポリシー)を利用するといったプラスアルファを考慮する必要があります。

さて、一方の SharePoint サイトはサイト単位で外部共有を許可するかどうかを指定できます。既定ではサイトの種類に応じて既定値が決まっています。

⚒️ サイトの共有設定を変更する - SharePoint in Microsoft 365 | Microsoft Learn

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基本的には従来通り、個々のサイトで社外との共有をさせるかどうか、また共有させるならどのレベルまで許可するのかなどを決めて設定することです。ただし、全SharePoint サイトに対して共有設定を一括変更したい場合は、CoreSharingCapabilityというプロパティを使います。これにより必要に応じて共有レベルを変更できますし、さらに強制できます。その代わりサイトごとの設定はできなくなるので注意しましょう。外部共有レベルをどのように決めるのかが組織内で決まっていなかったり、テナント管理者側で不意にサイトのセキュリティを変えてしまうことがないようにしたりする予防策としては有効でしょう。

⚒️ Set-SPOTenant (Microsoft.Online.SharePoint.PowerShell) | Microsoft Learn

既定ではこの値は ExternalUserAndGuestSharing となっています。

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これを次のコマンドで Disabled にしてみましょう。

#すべての SharePoint サイト
Set-SPOTenant -CoreSharingCapability Disabled

先ほどの OneDrive とは異なり共有レベル側は何も変化がありません。

SharePoint側の連動梨

しかし、サイト単位での共有ポリシーを確認すると、すべてのサイトが「組織内のユーザーのみ」になります。新規に作るサイトも同様です。

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これによりテナントレベルの SharePoint 管理者といえども、サイト単位での外部共有レベルを変更することは一切できなくなります。PowerShell (Set-SPOSite) やSharePoint 管理センター上からは一見するとサイト単位で「すべてのユーザー」設定に変更できるように見えますが、試すと結果変更されず「組織内のユーザーのみ」になります。

つまり、SharePoint 管理センター上からは一見すると外部共有できるように元栓が開いているように見えるのですが、すべての SharePoint サイトではCoreSharingCapabilityで指定した値に強制され、変更できなくなるのです。

 

3. 最後に下記のコマンドを用いて OneDriveRequestFilesLinkEnabled を True に設定します。

Set-SPOTenant -OneDriveRequestFilesLinkEnabled $true

ちなみに、私のテナントでは Get-SPOTenant を使ってOneDriveRequestFilesLinkEnabledオプションを確認したところ最初から True になっており、Set-SPOTenant -OneDriveSharingCapability Disabled コマンドだけで済むのではないかと考えたのですが、これだけでは有効になりませんでした。最後にこのプロパティを確実に True に更新するのがよさそうです。

 

ファイルの要求リンクの有効期限と削除

一度作成した共有リンクは、リンクの有効期限が設定されている場合はリンクのみの削除できないようです。その代わり有効期限が画面上に表示されます。生成したリンクは次の手順で確認できます。

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自然に期限が切れるのを待つか、急いでいるときには中のファイルを別のフォルダーに移動させて、フォルダーごと削除してしまうのも一つの方法でしょう。

有効期限が設定されていない場合は、即座に共有リンクを削除できますし、有効期限を明示することも可能です。

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なおファイルの要求リンクの有効期限は Set-SPOTenant -OneDriveRequestFilesLinkExpirationInDays コマンドで指定できます。

2022年6月27日 (月)

SharePoint のドキュメント ライブラリにはOneDrive へのショートカットを作成する機能が用意されています。これと OneDrive 同期アプリ を併用する場合は注意が必要です。

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OneDrive へのショートカットを作ると、文字通り OneDrive for Business にショートカットが作成されます。このショートカット内にあるドキュメント ライブラリ内のファイルも同期されるようになります。つまり、OneDrive同期アプリでの同期先を変更することなく、SharePoint サイト内のファイルを同期することができる手軽さがあります。しかし、OneDrive 同期アプリが同期できるファイル数の推奨される上限数は 30万ファイルまでとなっています。

➡️Restrictions and limitations in OneDrive and SharePoint (microsoft.com)

これはもし個人のOneDriveも同期しているならこれも合算した数です。実質、OneDrive 同期アプリは for Business も個人用も同じエンジンをローカルで動作させているためこの上限も共有することになります。

ですから、やみくもに SharePoint サイトのドキュメント ライブラリを同期してしまうと、あっという間にファイル数の上限に達してしまう可能性があるわけです。その点に注意しましょう。

二重同期の問題

うっかりドキュメント ライブラリも同期し、OneDrive へのショートカットも作成してしまったとしたら? どうなるでしょうか。

これを行うと二重の同期となり、正常に同期が行えなくなることが起こるようです。ショートカットを利用するのか、もしくはSharePoint ドキュメント ライブラリを直接同期しないのかいずれかにしましょう。

OneDrive 同期アプリの二重同期

ドキュメント ライブラリ側で同期をさせないようにするには?

ライブラリ単位で同期を禁止する設定も可能です。ライブラリの詳細設定で「オフライン クライアントの使用制限」を"いいえ" にすることで、OneDrive 同期アプリによる同期はできなくなります。

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この設定により、ライブラリの「同期」メニューも非表示になります。

既定値では同期は可能で操作メニューに表示される
既定値では同期は可能で操作メニューに表示される
同期なし
同期しないように設定したため同期メニューが表示されなくなる

ところでこのように設定したライブラリのショートカットを OneDrive に追加した場合は、同期はどうなるのでしょうか?

試すとエラーとなります。同期ができないように設定しているライブラリであるため当該ショートカットの削除を促されます。

同期エラー

2022年6月18日 (土)

座談会-min

2022/6/16 に Microsoft MVP の有志による一夜限りの座談会を開催しました。

座談会: Microsoft Teams のファイル管理について語ろう! - connpass

平日の夜遅い時間にも関わらずイベントにご参加いただきました皆様ありがとうございました。今回はチャットも行いたいということで参加者数に上限を設たのですが、当初は300名ほどの定員で十分おつりがくるくらいだろうと思っていたのですが蓋を開けてみれば450名を超える方々にご登録いただきました。補欠枠が出てしまったことは大変心苦しく思っております。ただ、そこに対して録画を後で見るからとキャンセル待ちの方に席を譲ってくださった方もいて、皆様の温かい気持ちには本当に感謝いたします。

さて、なんといっても今回の私の思い付きでやろうということになった座談会に快くご協力いただいた登壇者の皆様、ありがとうございました。

また、座談会当日に会議チャットを盛り上げてくれた Microsoft MVP 仲間の太田さん ( Ota Hirofumi Microsoft Teams 踏み込み活用術(@hrfmjp)さん / Twitter) もありがとうござました!

イベントでは夜遅くまで私の主人も裏方として協力してくれました。ありがとう

録画

さて、ということで当日ご参加いただいて復習したい方、当日やむなくご参加いただけなかった皆さまに録画を公開いたしました。何かお役に立てばと思います。

資料

座談会で使った資料も共有します。資料は一部訂正しております("編集"アクセス許可レベルが追加されたのは SharePoint Server 2013 でした!) 

なお、今回のイベントは一夜限りであり、今のところ次回の開催予定は全くありません。より詳しく知りたい方は弊社研修へのご参加をお待ちしております

【オフィスアイ株式会社】Microsoft 365 関連研修コース (office-i-corp.jp)

座談会の内容の補足

Teams 内のチャットでファイルをアップロードすると自分の OneDrive for Business にアップロードされ共有リンクが生成されます。共有リンクの機能自体は SharePoint でも OneDrive for Business でも共通で共有リンクは4種類あります。

  • すべてのユーザー … 外部共有をサイトで許可していると選択できる
  • 組織内のすべてのユーザー… 同じテナント内のユーザー全員という意味で、組織内の全員と共有できるリンク
  • 既存のアクセス権を持つユーザー … 従来からあるリンクで、他の共有リンクとは少し趣が異なる。サイトやライブラリ単位での権限をベースにリンクを生成するため、このリンクが不用意に知られても実質サイトやライブラリの権限で保護される
  • 特定のユーザー… 共有相手として名指しのユーザーらとだけ共有できるリンク
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共有リンクのオプション

組織の既定値はたいてい「組織内のすべてのユーザー」となっているのでチャットでのファイル共有もこの設定のリンクが作られることが多いです。ただし自分で共有リンクの種類は変更できます。下記の記事でも触れているので併せてどうぞ。

座談会の話の中で共有リンクの有効期限の話がありましたが有効期限が指定できるのは、あくまでも「すべてのユーザー」の共有リンクを使う時で、このタイプだと社内、社外ともに文字通りだれでも閲覧もしくは編集(編集オプションをオンにしている場合のみ)ができるわけです。このタイプの共有リンクを生成するときだけ有効期限を指定できます。ですが、そうそう社外共有はできないようになっており、サイト単位で許可しないとこのリンクは生成できないようになっています。ですから、いつでも有効期限が設定できるわけではない。場合によるわけです。

社外向けにも利用できる「すべてのユーザー」タイプの共有リンクを使えるようにする場合は、利用者に対して有効期限について説明をしっかり行い、ついでにこの4つのオプションの違いも説明できるようにしておくのが良いと思います。OneDrive for Business の場合は、基本的には次の3つを使うことになります。

  • すべてのユーザー  ※許可されていれば
  • 組織内のすべてのユーザー
  • 特定のユーザー

「既存のアクセス権を持つユーザー」はSharePointサイト向けで、権限管理に詳しくないと利用は難しいため除外しています。これに加え、チャットでの共有は「チャットに参加しているユーザー」というリンクオプションも追加されます。

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チャットにアップロードしたファイルの共有リンクオプション

いずれにしても座談会で話たように、「外部向けのリンクには有効期限を設ける」ことができるようになっているように、そもそもこうした共有リンクはあくまでもその場ですぐに閲覧してもらいたいときのもので、長く利用するものではないということが強調できるといいと思います。もちろん、外部向けのリンクが利用できない場合はこうした説明は難しいですが。

座談会の中では、個人的には「すべてのユーザー」以外でも「組織内のすべてのユーザー」や「特定のユーザー」に対する共有リンクも有効期限をつけられるようになれば「一時的なものである」という意識づけがしやすいなぁと強く思ったのですが、実際のところ「すべてのユーザー」共有リンクだけしかこうした設定がないのが悩ましいところです。

本座談会に関連する過去の記事もぜひ、あわせてご一読ください。

 

2022年6月 7日 (火)

座談会

Microsoft Teams のファイル管理について Microsoft MVP の有志で語り合う座談会イベントを開催します。一夜限りのイベントです。

座談会の目的

Microsoft 365 および Power Platform の Microsoft MVP メンバー5人で、Microsoft Teams 上でのファイル管理についてどういう使い方をするとよいのかを語り合います。

ことの発端は、2022年4月ごろのTwitter 上でのとある情報発信。Microsoft Teams のチャットとチャネルでファイルの格納先が異なるという話が盛り上がりを見せていました。この話題には個人的にも興味があり、そこから5月にかけて Microsoft 365 でのファイル管理のありようについて Twitter で色々と問いかけてみることにしたわけです。よくよく話を追いかけていくとMicrosoft Teams ではファイルの格納先がどうしてこのように分かれているのか? さらには OneDrive や SharePoint の関係性がよく理解できていない方も少なくないことがわかってきました。

そこでMicrosoft MVP の有志のメンバーに声をかけてそれぞれが持つ知見を共有できるよう、座談会への参加を呼び掛け実現するに至りました。

この座談会では、次のようなトピックを取り上げていきます。

  • OneDrive と SharePoint の位置づけとは?
  • 格納先がなぜ分かれるのか?
  • チャットとチームの違いとは?
  • 組織としてファイル管理はどう考えていくとよりベターなのか?
  • SharePoint リスト/Microsoft リストとファイル管理の関係性

など多岐にわたって話す予定です。せっかくなので、Microsoft Teams × OneDrive × SharePoint が持つ魅力をメンバーで熱く語りたいと思っています。 Power Platform (Power Automate や Power Apps ) を使っているユーザーの方も、Microsoft Teams や OneDrive, SharePoint の知識は欠かせません。そうした方々にもきっと役立つ内容になる筈!

対象者

Microsoft Teams を日ごろ利用しているユーザーの方や導入を支援する情報システム部やDX部門の方々など

日程

2022/6/16 21:00~23:00  (参加費: 無料)

実施方法

Microsoft Teams の会議機能を使って行います。事前に Connpass よりお申込みください。

座談会: Microsoft Teams のファイル管理について語ろう! - connpass

座談会メンバー

Microsoft MVP のメンバー5人で登壇します。(順不同)

  • やまさん (Microsoft MVP for Business Application)
  • りなたむさん (Microsoft MVP for Business Application)
  • 目代さん (Microsoft MVP for Office Apps & Services)
  • 太一さん (Microsoft MVP for Office Apps & Services / Microsoft MVP for Business Application)
  • 平野愛 (Microsoft MVP for Office Apps & Services)

 

ということで、是非、皆さんご参加ください。今回、定員を設けておりますので先着順です。お申込みはお早めにどうぞ。

2022年4月22日 (金)

Best Practices - File management

ファイルの格納場所のおさらい

Microsoft Teams を使っているとチャットするときにファイルを共有するとファイルは OneDrive for Business に、チーム内でファイルを共有するとチームが接続される SharePoint サイトにファイルが格納されます。またチームに接続されていない SharePoint サイトでもファイルを共有できます。つまりファイルの格納場所は結果的に3種類あるわけです。

  • OneDrive for Business
  • Microsoft 365 グループに接続された SharePoint チームサイト
  • 単独の SharePoint サイト (大抵はコミュニケーションサイト)
    ※下位互換のためにグループに接続しないチームサイトも作れはするがここでは度外視

Hitome-m365-sharepointこの辺りの関係性がわからないという方はぜひ、拙著の「ひと目でわかる Microsoft 365 SharePoint 運用管理編」(日経BP社) をご一読ください(結構なボリュームです)。関連するのは次の章です。

  • 第1章…Microsoft 365 の SharePoint の利用を始める前に
  • 第2章…SharePointサイトに関する基礎知識を身に付けよう
  • 第3章…チームサイトの基本的な使い方をマスターしよう
  • 第8章… OneDrive for Business を使いこなそう
  • 第11章… Microsoft Teams と組み合わせて利用しよう

 

使い分けを考える前に

3つの格納場所があることに関して「ややこしい、1か所にすればいいのに」という話もありそうです。

ですが、以前のブログでも書いたように、

SharePoint Technical Notes : SharePoint のファイル管理機能をどう使っていくべきか? (lekumo.biz)

膨大な情報量を1か所に格納すると大事なものもそうでないものなども入り乱れることになり探しにくくなります。ファイルに関わらず量が増えれば小分けにするというのはよくやる話。結局、ファイルサーバーではこの小分けにしていく手法として、長年 "フォルダー" を使って仕分けてきたわけですが、その問題点については前回の記事で述べました。

ですから、せっかく最初から分かれている3つの器をうまく使い分けたいのです。

仕事でユーザーはどういった性質の情報をどのように利用しているのかをしっかり考えることが大切。「えー、そんなの考えたくない」という人もいるのは事実ですが、部屋の整理整頓と同じで、片づけなくてもまぁなんとかなりますが、うまいぐあい整理整頓されているほうが特に仕事をするうえでは機能的であることは間違いないでしょう。

OneDrive for Business の立ち位置

OneDrive for Business は OneDrive と名前がついていますが、一般消費者向けの OneDrive と学校や企業組織向けの OneDrive for Business とがあり、ブランドは同じですし、ぱっと見た目も似ていますが中身は別物です。

書籍にも書いていますが、慣れていないと見分けがつきにくいんですが決定的な違いはURLです。一般消費者向けは onedrive.live.com で、OneDrive for Business は sharepoint.com になっています。

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OneDrive for Business は SharePoint がベースになっている仕組みで、オンプレミスの時代は SharePoint 内のサイトの一種で「個人用サイト(My site)」と呼ばれていました。これが SkyDrive に名前が変更されたのですが、商標の関係からのちに OneDrive というブランドに変わったという経緯があります。

ですから、OneDrive for Business は 個人用途のSharePoint サイトです。とはいえ、ユーザーが利用するものであるため、SharePoint の持っている機能の一つであるファイル管理機能を中心に利用できるようにしているわけです。サイトを開くと一見すれば、自分用のフォルダーが用意されているように見えるようになっている。けれど、実際は Microsoft Lists のリストも格納できたりと、機能面で細かくみればやっぱり SharePoint サイトではあります。

さて、話を戻しましょう。

ユーザーにとっては、OneDrive for Business はクラウド上にある自分専用のファイルの置き場所です。共有しなければ自分しかアクセスできない。個人のPC内にしまい込まれて、埋もれがちだったファイルをクラウドに格納するように動線を変え、PCを買い替えてもコンテンツの移行が必要なく、最低限1TBの大容量がインターネット越しにいつでも使えるようになったわけです。

ただ、契約上の一つのルールとして、ユーザーごとにに紐づけて管理しているので、そのユーザーが退職してそのユーザー分のライセンスがはく奪されるとその人の OneDrive for Business は削除されるというのが基本ルール。

こういうと「えっ、Microsoft が勝手に消すなんて!」と思う方も少なからずいるようですが、必要があれば SharePoint サイトに移せば勝手には消えないですし、無駄に容量が増え続ければストレージの管理コストも増大していきます。基本は削除されるというのは大して問題ではないでしょう。おそらくこれまでだって、社員が会社を辞めれば、特殊な業務を除いては PC 内のデータもすべて吸い上げて、ファイルサーバーに格納するというようなルールになっていることは少ないのではないかと思います。だから、本質的には従来とあまり変わらない。

厳密にいえば、ライセンスがはく奪されるてもすぐに消え去るわけではなく、既定では30日間は残ります。つまりその間の猶予がある。この間に、任意のユーザーに管理権限を委譲できるので、その間に必要な情報を取り出して別のところに共有することもできます。また、設定によっては最大10年間は削除せずに残すこともできるようにはなっています。様々なニーズに対応すべく、色々と選択肢は用意されているのです。

Microsoft Teams と OneDrive for Business 

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Microsoft Teams で「チャット」を使ってファイル共有ができますが、「チャット」を使うとファイルは共有した人の OneDrive for Business にファイルが格納され、そこから共有リンクが生成されるようになっています。メールと違って添付ファイルではなく、単なるリンクになっているのがポイント

メールみたいに添付されればいいのにと思う人もいるでしょうけれど、ファイルを修正したりするとまた添付しなおしになり、最新版がわからなくなる。。。というメールの課題が再現されるので、あまりよろしくない。それよりはどこかに格納しておいてリンクで共有したほうが、下手にファイルが増殖しないという側面も忘れてはいけません。

ただ、共有した人が退職してしまうと、先ほどの理由で共有元がなくなりアクセスできなくなる可能性があるということです。

ですから、OneDrive for Businessはファイルサーバーの感覚で共有フォルダーとして使うのはダメです。あくまでも一時的な共有に留めるべきでしょう。

一方で「チーム」側での会話するときにファイルを共有すると、こちらはチームに接続されている各SharePoint サイトにファイルがアップロードされるので、ユーザーが退職しても関係ありません。ずっと残る。しかも基本的にはこちらは共有リンクではなく、サイト内のコンテンツへの単純なリンクで、チームメンバーは基本的に誰でも参照できる。後から入ってきたメンバーでもOK。

ちなみに、チャットの場合は必ず共有リンクで、共有リンクとは「このURLを知っている人は全員閲覧できる」とか「このURL知っている人は全員編集できる」とか「このURLを知っていて、かつだれだれさんたちだけ見れる」というような制限付きのリンクです。特殊なものなんですね。

ですから、チャットでファイル共有するときにはよ~く見るとリンクの種類が変更できるようになっています。

サイトのアクセス権限と共有リンクは別物です。詳しくは書籍にも書いていますし、私がほぼ毎月実施している「Microsoft 365 SharePoint サイト管理基礎」でも実際にデモや実習を通じて必ず説明しているところです。よくわかっていないなと不安がある方はしっかり基礎固めしましょう。

SharePoint と OneDrive for Business

「ファイルの格納先がSharePoint だったり、OneDrive だったりわかりにくい! 」という声も聞こえてきますが、やみくもにこうしたわけではなく意図があるだろうと考えるのが自然ですし、どううまく使い分けようかなとも考えたい。こういうものは特に答えはないので、「こう考えた方が、合理的だろう」という納得が出来さえすればいい。

そして、管理する情報の性質が異なるので、分けて考えた方が都合がいいだろうと個人的には思っています。

OneDrive for Business は個人の采配で自由に使えるし、共有しない限り他の人が見ることはないので気軽に使える。考えをまとめてみようとトライした仕掛途中のファイルなども置いておける。個人のPC内にはこんなファイルが山ほどあるはず。これをすべて SharePoint サイトに置くようにしていると、その人が退職してしまったときにもこうした「ごみ」が不用意に残ってしまうわけです。ユーザーが退職した後に削除されるというのは、細胞組織の「アトポーシス」みたいなもので、本当に重要な情報だけ選抜して残していくためには必要な措置だとも思うのです。

ただ、そういう話をしていると無論、「安易に消すべきではない!」という話も出てきます。それはそうです。ですが、なんでも保存では、ストレージコストも管理コストも年々増大し続けます。そのため、誰がどういう業務でどういった情報を扱っているのかを把握したうえで、必要があれば削除期限を延ばしたり SharePoint側にデータを移動したりする。さらに、Microsoft 365 コンプライアンス機能も活用して、機密情報保護、保持期限、レコード管理などしっかりと対応することです。

OneDrive の使い方の基本指針

OneDrive for Business は個人のワークスペース(一時的な作業場所)で、最終的には削除される。自分が辞めたとしても組織に共有すべき情報は SharePoint に置くというのが基本的な考え方にした方が管理がしやすいと思います。

1. 構想段階 … OneDrive 上でファイルを作成しながら考えをまとめていく

2. 確認(レビュー)や一時的な共有 … 出来上がったら他のメンバーにちょっと確認してもらうというのに Teams 上のチャットで共有する

3. 正式に公開… 正式に多くの人に公開する段階になったら、Microsoft Teams 内の各チャネルの「ファイル」タブまたは SharePoint サイトにファイルを移動またはコピーする。この流れが作れると、大事な情報だけ長期保管する方向でふるいにかけられます。

SharePoint に関して

SharePoint サイトは Microsoft Teams に接続されたチームサイトと社内ポータルとして利用する単独サイトがありますが、チームではあくまでもチームメンバー間での共有となります。公開範囲が大抵は狭い。一方で、社内ポータルとなると公開範囲は関係する複数の部署などというように広く設定することが多い。

こうしたことを踏まえて、全体的なイメージ図を作成してみました。ピラミッドはデータ量をイメージしており、組織が長期間しっかりと管理すべき情報(大事な情報は宝石のアイコンです) はふるいにかけて、選択的に管理していくようなイメージです。

もちろん、あくまでもこれが正解というわけではないですし、これ以外に既存のファイルサーバーをどうするとか、Yammer はここには組み入れていないけどどうなるとか、色々と気になるところもあると思います。詳しくは弊社の研修へどうぞ。

とにかく、これをきっかけに自分なりのイメージを描いてもらえるといいなと思います。

OneDrive  SharePoint  Teams

ちなみにこの図は Twitter でも共有していて、多くの方に共感をいただいたようで共有してよかったなと(画像は Twitter の方が画質がいいかも)。

さて、こうしたことを考慮しながら、各組織でどのようにしたら効率よく情報共有し、管理も行き届くだろうかということを社内がディスカッションしてみてくださいね。難しいと感じるかもしれませんが、ファイル管理には多くの人がかかわるので、どのシステムを使っていても色々と考えるべきことが多いものです。

関連コース

先ほど文中でも述べましたが、ここまでの内容はほんの一部で私の頭の中にあることすべてはブログには書ききれませんし、やはり体系立てて書いている拙著をまずはしっかりと読んでいただけるのが一番いいと思っています。

さらに、定期的に実施している研修では書籍には書ききれない内容や最新情報なども盛りだくさんにお話しします。質疑応答も一人一人とじっくり行います。ぜひ、ご利用くださいねー