カテゴリ「Power Automate」の36件の投稿 Feed

2020年8月20日 (木)

Microsoft 365 管理センター内にある「メッセージセンター」にはテナントに今後展開されてくる新機能などのアナウンス数多くが届きます。対処が必要なものもあれば、そうでないものもあります。管理者としては、設定が必要なものはそこからタスクを管理していく必要がありますし、場合によってはユーザーへの周知をすること自体がタスクとなり得ます。

そこで新機能として比較的最近追加されたのが Planner との同期設定です。これを設定することで、Power Automateの仕組みを使って定期的にメッセージをタスクとして自動登録できるようになります。

Planner 同期 - 01

設定はとても簡単。管理者の方はもちろん、Power Automate を利用している方はソリューションの一つの例として捉えておくとよいだろうなと思っています。

手順についてはスクリーションショットを並べておきましょう。テナントの管理者が構成します。

Planner 同期 - 02

タスクの作成先となるプランとバケットを指定。

Planner 同期 - 03

同期対象となるメッセージを選択する。

Planner 同期 - 04

構成後、すぐにインポートできるようになっており、その際に最大28日前のメッセージから取り込める。

Planner 同期 - 06

確認したら[完了]をクリックする。

Planner 同期 - 07

初回以降は定期的に同期することになるため、そのタイミングを指定し Power Automate を構成していくことになる。

Planner 同期 - 08

とはいえ、Power Automate 側の構成は[フロー作成]をクリックすることで自動で行われる。

Planner 同期 - 09

あっという間に構成完了。

Planner 同期 - 11

同期の設定を変更する場合はメッセージセンターから再度[Planner の同期]をクリックすればよい。

Planner 同期 - 12

これで Planner 側にメッセージがタスクとして同期されるようになります。

Planner 同期 - 13

ところで、自動作成されたフローはどうなったのでしょうか。Power Automate の画面で確認しましょう。

フローは既定の環境に「チームフロー」として作成されます。

Planner 同期 - 14

フローの内容は次のようになっており、非常にシンプルです。

Planner 同期 - 15

 

 

 

 

 

 

2020年7月 9日 (木)

ご存知の方も少なくないようですが、タイトルにある通り SharePoint 2010 ベースのワークフローエンジンが利用できなくなります。といっても SharePoint Online の話で、オンプレミスとは状況が異なるので注意してください。

SharePoint 2010 ワークフローエンジンを使うワークフローは、早急に Power Automate もしくはその他のソリューションに切り替えていく準備をしておく必要があります。とはいえ、全く同等にフローが作れるわけではないのが、なかなか悩ましいところではあります。

Microsoft 社からの公式情報は次の通り。

「Support update for SharePoint 2010 workflows in Microsoft 365」

Sp2010WF engine retired - 01

「SharePoint 2010 workflow retirement」

Sp2010WF engine retired - 02

SharePoint 2010 ワークフロー エンジンとは何か?

SharePoint 2010 ワークフローエンジンと聞いて、ピンとこない方のために、少し歴史的背景をご紹介しましょう。

SharePoint はワークフロー機能を持っています。SharePoint Portal Server 2007からこの機能を利用して承認フローなどを構築できるようになっています。このワークフローを支えているのがワークフローエンジンであり、SharePoint Portal Server 2007 および SharePoint Server 2010ではワークフローエンジンを SharePoint 自体が内包してきました。

SharePoint Portal Server 2007では 2007用のエンジン、SharePoint Server 2010 は 2010 用のエンジンをそれぞれに持っています。それぞれをベースとしたワークフローテンプレートも用意されており、サイトコレクションの機能(フィーチャー)にそれぞれのテンプレートの有効化を行う機能があります。

たとえば、SharePoint 2007 用は次の機能をアクティブ化すると利用できるようになっています(といっても、古いのでもう Online では使っているところはないと思います。今のところ SharePoint Online でも設定は名残として残っていたので参考までに掲載しています)。

Sp2010WF engine retired - 03

SharePoint 2010 のエンジンを使ったビルトインのテンプレートを利用するときは次の「ワークフロー」機能をアクティブ化します。

Sp2010WF engine retired - 04

この機能をアクティブ化するとリストやライブラリにビルトインのワークフローテンプレートを追加して利用できるようになっています。

Sp2010WF engine retired - 01

ビルトインのテンプレートは次の通りであり、フィードバックの収集、署名の収集などがあります。

Sp2010WF engine retired - 05

 

ただし、このエンジンはSharePoint 内で動作していたこともあり、スケーラビリティに欠けるなど課題も見えてきました。そこで SharePoint Server 2013 からは従来の SharePoint 2010 エンジンも利用できるようにしつつ、新たなエンジンとして SharePoint 2013 エンジンを提供し始めます。これは SharePoint 内に含まれてはおらず、別途 ワークフローエンジン用にサーバーを構築してエンジンをインストールする必要がありました。要するに、エンジンが外付けされることになったわけです。これによってスケーラビリティの問題なども解消できるし、従来組めなかったフローロジックも組めるようになるなど恩恵はあったものの、SharePoint のアクセス権限設定が柔軟に設定できないなどの問題も抱えていました。そこで、SharePoint 2013 エンジンと SharePoint 2010 エンジンを組み合わせて、互いのいいとこどりをするようなフロー構築もできるようになっています。

このような背景の中、SharePoint Server 2010 以降では SharePoint Designer 使った独自のワークフロー開発なども盛んにおこなわれました。ちなみに、SharePoint Designer 2013 で独自にワークフローを作るときには、どちらのエンジンをベースにフローを作るのかを選んでから作成するようになっています。

Sp2010WF engine retired - 06

 

SharePoint 2010 および 2013 ワークフローエンジンは今後どうなるのか?

ここまでの経緯で SharePoint 2010 ワークフローエンジンとは何かがある程度、把握できたと思います。

今回 Microsoft からのアナウンスによると、SharePoint 2010 ワークフローエンジンを使ったフローは次のような段階を経て、利用できなくなります。

  • 2020年8月1日から、SharePoint 2010 ワークフロー群は、新たな作成されたテナントに関しては利用できなくなる
  • 2020年11月1日から、既存のテナントから SharePoint 2010 ワークフローの実行および作成機能の削除を開始する

SharePoint 2013 エンジンに関しては利用は非推奨とはなるものの、引き続きサポートされるとのこと。2020年11月以降、新規テナントでは SharePoint 2013 ワークフローエンジンの利用も既定ではオフにされます。ただし、必要があれば PowerShellスクリプトを使って SharePoint 2013 ベースのワークフローをアクティブ化できるそうです。

またオンプレミスの SharePoint 2016 と 2019 サーバーに関してはどちらのエンジンも 2026年までは引き続きサポートされます。

最後に、これからに備えて

以上のように今から10年前に登場したエンジンも終焉を迎えることとなりそうです。既に組織内でこうしたフローを使っている場合は早急に確認をし、対応を考える必要があります。SharePoint の開発コミュニティがモダン化対応をチェックするためのツールとして「 SharePoint Modernization Scanner 」をオープンソースとしてGitHub に公開しているので、まずはこれを使ってフローの洗い出しをしましょうということのようです。ただし、今日もちょうどSharePoint モダンポータルの研修を実施しており、このツールの話をするのですが、このツールは実は SharePoint Online の管理者、つまり組織全体の管理者でないと設定できない部分があります。この部分が少しネックになるかもしれません。大企業だと複数のグループ企業を抱えていますが、要するに親会社側でないとこれらの設定ができないので手軽に試せるとは限らないのです。これに関しては、各組織でうまく連携を取る必要があるでしょう。

それから、今あるフローをそのままPower Automate やその他のサービスに移行しようと考えるようとしているのであれば、ちょっと待ってください!

日本の組織では大抵の場合、その対象が「承認」フローだと思います。是非、次のことを考えてみてください。 

新型コロナにより仕事の仕方も大きく変わってきていて、さらにこうした大きな変化の節目でもあります。この際に可能な限り業務を見直して、本当にそのフローが必要なのか組織内で議論をしてみてはいかがでしょうか。絶好のタイミングとみることもできるかもしれません。

「その承認は本当に必要なのか?」

いろんな方に話を伺うと、フローを作る側の人は、少なからずそう感じているフローがあるようです。

もしかしたら、紙の判子で書類を回していたころから、引き続き今までやってきたからという理由で続けているところはありませんか? 団塊の世代が活躍していたころからあるプロセスだったりしませんか? だとしたら一度見直す時期では? そもそも、その承認プロセスは形骸化していなませんか?

この人手不足の中、少ない人材でいろんな仕事を効率よく捌く必要があります。見直すタイミングも必要ではないでしょうか? 年功序列で、先輩後輩の関係があり、先輩は無茶もいうけど、後輩の面倒もよく見てくれていたという義理人情もまだまだあったころは、承認プロセスには責任の所在を明らかにするとともに、本当に責任もとっていた方々も少なくなかったのではないかと想像しています。ですが、責任の所在といっても形式だけになっていませんか?  承認以外にもやりようがあるかもしれません。本当は迅速な情報の可視化が必要なのに、人海戦術でチェックするために承認フローをつかっていたりしませんか? そうなると場合によっては、承認ではなくて業務プロセスをスムーズに進めることに時間とお金と労力をかけていきたい。

もちろん、承認が不可欠な業務があるのは事実ですが、見直しは必要だと感じています。

業務プロセスを見直しながら、プロセスをより効率よく進めていけるように Power Automate を使って自動化できる部分は自動化することを考えてみてはいかがでしょうか? Power Automate = ワークフロー = 承認と考えている方が、(特に SharePoint ユーザーでは) 結構な確率でいらっしゃると思いますが、そうではありません。Power Automate が真価を発揮するのは、これまでになかった AI との連携やチャットボット連携なども含む、新しい切り口で業務を支援できるポテンシャルを持っています。

そして、Power Automate を独学で学ぶ十分な時間がなかなか取れない方は、是非弊社の研修もご利用ください(最後は宣伝もかねて)。

2020年7月16~17日に初回実施となりますが、「業務効率を向上させる Power Automate 実践演習 (OH-O365-205)」は Power Automate をちょっと触ってみたけど、もう一歩、詳細なフローが組めるようになりたい方向けの中級レベルの方向けの研修内容になっています。Power Automate を使ったフローの移行を考えいる方に最適です。

 

 

 

2020年4月23日 (木)

今回は SharePoint 開発経験者向けのお話。

Power Automate では SharePoint の REST APIが呼び出せます。

本題に入る前に少し状況の補足をしておきましょう。

カスタマイズや機能拡張の変遷

クラシックサイトでは気軽に JavaScript を埋め込めていましたが、これにより管理者が把握できないスクリプトも溢れることになりました。さらには、何かするにも JavaScript を書く必要があるというのはエンドユーザーにとってはハードルが高い。サイロ化したスクリプトを管理下におけるよう、モダンサイトでは SharePoint Framework を使ってサイト管理者の管理下にあるスクリプトのみが実行できるように振る舞いが変わっています。またエンドユーザーでも手軽にアプリが作れるように Power Platform と SharePoint は連携できるようになっているわけです。

こうした背景から、今まで JSOM (JavaScript Object Model)ゃREST APIを JavaScript からアプローチを一部は Power Automate や Power Apps などに置き換えていく方向も考えていく必要があります。

そこで冒頭の話に戻ります。Power Automate では SharePoint REST API を呼び出せるので、これまで JSOM や REST API で培ってきた開発ノウハウを生かせる部分も多く存在します。

今回、ブログの題材は SharePoint Designer 2013 の持っていた機能の一部置き換えをしようという試みです。その一つがリストの表示・非表示です。

リストの表示・非表示とは?

リストには Hidden 属性があり、SharePoint Designer では簡単にTrueもしくはFalseを切り替えられました。Hidden 属性が True となると「サイトコンテンツ」ページからリストは非表示になります(こういうリストを隠しリストと呼びます)。もちろん、URLは利用可能であるため、ユーザーが直接 URL をアクセスすれば従来通りリストにはアクセスできます。

さて、Power Automate などで処理している際にも、ユーザーには直接目につかないように隠しリストを作りたいというケースも少なくない。こうした処理を Power Apps と Power Automate で処理してやろうという話です。次のビデオでは実際の動作が確認できます。まだアプリは改善の余地はありますが、それは追々機能を拡充していく予定です。

このフローでのポイントは SharePoint コネクターの「SharePoint に HTTP要求を送信します」アクションを使うことです。今回は更新処理であるため POST します。また、リストのアップデートを行う必要があるわけですが、従来のようなページ上で JavaScript を実行するときとは異なり、X-REQUESTDIGEST の値を指定する必要はありません。

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さて利用したフローの全体画面を掲載しておきます。REST API に慣れている方は、このあたりは問題なく利用できるでしょう。

リストの表示非表示

 

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2020年4月20日 (月)

前回の投稿の補足としてフローボットを作成してみるときの注意点を共有しておきます。

Flow ボットは手動で開始できるようになっていますが、Run flow コマンドで開始するには次のお約束があります。

  • 既定の環境にフローを作る
  • 入力がないフロー、またはスケジュールに基づいて実行されるフローであること

このあたりのことは Flow ボットに "Learn more" コマンドを送信すれば教えてくれます。

Flow bot 1

それでは! ということで早速上記のルールにのっとって作成するわけですが、手っ取り早いのはモバイルのFlow ボタンにある「手動でフローをトリガーする」トリガーを使ったフローです。

これを利用するのですが、Flow ボタンのトリガーを使って作成しても、List flows にフローが出てこないケースがあるのです。

順を追って説明します。

Flow のトリガーを追加し、コードのプレビューをしてみましょう。

Flow bot 2

これを見ると次のように入力が空なのが分かります。

Flow bot 3

このままフローを構築すればいいわけですが、途中のアクションでフローの作成者情報を取得しましょう。例えば次のようにトリガーしたユーザー名を変数に格納してみます。

Flow bot 4

この状態で再び「手動でフローをトリガーします」のコードビューを確認してみましょう。次のように変化しているはずです。

Flow bot 5

つまり、トリガーしたユーザーの情報を取得するために入力パラメータが生成されてしまっているのです。

このようになると Flow bot からは呼び出せなくなります。

検証していて、非常に嵌ったところです。

皆さんも試すときには、何もパラメータのないトリガーに気を付けてフローを構築してみるようにしてください!

 

【研修】SharePointユーザーのための Power Apps & Power Automate入門

AdobeStock_194043476対象者は SharePoint サイトの基本的な操作や用語が理解できている方で、Power Automate や Power Apps を使った業務改善などを検討している方です。

Microsoft Teams には Flow アプリを追加できるようになっています(テナントによっては不可になっていることもあります)。

Flow-Bot

このアプリ内ではフローの作成や管理はもちろん、自分と対話できるフローボットが利用できます。このフローボット自体 Power Automate を使って作成できます。

利用イメージがしやすいように、これを使って SharePoint に格納されている機密保持契約書を手軽に先方に送付するというシナリオをご紹介しましょう。このフローではTeamsのコネクターを使っていますが、いずれも現時点ではプレビューであり、フロー構築時にはいくつかの課題もあります。

構築方法については今回は深入りしませんが、まずはどんなことができるのかを知ってもらえれば、何か業務改善のヒントになることもあるのではないかと思っています。

詳しくはビデオを使って説明していますのでご覧ください。

基本的な flow bot の作り方はまた別の記事で紹介します。

【研修】SharePointユーザーのための Power Apps & Power Automate入門

AdobeStock_194043476対象者は SharePoint サイトの基本的な操作や用語が理解できている方で、Power Automate や Power Apps を使った業務改善などを検討している方です。