July 15, 2016
製品版の手順に書き直しました。
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オンプレミス環境で従来使われてきた Office Web Apps サーバーは、今年リリース予定の次バージョンでは名称が変わり「Office Online Server (OOS)」と呼ばれます。このサーバーは従来通り、Word, PowerPoint, Excel, OneNote をブラウザー上で表示したり編集したりできるようにする機能を提供します。
オンプレミス版の SharePoint 2016 と Exchange 2016 はOSSと共に動作するように設計されています。新たな追加機能や改善での主だったところは次の通りです。
- SharePoint の Enterprise Edition に含まれてきた Excel Services は OOS に吸収される
- 同時編集サポートの改善
- パフォーマンスと安定性の改善
OOS のインストールと構成
基本的に OOS のインストール手順は従来の Office Web Apps サーバーの場合と変わりません。SharePoint 2016 や Exchange 2016 では OOS が必要になりますが、SharePoint 2013 との互換性も備えているため、既存の SharePoint 2013 と共に利用することも可能です。
インストーラーの入手
各言語パックが提供される予定ですが、現在の提供は英語版のみとなっているようです。また SharePoint 2016 は 2016年1月に Release Candidate バージョンがリリースされましたが、OOSに関しては 2015年9月リリースの Priview 版のみで、現在までに新しいバージョンは提供されていないようです。
現在製品がリリースされていますので、MSDN もしくは正規のボリュームライセンス プログラムから入手する必要があります。言語パックも提供されています。
インストールと構成手順
検証環境構築時の手順を備忘録として下記に掲載しておきます。
事前に把握しておくべき項目は次の通りです。前述の通り基本的にOffice Web Apps Server 2013 と同様です。
- 最小ハードウェア要件は SharePoint Server 2016 と同様である
- サポートする OS は Windows Server 2012 R2 (64bit) のみ
- Excel Online 機能を使って外部データアクセスする場合は、外部データソースを利用するユーザーと同一の Active Directory フォレスト内に OOS を設置する
- このサーバーには、OOS 以外のサーバーアプリケーションをインストールしない
- ポート80, 443, 809 を利用するようなサービスはインストールしない
- OOS にはいかなるバージョンの Office クライアントもインストールしない
- ドメインコントローラー上にインストールしない
上記の条件を満たす Windows Server を準備したら以下の手順でセットアップしていきます。
- 管理者アカウントで OOS サーバーとなる Windows Server にログオンする。
- Windows PowerShell を使って次のコマンドを実行し、Windows サーバーの機能と役割を追加する。
Install-WindowsFeature Web-Server, Web-Mgmt-Tools, Web-Mgmt-Console, Web-WebServer, Web-Common-Http, Web-Default-Doc, Web-Static-Content, Web-Performance, Web-Stat-Compression, Web-Dyn-Compression, Web-Security, Web-Filtering, Web-Windows-Auth, Web-App-Dev, Web-Net-Ext45, Web-Asp-Net45, Web-ISAPI-Ext, Web-ISAPI-Filter, Web-Includes, InkandHandwritingServices, Windows-Identity-Foundation
- 再起動のメッセージが表示されたら再起動する。
- 次のソフトウェアを追加インストールする。
※.NET Framework 4.5.2 (日本語) をインストールする際に下記のようなメッセージが表示されますが、[はい]をクリックし、インストールを続行します。最後に再起動が必要です。
- Office Online Server の Setup.exe を実行する。
- 「マイクロソフト ソフトウェア ライセンス条項に同意します」をオンにし、[続行] をクリックする。
- インストール先のドライブ等を確認し、「今すぐインストール」をクリックする。※インストールは数分で終わります。
- [閉じる]をクリックする。
以上でインストールは完了です。
Excel Online 上で外部データアクセス時に Kerberos 制限付き委任の認証を行いたい場合は、サービスから Windows トークン サービスに対するクレーム (Claims to Windows Token Service) を 自動開始にしておきます。このサービスは SharePoint 側 (SharePoint 2010以降) にも存在しており、Excel Services の移管に伴いOffice Online サーバーにも配置されるようになったようです。
続いて追加構成を Windows PowerShell で行いますが、HTTP または HTTPS のいずれかで接続できるように構成する必要があります。私の検証環境では、HTTPS での接続を行います。事前にドメインコントローラーを証明書サーバーとして構成してあるためこれを使います。※証明書発行云々は割愛
- インターネット インフォメーション サービス(IIS)マネージャーを起動する。
- 左のノードからサーバー名をクリックし、[サーバー証明書]をクリックする。
- 操作メニューから[ドメイン証明書の作成]をクリックする。
- 識別名のプロパティを入力する。
- オンライン証明機関の指定やフレンドリ名を指定する。[終了]をクリックする。
- 証明書が取得できる。
- サイト > Default Web Site の順に展開し、[バインドの編集] をクリックする。
- サイト バインドの画面で[次へ]をクリックする。
- 種類を https とし、取得した SSL 証明書を指定する。[OK] をクリックする。
- [閉じる]をクリックする。
IISサイトに SSL証明書を設定したら、PowerShell を使って次のコマンドを実行する。
New-OfficeWebAppsFarm -InternalUrl "https://wac2016.contoso.com" -ExternalUrl "https://wac2016.contoso.com" `
-CertificateName "OfficeOnlinePreview" -EditingEnabled
最後に動作確認のため、次のURLにアクセスする。※サーバー名は適宜置き換える
https://wac2016.contoso.com/hosting/discovery
結果として下記のようなXMLデータが取得できればよい。
続いて SharePoint の側から次の SharePoint 2016 管理シェルを使って次のコマンドを実行し OOS にバインドする。
New-SPWOPIBinding -ServerName wac2016.contoso.com
Excel Online や Excel Web パーツでのスケジュールされた更新を行う場合は、次のスクリプトを実行する
$Farm=Get-SPFarm
$Farm.Properties.Add("WopilegacySoapSupport", '
"https://wac2016.contoso.com/x/_vti_bin/ExcelServiceInternal.asmx")
$Farm.Update()
以上の設定が終わったら OOS が動作するか確認します。
Excel Services の機能が OOS に移動したので、ユーザーにとってはわかり易くなったと思いますが、管理画面がなくなり
すべて PowerShell になってしまうので、Excel Services にあまり詳しくない方にはハードルが上がったように思います。
Excel Services の単独コースを復活させようかしら?
[参考情報]