2020年7月 9日 (木)

[注意] SharePoint 2010 ワークフローエンジンが利用できなくなる

ご存知の方も少なくないようですが、タイトルにある通り SharePoint 2010 ベースのワークフローエンジンが利用できなくなります。といっても SharePoint Online の話で、オンプレミスとは状況が異なるので注意してください。

SharePoint 2010 ワークフローエンジンを使うワークフローは、早急に Power Automate もしくはその他のソリューションに切り替えていく準備をしておく必要があります。とはいえ、全く同等にフローが作れるわけではないのが、なかなか悩ましいところではあります。

Microsoft 社からの公式情報は次の通り。

「Support update for SharePoint 2010 workflows in Microsoft 365」

Sp2010WF engine retired - 01

「SharePoint 2010 workflow retirement」

Sp2010WF engine retired - 02

SharePoint 2010 ワークフロー エンジンとは何か?

SharePoint 2010 ワークフローエンジンと聞いて、ピンとこない方のために、少し歴史的背景をご紹介しましょう。

SharePoint はワークフロー機能を持っています。SharePoint Portal Server 2007からこの機能を利用して承認フローなどを構築できるようになっています。このワークフローを支えているのがワークフローエンジンであり、SharePoint Portal Server 2007 および SharePoint Server 2010ではワークフローエンジンを SharePoint 自体が内包してきました。

SharePoint Portal Server 2007では 2007用のエンジン、SharePoint Server 2010 は 2010 用のエンジンをそれぞれに持っています。それぞれをベースとしたワークフローテンプレートも用意されており、サイトコレクションの機能(フィーチャー)にそれぞれのテンプレートの有効化を行う機能があります。

たとえば、SharePoint 2007 用は次の機能をアクティブ化すると利用できるようになっています(といっても、古いのでもう Online では使っているところはないと思います。今のところ SharePoint Online でも設定は名残として残っていたので参考までに掲載しています)。

Sp2010WF engine retired - 03

SharePoint 2010 のエンジンを使ったビルトインのテンプレートを利用するときは次の「ワークフロー」機能をアクティブ化します。

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この機能をアクティブ化するとリストやライブラリにビルトインのワークフローテンプレートを追加して利用できるようになっています。

Sp2010WF engine retired - 01

ビルトインのテンプレートは次の通りであり、フィードバックの収集、署名の収集などがあります。

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ただし、このエンジンはSharePoint 内で動作していたこともあり、スケーラビリティに欠けるなど課題も見えてきました。そこで SharePoint Server 2013 からは従来の SharePoint 2010 エンジンも利用できるようにしつつ、新たなエンジンとして SharePoint 2013 エンジンを提供し始めます。これは SharePoint 内に含まれてはおらず、別途 ワークフローエンジン用にサーバーを構築してエンジンをインストールする必要がありました。要するに、エンジンが外付けされることになったわけです。これによってスケーラビリティの問題なども解消できるし、従来組めなかったフローロジックも組めるようになるなど恩恵はあったものの、SharePoint のアクセス権限設定が柔軟に設定できないなどの問題も抱えていました。そこで、SharePoint 2013 エンジンと SharePoint 2010 エンジンを組み合わせて、互いのいいとこどりをするようなフロー構築もできるようになっています。

このような背景の中、SharePoint Server 2010 以降では SharePoint Designer 使った独自のワークフロー開発なども盛んにおこなわれました。ちなみに、SharePoint Designer 2013 で独自にワークフローを作るときには、どちらのエンジンをベースにフローを作るのかを選んでから作成するようになっています。

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SharePoint 2010 および 2013 ワークフローエンジンは今後どうなるのか?

ここまでの経緯で SharePoint 2010 ワークフローエンジンとは何かがある程度、把握できたと思います。

今回 Microsoft からのアナウンスによると、SharePoint 2010 ワークフローエンジンを使ったフローは次のような段階を経て、利用できなくなります。

  • 2020年8月1日から、SharePoint 2010 ワークフロー群は、新たな作成されたテナントに関しては利用できなくなる
  • 2020年11月1日から、既存のテナントから SharePoint 2010 ワークフローの実行および作成機能の削除を開始する

SharePoint 2013 エンジンに関しては利用は非推奨とはなるものの、引き続きサポートされるとのこと。2020年11月以降、新規テナントでは SharePoint 2013 ワークフローエンジンの利用も既定ではオフにされます。ただし、必要があれば PowerShellスクリプトを使って SharePoint 2013 ベースのワークフローをアクティブ化できるそうです。

またオンプレミスの SharePoint 2016 と 2019 サーバーに関してはどちらのエンジンも 2026年までは引き続きサポートされます。

最後に、これからに備えて

以上のように今から10年前に登場したエンジンも終焉を迎えることとなりそうです。既に組織内でこうしたフローを使っている場合は早急に確認をし、対応を考える必要があります。SharePoint の開発コミュニティがモダン化対応をチェックするためのツールとして「 SharePoint Modernization Scanner 」をオープンソースとしてGitHub に公開しているので、まずはこれを使ってフローの洗い出しをしましょうということのようです。ただし、今日もちょうどSharePoint モダンポータルの研修を実施しており、このツールの話をするのですが、このツールは実は SharePoint Online の管理者、つまり組織全体の管理者でないと設定できない部分があります。この部分が少しネックになるかもしれません。大企業だと複数のグループ企業を抱えていますが、要するに親会社側でないとこれらの設定ができないので手軽に試せるとは限らないのです。これに関しては、各組織でうまく連携を取る必要があるでしょう。

それから、今あるフローをそのままPower Automate やその他のサービスに移行しようと考えるようとしているのであれば、ちょっと待ってください!

日本の組織では大抵の場合、その対象が「承認」フローだと思います。是非、次のことを考えてみてください。 

新型コロナにより仕事の仕方も大きく変わってきていて、さらにこうした大きな変化の節目でもあります。この際に可能な限り業務を見直して、本当にそのフローが必要なのか組織内で議論をしてみてはいかがでしょうか。絶好のタイミングとみることもできるかもしれません。

「その承認は本当に必要なのか?」

いろんな方に話を伺うと、フローを作る側の人は、少なからずそう感じているフローがあるようです。

もしかしたら、紙の判子で書類を回していたころから、引き続き今までやってきたからという理由で続けているところはありませんか? 団塊の世代が活躍していたころからあるプロセスだったりしませんか? だとしたら一度見直す時期では? そもそも、その承認プロセスは形骸化していなませんか?

この人手不足の中、少ない人材でいろんな仕事を効率よく捌く必要があります。見直すタイミングも必要ではないでしょうか? 年功序列で、先輩後輩の関係があり、先輩は無茶もいうけど、後輩の面倒もよく見てくれていたという義理人情もまだまだあったころは、承認プロセスには責任の所在を明らかにするとともに、本当に責任もとっていた方々も少なくなかったのではないかと想像しています。ですが、責任の所在といっても形式だけになっていませんか?  承認以外にもやりようがあるかもしれません。本当は迅速な情報の可視化が必要なのに、人海戦術でチェックするために承認フローをつかっていたりしませんか? そうなると場合によっては、承認ではなくて業務プロセスをスムーズに進めることに時間とお金と労力をかけていきたい。

もちろん、承認が不可欠な業務があるのは事実ですが、見直しは必要だと感じています。

業務プロセスを見直しながら、プロセスをより効率よく進めていけるように Power Automate を使って自動化できる部分は自動化することを考えてみてはいかがでしょうか? Power Automate = ワークフロー = 承認と考えている方が、(特に SharePoint ユーザーでは) 結構な確率でいらっしゃると思いますが、そうではありません。Power Automate が真価を発揮するのは、これまでになかった AI との連携やチャットボット連携なども含む、新しい切り口で業務を支援できるポテンシャルを持っています。

そして、Power Automate を独学で学ぶ十分な時間がなかなか取れない方は、是非弊社の研修もご利用ください(最後は宣伝もかねて)。

2020年7月16~17日に初回実施となりますが、「業務効率を向上させる Power Automate 実践演習 (OH-O365-205)」は Power Automate をちょっと触ってみたけど、もう一歩、詳細なフローが組めるようになりたい方向けの中級レベルの方向けの研修内容になっています。Power Automate を使ったフローの移行を考えいる方に最適です。

 

 

 

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