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2023年7月26日 (水)

Microsoft 365 管理センターのメッセージセンターに届いた内容によると、表題通り Microsoft 365 ログインユーザーの顔写真の扱いが変わります。

ロールアウト期間は比較的長く 2023年8月中旬から2024年3月下旬まで です。

ふり返り

変更点を確認する前に、そもそも現時点で Microsoft 365 のログインユーザーの顔写真はどのように扱われているのかを確認しておきましょう。

SharePoint のプロファイル画像の保存先

SharePoint にアクセスすると右上に顔写真が表示されます。この情報は個人のプロファイル画像として管理されています。

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プロファイルは Delve から表示や編集ができますが、Delve をホストしているのは SharePoint です。元はプロファイル画像というのは個人用サイトのホストサイトコレクションに格納されるようになっています。このサイトは特殊でSPSMSITEHOST#0 テンプレートから作成されます。個人用サイト コレクションとは OneDrive for Business が利用するサイトコレクションのルートサイトコレクションに当たります。

では"ルート サイトコレクション" とは? これは、例えば、https://<ドメイン名>.sharepoint.com というURLがルートのサイトコレクションです。余談ですが、昔は Microsoft 365 テナントを契約すると既定でこのURL直下にチームサイトができていました。ですが現在は既定でコミュニケーションサイトが用意されるようになっています。通常はこれ以外にチームサイトやコミュニケーションサイトを別途、追加作成していくことになりますが、その際には管理パスといって "teams" や "sites" などの配下にサイトが作られるわけです。例えば、https://contoso.sharepoint.com/teams/team01 とか https://contoso.sharepoint.com/sites/contracts などです。

これらは最初から共有されることを前提にしたチームサイトやコミュニケーションサイトの話です。これとは別に OneDrive for Business に代表される個人利用を前提としたサイト群が存在します。これをホストするルートが個人用サイトのホストサイト(ルート)であり、https://<ホスト名>-my.sharepoint.com/ です。OneDrive for Business はログインユーザーごとのこのURLを共通に持つように各サイトコレクションが作られることになります。個人用のサイトをホストする場合の管理パスは "personal" と決まっています。ですから、例えば、adelev@officeidev.onmicrosoft.com というUPNを持つユーザーがいたとすると URLは https://officedev-my.sharepoint.com/personal/adelev_officeidev_onmicrosoft_com となります。最後の部分はユーザーのUPNから取得しているわけです。

ユーザーフォトライブラリ

さて、肝心の顔写真ですが、SharePoint 側のプロファイルに画像をアップロードするときの格納先はユーザーフォトライブラリです。これは、個人用サイトのホストサイトコレクションに作成されます。ライブラリ名は "User Photos (ユーザーの写真)"。この個人用サイトのホストサイトコレクションには https://<ホスト名>-my.sharepoint.com/のURLで直接アクセスしようとしても個人の OneDrive にリダイレクトされてしまいますが、例えば直接ライブラリのURLにアクセスすれば確認はできます。

https://<ドメイン名>-my.sharepoint.com/User%20Photos/Forms/AllItems.aspx

ここに Profile Pictures というフォルダーが作成されており、この中に各ユーザーの顔写真が3つのサイズで生成され保存されます。

20230726_111236

Exchange のメールボックス

さて、Microsoft 365 では画像の保存先は SharePoint 側で管理されるユーザープロファイルだけではありません。Exchange のライセンスがある場合は Exchange 側のメールボックスにもプロファイル画像が格納できるようになっています。

Exchagne 側での写真の追加・管理については下記のリンク先を参照してください。

この2つの場所にある画像を裏ではうまく同期しています。24時間に1回だけ Exchange Online と同期するようになっています。

同期プロセスの詳細については下記のサポート情報が参考になります。

今後の変更点

メッセージセンターの内容からの要約です。


現時点では Exchange のライセンスを持たない場合で、ユーザー自身がプロファイル画像を変更できるのはSharePointに古くから用意されているプロファイル編集画面からのみです。

https://<ドメイン名>-my.sharepoint.com/_layouts/15/editprofile.aspx

20230725_174321_3

これ以外は基本的には編集することができないため、管理者がEntra ID (旧Azure AD)側から画像をアップロードする必要があります。20230726_114241_2

すでに説明した通り Exchange のライセンスがあれば同期されるものの、ライセンスがないため画像がそれぞれ異なったままになってしまう。たとえば、SharePoint 側で連絡先カードを表示すると SharePoint側で管理されているプロファイル画像が表示されますが、右上のコーナー側の画像は異なります。

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この "ちぐはぐ" な状況を解消するために、今後 SharePoint 側は Microsoft People System (MPS)から MS Graph エンドポイント経由で取得した画像を表示するように変更されます。ちなみに、Exchange のライセンスを持っているユーザーについては機能的な変更はありません。

このアップデートにより、プロファイル画像の一貫性を保つために SharePoint 側からの画像アップロードを無効化され、MPS の一か所からのアップロードのみとなります。

先ほど紹介したSharePoint 側の昔からあるプロファイルの編集UIからはアップロードができなくなるとのこと。他にもパーソンイマーシブ UI から編集やアップロードができなくなるとメッセージには書かれているのですが、Person Imersive UIとは写真編集用のページで PersonImmersive.aspx というものがあったのですが、昔の話でこれ自体は今は利用できないはずなんですよね。この部分はあまり気にしなくていいようにも思います。

その代わり SharePoint のページ右上にある Universal Me コントロール を使って画像をアップロードすることを求められるようになるそうで Delve から写真のアイコンをクリックして変更もできるとのこと。 Universal Me コントロールとはSharePoint サイトにアクセスしたときに画面右上に表示される顔写真アイコンをクリックしたときに追加や変更できる画像コントロール部分のことを指しているようです。

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管理者にとっての注意点

この変更に伴い、SharePoint 管理センターからユーザーに代わって画像をアップロードすることができなくなります。

[SharePoint 管理センターのユーザープロファイルの編集画面]20230726_120553_2

そのため Microsoft 365 管理センターまたは Microsoft Entra ID 管理センターからプロファイル画像をアップロードするよう求められるとのこと。

結論

つまりは、SharePoint で長年ホストされてきた ユーザー フォト ライブラリは使われなくなるということですね。

その他の気になる点 (Power Platform)

この変更によって Power Apps や Power Automate 側から画像を参照するときの挙動がどう影響を受けるのか、または受けないように調整してくれるのか。この辺りは個人的に気になっています。


原文を載せておきます。

Share Point: User experience and Image Coherence in Share Point Online (SPO)

We are currently working to improve user experience by providing a coherent profile photo experience across Microsoft 365. This primarily impacts those users of SharePoint online (SPO) who neither have an exchange license or are using Delve for uploading images. This may also impact a small number of SPO admin who upload the user profile image on behalf of the end users.

When this will happen:

We will begin rolling out this change in mid-August 2023 and expect to complete by late March 2024.

How this affects your organization:

Currently, for users who do not have an Exchange License and have uploaded multiple different images across different apps in Microsoft 365, it is likely that SPO displays images uploaded locally in SPO which will be different from User Profile images in other Microsoft 365 apps.

To ensure that the same image is available across all Microsoft 365 experiences, going forward, SPO will display images sourced via MS Graph endpoint from Microsoft People System (MPS). This implies that the image uploaded via other apps in Microsoft 365 will take precedence and get displayed in SPO instead of the locally available image in SharePoint. There is no action required from users at this point.

For users with Exchange licenses there is no functional change.

To ensure profile coherence, we will disable local uploads from SPO to mysite host and instead enable centralized uploads to Microsoft People System (MPS).

What you can do to prepare:

For all users identified above: The profile image will no longer be edited/uploaded through SPO “Edit Profile UI” experience or through “Person Immersive” UI experiences. Instead, all such users would be requested to use the “Universal Me” control available on top right corner of the Share Point Home page for uploading images. Alternatively, they can also use Delve to upload profile images.

For SPO admins: Admins who upload the user profile image on behalf of the end users will no longer be able to upload images via SPO Admin Centre. Instead, all SPO admins will be requested to upload user profile images via MAC Admin Centre or AAD admin center.

We are providing an early heads-up to ensure our customers have sufficient time to adapt to upcoming changes as we will not be able to grant any extension for this change.

2023年7月21日 (金)

現在、Microsoft リストは新しい UX がロールアウトされています。これがロールアウトされるとSharePoint サイト側でリストを新規に作成すると、Microsoft Lists アプリにリダイレクトされるようになります。ちなみに、既存のリストでも Microsoft Lists アプリで開くようになります。

※2023年7月20日現在の情報です。

[ロールアウト情報]

  • ターゲットリリーステナント: 2023年7月下旬~8月上旬
    ※Twitterでもつぶやきましたが、うちのテナントは7月上旬にはきてはいました。ですが、正式にはちょうど今頃ということですね。
  • 標準リリーステナント: 8月上旬~10月上旬

同じテナントでもユーザーによってロールアウト状況はまちまちになるかもとのこと。

利点

この新しいUXでは次のような利点が享受できます。

  • アイテムの追加や編集画面が画面中央にポップアップされ、画面を広く使える
  • 操作の結果が画面下部にポップアップするので見やすい
  • 複数ユーザーで同時編集したときに編集箇所がリアルタイムでわかる
  • 列のタイトルに列の種類を示すアイコンが表示される
  • 新しい評価列が追加できる
  • グループ化とグループ化の解除が容易 (どの列でグループ化しているのかが簡単にわかる)
  • 横スクロール時に左端の列が固定される
  • ビューの削除メニューがわかりやすくなった
  • アイテムを追加するときに「新規」ではなく「新しいアイテムを追加」メニューになっている

新しくなった基本的な使い方をビデオにざっとまとめてみました。

✨重要!

さらにリスト内の5000アイテムを越えている場合、従来は並び替えがうまく機能しなかったのですが、これがきちんと動きます!!

ルールのトリガー条件 ※2023年7月24日追記

ルールのトリガー条件も新しくなります。従来は次の4つでした。

  • 列自体が変更されたとき
  • 列の値が変更されたとき
  • 新しいアイテムが作成されたとき
  • アイテムが削除されたとき

20230724_120134

このうち「列自体が変更されたとき」と「列の値が変更されたとき」とが統合されて「列のデータが変更した」となり、全部で3つになります。

  • 列のデータが変更した
  • 新しいアイテムが作成されたとき
  • アイテムが削除されたとき

20230724_120238

注意点

次のものは新しいUXは未対応です。

  • SharePoint Framework extensions をインストールしているリスト
  • PowerApps で SharePoint フォームをカスタマイズしているリスト
  • 承認フローがあるリスト
  • プレイリスト

ただし、上記以外のリストでもいくつかの機能の消失や不具合も見られます。気が付いている範囲でリストアップしておきましょう。

  • ビュー上の画像列をクリックしても拡大されなくなった
  • 詳細ウィンドウがないので複数アイテムを選択して列の一括編集ができない
  • ビューの書式が崩れる
  • 既定でギャラリー表示オプションがない
  • ギャラリー表示のビューを作っても、カードデザイナーがない

これらはゆくゆくは解消されていくのかなとは思っています。

ですが、現状では場合によっては従来のUXに変更したいこともあります。では従来のUXに変えるにはどうするのか? これは簡単で画面右上の [アクセスの管理]横にある矢印アイコンをクリックすることです。マウスホバーすると「サイトで開く」と表示されます。

20230720_130213

サイト単位での機能のオフ

また、テナントのグローバル管理者や SharePoint 管理者はPowerShellを使えば、サイト単位で新しいUX の機能を使わないように制御できます。

Set-SPOSite -Identity <サイトのURL> -ListsShowHeaderAndNavigation $true

SharePoint 管理シェルは最新版の 16.0.23814.12000 を使って設定してみたところ、左側が抑制済み、右側は既定のままとなりました。

[追記 (Sept 21, 2023)]

PowerShellを使わずとも、リストの設定ページからも設定できるようになりました

🔗  SharePoint サイトのリストをMicrosoft Lists アプリで既定で開かないようにする

2023年7月12日 (水)

Microsoft 社 (日本マイクロソフト社ではなく本社)では様々な AMA (Ask Microsoft Anything の略)イベントを Microsoft Tech Community サイト上で行っています。AMA とは大抵1時間ほどの時間を限定してだれでも質問を書き込むことができ、それに対して Microsoft のエンジニアなどがライブで答えていくというものです(テキストベースのライブイベント)。いわゆる一問一答ではなくディスカッション形式でふるため、返信も誰でも書き込めるようになっており、内容によっては他のユーザーからの「それは、こうだよ」とか「賛成」とか、「賛同しかねるな」などの返信もあったりします。

※AMAは "アマ" とそのまま読みます。

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余談ですがMicrosoft Viva Engage にも Ask Me Anything として AMA の機能を持っており、役員など日ごろ直接コンタクトを取りにくい人に直接質問をするとっいった仕組みを持っていたりします。

🔗 AMA events in Viva Engage - Microsoft Support

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さて、話を戻しましょう。

このAMAですが、 2023年6月14日にSharePoint, OneDrive, Lists, Stream を題材にした AMA が開催されました。通常は書き込んだら、そこに返信がきて終わりだったのですが今回は趣向が異なり、プレゼンターが画面上で Live 配信しながら、こらかれ出てくる新機能の話と書き込まれている質問からいくつかをピックアップしてその場で回答するという方法でした。これはすごく良かった!

ただし、日本だと真夜中の開催になることがほとんどであるためライブ参加が難しい😣。たまたま、今回は夜中に起きたのでそういえばと思い出して途中参加できましたが。World Wideで参加できるようにはなっているので、時差を考慮し、AMA 開催前には事前に質問を投稿しておくこともできるようになっており、回答はイベントの時間内で行われます。時間内に回答できなかったものも、後日、大抵は回答してくれているようです。単なる要望などを書いているものは返信が付いていないケースもあり、100%回答してくれるとは限りませんが技術的な質問は基本的に回答してくれています。

この録画が YouTube に公開されています。前述した通り、新機能の話などもあるため夏休みの勉強がてら一通り見てみるのをお勧めします😊。今回は1時間半の内容でした。

このAMA自体は下記のリンク先に公開されているので、いろいろな方からの質問とその回答を見てみると非常に参考になります。

🔗 Tech Community Live | AMA for SharePoint, OneDrive, Lists, and Stream - Microsoft Community Hub

タイムスケジュールや関連するブログへのリンクもまとまっています。下記に転記しておきます。

Agenda + Experts (all times listed in the Pacific Time Zone (PT):  

  • 10:05 – 10:25am -- AMA | SharePoint  
  • 10:25 – 10:45am -- AMA | OneDrive  
  • Experts@Miceile Barrett@Paul Diamond , Gaia Carini, Carter Green, and @Vishal Lodha.
  • Get the most out of your files with significant updates to the overall OneDrive user interface – a more simple and personalized experience.  
  • 10:45 – 11:10am -- AMA | Lists 
  • 11:10 – 11:30am -- AMA | Stream  

 

  • 11:30am -- Wrap up 

質問内容

 どんな質問が出ていたか、少しピックアップしておきましょう(意訳です)。

Q. Stream (Classic)では利用できていた動画のトリム機能は、Stream on SharePoint にはないし、ClipCampにもビデオのトリム機能が見当たらないけれど、戻ってくる可能性はあるのか?

A. シンプルな "ソフトトリム" 機能を Stream 用に開発中。また、M365 Enterprise に来る予定の ClipChamp はビデオ編集のフル機能がある。提供時期は未定。

Q. リストの列の表示非表示を編集フォームから設定できるが、ビジネスユーザーにとってはロジックが感化単にかけない。UIから設定できるようになるといいのだけれど。

A. v1 のプランにはまだ含まれていないけれど、開発チームのバックログには入っている。

Q. OneDrive のフォルダーの色分け機能は素晴らしいのだけど、Windows 11 の Windows エクスプローラー内で同期したフォルダーには影響するの?

A. ライブでも話した通り、最重要事項ととらえているが、現時点では何とも言えない。

Q. OneDrive/SharePointの質問: OneDrive にショートカットがあるSharePoint のアイテムを削除する前に警告したり、禁止したりするオプションがあればいいのだが。

A. この夏にその機能は登場する。

Q. サイト間での SharePoint ページのコピーや移動はできるようになりますか? 顧客にすごくよく聞かれます。

A. これは複雑な問題であることがわかっている。単なるページではなくページ上のコンテンツもすべてが対象になるためです。コピー/移動は現在検討中だが具体的な日程は決まっていない。まずは、APIを公開しUXでフォローする予定。

※個人的な補足: インターネットのようにすべて公開されている情報だけならいいけれど、アクセス権限で制御されている様々なリストや画像などを参照しているので、なかなか一筋縄ではいかなさそう。

Q. SharePoint: ページの目次を自動的に作成するWebパーツがあるといい。

A. 社内で目次の Webパーツは作成しテストしたが、残念ながらパフォーマンスと信頼性が十分ではなかったため開発を一時停止している。需要があることは理解しているが、これ以上は今のところ何も言えない。

Q.  自分が利用しているSharePoint / Teams の同期機能はいくつかの問題があった。SharePoint / Teams の同期機能は廃止してショートカットを追加するオプションだけにする予定はあるか? それと412文字のパス制限を拡大する予定はないのか?

A.共有ライブラリを同期するのではなく代わりにショートカットフォルダーを利用できるように取り組んでいる。現在、Web上から同期ボタンを削除し、「OneDrive にショートカットを追加」するコマンドだけを表示するポリシーも用意している。最大ファイルパスについてはフィードバックとして受け取り、引き続き調査する。

Q. OneDrive 同期アプリはリブランドしないのか? OneDrive アプリと OneDrive の違いが判らない顧客が多くサポートするときに非常に苦労している。

※個人的な補足: これは日本と一緒だわ。。。

A. OneDrive のブランドを変更する予定はない。OneDrive という名前は Microsoft 365上でのファイル用のソリューションであり、SharePoint を含むすべてのファイルシナリオを支えている。

※個人的な補足:これなのよね。モバイル版の SharePointは端的に言えばニュースを見るためのものでポータルサイト機能を補うもの。モバイルでファイルを開くならモバイル版OneDrive アプリが必要でこれで SharePoint サイトのファイルも賄う。ブランド名とシナリオの訴求がもっと必要だと個人的には思っているところ。

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以上、私が個人的に気になったものだけピックアップしました。興味のあるポイントはことなるでしょうから、あとは、ご自身で直接ご確認ください♪

2023年7月 6日 (木)

Micorosoft Loop アプリのパブリックプレビューが公開されたあと有志による勉強会を行いました。その時の内容は下記の記事からも参照できます。

Microsoft Loop Public Preview の勉強会開催

この時に私が色々と調べてみた結果「どうも Microsoft Loop アプリは特殊な SharePoint サイトの上に構築されているようだ」と述べたのですが正しくはありませんでした。正確にはSharePointサイトではなく、Microsoft Syntex repository services (リポジトリ サービス) に構築されていることがわかりました。このサービスは5月末の Microsoft Build 2023 で発表され、その時に明らかになったのです。

このブログでも Microsoft Syntex についてはたびたび取り上げていますが、簡単に Syntex について説明しましょう。Microsoft Syntex はもともとは SharePoint Syntex と呼ばれていましたが、2022年に開催された Microsoft Ignite 2022 で Microsoft Syntex と名前が変わりました。従来は AI を使った高度なドキュメント管理に特化していたのですが、新たな “Syntex” ブランドではより包括的なソリューションとなり、組織内の高度なコンテンツ管理に関わる機能を提供する仕組みになっています。

Syntex リポジトリサービスとは? 

※2023年7月6日現在、プライベートプレビューです。そのためまだ広くには公開されてはいません。

基本的には開発者向けのサービスですが、冒頭でも紹介した通りMicrosoft Loop もこの仕組みを使っているため Loop に興味のある方はぜひとも押さえておきたいところ。このサービスは名前通りファイルのリポジトリ(保管場所)を提供するものです。アプリ開発者にとって、ファイルを取り扱う場合にリポジトリをどうするのかというのを考えなくてはいけません。単に保管するだけではなくバージョン管理するとか検索させるとか、セキュリティはどう担保するかなど考えることが多くあるわけです。

そこで既存のノウハウをより広く活用できるようにしようという話がでてくるのです。Microsoft 365 では、SharePoint が20年以上培ってきた多くの機能を持っています。Syntex リポジトリ サービスはこの Microsoft 365 のコンテンツ管理機能を自前で作成するアプリのバックエンドとして利用できるようにしようというもの (PaaS)。このサービスを使えば単なるファイルストレージではなく、次のような機能を自前で開発していかなくてもそのまま流用できるのです。

  • バージョン管理
  • 同時編集
  • 共有
  • 検索
  • セキュリティ (アクセス権限)
  • コンプライアンス対応 など

SharePoint の歴史をさかのぼると、こうした SharePoint が標準で持っているポテンシャルを生かすために SharePoint 上で拡張機能としてアプリを作りこもうとしてきた時期があります。ですが、欲しい機能以外に SharePoint としてのUX 上の制約も色々と受けてしまうことも少なくありませんでした。しかし、この Sytnex リポジトリ サービスを利用することで Teams や SharePoint のユーザーエクスペリエンス(UX)の制約にとらわれることなく、自由にUX を設計できるようになります。

次の図は Syntex リポジトリサービスの位置づけを示すものです。Microsoft DesignerMicrosoft Loop が PaaSとしてこのサービスを使っていることがわかります。Loop アプリが出てきた当初は、特殊な SharePoint サイト上にアプリが構築されていると思っていたのですが、このサービスの発表によりそうではなくリポジトリサービスを使っていたことがわかりました。Syntex7

Syntex リポジトリサービスがもたらすメリット

エンタープライズ アプリと ISV アプリのどちらも、Microsoft 365 の信頼境界の内側に構築することになります。ISVは、独自のリポジトリソリューションをいちから構築するのではなく、顧客の個々のMicrosoft 365テナント内でファイルやドキュメントを管理できます。

SharePoint が提供する Microsoft 365 のコンテンツ管理機能をアプリに組み込めます。Syntex リポジトリ サービスには、バージョン管理、きめ細かなアクセス許可、ごみ箱、検索、サムネイル、共有などの機能が含まれています。

高度な Microsoft 365 セキュリティとコンプライアンス対応を独自のアプリにも適用できます。 Microsoft Purview 機能が提供する監査、eDiscovery、データ損失防止 (DLP)、機密ラベル、保持ラベル、暗号化制御などが利用できるということです。

アプリの一部として、顧客、ユーザー、ゲストユーザーの間で Office ドキュメントが持つ Microsoft 365 リッチコラボレーションを利用できます。Syntex リポジトリサービスを利用したアプリには、プレゼンスインジケータ、コメントでの @ メンションによる注目の喚起と文書共有の促進、リアルタイムの共同執筆などの機能も含まれます。

利用例

すでに先行していくつかのベンダーが Syntex リポジトリサービスを使ったアプリを構築しているそうです。概略をピックアップしておきます。

AvePoint社

Modern Work Solutions 社のパートナーである AvePoint 社は、Microsoft Syntex リポジトリサービスを中心に設計された AvePoint Confide アプリの新バージョンを構築

Peppermint Technology社

法律事務所管理ソフトウェアのグローバルプロバイダーであるPeppermint Technologyは、SyntexのリポジトリサービスをPeppermint CX365と統合し、包括的な文書・記録管理システムを共同顧客のMicrosoft 365テナントに提供します。

Bentley Systems社

インフラストラクチャー・エンジニアリング・ソフトウェア会社であるBentley Systems, Incorporatedは、Microsoft Syntexリポジトリサービスを活用してBentley Infrastructure Cloudを強化し、重要なファイルベースの共同オーサリングワークフローをサポートするとともに、ITによる導入障壁を取り除くことに努めています。

関連情報

詳しくは Microsoft 社の公開している次の資料を参照してください。

Announcing new Microsoft Syntex innovations – Plugins for Microsoft 365 Copilot, Repository Services - Microsoft Community Hub

Introducing Syntex repository services: Microsoft 365 superpowers for your app

2023年5月 9日 (火)

米国のラスベガスで2023年5月2日~4日にかけて、Microsoft 365 のコミュニティイベントである「Microsoft 365 Conference 2023」が開催されました。このイベントは基本的に毎年ラスベガスで開催されています。

コミュニティイベントでありながら、このイベントの最大スポンサーは Microsoft 社であり、今回はこのイベントにタイミングをあわせて数多くの大型アップデート情報が解禁となりました

イベント自体はコロナ禍になってから、ようやくの対面式となりハイブリッド開催でもなく現地に参加することで楽しめる内容になっていたようです。私もすごく現地に行きたかったんですが、残念ながら、今回は参加が難しく😢。ですが、Microsoft の SharePoint の公式Twitter アカウント(@SharePoint)や Microsoft の Jeff Teper 氏の Twitter アカウント (@jeffteper) でも、このイベントでSharePoint は大型アップデート情報を公開するよ! というツイートはされていたので、待ち遠しく思っていたのです😀。

ということで公開された情報を整理していきましょう。きっとワクワクしますよ!

公開されたアップデート情報のリンク集

SharePoint、OneDrive、Microsoft Lists, Microsoft Stream に関してそれぞれ詳しく情報が公開されています。それぞれ非常に情報量が多く各記事をしっかり読み込んでみてください。

(参考) 現在、世界中でどのくらい Teams および SharePoint が使われているのか?

Jeff Teper 氏の話では、Teams の月当たりのアクティブユーザー数(MAU)が 300Mに達したそうです。300M = 3億ですね。そして SharePoint に蓄積されているデータ量が月当たり、200PB(ペタバイト)。20230507_163427_2

ここからコンテンツの量がいかに膨大になってきているかを窺い知れます。そうなるとやはり気になるのはコンテンツ管理でしょう。これからは大量のデータをどうセキュアに管理するかという課題管理がますまず重要になってきます。ところで Twitter を見ていると、「この SharePoint のデータの多くは Teams のビデオ会議の録画の容量じゃないの?」という少々揶揄したような意見も出ていましたが、これには Jeff氏がきっぱり反論していて、それらを除いたデータ量だとのこと。

今回のアップデート情報の気になるポイントを拾おう!

細かい話は上記のリンク先を見ていただければよいのですが、じっくり目を通している時間がない方向けに、私が独断と偏見で気になった情報をここに一通りまとめておきます。
※Twitter でもつぶやきましたが、ツイートはあとから見返しにくいので。

SharePoint

SharePoint に関してはポータル機能(サイトとページ) が大きく進化します! 

Copilot in SharePoint

近い将来、サイトやページ作成に Copilot が利用できるようになります。SharePoint に AI時代がいよいよきます。

Microsoft 365 Copilot の一つですね。Copliot (コパイロット: 副操縦士) は OpenAI のGPT-4を Microsoft 365 に組み込んだもの。 詳しくは下記のアナウンスを確認してください。

📢Microsoft 365 Copilot を発表 – 仕事の副操縦士 - News Center Japan

さて、話を戻しましょう。これにより、チャットベースで WordドキュメントやPowerPointのプレゼンテーションからもページを生成できるそうです。日本語でどれくらい使えそうなのかも早く確認したいですね。Fvkfuyqacaa1lzc

この機能は今年の11月にロールアウト開始を予定しています。

20230509_151238

サイトの見栄えが柔軟にカスタマイズできる

従来、パッと見れば「SharePointだ!」とわかるくらいモダンサイトの外観のカスタマイズは、あまり表現の幅が広くなっかったのですが、これががらりと変わります。下記の画像がすべて SharePoint サイトです。素敵ですねー。

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SharePoint スタートページ

Microsoft 365 アプリ起動メニューからSharePoint のロゴをクリックしたときに表示されるのが SharePoint スタートページですが、このページも見た目だけでなく機能面でも大きく様変わりするようです。Fvkiy9iacaaziwy

この機能は今年の9月にロールアウト開始予定です。

20230509_151112

SharePoint ページの同時編集

SharePoint ページは現時点では同時編集はできませんが、いよいよ複数名での同時編集も可能になります!

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同一ページ上でもWebパーツごとに担当を分けて、それぞれに一斉に担当の記事を書いてもらうとか、ちょっとしたレポートを一斉に書いてもらうなどもできそうです。また打ち合わせしながらページに情報をまとめつつ、全員であーだこーだ言いながら編集できますね。「確認しました。ここと、あそこを修正してください」というようなやり取りなく、「ここ修正しますねー」と互いにその場で気が付いたら修正するなどもできるわけです。こうした同時編集機能は Office アプリでもすでに使えますが、これまで使ってきたことがないから使い方がわからないという組織が結構あるものですが、気軽に「使ってみよう」と試して経験を積むことが大事だと思います。

この機能のロールアウト時期はちょっと先で、来年の3月を予定しているそうです。

20230509_150059

ページ単位での共有

これまでページ単独での共有はできなかったため、サイトに対する権限を相手に付与する必要がありました。が新しい機能ではページ単位での共有ができるようになりサイトの共有をしなくても部分的に情報共有ができるようになります。

この機能はまもなく利用できる予定で7月にロールアウト開始となっています。

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セクション単位でのデザインレイアウト

ページ (ニュース) のセクション単位でデザインレイアウトを提案してくれるようになります。Fvkygkyaeaafpln

画面右側はコンテンツペインという新機能。Webパーツや画像やビデオ、デザインアイディアといった項目が見られます。デザインアイディアといえば PowerPointに搭載されていますがそれと基本的な発想は同じですね。ちなみに、現在はセクションの背景画像は指定できません。この背景画像も込みで提案してくれるようです。

さて、このコンテンツペインも2023年10月にロールアウト開始予定になったようです!20230509_143123

SharePoint ページのデザインアイデアは、来年の1月にロールアウト開始予定。20230509_151504

画像Webパーツの進化

ページを作成しているとよく使うのがこの画像Webパーツですが、Webパーツ内で画像の加工までできるようになります。トリミングしたり、角を丸くしたり。表現の選択肢が増えます!3_assetidimageedit

この機能はすでにロードマップに追加されていて7月にロールアウト開始予定となっているようです! 

ブランドセンター (Brand center)

SharePoint サイトの見栄えのカスタマイズ機能を大幅にアップデートするのに伴い、ブランドセンターというものが用意されるようです。現在のサイトのテーマだと種類も限定的でフォントなどは指定できませんが、こちらだとできるよう。サイトのデザインのカスタマイズやその展開手法も大きく変わりますね。Fvknjcuacainvmh

この機能は2023年12月にロールアウト開始予定です。

20230509_145842

 ページの内容を丸ごとメール送信 (Outlook)

現在はページをメール送信しようとすると先頭の文言の一部だけがメール送信され、続きは SharePoint サイトのリンクをクリックしましょうという流れになっています。組織によってはライセンスの問題などもあり、全員が SharePoint サイトにアクセスできないため内容をメールでも丸ごと送りたいというケースもあります。標準ではできなかったので独自に SharePointのAPIを利用するなどして Power Automate などと組み合わせて丸ごと送信しようと取り組むところもあるではないでしょうか。ただ、この場合、懸念されるのはページへのアクセス数(利用状況分析)が正しく取得できないというところでした。

しかし、今回のアップデート情報によればページを丸ごとメール送信できるだけでなく、メールを見た人もアクセス数としてカウントされるとのこと。これは朗報ですね。詳細情報を待ちたいところです。ちなみに、対象はOutlookです。

Fvkggxakaany8m

この機能もまもなく使えるようになる予定で、7月にロールアウト開始となっていますね。SharePoint でも Outlook でも機能するように6つのテンプレートが追加されると書かれています。SharePoint のWebパーツによっては Outlook でサポートされない表現もあるでしょうから、それに対応したものだと思います。


20230509_150821

ロードマップ

ロードマップも公開されました。来年出てくるものも結構ありますね。Fvkvjrqaeaaawvm

管理者向けの SharePoint 情報

複数テナント間での SharePoint サイトのコンテンツを移行できるようになります。企業の獲得、統合などに対応する機能で「SharePoint Mergers and Aquisitions」とタイトルがついています。移行したコンテンツはリンクも維持してくれるようです。

Fvkuabqayam4wip


現在この機能へのプライベート プレビューにエントリーできます。

https://aka.ms/ODSPSecurityPreviews

関連情報

OneDrive (for Business)

OneDrive は現在すでに 対象リリーステナントを中心に、見栄えも含め新機能が色々とロールアウト中です。上記のOneDrive のTech Community の記事を見ても、もう知っているという情報も少なくないと思います。無論ご存じない方もいると思います。そういった方はぜひ、元の記事の方をしっかり読んでおいてください。情報量はとても多いです。

その中でも、これからの新機能として注目したいのは「フォルダーの色分け」ですね(最近、リストやライブラリの列としてビュー上で選択できるようになっている Color Tag ってこれのためのものかしら。。。)。

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Open in app (アプリ内で開く)

これまでOfficeファイルに関してはデスクトップ版またはブラウザー版のいずれかで開くためのオプションが用意されていましたが、新しいアップデートではOfficeファイルでないPDFやJPEG、MP4などをデスクトップアプリで開けるようになります。そのためメニューも「Open in app」となるそう。この機能は今年の後半に提供予定で OneDrive だけでなく SharePoint, Teams でも利用できるようになるそうです。

1つのビュー上ですべての会議のファイルを見る

会議の招待状、録画、チャットなどからファイルを探すのは大変です。そこで、OneDriveに新たに「会議ビュー」が用意されます。このビューには今後の会議と最近行われた会議ごとに共有されたファイルのリンク集が表示されます。これは便利そうですね!

Meetings

ロードマップ

ロードマップをよく見ると年末までに同期できるファイルの上限が400K以上になると書かれています。現在は30万ファイルまでが同期できるファイル数の上限ですが、これが拡大されるようです。

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Microsoft Lists

Microsoft Lists に関しては読み込み時間が半分になるといったパフォーマンスの改善も見られます。
それはもちろんですが、個人的にもっとも一番目を引いたのが、リストから直接入力フォームが作成できるというもの。Forms_2

現在、何かしらデータ入力をしてもらうために Microsoft Forms を使っている方も多いと思いますが、フォームに入力されたデータを SharePoint リストに直接格納したいと思うとどうしても Power Automate を使ったフロー作成が必要になってきます。また、Power Apps で入力画面を作ってデータは裏でリストにためていくようにするという使い方も多いと思います。

ですが、この機能を使えば、標準機能を使って手軽に入力フォームが作成できます。フォームも複数作成でき、どうも共有リンクで共有するようなので、リストに直接アクセスさせずに○○部はこのフォームから入力、○○チームはこっちのフォームからというように入り口を分けることもできそうです。フォーム自体からも列の追加ができるようで、フォームを作っている最中で「あれ、項目が不足するな」と思えばそのまま列の追加もできるということですね。モバイルでも使えるということで、早く使いたいですね。なお情報が明らかではありませんが、個人的には添付ファイルの扱いが気になるところ。

画像列に画像をドラッグ&ドロップ

画像の列に手持ちの画像を直接ドラッグ&ドロップできるようになります。

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評価列

評価列が新しくなります。新しい評価列では統計機能が確認しやすくなるなど機能が充実してきます。

個人向けで提供されてきた機能がエンタープライズ環境へ

また個人向けのMicrosoft アカウント(MSA) 用の Microsoft Lists で提供されている機能がエンタープライズ環境でも使えるようになります。

  • 新しいフィルター機能
  • リストの同時編集
  • 新しいビュー (タブ化)

新しいフィルター機能はフィルターした項目がカプセル型で上部に表示されるようになります。対象リリーステナントではすでにロールアウトされているので、動作については下を確認してみてください。

リストの同時編集もできるようなり、会議していて関係者が一堂に会しているような場合は皆で同時アクセスして、例えばリストを使った案件や懸案事項の状況確認や修正・追加なども手早く行えるようになります。Collab

ロードマップ

ロードマップを見ると、この夏に新機能が続々と投入されるよう。これは楽しみです♪
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Microsoft Stream 

Microsoft Stream からVideoポータルを SharePoint 上に手軽に作れるようになります! 教育コンテンツ、インタビュービデオ集、会議の録画集など色々と作成できそうです。Fvkidg4aqaaxufk

こうしたビデオに特化したページを素早く作成するためにビデオ ページテンプレートが用意されます。このテンプレートは SharePoint と Stream の両方から使えるようになるとのこと。この機能は8月にロールアウトを予定しています。

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新しいSteam Webパーツは2023年6月からプレビュー開始でロールアウトは7月からとなっています。特定のフォルダー内のビデオを一覧できるようになるみたいですね。

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参考情報ソース