カテゴリ「Microsoft 365 - SharePoint」の342件の投稿 Feed

2023年5月 2日 (火)

SharePoint で目的のコンテンツが見つからないという時、「検索範囲」というものが存在していることを意識していないことが原因かもしれません

そもそも、どこから検索をはじめても、常にすべてのサイトから検索してくるというのはよく考えれば非効率です。これでは目的のコンテンツ以外もキーワードに引っかかってくるかもしれず、本当に欲しい情報が埋もれがちに。たとえば、現実世界で何か探すとしましょう。もしテレビのリモコンが見つからなければ、利用する可能性の高いリビングでまずは探すでしょう。靴下が片方なければ、ソファーの下、洗濯機の中などありそうなところから探すものです。デジタルの世界も基本は変わらないのです。

より目的のコンテンツを適切に検索できるよう、検索を始めた場所によって検索範囲は適切に絞り込まれるようになっています。例えば、契約書を管理するサイトで検索を始めれば、そのサイト内のみをまずは検索します。これによって契約に関わるコンテンツだけが検索結果に表れるでしょう(検索しやすいよう、情報の性質、種類でサイトが分類されてるのが理想的)。

ということで、SharePoint を含むMicrosoft 365 では検索を開始する場所によって既定の検索範囲というものが決まっています。一般的な検索の開始場所は次の通りです。

  • Office.com (microsoft365.com)
  • SharePoint スタートページ
  • SharePoint ホームサイト
  • OneDrive for Business
  • ハブサイトのホーム
  • ハブサイト以外の各 SharePoint サイトのホーム
  • 各サイトのライブラリやリスト

検索をする場所によって下記の通り範囲が異なります。最上位が最も検索範囲が広く、下に行くほど検索範囲が狭くなっていきます。
なお、アクセス権限は担保されるため閲覧権限をもっていないコンテンツは検索結果に表示されることはありません。

検索場所 検索範囲 検索対象
office.com / microsoft365.com Microsoft 365 全体
  • SharePoint サイト内のコンテンツ(リスト、リストアイテム、ファイル、ページ、ニュースなど)
  • OneDrive for Business のコンテンツ
  • 連絡先(Delve)
  • メッセージ (Outlook のメール, Teams の会話)
  • アプリ
  • Loop
SharePoint スタートページ / SharePoint ホームサイトのホームページ
  • すべての SharePoint サイト
  • すべてのOneDrive for Business
  • SharePoint サイト内のコンテンツ(リスト、リストアイテム、ファイル、ページ、ニュースなど)
  • OneDrive for Business のコンテンツ
  • 連絡先(Delve)
  • Loop
OneDrive for Business 検索範囲は選択できる。
  • すべてのファイル⇒すべてのSharePointサイトとOneDrive
  • 自分のファイル
    ⇒自分の OneDrive for Business 内のみ
  • SharePoint サイト内のファイル(ページやニュースは含まない)
  • OneDrive for Business のファイル
ハブサイトのホームページ ハブサイトおよび関連付けられたすべての SharePoint サイト
  • SharePoint サイト内のコンテンツ(リスト、リストアイテム、ファイル、ページ、ニュースなど)
ハブサイト以外の各サイトのホームページ 今、検索を開始しようとしているサイト内
  • SharePoint サイト内のコンテンツ(リスト、リストアイテム、ファイル、ページ、ニュースなど)
各サイトのリストやライブラリ 現在表示しているリストまたはライブラリ
  • SharePoint サイト内のリストアイテムまたはファイル(フォルダー)
  • サイトページの場合はニュースとページの両方

上の表に書いた通り、各検索場所では検索ボックスに既定で表示される文言(プレースホルダー)が実は異なります。注目していなかった方はぜひ注目するようにしてみてください。

例えば、Office.com で検索するときは単に「検索」と書かれています。20230502_144722

SharePoint スタートページでは「SharePoint 内を検索」

20230502_144827

ハブサイトでは、「サイト全体の検索」20230502_144952

特定のサイトでは「このサイトの検索」20230502_145043

といった具合で、これは既定の検索範囲を示しています。

それぞれを少し詳しくみてみましょう。

Office.com

Office.com (https://www.office.com もしくは  https://www.microsoft365.com) から検索するときにはSharePoint だけでなく、アプリ、メッセージ(Outlook, Teams) などのMicrosoft 365 全体が検索対象となります(ただし、現時点では Viva Engage (Yammer) は含まれない)。SharePoint に限って言えば、サインインしているユーザーが参照できるすべてのサイトが検索対象です。ちなみに、メッセージに関しては、Outlook は自分のメールボックスが対象であり、Teams はチャットやチャネル内のメッセージが検索対象になります。20230419_142548

SharePoint スタートページ/SharePoint ホームサイト

SharePoint スタートページはアプリ起動メニューまたはスイートバーにある SharePoint のロゴをクリックすればアクセスできます。SharePoint ホームサイトは組織の管理者がホームとして指定したコミュニケーションサイトです。

この時注目してもらいたいのが検索ボックスに表示されている文言です。「SharePoint内を検索」となっています。こう表示されていれば、すべての SharePoint サイト(OneDriveも含む)が検索対象です。20230501_122142

これが表示されている場合、検索範囲はテナント内の全 SharePoint サイトと SharePoint 管理下にある情報が対象です。

  • すべてのSharePoint サイト
  • すべてのサイト内のリストやライブラリなどのコンテンツ(ファイルやリストアイテムも含む)
  • すべてのサイト内のニュース
  • すべてのサイト内の画像
  • 連絡先 (Delve で管理しているユーザープロファイル)

もちろん、アクセス権限は考慮されるため、ログインしているユーザーが参照できないコンテンツは検索結果には表示されません。

OneDrive for Business

OneDrive for Business から検索する場合は、すべての SharePoint サイトを対象にしたファイル検索になります。OneDrive for Business と言えばファイル管理が中心です。そのため、検索対象も「ファイル」のみです。

検索するとき検索ボックスに検索範囲が3つ表示されます。

  • 自分のファイル
  • すべてのファイル (既定値)
  • 組織全体

20230501_145201

既定では「すべてのファイル」となっており、検索範囲がすべての SharePoint サイト(OneDrive も含む)となります。したがって、検索結果を確認する際には「場所」の列を確認することが大切です。ここには格納されているサイトとライブラリのパスが表示されます。

Onedrive

「自分のファイル」を選択すると自分の OneDrive for Business 内の検索に限定されます。そのため場所はOneDrive for Business 直下に既定で作成されているドキュメント ライブラリのバスである Documents > で必ず始まります。

なお、検索範囲として「組織全体」を選ぶと SharePoint スタートページの検索画面に画面遷移することになります。たとえば、ファイル以外にページやニュースなどを探したいときや画像の絞り込み検索がしたいときにこれを選びます。もちろん、会話を検索したい場合は、明示的に  www.office.com (または www.microsoft365.com) にアクセスして検索するようにします。

ハブサイトのホーム

ハブサイトのホームページの検索ボックスには既定では「サイト全体を検索」と表示されます。つまり、ハブサイトおよびハブに接続されたサイト群全体を検索対象にしているということです。ハブサイトに子供のハブや孫のハブが接続されている場合は、それも検索範囲です。ただし、子供のハブのホームページで検索する場合は、上位検索はせず(検索範囲を広げず) 自分管理下のハブと孫ハブが検索対象になります。同様に孫ハブで検索すると孫ハブ内しか検索しません。

ハブサイト以外の各 SharePoint サイトのホーム

ハブサイト以外のサイトのホームページで検索した場合は、検索ボックスに「このサイト」と表示されます。この場合は文字通り、今、検索を開始しているサイト内のみが検索範囲だということです。

各サイトのライブラリやリスト内の検索

サイト内のリストやライブラリの各ビューにアクセスした状態で検索を始める場合は、検索ボックスには「このリスト」や「このライブラリ」と表示されます。ですから、いまアクセスしているリストまたはライブラリ内に限定した検索です。

20230501_151051

Power Apps を使ってSharePoint リストのカスタム フォームを作成するとき既定では「既定の環境」にフォームが作成されます。

Power Apps 管理用のPowerShellコマンドを使えば、任意の「運用環境」にカスタムフォームを作成できるようになります。SharePoint リストのカスタム フォームの作成環境とそれ以外を分けて容量の管理、ポリシー管理などを管理したいというようなケースではこうした設定も必要になるでしょう。

設定変更における注意点

カスタム フォームの作成先の既定の環境を変更するには、指定先は「運用環境」である必要があります。また、作成先環境を指定したとしても既存のカスタム フォームが新たな環境に移動されることはなく、そのままです。

また、新たに指定した環境をユーザーが利用できるように「環境作成者 (環境メーカー: Envrironment Maker)」の役割を各ユーザーに対して付与する必要があります。既定の環境のままであれば、この役割の付与はすべてのユーザーに対して自動的に行われますが、新規に指定する場合は自動では行われないため運用方法を考えないといけません。たとえば、新規に追加したユーザーアカウントに対して必ずこの環境のロールの追加もするといったようなルール策定です。 さらに、既定の環境の場合はそもそも環境の削除ができませんが、それ以外の環境の場合は環境は削除しようと思えばできてしまいます。この場合、当然、この環境に含まれるカスタム フォームも一緒に削除されます。

PowerShell コマンドで指定する

Power Apps の管理者用コマンドの基本的な利用方法は下記のリンク先を参照しましょう。

PowerShell のサポート - Power Platform | Microsoft Learn

では PowerShell コマンドに移りましょう。次のコマンドを実行して既定のカスタム フォームの作成環境を確認します。

Add-PowerAppsAccount

#SharePointカスタムフォームが作成される環境の取得
Get-AdminPowerAppSharepointFormEnvironment

これにより既定の環境を使っているかどうかがわかります。既定の環境名は Default- で始まります。20230501_093656

環境を変更するためのコマンドは Set-AdminPowerAppSharepointFormEnvironment を使用しますが、環境名を指定する必要があります。名前はGUIDで指定する必要があるため、まずは既存の環境の一覧を確認し目的の環境の名前を把握します。

Get-AdminPowerAppEnvironment コマンドを使用します。

#環境の一覧 (運用環境のみ)
Get-AdminPowerAppEnvironment | Where-Object {$_.EnvironmentType -eq 'Production'} | Select-Object -Property EnvironmentName, DisplayName, EnvironmentType

コマンドを実行すると、運用環境の情報が一覧できます。

20230501_104207

設定を変更していきましょう。この例では5e0b10a0 で始まる環境を指定します。次のコマンドを実行します。

#既定のカスタムフォームの作成環境を指定する (ここでは環境名は伏せています)
Set-AdminPowerAppSharepointFormEnvironment -EnvironmentName '5e0b10a0-*************' 

最後に既定のカスタムフォームの作成先の環境が変わったことを確認します。

20230501_100130

設定が反映されるまで少し待ってから、新規に SharePoint リストのカスタム フォームを作成してみましょう。環境が既定の環境ではなくなっていることがわかります。

20230501_103050

管理センターからも確認してみましょう。環境のリソースに保存した SharePoint リストのカスタムフォームがあることが確認できます。

20230501_103154

元の状態に戻すには、次のコマンドを実行します。

#既定の環境に戻す
Reset-AdminPowerAppSharepointFormEnvironment
#SharePointカスタムフォームが作成される環境が既定の環境に戻ったことの確認
Get-AdminPowerAppSharepointFormEnvironment

20230501_110028

2023年4月19日 (水)

下記のリンク先の記事によると、従来 SharePoint Syntex のシートライセンスを別途購入していないと利用できなかった下記の機能が、この夏(2023年)、Microsoft 365 E3, E5, A3, A5 のユーザーへと移管されることになったそうです。

  • コンテンツ クエリ
  • ユニバーサル アノテーション
  • アクセラレーター
  • タキソノミーサービス
  • ルール

Microsoft recognized as a Leader in Forrester Wave for Content Platforms - Microsoft Community Hub

結果的にユーザーごとに必要になっていた SharePoint Syntex は2023年7月1日に廃止され、その代わりに Microsoft Syntex の pay-as-you-go モデル(従量課金モデル)に移行されることになりました。

各機能の概要を確認しておきましょう。

コンテンツ クエリ

まずコンテンツ クエリですが、ライブラリにサイト列が追加されていれば、高度な検索が手軽にできるというもので、ライブラリ内に多くのドキュメントがある場合に難しい検索クエリを覚える手間が減ります。契約書などを検索するときに、任意のキーワードと組み合わせて、契約日の列の値で「いつから、いつまで」と範囲指定した検索などが容易にできるようになります。


20230419_163016

ユニバーサル アノテーション

PDFファイルなどにブラウザーから注釈を書き込む機能です。書き込むといっても直接ファイルを変更するわけではありません。詳しくは下記の記事を参照してください。

SharePoint Technical Notes : Syntex: PDFなどに注釈する (ユニバーサル アノテーション) (lekumo.biz)

アクセラレーター

チームサイトに対して素早く Syntex 機能を利用できるようにするための契約書管理や売掛金のサイトテンプレートを適用できるようになるというものです。

20230419_165847

タキソノミーサービス

用語セットの利用状況のレポートなどを管理者が利用できるようになるということですが、この記事だけだと詳細は未だよくわかりません。

ルール

ライブラリへのファイル保存時に列の値によってファイルの移動やコピーなどができる機能であり、Power Automate は必要としません。詳しくは下記の記事を参照してください。

SharePoint Technical Notes : SharePoint: ルール機能を使ったドキュメントの移動とコピー (lekumo.biz)

まとめ

個人的にこれはとてもインパクトのある変更だと感じています。より多くの人が手軽に新たなドキュメント管理機能が使えるようになれば、ドキュメント管理に課題を抱えている組織に対して私としても提案できる選択肢が増えることになります。

Microsoft Syntex のライセンスを持っているユーザーは SharePoint および OneDrive for Business に格納されているPDFファイルおよび TIFF形式のファイルにハイライトや注釈を書き込めるようになりました。この時、元のファイルは変更されません。この機能は Universal annotations (ユニバーサル アノテーション)と呼ばれます。

20230419_171429

2023年1月よりロールアウトが開始されており、2023年2月10日現在、このテナントで利用できるようになっています。当初は PDF と TIFF のみとのことですが、順次対応を拡大するとのことで、試すと *.ai ファイルも注釈を書き込めました。

実際の動作👇

この機能は、裁判の証拠や記録として保存するために文書を変更する必要がある場合でも、情報を呼び出したり、簡単にメモを取ったりする必要があるような法的環境で特に有用です。

[参考]

Microsoft Syntex: December updates and a 2022 wrap-up - Microsoft Community Hub

続きを読む »
2023年4月12日 (水)

以前、2023年2月10日付けの記事で、OneDrive for Business だけでなくSharePoint のドキュメント ライブラリから「ファイルを要求」できるようになったという記事を書きましたが、アップデート情報があったので、改めて記事にします。

SharePoint Technical Notes : SharePoint: ファイルの要求 - 社外からファイルを送付してもらおう (lekumo.biz)

軽くおさらい

この機能は社外のユーザーから指定したフォルダーにファイルを直接送信してもらう機能であり、フォルダーそのものは相手には見せないようにできるのがメリットです。そもそも社外にライブラリなどを公開するにはサイト単位で外部に共有できるように指定をする必要があったのですが、この機能を使うと社外への共有はさせずに「ファイルをもらうことだけ」ができます。

20230412_180812_2 [関連記事]

変更点

2月時点では OneDrive for Business 側から操作しないと「ファイルの要求」ができなかったのですが、2023年4月12日現在、SharePointのドキュメント ライブラリから直接指定できるようになりました! 

20230412_175233

公式情報

公式情報は下記の Tech Community に記事が公開されています。

Request external files into SharePoint document libraries (microsoft.com)

必要な設定

必要な設定に関しては前回の記事に書いた通りで、基本的にはテナントレベルのSharePoint管理者が共有ポリシーを「すべてのユーザー」に変えて、「[全員] リンクの有効期限とアクセス許可のオプションを選択します。」のフォルダー設定を「表示、編集、アップロード」にしていれば既定で設定は有効になっています。

無効にしたい場合は SharePointの管理者シェルで設定することになります。また「ファイルの要求」メニューが表示されない場合はテナントレベルでオフになってしまっている可能性があるためこれも PowerShellで確認および有効化する必要があります。

また、テナントレベルで有効にしつつ、特定のサイトでしか利用できないように制御することも可能です。これも PowerShellで設定します。

詳しくは下記のリンクを参照してください。

SharePoint または OneDrive でファイル要求を有効にする - SharePoint in Microsoft 365 | Microsoft Learn

おまけ: アップロード画面の違い

OneDrive for Business から共有する場合と比較すると、共有するときはアップロード画面に要求している本人の名前が表示されましたが、SharePoint の場合は「<サイト名>のメンバー」と表示されるようになっており個人を特定するようにはなっていません。

Photo

2月時点ではまだ未完成だったんですね。やっと、SharePoint から直接操作できるようになったので、うまく活用したいところです。