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2023年4月 7日 (金)

Microsoft 365 で OneDrive や SharePoint の検索をするときに、さっき削除したばかりのファイルが検索結果にまだ出てきてしまうということがあります。これは検索インデックスにしばらく情報が残ってしまうため。とはいえ、通常は数分程度で検索結果からも削除はされます。ちなみに、この現象は Google でも同じように起こります。

私たちが日々 SharePoint などで検索できるよう、検索のための情報が定期的に作成されています。どこにどんな情報があって、そこにはどういった言葉が含まれているのかなどが登録されているのです。この情報は検索インデックスといいます。

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このインデックスを定期的に更新するプロセスが検索クロールという処理です。Google などの他の検索エンジンでも検索クロールが定期的に行われています。

Microsoft 365 の場合はテナント全体で共通の検索インデックスがあり、ここには情報を保護するためにアクセス権限の情報も含まれています。

Microsoft 365 内では検索クロールのタイミングは特に公開されていませんが、新しくファイルなどを使いすると早ければ1分くらいで検索結果には表示されるようになるので、かなりの頻度でクロールされているようです。新規作成だけでなく、「消した」という情報のアップデートもクロールのタイミングで行われるため時差が生まれるのです。

さて、冒頭の削除したのに検索結果に表示されてしまうかもしれないという問題ですが、もし検索結果に削除済みのファイルなどが表示されたとしても、実際には実体は削除済みなので検索結果をクリックしてももう存在しないと言われるはずです。

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なお削除したコンテンツがどのくらい残っているのかはタイミングによります。実験すると数分で検索結果からも消えてくれることが殆どです。

アクセス権限と検索

SharePoint (および Microsoft Search)での検索結果はログインしているユーザーが持っているアクセス権限が反映されます。そのため閲覧できないコンテンツは検索結果には表示されません。自分には検索結果として表示されているファイルやページなどでも、他のユーザーにはそもそも表示されていないこともあります。

情報を漏えいしないためにも権限管理については、ユーザーといえども基本的な理解はとても重要です。

また、うっかり機密情報をうっかり共有してしまう場合に備えるファイルは秘密度ラベルという設定をすれば暗号化することも可能です。暗号化することで特定のユーザーしかファイルを開くことができないような制限ができます。秘密度ラベルの定義は組織全体で事前設定が必要なので、すぐに利用できない組織もあるでしょうし、すでに利用しているところもあると思います。なおファイルは暗号化すると検索ではヒットしなくなるというトレードオフもあり、うまく使い分けないと生産性は下がります。

秘密度ラベルに関しては弊社で研修も行っているのでご参考まで。

【オフィスアイ株式会社】Microsoft Purview コンプライアンス入門~Microsoft 365 ファイルおよびメールに対する機密情報保護と情報ガバナンス~ (office-i-corp.jp)

検索インデックスからの強制削除

かなり前はクロールに非常に時間がかかっていたため削除したコンテンツがしばらく残ることもよくありました。そのため、どうしても迅速に検索結果からも削除したいコンテンツがあれば、URLさえわかれば組織の管理者に依頼することで、検索インデックスから当該URLを削除してもらうこともできます。

SharePoint 管理者(※サイトの管理者ではなく、組織全体の管理者相当の管理者) は次の場所から検索インデックス内の特定のURLの情報を削除できます (下記の操作画面はオンプレミスのサーバー時代からあるものです)。ただ、前述した通り、現在は素早く削除情報もインデックスに反映しているようなので、数分程度待てば消えているはずです。どうしても消えていない情報があれば試してみるといいと思います。

  1. SharePoint 管理センターにアクセスする。
  2. [その他の機能]>[検索]の[開く]をクリックする。

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  3. [検索結果の削除]をクリックする。

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  4. 削除したいURLを入力して[今すぐ削除]をクリックする。

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 補足: ごみ箱について

ごみ箱は最初から検索インデックスの対象外なので、クロールされてもインデックスに含まれることはありません。したがって、検索結果には表示されません。

2023年4月 5日 (水)

※あくまでも 2023年3月時点の情報です。現時点で Loop アプリはハブリック プレビューの段階です。

Microsoft Loop アプリ: Public Preview

2023年3月22日付(米国時間)で Microsoft Loop アプリがパブリック プレビューになりました。ちなみに、Microsoft Loop アプリの一部である Loop コンポーネント(旧名称: Live Component)は先行してすでに利用できる状況です。

Microsoft Loop には大別すると2種類あります。

  • Microsoft Loop コンポーネント
  • Microsoft Loop アプリ

この新しいツールを使いこなすには、この2つの違いをきちんと把握することが重要です。

Microsoft "Loop"とは?

Microsoft 社からの公式情報としては下記に公開されています。

YouTube

日本マイクロソフト社が公開している情報

"Loop" の意味とは? (個人的な見解)

Microsoft Loop と聞いたときに気になったのは "Loop" というキーワードです。どういった想いが込められているのかは製品名を確認するのが一番です。

なぜ、Microsoft は "Loop" という言葉を選んだのか?

"Loop" という言葉の意味するところは IT分野では循環構造、繰り返しなどの意味で使われます。つまりポイントは "情報の再利用" です。20年以上前から働き方を効率化するために言われ続けてきているのが情報の再利用であり、例えば手作業による単純なコピー&ペーストはデータの再利用として行われてきましたが、これにより情報の重複や最新情報がわからない、情報が更新されていないなどいろいろな課題もあります。

こうした背景を受けて、Microsoft Loop を使う上で  "Loop コンポーネント" の活用は重要なカギになります。

Loop コンポーネント

コンポーネントとは部品、成分、構成要素などの意味です。Loop コンポーネントは再利用したい情報を部品化したものです。次のような場所で Loop コンポーネントが使えるようになっています。

対話中心

  • Microsoft Teams チャット (オンライン会議のチャットも含む)
  • Outlook のメール

コラボレーション中心 (会話以外に情報の整理やブレインストーミングなどができる)

  • Word for the web
  • Microsoft Whiteboard
  • Microsoft Loop ページ

Microsoft Loop Public Preview の勉強会の実施

2023年4月3日に有志4名に登壇者として集まってもらい、無償の勉強会をオンラインで実施しました。Microsoft Loopコンポーネントと Microsoft Loop アプリの機能面での話をざっくばらんにしていますので、どんなものなのかについては下記のビデオで内容を把握していただくとよいと思います。

ご協力いただいたのが次の登壇者の皆さんです。ご協力をほんとうにありがとうございました!

📽️YouTube

📝資料

余談

Teams 会議を利用して参加者にはチャットも公開することにしていたため、あまり大人数過ぎても対応が難しいと考え、当初は登録者の上限を300名としていたのですが、おもったより反響が大きく最終的には400名を上限としました。そのため、上限を超えてしまいキャンセル待ちのまま参加できなかった方は申し訳ありませんでした。ちなみに、実際のオンラインの参加者は約300名ほどでした。歩留まり7~8割で、夜間の実施でしたが非常に多くの方にご参加いただけたことからも関心の高さが窺い知れます。

勉強会の内容のおさらいと補足

ここからは勉強会でも取り上げた内容をおさらいしつつ、補足していきましょう。

Microsoft Loop コンポーネント

Microsoft Loop コンポーネントの作成は次の場所から行えます(Whiteboard上からはコンポーネントは現時点では作れないが、作成済みのコンポーネントを貼り付けることはできる)。

  • Microsoft Teams チャット
  • Outlookメール
  • Word for the web
  • Microsoft Loop アプリ (ページ)

コンポーネントにはタイトルと内容が必要です。基本的にはタイトル名でファイルが作成されます(格納場所については後述)。内容は直接文言が書けますが、作成するときには箇条書きなどから始められるよういくつかの選択肢が提示されます。ツールによって既定の項目は異なります。

■Microsoft Teams チャット (日本語)20230402_215508_2

■ Teams チャット (英語)20230405_171246

■Outlook

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■Word

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格納場所

Microsoft Loop アプリ内のページ上から作成しない限り、Microsoft Loop コンポーネントは作成したユーザーの OneDrive for Business に実体が格納されます。拡張子はもともと .fluid ですが、4月から.loop に置き換わる予定です。

Loop

作成されたコンポーネントはそれぞれ OneDrive for Buiness 内の下記の場所に保存されます。

  • Teams チャット ⇒ Microsoft Teams Chat Files
  • Outlook ⇒ 添付ファイル
  • Word ⇒ Word Loop Files

各ファイルの実体への共有リンクを使って各場所から共有相手に公開することになります。

バージョン管理

OneDrive に格納されているファイルであるため、他のファイルと同様にバージョン管理されています。Loop_2

Loop コンポーネントのプレビュー表示

OneDrive または SharePoint サイトに格納されている Loop コンポーネントファイルをクリックすると直接コンポーネントの表示や編集ができます。

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OneDrive for Business に格納されているファイルは移動できる?

勉強会内で実験しましたが、移動は可能で SharePoint サイトのドキュメントライブラリに持っていくことはできます。ただし、コンポーネントを参照していたチャットやメールなどはリンク先が変わるため、リンクを共有しなおす必要はあります。

共有リンクを取得しなおすには、SharePoint 上で .loop (.fluid) ファイルを開き、office.com でホストされるページが表示されたら共有リンクを取得します。20230405_170513

OneDrive だと退職時の扱いを考慮しておく必要がありますが、SharePoint にも移動できるのでその点は何かしら運用方法を考えておけば対応できるでしょう。

読み取りモードで共有できるのか? 

Microsoft 社が実施した Microsoft Loop AMA (Ask Microsoft Anything: 1時間限定で Microsoft のLoop担当者に誰もが直接リアルタイムに質問できるというイベント。時差を考慮して開催前に事前に質問を投稿しておくこともできる) で確認すると Loop は読み取り専用にできるのかという質問が上がっていました。

やり取りを読んでいると、リアルタイムに他のメンバーと一緒に最新情報に更新していくことを目的としているので本来は読み取り専用にするというのは相反する。なぜ、読み取り専用が必要になるのか。よくよく考えていくと、段階として「編集」⇒「最終化(finalization)」があるのだろうという理解に至ったと。

現時点では Loop コンポーネントファイルを直接クリックして表示されるSharePoint上の画面 (Office.com) からなら読み取り専用の設定が可能になっているとのこと。

この辺は勉強会の時にははっきりしていなかったんですが上記を踏まえて試しました。まずは共有リンクを生成するときに「読み取り専用」にオプションを変える。

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リンクをチャットなどで共有すると相手は編集できない。20230405_182916

オフラインで使える?

Webブラウザーで利用することを想定している機能であるため Microsoft Loop アプリもコンポーネントもローカルにダウンロードして利用することはできません。既定ではダウンロードメニューが利用できません。OneDrive の同期アプリなど使うとダウンロードできますが、利用する場合は必ず SharePoint サイトまたは OneDrive for Business 上で利用する必要があります。

Microsoft Loop アプリ

Microsoft Loop アプリは https://loop.microsoft.com からアクセスできます。

利用できるアカウント

現時点では Micorosft Loop アプリは組織アカウントでのみ利用可能であり、個人で利用する Microsoft アカウント(いわゆる MSA )では利用できません。

事前設定

勉強会でも話していますが、Microosft Loop を利用するにはテナント管理者による事前設定が必要であるため組織によっては利用できないこともあると思いますのでご確認ください。

SharePoint でループ エクスペリエンス (ループ アプリとループ コンポーネント) を管理する - SharePoint in Microsoft 365 | Microsoft Learn

※ただ、Microsoft 365 開発者プログラムにサインナップしていれば、組織とは関係なく個人が勉強目的で Microsoft 365 E5 の環境を無償で3か月間利用できます。勉強会に参加された方も、そうした環境で試している方も結構いらっしゃったようです。

ポリシー設定時のセキュリティグループについて

事前設定ではポリシーを構成する必要があり、その時にセキュリティグループの指定が必要になります。いろいろと検証していると Microsoft Loop アプリにはマイアイディアとワークスペースというものがあるのですが、これらは特殊な SharePoint サイトになっているようです。セキュリティ グループに指定すると、マイアイディアという個人用の場所(サイト)が作られ、ワークスペース(サイト)を新規に作成できるということのようです。ただし、新規にワークスペースなどを作成する必要がなければ、セキュリティメンバーに追加しなくても、既存のワークスペースにメンバーとして追加したり、特定のページのリンクを相手から共有してもらえれば使えます(試しました)。

ちなみに、このサイトはSharePoint管理センター上からは確認できませんが SharePoint 管理シェルからアクセスするとサイト一覧にこれが現れます。管理パスが"contentstroage"でサイトのパスは "CSP_" で始まります。サイトの管理者は設定されておらず(PowerShellからは取得できない)、サイトテンプレートは CSPCONTAINER#0 です。20230327_143505

Loop アプリの構造

Loop アプリには個人がアイディアを書き溜めるマイアイディアとチームのワークスペースがあります。

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アイディア内にページを複数作りますが、こちらは階層化できません。一方のワークスペースは階層化ができます(最大、入れ子は4つまで)。ページの中に直接文言を書いたり、一部を Loop コンポーネント化したりできます。

Loop_3

表 と Microsoft 365 アプリの比較

Microsoft Loop 内で表を作成できます。

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そもそも表形式での情報管理となると Microsoft 365 では複数の選択肢があり、適材適所での使い分けはしたいところ。

  • Excel スプレッドシート
  • Microsoft Lists (SharePoint リスト)

タスク管理に特化すると次のようなものがあります。

  • Microsoft ToDo 
  • Microsoft Planner

また目標管理といえば Viva Goals。OKRが利用できます。Viva Goals のタスク管理は Microsoft Planner と連携可能です。

さて、Loop の表機能では、勉強会でも試したようにいくつかの種類の列が追加できるようになっています。ただし、現時点では機能的には Microsoft Lists の方が機能は豊富であり、比較される Notion の表と比較的近いのは Microsoft Lists でしょう。

Microsoft Lists と Loop の表との現時点での違いを主な機能でざっと比較してみましょう。

機能 Loop Microsoft Lists
ビュー × リストビュー、カレンダービュー、ギャラリービュー、ボードビューなどがある
参照列 × ある
1行テキストの列
複数行テキスト
ファイルのリンクの添付は容易
投票 ×
通貨列 ×
日時
ユーザーとグループ
個人のみ
集計値 ×
数値列
列の集計、合計など ×
グループ化 ×
フィルター ×
ごみ箱 ×
Excel, CSVへのエクスポート ×
Power Platform 連携 ×

なお、これも勉強会でやりましたが タスクは Microsoft Planner と同期できます。ただ、Loop専用のプランが作られるため既存のリストとは連携させることができません。

勉強会では、Viva Goals で使う Planner のプランといっしっょにつかえないかなぁとつぶやきましたが、よく考えると Viva Goals 側でプランに対して同期するので、これと Loop 側との2重同期は難しいだろうと思っています(まだ試していません)。OKRとして管理するなら、Viva Goals で完結させた方がよさそうですね。その代わり、目標設定をしていくための、ディスカッションなり目標定義は Loop アプリと Loop コンポーネントを他のメンバーに公開しながらすすめていけるかなと思っています。

入力方法

ページ内では自由に書き込めますが、マークダウン記法も一部サポートしています。まだプレビューではあるので色々と試してみてください。

検索

Loop コンポーネントもページも全文検索(内容も含めた検索のこと)できます。検索する場合は、https://www.microsoft365.com/ (もしくは https://www.office.com ) から検索しましょう。

Loop だけを対象にしたければ "filetype:fluid OR filetype:loop <検索キーワード>" を組み合わせれば検索できます。

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外部共有

Loop コンポーネントも Loop ワークスペースおよびページも含め、現時点では組織内の利用に限定されており、社外への共有はできません。

Microsoft 365 Copilot (AI連携)

先日、Microsoft 365 Copilot が発表されました。Microsoft 365 の各ツールで Copilot として AI 機能が利用できるようになるとのこと。

Copilot in Loop 

今後、Microsoft Loop 内でも Copilot が使えるようになる予定です。まっさらから文章などを書き始めるのではなく、何かしら「作ってほしい」事柄のリクエストを Copilot に伝えることで、コンテンツを自動的に生成してくれます。現時点では日本語環境では使えませんが、今後に期待したいですね。

Reinventing collaboration with AI in Microsoft Loop - Microsoft Community Hub

価格体系

価格体系は詳細は GA (General Availability: 一般提供開始) までは不明です。現時点ではプレビューとなっており、プレビューの間は無料で利用できるとのこと。

Loop アプリと Loop コンポーネントのまとめ

勉強会をして感想として多くいただいたのが、利用シーンが浮かばないということ。これは SharePoint のページにも言えることで、どうしてもなんでもファイルに書き込んで共有するという文化が根強いと発想の転換はしにくいのではないかなと思います。Loop アプリはワークスペース内にページを複数作っていきますが、これは軽量化された SharePoint ページといったところで、Teams 内の会話だと情報の整理がしにくいですが、Loopだとこうした情報整理がしやすい。

このページは完成形というよりは手軽に編集できるという側面を考えると文字通りワークスペースとしての利用が適しているだろうと思っています。公式の情報は広く読み取り専用で公開するのであれば 従来通りSharePoint サイトのサイトページ(ニュースを含む)を使った方が制御しやすいでしょうし、SharePoint の強みとしては「検索」をベースに情報を自動的に収集できるところだと思っていて、その点は Loop は手動での情報収集なので、使い訳の観点はよく見極めておきたいと思っています。

あとイメージがどうしてもしにくいという方は、強く意識されていると言われている Notion の製品情報などを当たってみてもいいと思います。ページの使い方のヒントは色々と得られるだろうと思います。Notes を使ってきた方だとNotes DBっぽさもあり、操作していると割と感覚はつかみやすいのではないでしょうか? 

個人的にはツールは次のような使い分けで考えています。

ブレインストーミングで頭の中をざっと1枚の紙の上にそれぞれ展開して、整理していく過程は Whiteboard で。レイアウトが自由なので一斉に何か書き始めても、他のひとの場所とかさならない。

Microsoft Loop アプリはページが主体で、ページは SharePoint ページなどと同じでとにかく自由に情報を書き溜めていくのですが、Whiteboardのようにレイアウトは自由ではなく、Wordに近いレイアウトなので担当する段落を最初に決めておかないと一斉の書き込みはしにくい。また、基本的に参加者は共同編集者となり、そこが魅力でもあるのでブレインストーミング後の情報の整理、企画書のための素材情報とか、会議の議事録などによさそう。

Microsoft Loop コンポーネントは何を部品化するのかがポイント。そもそも部品化はなぜ必要か? といえば、次の点があげられるでしょう。

  • 他のメンバーと共同して常に最新情報を保つ
  • メンバーが直接書き込んでしてかまわない
  • コメントが欲しい
  • これによって合意形成がその場でできる

こういったものが必要になるものは何があるだろうかと考えるわけです。チャットやメールを見返してみてもいい。「確認してください」とか「追記して返信してください」というような内容の類からあたってみるとよいでしょう。

例えば、次のような事柄がコンポーネントに向いていそうです。互いに確認して必要があれば、その場で追加修正を行うようなもの。

  • チェックリストの洗い出し 
  • タスクの割り当て、進捗管理
  • 日程のなどの調整 (投票機能がある)
  • セミナーなどの概要のチェック

具体的には例えば、議事録を Loop ページで取るようにする。議事内容と次のアクションアイテムをタスクとして書き出しておく。このタスクがコンポーネント化されていると、誰が何をするかなどの進捗確認などをチャットに素早く持ち込める。そして、次回の議事録のページにそのまま貼り付けることができるので、常に最新情報が各議事録に引き継がれていく(単なるコピーではないので)。※ちなみに、この機能は Meeting Notes という機能として Teams に搭載されるようになるようです。ライセンスなどは未定ですが、Microsoft 365 ロードマップに開発中となっています。

そう考えていくと、合意形成ではやはりチャットが便利で、どうしてもTeamsが使えない場合は Outlookで合意形成をライブで行うというスタイルが大切だろうと。だから、最初に Loopの肝である Loop コンポーネントが登場して、まずはチャットと Outlookで使わせたのだなぁと思うのです。

最後に

勉強会では機能の調査がメインで、Microsoft Loop の利活用シーンをあれこれ考えてみるところまで至りませんでした。

いずれにしても、各組織にあった使い方シナリオは、自分たちで作り上げていかなといけないでしょうし、何よりそうした利用シーンをベースにした体験型のユーザー教育も最初は必要だろうとなと思います。自分たちの業務に即した形で。

あとは管理者は何を気を付ければいいかという話ですが、情報漏えい対策あたりがまずは急務かなと思っています。試しましたが、DLPはすでに動いてはくれています。

またGAのタイミングあたりで、今回の内容を基礎知識編として、次回は応用編として利活用シーンについてワイガヤしたいなぁと思っています。

2023年3月25日 (土)

SharePoint 管理センターの管理者がMicrosoft Syntex Advanced Management (SAM) アドオンのライセンスを持っていれば、Auzre ADの条件付きアクセスポリシーを使わずに特定の SharePoint サイトに対してファイルのダウンロードを一切禁止できます。 

できることは次の通りです。

  • ブラウザーからのみコンテンツを閲覧できる
  • 検索

できないことは次の通りです。

  • ファイルのダウンロード
  • 印刷
  • 同期
  • Office デスクトップアプリからのアクセス

その他、サイトのロゴやタイトルの背景画像なども画像がダウンロードできないため非表示になります。

詳しくは下記の Microsoft のページを確認してください。

SharePoint サイトと OneDrive のダウンロード ポリシーをブロックする - SharePoint in Microsoft 365 | Microsoft Learn

設定

SharePoint 管理シェルを使って指定する必要があります。SharePoint 管理シェルは最新版を使うようにしましょう。

基本構文は次の通りです。

Set-SPOSite -Identity  -BlockDownloadPolicy $true

なお、既定ではサイト管理者を含むすべてのユーザーに対してダウンロードがブロックされますが、サイト管理者のみを対象から外したり、特定のグループを除外することも可能です。除外したユーザーは従来通りファイルのダウンロードを行えるようになります。

サイト管理者を除外する場合は次のパラメータを指定します。

Set-SPOSite -Identity  -BlockDownloadPolicy $true -ExcludeBlockDownloadPolicySiteOwners $true

他にも特定のグループ内のユーザーのみを除外するオプションとして 
-ExcludeBlockDownloadGroupIds があります。

設定結果

設定結果に関しては公式情報にはスクリーンショットなどがないため、試した結果をここに掲載しておきます。これを構成することで、サイトの上部にはダウンロードできないことを知らせるメッセージバーが表示されるようになります。

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実際にライブラリにアクセスするとダウンロードメニューや同期メニューが非表示となります。

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アプリ内からも印刷やダウンロードできません。

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👇Excelのマクロを使っているものも有効にできない084562b952694ac68de8f0408e357c40

2023年3月22日(米国時間)付で、Microsoft Loop アプリのパブリック プレビューが公開されました。Microsoft 365 に仲間入りする新しいコラボレーションツールです。

これを受けて勉強会を行うことにしました! 有志4名で使い方など実際に操作しながらディスカッションします。 登壇者4名(中村太一さん、目代さん、コルネさんと私) で実際に Microsoft Loop を操作してみながら、どんな使い方ができそうなのか、また管理面ではどういったところがポイントになりそうなのかをディスカッションしたいと思っています。Microsoft Loopは SharePoint で管理されるため、SharePoint に精通したメンバーも複数参加するので表面的な機能だけでなく少し深堀りする予定です。Notion との違いも少し触れてみようと思います。

📅 2023年4月3日 20:00 ~
📌 オンライン (Microsoft Teams オンライン会議)
📌 参加費無料

勉強会には事前申し込みが必要です。チャットによる質問対応も一部行う予定なので、あまり人数が多すぎると受けることができないので人数制限を設けています。ただし、歩留まりを考えて多めに募集します。いずれにしても、先着順ですのでお申込みはお早めにどうぞ。

お申込み👇

Microsoft Loop Public Preview の勉強会 - connpass

Microsoft_loop_3

2023年3月 2日 (木)

つい先日までは Microsoft Syntex Advanced Management としてプレビューとなっていた機能が 2023年3月1日付け(米国時間) で Microsoft Syntex - Microsoft SharePoint Advanced Managment (SAM) という名前で GA に達し一般提供開始となりました。

Microsoft Syntex – SharePoint Advanced Management (SAM) Add-on – Announcing General Availability - Microsoft Community Hub

機能概要

多くの組織で SharePoint サイトコンテンツが乱立し、不必要に過剰共有されていることが問題となっています。サイトコンテンツの乱立とは、ユーザー自身によるサイト作成を許可している場合にSharePoint サイトを大量に作成することであり、過剰共有とは、意図的または偶然に必要な閲覧すべきでない人とコンテンツを共有することを指しています。

SharePoint 管理者と IT 管理者がこうした乱立や過剰な共有に対処できるよう、高度なセキュリティとコンテンツ管理できるようにするための新機能群を含んでいるのが Microsoft SharePoint Advanced Management (SAM) アドオンです。

具体的には次のことができるようになります。

  • SharePoint および OneDrive の管理と統制
  • Microsoft 365 の安全なコラボレーション機能の強化

Microsoft Syntex の管理機能については去年の10月に実施された Microsoft Ingite 2022 でも発表がありました。詳しくは下記の記事も参照してください。ページの下の方に管理機能について触れています。

SharePoint Technical Notes : Microsoft Ignite 2022 Recap: 凄い! Microsoft Syntex による最新のMicrosoft 365 コンテンツ管理を学ぼう (lekumo.biz)

Microsoft Syntex はもともとは SharePoint Syntex という名称でリリースされており、AIを使ったドキュメント管理機能が主です。Microsoft Syntex は SharePoint のアドオンライセンスとしてすでに提供が開始されています。

ここに新たに管理機能が加わるということで、今回の GA により各機能群がいよいよ順次展開されてくるということなのですが、この管理機能を利用するのに SharePoint Advanced Management (SAM) アドオンというライセンスの購入が必要になります。ユーザー単位のライセンスとなるそうですが、詳しくは下記のページを確認してください。

Microsoft Syntex - SharePoint Advanced Management overview - SharePoint in Microsoft 365 | Microsoft Learn

ちなみに、SharePoint Advanced Management は2023年3月2日現在ロールアウト中です。ライセンスおよび機能は3月から4月上旬にかけて各組織で利用できるようになる見込みです。

すでに私の利用しているテナントではライセンスが購入できるようになっています。30日間のトライアル版もあるので、まずは機能を検証すべくトライアルを追加してみました。25ライセンスが利用できるようになっています。ちなみに、有償の場合の料金は一人あたり月額3ドルということで、日本価格は現時点では 330円となっています。20230302_144151

試しに SharePoint 管理センターを利用する管理者アカウントにライセンスを付与したところ、しばらくするとSharePoint 管理センターの左側ナビゲーションに「💎Advanced management」メニューが追加表示されます。

20230302_152829

現時点 (2023年3月2日)ではこのページに表示される項目をクリックしても表示されるのは Microsoft Learn へのリンクなどであり、実際に何かをここから設定することはできません。各設定へのリンク集といったところです。

2つの柱

さて、SAM が提供する機能には次の2つの柱があります。

  • セキュアコラボレーションのための高度なアクセスポリシー
  • 高度なサイトコンテンツのライフサイクル管理

詳しくは冒頭に掲載した GA のアナウンスページに書かれていますが、各機能を簡単に要約しておきます。

セキュアコラボレーションのための高度なアクセスポリシー

これには次のものが含まれます。

  • SharePoint サイトのデータアクセス ガバナンス (DAG) インサイト V1 - GA
    コンテンツが過剰に共有されているサイトを見つけ出し、サイトの所有者に確認を促す。この機能は以前は E5 のライセンスがあれば使えていたものが、今後は SAM のライセンスを求められるようになる (※E5 縛りがなくなるのかは、個人的にまだ試せていません)。ちなみに、2023年3月2日現在では過去30日の間に作成された共有リンクの数が多いサイトのトップ100が表示され、リンク数は確認できるものの、サイトの所有者への確認を促す機能までは提供されていない。
  • SharePoint サイトの制限されたアクセス制御ポリシー(RAC) - GA
    コンテンツの共有相手を特定のユーザーに限定する (不用意な共有をしてしまった場合のセーフティネットとなる)。当面は、Microsoft 365グループに接続されたサイトのアクセスをそのグループのメンバーにのみ限定し、グループのメンバー以外からのアクセスは拒否する。2023年の第二四半期には、クラシックサイト、コミュニケーションサイト、共有チャネルなどのチャネルサイトにも拡大する予定。
  • OneDrive の制限されたアクセス制御ポリシー(RAC) - GA
    SharePoint だけでなく OneDrive 側の過剰なコンテンツ共有を行えないように共有相手を特定のユーザーに限定できる。たとえば、共有先は従業員だけに限定するといったことが可能になる。当面はすべてのユーザーの OneDrive に対しての設定となるが、2023年第二四半期には特定のユーザーのOneDriveに限定した設定も可能になる予定。
  • SharePoint サイトおよび OneDrive の条件付きアクセス - GA
    サイトごとに格納されているコンテンツのセキュリティ要件は異なるものである。そこでサイトおよびOneDrive ごとにユーザーがコンテンツにアクセスできる条件をアクセスポリシーとして SharePoint Online PowerShellコマンドレットで適用できる。例えば機密情報を含むサイトであれば、MFAを要求するといったことができる。また職位の高い管理職のユーザーの OneDrive にアクセスするには管理されたデバイスを常に要求する条件付きアクセスを構成するといったことができるようになる。秘密度ラベルをサイトやチームに適用している場合は、秘密度ラベルとポリシーを関連づけるだけでよい。
  • 安全な SharePoint ドキュメントライブラリ - 2023年4月1日にGA 
    ドキュメントライブラリごとに既定の秘密度ラベルを適用できる。この機能は SAM がなくてもプレビューとしてすでに利用可能だが、2023年4月1日以降はSAMライセンスが必須となる。

高度なサイトコンテンツのライフサイクル管理

これには次のものが含まれます。

  • 非アクティブなサイトのサイトライフサイクル管理ポリシー - 2023年 第二四半期
    しばらく使われていないサイトを発見して管理する機能。特定のサイトに対して独自の非アクティブ サイトポリシーを作成することで、非アクティブになっている各サイトの所有者にアラートを通知し、維持するのか削除するのか、その他のアクションを取るのか促すことができる。また非アクティブなサイトに制限されたアクセス制御ポリシーを適用して未許可のユーザーからの常時アクセスを排除できる。Microsoft Teamsのチームと接続されている場合は、サイトの所有者だけでなくチームの所有者にも非アクティブの通知が可能。
  • 最近の SharePoint 管理者のアクション - GA
    SharePoint 管理者が最近行った変更を一覧できるようになる。これによって意図しない変更でユーザーに迷惑をかけることを低減できる。これは SharePoint 管理センターに新たに追加される Recent admin actions パネル~30日分の変更を表示して必要に応じておく素ポートもできる。近日中に、共有設定やクォータのへ変更などの SharePoint のテナントレベルの設定もこのパネルに表示できるようになる。
  • サイトの履歴 - 2023年 第二四半期
    サイトの所有者やサイトの管理者が行ったすべてのアクティビティを履歴として閲覧できるようになる。これにより、例えばサイトにアクセスできなくなったサイトのトラブルシューティングなどの際にどのような設定変更が行われたのかなどの手がかりにできる。
  • SharePointサイトおよび OneDriveのダウンロード禁止ポリシー - GA
    組織内の重要情報、企業秘密文書、歴史的な知的財産などをホストしているサイトから情報漏えいすることがないようにファイルのダウンロードを禁止することができる。ユーザーはブラウザ上からコンテンツを閲覧できるが、 Office デスクトップアプリからの印刷、同期、ダウンロードなどはできなくなる。ただし、対象から一部のユーザーを除外することは可能。なお、Microsoft Teams によって作成された会議の録画(格納先は OneDrive または SharePoint) をテナント全体で一括してダウンロードできないように構成することもできるようになる。この機能は2023年第二四半期に提供される予定であり、SharePoint 管理シェルを使ってSet-SPOTenant -BlockDownloadFileTypePolicy $true -BlockDownloadFileTypeIds TeamsMeetingRecordingを実行するだけで済む。

今後、Microsoft Syntex にはさまざまな機能が登場する予定です。楽しみです。