COVID-19 によるパンデミックが宣言された翌年の2021年2月に Microsoft は自社の Microsoft 365 サービスを活用した新しい働き方を推進していくソリューションとして "Microsoft Viva シリーズ" を発表しました。その一つが今回とりあげる Viva Topics (ビバ トピックス) です。
Viva Topics は SharePoint をベースに AI を活用した新しいナレッジマネージメントシステムとして登場しました。組織内で交わされるコミュニケーションの中では製品名や単語、用語など様々な言葉が行きかいます。こうした言葉が意味するところ、関係する情報の所在、かかわっている人などを知りたくてもすぐにそうした情報にたどり着けないことも少なくありません。そんな中、AI がこうした頻繁に交わされる "言葉" をトピックとして抽出し、会話やSharePoint 上のファイル、ページなどから言葉の説明を自動的に抽出し、関係者を見つけ出し、言葉同士の相関関係を可視化するシステムが Viva Topics です。
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さて、この Viva Topics ですがタイトルにもあるように残念ながら 2025年2月22日に廃止されます。
これに伴い、Viva Topcis に対する新機能の開発への投資は 2024年2月22日より凍結されます。この記事を書いているのが2024年2月26日ですから、すでに開発は終了しているということです。今後はトピックカードは表示されなくなりますし、Viva Engage とのトピック統合も廃止となるとのこと。
Copilot の台頭
この背景にあるのが、生成AIの台頭です。2023年からMicrosoft は OpenAI 社に出資しつつ自社のサービスおよび製品に対して Microsoft Copilot を大々的に投入しました。つまり、これからは Copilot が新たな世代のナレッジマネージメントを担うということです。
そもそも、ナレッジマネージメントをシステム的に行おうという試みは Microsoft 社に限らず長年行われてきました。Notes などでもそうでし、自社開発のWebシステムを持っているところもあったのではないかと思います。SharePoint でもそうした試みは行われてきました。社内版の Wikipedia のようなものを構築しようというものです。どうしても情報はしばらくすると分散に転じるので、人の手で分散していく情報をなんとか集約しようという取り組みともいえると思います。
ただ、課題だったのが、システム構築まではいくもののそのあと誰がメンテナンスするかというところ。元ネタがあってそれをシステム化するのは良いのですが、そこから新しいナレッジを誰が登録し最新化するのか。ここが大きな課題で、どうしても情報が陳腐化していってしまい、利用頻度が下がってしまう。
そこで Viva Topics は AI を使って人の手をなるべく借りずに情報の鮮度を保っていこうという試みだったと私は考えています。そこに来て大きな変革をもたらしたのが ChatGPT をはじめとする生成AIです。
これからのナレッジマネージメント
Microsoft 社は Viva Topics にかわってこれからは Copilot for Microsoft 365を導入し、ナレッジを SharePoint ページとして生成していくように勧めています。2024年2月時点では Copilot for SharePoint はまだロールアウトされていませんが、3月以降にロールアウトが予定されています。SharePoint のページ生成も Copilot を使って行えるようになる予定です。
つまりは、必要な時に必要な情報をその場で生成するというスタンスに変わるわけです。しかも分散した情報をもとに新たな情報を生成できる。何か不明な点があれば Copilot に尋ねればよいということですね。
結局、Viva Topicsでは最後まで日本語対応はされずじまいでした。ですが、ChatGPTベースであれば多言語対応はできているので日本語でもきちんと対応してくれるというのはありがたいことです。検索に関してもベクトル検索を利用して「自然言語で検索すれば、文脈を踏まえて結果を得られる」方向に進んでいます(Copilot for Microsoft 365 を導入していることが前提)。
ベクトル検索については次の「Copilot 用のセマンティック インデックス」に関する資料を参照してください。
Semantic Index for Copilot | Microsoft Learn
ただし、こうした仕組みを生かすにはドキュメントをはじめとする情報の整理整頓として、古い情報や間違った情報をどう排除していくかを考慮したドキュメントのライフサイクルはますます重視するべきでしょうし、機密情報保護をきちんと行っていく必要があることは言うまでもありません。各組織はCopilot を使って、Microsoft 365 に蓄積されていく情報をどのようにうまく再利用し、それそれのナレッジとして高めていけるかを模索していく必要があると考えています。