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2020年10月 3日 (土)

現在、Microsoft 365 上でのビデオ共有を行う場所としては次の2つがあります。

  • Microsoft Stream
  • Microsoft 365 内のSharePoint (OneDrive for Businessを含む)

この2つには機能差があり、大規模な人数でビデオストリームを利用する場合は Microsoft Stream を利用し、小規模の場合は SharePoint を使うというような使い分けをしてきました。

この Microsoft Stream は独自のプラットフォームを使っているのですが、これが今後 SharePoint ベースとなり新しい New Microsoft Stream となることが先日の Microsoft Ignite 2020 で発表されました。

Microsoft Stream の変遷

ここで少し変遷を見てみましょう。Microsoft Stream が登場する前は Office 365 Video というサービスがありました。その後、Microsoft Stream が登場するのですが、時間軸で見ると次のようになっています。

Streamの変遷

  • 2014年… Office 365 Video 登場 (SharePoint ベース + Microsoft Azure Media Service )
  • 2017年… Microsoft Stream 登場 (独自プラットフォーム + Microsoft Azure Media Service + AI)
  • 2020年…New Microsoft Stream がアナウンスされる (SharePoint ベース + Microsoft Azure Media Service + AI)

見るとわかる通り新しい Microsoft Stream の基盤は再び SharePoint ベースに戻るということです。ここ数年で SharePoint を土台としたコンテンツ 管理の仕組みも大幅に進化し、検索や AI やコンプライアンス管理などの機能面では飛躍的に性能が向上しています。Microsoft Graph もかなり機能が充実してきました。そんな中での満を持しての SharePoint ベースへのプラットフォームの移行となったようです。

ちなみに、現状での Microsoft Stream のメリットをざっと挙げてみましょう。

  • ビデオのトランスクリプトおよびキャプションの自動生成 (文字起し)
  • ノイズ低減
  • Microsoft Teams との連携 (ビデオ会議の録画を自動的にアップロードしてくれる)
  • SharePoint 上で再生するより細かな速度調整などが可能
  • 画面操作の録画

以上のような魅力的な機能がある反面下記のような課題があります。

  • 検索のしにくさ (日本語は特に検索でヒットしない、Microsoft Search でも検索できない)
  • 一覧のしにくさ
  • ビデオの公開範囲の分かりにくさ (独自の権限管理機能を持つ)
  • コンプライアンス対応の遅れ
  • 分析機能があまり充実していない など

さらに、Office 365 Video 時代から長年、リクエストは上がってきていたもののついに Microsoft Stream になってもついに実現されなかった外部共有機能などもあります。外部共有は匿名アクセスも含めた外部へのビデオ公開のことです。

新しい Microsoft Streamへ

現在の Microsoft Stream は クラシックとして位置づけされ、今後出てくる新たに SharePoint プラットフォーム上に構築される Microsoft Stream は New Microsoft Stream となり、Microsoft 社が公開する各種の公式ドキュメントでは現行の Microsoft Stream は 「Microsoft Stream (クラシック)」と表記されるようになっています。

予定されている機能は次の通りです。

New Microsoft Stream

新しい Microsoft Stream についての公式ドキュメントは下記のリンク先に公開されています。

この公式情報を見ると Microsoft Stream の説明は「the intelligent video app in Microsoft 365」となっており、日本語で訳せばそのまま「インテリジェント ビデオ アプリ」ですね。"インテリジェント" と名がつくと、何かしら仕組みの中で AI が取り入れられているということです。

またマイクロソフトが掲げる Microsoft Stream の新しいビジョンは次の通り。

Our vision is that Microsoft Stream will empower every Microsoft 365 user to achieve more with fast, intelligent video.

このビジョンを達成するために次のことを行うとのこと。

  • Stream expands its role to unlock the intelligence of Microsoft Graph and enhance videos across the Microsoft 365 services.
    ⇒StreamはMicrosoft Graphのインテリジェンスのロックを解除し、Microsoft 365サービス全体でビデオを拡張する役割を拡大します。

  • Stream web app follows the model of the Office web apps to easily work with video like any other document format.
    ⇒Stream Web アプリは、Officeウェブアプリのモデルを踏襲し、他のドキュメント形式と同様にビデオを簡単に操作できるようにします。

  • Stream videos—like any files—can be uploaded and accessed from Teams, Yammer, SharePoint, and OneDrive.
    ⇒ストリーミング ビデオは、Teams、Yammer、SharePoint、OneDriveからアップロードしてアクセスできます。

  • Stream leverages the power of SharePoint content services to store and manage video using integrated Microsoft 365 compliance, governance, permissions, external sharing, go local storage, bring your own keys, and government environments.
    ⇒Stream は SharePoint が持つコンテンツ サービス管理機能を活用して、統合された Microsoft 365 コンプライアンス、ガバナンス、パーミッション、外部共有、ローカル ストレージの利用、独自のキーの持ち込み、政府機関の環境を利用して動画の保存と管理を行います。

  • Stream is flexible to allow customers to use a provided video portal template to easily modify and brand their own video portals or fully customize and integrate video experiences with their intranet and Microsoft 365.
    ⇒ストリームは、提供されたビデオポータルテンプレートを使用して、独自のビデオポータルを簡単に変更してブランディングしたり、完全にカスタマイズしてイントラネットやMicrosoft 365にビデオ体験を統合したりすることができる柔軟性を備えています。

  • Stream delivers new intelligent capabilities including faster and more effective consumption of video content, quick location and extraction of relevant snippets of video, and easy end-user tools to capture screens and record video in Stream and across all Microsoft 365 apps.
    ⇒ストリームは、動画コンテンツのより迅速かつ効果的な使用、ビデオに関連するスニペットの素早い位置情報と抽出、エンドユーザーが簡単に画面をキャプチャして録画できるツールなど、新しいインテリジェントな機能を提供し、すべての Microsoft 365 アプリで利用できます

新たな Microsoft Stream のコンセプトは Microsoft 365内で扱う他のファイルと同様に SharePoint 内でビデオも音声も格納できるようにすることで、従来 Microsoft Stream で培ってきたビデオ共有機能と SharePoint が持つファイル管理機能とを組み合わせて、利点を最大化しようということですね。もっとも、ビデオファイルだけ Microsoft Stream の独自の世界で管理するというのは、ツールを使いこなすうえでは Microsoft Teams や SharePoint などの日々使うツールと使い分けが必要で、操作もシームレスさに欠けていたのは事実でしょう。

ユース ケースは次のように変化します。

Stream (クラシック)

まずはクラシックは次の通り。ビデオ ファイルは他のファイルとは別に格納する必要があり、Microsoft Stream 内にファイルをアップロードし、管理し、Stream 内へのリンクを SharePoint や Teams など別途追加する必要があります。

ファイルの共有、編集などの操作

Apps-do-stuff-files-self
ファイルを作成する & 自分のファイルに戻る Apps-file-creation-self-stream-alone
ストレージ & ファイル群 Apps-storage-extensions-self-stream-alone

 

New Stream

新しい Stream では次のように変わります。Office アプリケーションのファイルなどと同様に、ビデオファイルは Teams や Yammer などどこからでもアップロードでき、自動的に SharePoint プラットフォームに格納されます。そしてビデオファイル自体は、SharePoint, OneDrive, Yammer, Teamsなどどこからでも Stream ビデオとして扱われ、今後権限設定なども他のファイルと同じように行えます。

図を見ていると、現在 SharePoint 内に格納する mp4 などのビデオは、再生時にはSharePointにビルトインされている専用のビューアーが使われますが、これが Stream ベースに置き換わるということなんでしょうね。

ファイルの共有、編集などの操作

Apps-do-stuff-files-video
ファイルを作成する & 自分のファイルに戻る Apps-file-creation-video-stream-merged
ストレージ & ファイル群 Apps-storage-extensions-video-stream-merged

Microsoft 365でビデオ管理する方々は SharePoint の基本機能をきちんと理解しておくことが、今後ますます重要になってきますし、SharePoint を担当する管理者の方は Stream の知識も持ち合わせる必要があると言えます。

そしてこの変更により、今度こそ、外部共有を実現できるようですし、また Graph API を使ったビデオ コンテンツへのアクセスも可能になるとのこと。ビデオポータルを自分の好きなレイアウトで作るといったこともできるようになりそうです。学習用ポータルなんかも柔軟に作れるのではないでしょうか? ここに期待しています。

再生

最近のアップデートで SharePoint に格納されるビデオは Azure Content Delivery Network (CDN) にキャッシュされる仕組みに変更され、再生と信頼性が向上しています。このアップデートは 2020年9月から World wide でのロールアウト中となっています。

「SharePoint: Caching SharePoint videos on the Azure Content Delivery Network (CDN) to improve playback and reliability - ID: 66065

Stream はクラシックの場合は、ビデオをアップロード時に事前にエンコードして暗号化するようになっています。その後、複数のビットレートと解像度でアップロードし、再生時にはCDN を経由して適切なビットレートでストリーミングできるようになります。

現在、OneDrive と SharePoint でビデオ再生するときにはビットレートに応じて次のような再生技術がつかわれているそうです(これは知らなかった!)。

  • 3Mbps ビットレート未満またはビデオ自体が5Mb未満の小さなサイズのビデオは、プログレッシブ再生する
  • 中程度のビットレートのビデオ(3-50Mbps) は、ジャストインタイム(Jus in time) エンコーディングを使ってビデオ再生する。誰かがクリックして動画を再生し、複数の人が同じ地域から動画を再生する際に、CDN 上で動画の暗号化された部分をキャッシュすることで、その場に適したビットレートのストリーミングを行えるようになっている
  • 大きいビットレート(50Mbps 以上)は、サービス内では再生できないため、いったんローカルにダウンロードして再生する必要がある

今後、新しい Stream は、OneDrive や SharePoint に存在する上記の再生技術を改善し、動画のビットレートやコーデックを気にする必要のない Stream (Classic) に匹敵する高品質でパフォーマンスの高い再生体験を実現するとのこと。動画をアップロードするだけで、Streamは視聴者がスケールに合わせて再生できるようになるそうです。

Microsoft Teams 会議の録画

現在、Microsoft Teams 会議は録画すると自動的に Microsoft Stream 上にアップロードされますが、New Steamの登場により格納先が変わります。チャット内での会議の録画は OneDrive for Business へ、チーム内での会議の録画は SharePoint に格納されるようになります。特に気を付けたいのは OneDrive for Business  です。容量が1人当たり1TBあるので、録画を格納する場所としてはここを使えれば、容量的には大抵の場合は余裕があると思います。とはいえ、その人が退職した場合にどうするのかを考える必要があり、録画の保持期限をどうするかという一定のルールは必要になるでしょう。

  • 2021年Q1に Teams 会議の録画は Microsoft Stream には格納されなくなる
  • チャット上での録画は個人の OneDrive for Businessへ、チーム内での録画は SharePoint 上に格納される

SharePoint または OneDrive に録画を格納する場合の制限事項は次の通りです。

  • There will be English-only closed captions and transcripts. (英語のみクローズドキャプションとトランスクリプトが利用できる)
  • You won't be able to search transcripts or their content.(トランスクリプトやコンテンツ検索はできない)
  • You won’t be able to edit the transcripts, but you'll be able to toggle captions off/on.(トランスクリプトは編集できないが、キャプション表示のオン/オフはできる)
  • You can control with whom you share the recording, but you won't be able to block people with shared access from downloading the recording.(だれと録画を共有するかを制御できるが、録画を共有アクセスできる人にダウンロードをさせないようにはできない)
  • You'll not get an email when the recording finishes saving, but the recording will appear in the meeting chat once it’s finished. This will happen much quicker than it did in Stream previously (録画の保存の完了通知をメールで取得することはできない。その代り、録画が終わるとミーティング内に録画が表示される。以前の Stream よりも素早く録画にアクセスできる)

OneDrive および SharePoint への移行は 2020年10月より(今月から!) 段階的に開始されます。

Microsoft Stream を使い続ける場合は11月にオプトアウトする必要があるとのこと。詳しくは下記のリンク先も参照してください。

 

移行

今後はクラシックから New Stream への移行が必要になってきます。

そこで誰もが気になるところがストレージ容量。これは SharePoint のストレージを消費することになります。もともと Office 365 Video は、SharePoint ストレージを消費する仕様でしたから、元に戻るということですね。ですから、以前にも増して保持期限なども考慮したいところです。1時間のTeams会議で約400MBほどのファイル容量となるため、ここからベースを算出するのがよさそうです。保持期限に関しては保持ラベルとポリシーを使って自動的なクリーンナップも可能になります。

また一定の日数が経過すると会議の録画を自動削除したり、逆に長く保持するフラグ設定する機能なども予定しているとのこと。

We are also going to be adding a new feature for all license types that expires and deletes meeting recordings automatically after a certain number of days, with the ability for the admin to change that limit, and for the user to flag specific recordings that need to be kept longer.

New Stream はリリース当初は、クラシック Stream と比較するとデグレードする部分もあり、日本語の文字起しなどがまだ利用できないようですが、これが使えるようになれば、ビデオの内容を文字起しし Word ファイルに格納して保存するといったアーカイブ方法も取れるでしょう。

ちなみに直接 Stream には関係ありませんが、英語ではあれば Word on the web が利用できます。これを使うことで録音からの文字起し機能が利用できます。参考:「Transcribe your recordings

これから提供される予定はあるものの、提供開始日が未定となっているのは次の通りです(※部分は私の心の声)。

  • OneDrive と SharePoint のビデオで使用されるストリームビデオプレーヤーおよびプレーヤーページ
  • 古い録画をクリーンナップするための Microsoft Teams 会議録画の自動有効期限
  • ビデオ用の強化されたSharePoint Webパーツ  (※専用の Webパーツが出てくるのか、ファイル ビューア Webパーツがアップデートされるのかは不明)
  • 音声およびビデオのトランスクリプトとクローズドキャプションの生成機能 (※これが早く欲しい)
  • トランスクリプトの検索 (※ Microsoft Search で検索できるということでしょうね)
  • トランスクリプトの情報ガバナンスのサポート (電子情報開示、法的情報保留など)
  • IT 管理者による継続的な改善と新機能のサポート (クラシックストリームから新しいストリームへの移行)
  • クラシックストリームから新しいストリームへのエンドユーザーによる移行のサポート
  • 特定のビデオに関するニーズをよりよくサポートするための Microsoft Graph File API に対する改善
  • プレイリスト (※これは今までなかったな。一応チャネルがこれに該当するといえばするか。。)

 

以上、Microsoft 365 は進化し続けていますが、いち早く情報収集を行い新しい変化に備えておきましょう。

 

2020年9月26日 (土)

Microsoft Ignite 2020 にて SharePoint の新機能も多く紹介されました。

ポータルサイトにまつわるところを取り上げてみましょう。結構、多いですよ~。

App Bar 

左端に新たなメニューとして App Bar (アプリ バー) が登場。ここから SharePoint ホームサイト、ニュースなどにアクセスできるようです。

※SharePoint ホームサイトって何? という方は調べてみてください。
※弊社の研修でも取り扱っています⇒「SharePoint モダン ポータルサイトの設計・デザイン・展開ワークショップ

AppBar

App bar - news

自動ニュース ダイジェスト

ユーザーごとに未読のニュースを自動的にメールで配信してくれます。

News Digest Mail

Microsoft Edge 内へのニュースの表示

SharePoint のニュースが Microsoft Edge 内にも表示できるようになるようです。

Edge - News

そもそも、新しいEdge (クロミウム ベース)では、設定から既定値の「Microsoft News」から 「Office 365 」に切り替えられるオプションが用意されています。

Edge - Settings 02

現時点でこれに切り替えると Office 365 ホームページと同様のものが表示されます。ここの挙動が変わるようです。

Edge - Settings 03

SharePoint ホームが Teams 内にアプリとして追加できる

SharePoint ホームサイトが Teams 内にパーソナルアプリとして追加できるようになります。

Teams-pages-embed

Home site apps in Teams

詳しくは下記に記事が公開されています。

Embedding modern SharePoint pages in Microsoft Teams as personal apps (preview)

拡張ヘッダーオプション

ヘッダーのレイアウトに拡張オプションが追加されます。これにより、背景画像や文字などを指定できるようになります。

Extended Header

ページやニュースを Yammer や Teams 上で簡単に共有する

従来のメール送信機能に加え、ページ上からYammer や Teams 上に投稿できるようになります。

Page Share - Yammer - Teams

ニュースのブースト(押上げ)機能

組織内の重要なニュースをフィードのトップに押し上げる機能。オプション設定によっては、期待する閲覧数の上限を設定して、そこに達するまでブーストを続けることもできます。

Boost

ブーストされたニュースは自動ニュース ダイジェストにも重要なニュースとして配信されます(未読でなくても)。ブーストされているかどうかがひと目でわかるように雷マークがつきます。

Boost - News Digest

セクションのオプション (アコーディオン、タブ)

セクションにオプションが加わります。アコーディオンとタブ。

Section - New Options

アコーディオンで指定すると、セクションが折りたためるようになります。

Section - Accordion

タブにもできる。

Section - Tab 1

タブにすると、例えば複数の ニュース Web パーツをタブで切り替えるなんてことも!

Section - Tab 2

現在のところ 2020年11月にリリース予定 (SharePoint : Modern pages get collapsible sections)
https://www.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365/roadmap?filters=SharePoint%2CIn%20development&searchterms=67147

ページの利用状況分析

ページ単位での利用状況分析が表示できるようになります。

Page Analyitcs 01

Page Analytics 02

読み終わり時間の予測

ページ編集時に、画面上部にユーザーがこのページを読み終わるまでにかかる時間の予測が表示されます。これにより、ページ内のコンテンツの長さなどを調整し、ユーザーにとって読みやすいように工夫できるというわけ。

読み終わるまでの時間

 

クイック リンク Web パーツ (対象ユーザー機能の追加)

リンクごとに対象ユーザーが指定できるようになります。

Quick Links - Target Audience

組織図 Webパーツ

2020年10月リリース予定 (ロードマップ Feature ID : 67131)

組織図Webパーツ

画像ギャラリーのオプション (Masonry)

Masonry (石積み) が増えます。

New 画像ギャラリー

ちなみに、現在は次の通り。

画像ギャラリー - 2020 Sept

Web パーツ ドラッグ時のプレビュー

既に一部のテナントにはロールアウトされていますが、Webパーツを移動させるときにWebパーツの内容がクイックプレビューできるようになっています。

Preview - Webパーツ

ひとまずこんなもんかな。あとは、はロードマップ。

 

関連コンテンツ

2020年9月23日 (水)

Microsoft Ignite 2020 にて SharePoint 管理センターの最新情報が公開されました。このことに関しては下記 Tech Community に情報が公開されています。

SharePoint admin and migration announcements at Ignite 2020

2020-09-23_10-40-28

日本語で要点を整理しておきましょう。

SharePoint 管理センター ホームページ

現在の管理センターと比べられるように、まずは現行のホームページのスクリーンショットを掲載しておきます。

2020-09-23_10-28-37

現在は全体的なサイトの利用状況の傾向が大まかにわかるという程度で、それほど詳細なレポートはありません。

ここに、Microsoft 365 管理センターと同じようにカード機能が追加され、モニター機能が強化されます。

SP-admin_Ignite20_002_home-page-1

SP-admin_Ignite20_003_home-page-2

このカードはボタンなどが用意されており「アクション可能なカード(Actionable card)」とも呼ばれます。具体的には次のようなカードが配置できるようになります。SharePoint の Webパーツのような感覚で自分の管理ホームページが作れるということですね。注目すべきは OneDrive の情報も SharePoint 管理センターから徐々に確認できるようになってきているところでしょう。また、これからProject Cortex でも重要になってくる用語ストアや、機密情報管理に必要な秘密度ラベルに関してもカードが用意されているというのも重要です。

·         Site search (サイト検索)

·         Message center (メッセージセンター)

·         Service health (サービス正常性)

·         Active users (アクティブユーザー)

·         SharePoint site usage (サイトの利用状況)

·         SharePoint file activity (ファイルのアクティビティ)

·         SharePoint storage usage (ストレージの利用状況)

·         Sites creation breakdown (サイト作成 ブレイクダウン)

·         OneDrive usage (OneDrive の利用状況)

·         OneDrive file activity (OneDrive ファイル アクティビティ)

·         Term store operations (用語ストア 操作)

·         Sensitivity labels across sites (サイト間での秘密度ラベル)

これに加えカスタム カード作成もできますが、こちらは検索ドリブンなカードとのこと。がカスタム カードの画像です。作り方はこのページの下部にあるビデオを見るのが早いです(38分前後あたりを見るといいですよ)。

SP-admin_Ignite20_006_custom-search-cards

他にもホームページの上部には「SharePoint に関する改善案」をお勧めしてくれる「proactive recommendations」も追加されます。下図でいうところの「Modernize your root site」と表示されているものが、これにあたります。

SP-admin_Ignite20_005_home-page-4

SharePoint 管理者として役割を割り当てられたユーザーはホームページは自分でカスタマイズ(パーソナライズ)できるようになっているため、他の管理者のことを意識せずに、カードの入れ替えなどは使う人の利便性に併せて自由にカスタマイズができます。

SharePoint admin center - updated home page dashboard | Roadmap ID: 68812.

あと、これは個人的にとても良い改善だなと思ったのが、「アクティブサイト」の一覧です。ここに「そのサイトがどこから作られたのか」を表示する Created from 列が追加されます。この列には PowerShell, APIや Microsoft Teams などが表示されます。

SP-admin_Ignite20_007_created-from

手元のテナントで確認したところ、この列は利用できるようになっていました。日本語だと「作成元」ですね。

CreatedFrom

また各サイトが Microsoft Teams に関連づいているかどうかをひと目で確認できるようになります。 ようは、Microsoft Teams のアイコンが表示されます。既に Microsoft 365 管理センターのグループ一覧ではこれが確認できているので、ようやく SharePoint 管理センターにも入ってきたかぁという感じではありますね。

SP-admin_Ignite20_008_connected-to-Teams

それから、OneDrive 管理センターへの統合が着々と進みつつあるのだなということを感じさせるのが、設定メニューです。たとえば「削除済みユーザーのOneDriveの保持期限」設定や、既定のストレージ容量などの OneDrive 関連の設定もここからできるようになります。

SP-admin_Ignite20_011_OneDrive-settings

最後に、マイクロソフト社が買収した Mover 関連。

SharePoint 管理センター上で、3rdパーティのクラウド ストレージから直接、コンテンツ移行ができるようになる。まずは Box.comのようです。ただ、私のところの研修などに来られる方に伺うと、日本ではSharePoint ではなくて Box と Teams との併用をするという組織が少なからずいて、Box から SharePoint への移行を考えているという話はあまり聞かないので(あくまでも少ないという個人的な印象です)、これはそんなに引きが強くはないかもしれません。

ということで、この記事ではご紹介程度にとどめます。詳しく知りたい方は元の Microsoft Tech Community の記事をご確認ください。

SP-admin_Ignite20_009_Box-migration-1

けど、クラウドストレージに関しては、日本国内以外でのトレンドがどうなっているのか。どこかで情報を仕入れたいところです。

以上の内容は ビデオでも公開されています。下記も併せてご確認ください。

ということで、まずは SharePoint 管理センターに関する情報でした!

2020年9月16日 (水)

先日の勉強会の資料と録画が公開されているのでここに共有しておきます。

まずは私が登壇した内容は下記の通りです。

タイトル : Excel と SharePoint を組み合わせローン返済アプリケーションを作成する (Power Apps + Power Automate)

概要 : Microsoft Graph API を使って、SharePoint に格納している Excel ファイルを高度な計算を行うためのリソースとして利用し、Power Apps と Power Automate を使ってローン返済アプリを作ってみます。もともとオンプレミスのSharePoint のころに Excel Web Services や InfoPath を使ってデモをしていた内容を、Power Platform を使って置き換えてみるとどうなるだろうという実験でもあります。
マニアックですが、実務的に応用できる内容にしています。ご興味のある方は是非どうぞ!!

YouTube

スライド

 
その他の当日の勉強会の録画ビデオ
今回の勉強会も、他のセッションも含め魅力的なものばかりでした。
一連の内容がYouTube に公開されていますので、そちらもどうぞ。
 

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2020年9月15日 (火)

Power Automate に「Teams 会議の作成(プレビュー)」アクションが追加されました。

Teams会議の作成

従来でも Power Automate を使った Teams 会議の作成は Microsoft Graph API を使えばできたのですが、プレミアムコネクターが必要なのと、Graph APIの管理自体のハードルがあり手軽とは呼べませんでした。しかし、この機能の追加によって、いろいろな場面で利用できそうです。

SharePoint の予定表リスト(イベント リスト)

SharePoint には組織内の出来事を登録しておくための予定表リスト(徐々にイベント リストという呼び名に変わってきていますが)があります。このリストはモダンサイトでは「イベント」Webパーツを追加し、そこからアクセスすることでモダンUIとして利用できるようになっています。

このリストアイテムには次のようにオンライン会議のURLを追加する場所があるのですが、これは予め何かしらのシステムで作成した会議のリンクを追加するところであり、自動的に Teams 会議を作成してくれるわけではありません。

Teams会議の作成-Setup-01

また下記のようにユーザーを追加する場所がありますが、追加したユーザーの連絡先はホバーカード上に出てくるものの、会議が自動作成されない以上、わざわざここに出席者を入れることはしないことの方が多いでしょう。

Teams会議の作成-Setup-08

そこで、Power Automate を使って会議を自動生成してみることにしました。前から案はあったのですが前述の通りGraphを使うところの手軽でないところが難点でした。

さて、作り方です。作成したフロー全体図は次の通り。

Teams会議の作成-Setup-02

まずSharePointの「項目が作成されたとき」トリガーから始めます。このとき、予定表リストはリスト名の候補に出てこないため手動で登録する必要があります。私の使っているリスト名は「イベント」です。

Teams会議の作成-Setup-03

次に開始時間と終了時間を格納する文字列変数を用意します。

Teams会議の作成-Setup-04

値は次のような式を書き、UTC時間を日本時間に変換しておきます。

convertFromUtc(triggerOutputs()?['body/EventDate'],'Tokyo Standard Time',
'yyyy-MM-ddTHH:mm:00')

終了時間の場合は次の式です。

convertFromUtc(triggerOutputs()?['body/EndDate'],'Tokyo Standard Time',
'yyyy-MM-ddTHH:mm:00')

次に参加者のメールアドレスを格納するための配列変数を用意します。

Teams会議の作成-Setup-05

これを Apply to each でトリガーから取得した出席者を取り出し、一つずつ格納していきます。

Teams会議の作成-Setup-06

次に「データ操作 - 参加」アクションを使って、配列内のデータをセミコロンで文字列連結します。

Teams会議の作成-Setup-10

次にいよいよ「Teams 会議の作成」アクションの登場です。件名やメッセージは SharePoint のトリガーから取得したものを設定します。

timeZone は Tokyo Standard Time。とはいえ、このタイムゾーンに従って、UTC時間から開始時刻や終了時刻を日付を変換してくれるわけではないので、あらかじめ日本時間を取得しておく必要があります。そのためフロー最初のところでタイムゾーンを変換した日時を編集に格納しました。ちなみに、SharePointから取得する日付データというのは、基本的にUTCです。

Teams会議の作成-Setup-07

最後はSharePointコネクターの「項目の更新」アクションを追加し、SharePoint 予定表リストのアイテムに Teams 会議への参加リンクを追加するだけで完了です。

会議のリンクを追加する項目は「ワークスペースのURL」であり、ここに「Teams会議の作成」アクションの「joinUrl」追加します。

Teams会議の作成-Setup-09

以上で完成!

動作イメージは次の通りです。

 

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