以前の記事にも書きましたが、2017年9月25日~9月29日まで米国オーランドにて Microsoft 社の大型技術カンファレンスの一つである Microsoft Ignite 2017 が開催され、これに参加してきました。この手のイベントに詳しくない方もいらっしゃると思うので簡単に整理しておくと、技術者向けの大型のマクロソフト社主催間カンファレンスは次の2つがあります(日本マイクロソフトではなく、マイクロソフト本社) 。
- Microsoft Build
- Microsoft Ignite
Microsoft Build は、.NET 言語などを利用する非常にコアな開発者向けであるのに対し、Microsoft Ignite は IT Pro をターゲットにしているところが特徴的です(とはいえ、開発関連が全くないわけではなく、Azure や Office 365 などに関する高度な開発に関する内容も扱っています)。Office 365やSharePoint 関連の情報は、Ignite で多くが発表されます。
当然、私は Office 365 と SharePoint を中心とした情報収集を目的に参加してきたのですが、今回は例年になく情報量が非常に多かった!! 完全に主軸はクラウドをベースとしているため、新機能の提供スビードも早く、かつ五月雨的であり、207年10月以降から2018年度にかけて新機能が山ほど出てきます! "こんなことができるようになります! "という情報が盛りだくさんですが、各機能が一体いつ提供されるのかと照らし合わせていていくことが大切です。
Twitter (@ai_yamasaki) でもすでにセッション情報をいくつか呟いておりましたが、自分のためにも少し整理しておこうと思います。まず、100以上の関連セッションがあるため、すべては見きれているわけではありません。参加したセッションが中心となります。また、新たな発見があれば、おいおい記事にしようと思います。
さて、情報量の都合からどうしても長くなるため、参加レポートとして3回に分ます。それぞれ下記にリンクしておきます。とはいえ、本当に情報量が多いので、まとめるのが難しく、まぁ頑張ってみます。。。
- Microsoft Ignite 2017 Orlando -SharePoint関連のまとめ- (1) <--この記事
- Microsoft Ignite 2017 Orlando -SharePoint関連のまとめ- (2)
- Microsoft Ignite 2017 Orlando -SharePoint関連のまとめ- (3)
まずは概要から
今回のイベントで何が話として出てきたかをつかむところから始めたいので概念的な話からまとめます。が、途中出てくる概念図はあくまで私の独断と偏見ですので、ご了承ください。いち意見として参考になれば幸いです。
Vision Keynote
基調講演は Satya Nadella CEO のVision Keynote から始まり、その後、各エリアごとに Technical Keynote に分かれます。まだ Vision KeyNote を見ていない方は、ご覧になっておくとよいでしょう。講演内容の概要は各オンライン メディアの記事になっていますので、早く情報を得たい方はそちらを。ただし、デモンストレーションなどは実物を見るのが一番です。
SharePoint 関連の Technical Keynote は下記です。キーワードは " Modern Workplace" 。
デジタル トランスフォーメーション
昨今のマイクロソフトのカンファレンスでは "デジタル トランスフォーメンション" という言葉が時折使われます。とはいえ、この言葉がよくわかっていない方も多いと思いますし、実際バズワード的になっているため人によっては少々解釈が異なっています。Wikipedia によると「2004年にスウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が提唱したとされる」概念です。インターネット上にこのキーワードに関して様々な情報が上がっているので、ぜひご自身の目で情報収集しておくことをお勧めします。
クラウド vs オンプレミス
今回のイベントでことさら顕著だったのがオンプレミスとの違いです。情報共有の基盤として SharePointを取り巻く環境はめまぐるしく変化しており、オンプレミスとクラウドの差は歴然となりました。イベント内のセッションでもオンプレミスのSharePointを扱うセッションは主要なところは、2,3 といったころで全ては Office 365 が前提です。そもそも、クラウドで利用できる機能群を見ていると、オンプレミスにはあまり魅力がなくなったなぁというのが正直なところです。
全体的な印象としては、攻殻機動隊という人気漫画にでてくる主人公の言葉ではないですが「ネットは広大だわ。。。」というのを思い出します。クラウドの世界はどんどんとつながりが広がっていきますし、色々な可能性が広がっていて、面白い!! 人工知能 (AI ) はもちろん、Microsoft Auzre の Cognitive Serices とも比較的手軽に連携できるようになっていきます。
さて、ここからは少々小難しい話ですので、読み飛ばしていただいても結構です。Office 365 全般に関する知識がないと理解しにくいと思いますので、もう少し詳しく話が聞きたいなぁというような場合は、弊社までお問合せください(info@office-i-corp.jp)。
たとえば、オンプレミスで脈々と続いている SharePoint の世界観は下記のような感じで、ざっくりとイメージできます。
しかし、クラウドの世界は違います。外に広がっていくイメージです。
カスタマイズや開発に関しても、時間をかけてカスタマイズするのではなく、すぐに利用できる機能やサービスが Office 365 や外部サービスにはあるため、うまくそれらを組み合わせて利用していこうという方向です。ワークフローに関しては、とかく日本人は "稟議ワークフロー" と考えがちですが、必ずしもそうではなくて単純な処理のオートメーションとして利用することが重要になってきています。最近は "Robotics Process Automation" などもホットですが、そうした流れに近いものですね。ここでカギにるのは Microsoft Flow や Azure の Logic Apps などです。SharePoint は PowerApps や Microsoft Flow 、Microsoft Forms 等で収集したデータの格納先としても利用できます。ファイルを含めた情報の中央ストレージがSharePointですね。業務チームごとにこうした情報を閲覧するには、Microsoft Teams をハブに使います。
SharePoint の位置づけを明確に!
従来の SharePoint ユーザーに注目してもらいたいのは、SharePointの位置づけの変化です。といってもこの変化は、今に始まったことではないのですが、ここで改めて 意識的に整理しておきましょう。
まず、イベントで紹介されていた次のイメージ図を紹介しましょう(写りが悪くすみません)。この図ではOuter Loop と Inner Loop その中心に SharePoint がいます。
Inner Loop で重要なのは“チーム” という業務単位で仕事を区分していこうとです。Office 365 を使うことで究極的には業務効率を上げたいわけですが、いかに情報を素早く連携していけるかがカギになります。
SharePointは「ファイル共有(SharePoint ライブラリ)」+ 「簡易データベース(SharePointリスト)」+ 「ポータルサイト」という位置づけです。情報は必要な人へ行き交わしてはじめて意味を持ちますが、ストレージ的な意味合いが強く、コミュニケーションや仕事のコーディネートは SharePoint メインではありません。
業務ごとに、あちこちに散らばる情報は Microsoft Teams がハブとしての役割を担いチーム内でコミュニケーションを素早く行います。組織を横断するコミュニケーションは Yammer, その他に相手を限定せずにコミュニケーションするためのツールとして Outlook を使います。
つまりは SharePointだけを情報共有のツールとして考えてしまうのは近視眼的だということです。よりよいツールを選択していくために、SharePoint にかかわる様々なサービスなども把握しておくことが望ましいといえるでしょう。
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