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さて、次は SharePoint を中心にフォーカスを当てていきましょう。全員共通・開発者・管理者の順にまとめていきます。とはいえ、繰り返しになりますが情報量が多いので、主だったところだけにします。まずは、全員共通の話題から。
モダン UI について
SharePoint Online では、サイト全体、リスト/ライブラリ単位でモダンUIが投入されています。拙者のブログでもたびたび取り上げています。まず、最初に確実なのは次の2点です。
- クラシックUIを止める予定は今のところない
- モダンUIにしか新機能は追加しない
従来からの SharePoint の見た目は引き続き使い続けられますが、おすすめは " モダンUI "です。せっかく SharePoint Online を使っているのであれば、可能な限りモダンUIを使わないともったいないです。2017年10月以降、めまぐるしく魅力的な新機能が投入されていきます。
ということで、以降はクラシックUIベースの説明ではなく、あくまでもモダンUIになったサイトやリスト/ライブラリが対象です。
Webパーツ
今現在、モダンUIとなっているページとなっている "サイト ページ" では新たにクライアント サイドで実行される Webパーツが利用できるようになっています。ちなみに、クライアント サイド云々の話は原則開発者が分かっていればよい話です。開発者向けの情報は後程まとめます。
ただ、一般ユーザーでも知っておいてほしいのは今後投入されるWebパーツが増えるということです。PowerApps用のWebパーツも提供される予定です。現在、提供されているモダンUIページで利用できるWebパーツの数は限定的だがこれから増えていきます。また、コネクタータイプのものも増えるため外部サービスと容易に連携できるということ。
また、従来のリスト ビュー Webパーツ(リストやライブラリをWebパーツとして追加するアレ) は、現在リストやライブラリのモダンページ用 Webパーツは、本来のリストやライブラリとは異なり限定的な機能しか提供されていないため使い勝手が非常に悪いのですが(というか、個人的には使っていません)、リストやライブラリ本来の機能を持つような同等のWebパーツに機能が更新されていく予定だそうです。
詳しくは次のページに記載されています。Communication サイト の新規機能についても言及されているのでご一読を。
Refine your message and increase your reach with SharePoint communication sites
At Ignite 2017, we announced the next wave of innovation coming to SharePoint communication sites to provide more design control with layout and content expression, social engagement with promotion, commenting and likes, and increased visibility on how your content is being used. You can create co...
既存サイトを Office 365 グループに接続する
SharePoint Online のサイトは、Office 365 グループに接続することで、これを経由し Microsoft Teams や Yammer などが連携できるようになります。ちなみに、動画共有サービスである Microsoft Stream も Office 365 グループがあれば、そのグループ内にだけ公開できる動画を管理できますし、Power BI と連携する場合も Office 365 グループがないとメンバー間でのレポート共有などができません。ということで、Office 365 ではチームワーク(業務チームやプロジェクトチーム)の核となるのが “Office 365 グループ”です。Office 365 グループを中核して、いろいろとツールを使い分けていくというのが現在のところ最善策です。
これまでは、Office 365 グループを新規に作ること前提にしないと、グループに接続された SharePoint サイトは作成できませんでした。これが既存の Office 365 グループと接続できるようになったため、無駄に Office 365 グループを増やす必要がありませんし、新規にサイトを作成することによる情報の拡散が防げます。
ちなみに、サイトの所有者はグループの所有者に、サイトのメンバーはグループメンバーにマップされるようですが、その他細かいアクセス権限に関しては変更されることはないらしい。ただ気を付けたいのは、デモを見ていると、接続後にトップページがモダンUIに変わるということ。モダンUIのページをどういった構成にしておこうか、事前に考えておきたいですね。しかし、失われる機能はないのかは気になるところ。
提供時期は少し先で、2018年のQ1 - Q2 にかけてだそうです。
Communication サイト の位置づけ
Communication サイトは今年になってすでに利用できるようになっている新たなサイトテンプレートであり、これも新規に作成すると Office 365 グループを作成して同時に接続します。ということで、サイトそのものは目新しくはないのですが、位置づけが明確になってきました。
SharePoint Home から作成できる Office 365 グループに接続するサイトテンプレートは次の2つです。
- Team サイト(モダン)
- Communication サイト
部門や業務チームごとでのコラボレーションにはTeam サイトを、情報伝達(全社ポータルのようなもの)には Communication サイトを使うというのがポイントです。
ちなみに、今後の方向性としては”発行サイト” というのは必要なくなりますし、選択すべきサイトテンプレートもチームサイトか Communicationサイトかという2つのサイトを使い分けていくことになります(もちろん、カスタム サイト テンプレートも作成できるので、このいずれかからの派生形サイトになります)。
情報の集約
Communication サイト や Team サイトが複数作成されていけば、当然情報は分散されていきます。これを集約する方向も必要なわけです。ここで重要なのが検索の仕組みであり、キーワード検索などする際に関連する情報が素早く見つけられないといけません。今回聞いたところによると検索機能に莫大な投資をしているようで、検索結果の表示までのパフォーマンスは今後劇的に速くなっていくようです。これは嬉しいですね! 近く、SharePoint Home がリニューアルし、ここから新しい検索機能が利用できるようになります。今回の Update では検索機能がパーソナライズされるとのこと。プレビュー機能がしびれるくらい良くなっており、欲しい情報をよりよく見つけやすくなりそうです。
そうすると、従来の “エンタープライズ検索センター” サイトは使う必要がなくなると思います。デモを見ましたが、なかなか素敵でしたよ。とても、使いやすくなります。
※ちなみに、検索について誤解が多いので記載しておきますが、エンタープライズ用途の検索エンジンは必ずアクセス権限は考慮しているため、検索しているユーザーが閲覧できるものしか表示されないので安心してください。もし、見えるべきでないものが検索されていたとしたら、そもそもアクセス権限の設定に問題があるということです。
関連セッションはこちら。
Vision Keynote でも紹介されていましたが、Bing for Business Preview という新しい Bing ベースの検索基盤も提供されるようです。詳細は下記にあります。
Finding what you need at work just got easier with Bing for business
Today, at the Microsoft Ignite Conference in Orlando, we announced Bing for business - a new intelligent search experience for Office 365 and Microsoft 365, which uses AI and the Microsoft Graph to deliver more relevant search results based on your organizational context.
これにより、Microsoft Graph , AI などを用い組織内の様々な情報が検索できるようになります。記事内にあるように自然言語を用いた質疑応答もできるようにしていくようです。
Over the next year, you'll see this same question and answer capability with the ease of natural language conversation available across other Microsoft 365 experiences, including SharePoint.
最終的には、「社内の質問はすべて Bing for Business で賄えれば素晴らしい!」というところが目的のようですね。SharePoint Home での検索はドキュメントと関わる人が中心ですが、それよりもっと包括的な検索の仕組みととらえられそうです。関連セッションは下記です。
Bing for Business のプライベート Preview は、2017年9月25日から開始され、次の Office 365 サブスクリプションの一部として利用できるようになります。来年には GA (general availability) を目指しているとのこと。興味があれば、Private Previewに参加してみてはいかがでしょうか?
- Office 365 Enterpris E1, E3, Ef, F1
- Office 365 Business Essentials, Business Premium
- Office 365 Education E5
さて、検索というキーワードに関連して、SharePoint HUB という新機能が投入されることになりました。これまでも行われていたような、各サイトに分散していたお知らせを容易に集約することができるような機能です。ちなみに、分散するお知らせの取得には古くはコンテンツクエリWebパーツを使っていました。しかし、パフォーマンスに課題があったし、サイトコレクションをまたいだ情報の取得は不得意。そこで SharePoint 2013 から登場したのが、検索結果Webパーツ(コンテンツ検索Webパーツは見た目を容易に設定変更できるようになっているものだが、SharePointのライセンスによっては利用できないので、検索結果Webパーツの方が万能)でした。これは検索機能を使っているため、サイトコレクションをまたげるし、結果の取得も早いというのがメリットです。
これをさらに推し進めたのが、SharePoint Hub であり、複数サイトからのお知らせなどを手軽に集約できるし、見栄えも共通化できるようになります。 HUBサイトは管理者が必要に応じて複数作成します。HUBサイトにチームサイトを参加させていくと、かつてにそのHUBの検索機能の配下に入るようになり、その範囲のサイトからHUBサイトに情報が集約されていきます。ちなみに、1つのサイトは1つのHUBにしか参加できませんが、参加するHUBサイトはいつでも変更可能であるようです。また、チームサイトは古いTeamサイトでもOK。
詳しくは下記をどうぞ。
SharePoint hub sites new in Office 365
Today at Ignite 2017, we announced SharePoint hub sites, a new building block of the intranet, to bring together related sites to roll up news and activity, to simplify search, and to create cohesion with shared navigation and look-and-feel. The digital workplace is dynamic and ever changing. Busi...
SharePoint HUB 機能は、2018年 上半期に Office 365 先行リリースの顧客にロールアウトを開始するそうです。実際に試せるのはまだ少し先ですね。
お知らせリストではなくニュースページへ
CommunicationサイトやSharePoint Hub の登場も見据えると、今後、お知らせを掲示するのに「お知らせ」リストを必ずしも正解とはならないようです。ニュースページを利用する方が見栄えもよく、現在はコメント機能までしか提供されていませんが、Ignite セッションのデモを見ていると他にも「ビューの数」、「いいね」なども利用できるようになりそうです。電子メール共有や新着のお知らせのモバイル配信なども予定されているとのこと。
[補足] ちなみに、コメントをさせないような設定が欲しいという方もいるでしょう。一応は対応できるものの、今のところテナント単位なので注意する必要があります( 2017/10/4 訂正) ニュースページごとにコメントのオン/オフを切り替えられます。個人的には基本はオンにしておくべきだとは思うのですが、こうした機能はニーズは高かったもののいざ使えるようになると運用面で考慮しなくてはいけないことも出てくるはずです。コメントがついた場合、質問等については誰が対処するのか、問題のある発言があるときにどのようにエスカレーションして対応するのかを考えておく必要があります。また、ページの所有者を明確にするといったことも大切ですね。そしい、そもそもこうした仕組みは、コミュニケーションを活性化させる際には、どんなツールを使っていたとしても必ずついて回る問題なので対処しておきたいところです。
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