2022年2月
SharePoint Syntex のモダンテンプレート機能 (ファイル管理機能)
SharePoint Syntex は SharePoint サイト内のドキュメント ライブラリに格納されるファイルを AI によって解析して、ファイルを識別し、メタデータを抽出したり、コンテンツタイプを判別して自動的に適用できるサービスです。2021年の1月に.NETラボ勉強会で概要などを説明しているので、SharePoint Syntex のご存じない方はそちらも参照してください。
[.NETラボ勉強会] SharePoint Syntex についてのセッション録画および資料公開 (weblogs.jp)
この機能を利用するには追加契約 (Office 365 ライセンスへのアドオン)が必要で、月額ユーザー当たり540円 (年間契約)となっています。ライセンスの詳しい情報は下記に公開されています。
SharePoint Syntex | AI コンテンツ サービス | Microsoft 365
モダンテンプレート機能 (コンテンツ アセンブリ)
さて、この SharePoint Syntex に新たな機能として「モダン テンプレート (最新のテンプレート)」機能が追加されました。
多くの組織ではファイルは一から作成するのではなく既存ファイルを部分的に修正して再利用することが多いものです。このことを踏まえて、マイクロソフトは SharePoint Syntex に「コンテンツ アセンブリ」という概念を導入し、新たなドキュメント作成のアプローチとして Word ファイル生成時にリストやライブラリの列の情報を再利用できるように「モダン テンプレート」を追加しました。この機能が利用できるのは SharePoint Syntex のライセンスを持つユーザーだけです。
Microsoft のコンテンツ アセンブリを使用してドキュメントを作成SharePoint Syntex | Microsoft Docs
この機能が利用できるとき、ドキュメントライブラリの[新規]メニューに[新しいドキュメント テンプレート]が表示されます。
これをクリックするとローカルPC上のファイル選択画面が表示されるため テンプレートとして利用したい Word ファイル (.docx)を選択します。すると次のようなテンプレート作成画面が表示されます。手順はビデオを参照してください(音声なし)。
ビデオ内でもあったようにテンプレート内にプレースホルダーを追加できるのですが、選択肢は「ユーザーがテキストまはた日付を選択する」または「リストやライブラリの列を選択する」の2つです。
リストやライブラリの列を選択するとき、参照列は選べないので注意しましょう。利用できる列の種類は現在のところ次の通りです。
- 1行テキスト
- 複数行テキスト
- 場所
- 日付と時刻
- 選択肢
- はい/いいえ
- ハイパーリンク
- 通貨
- 数値
- ユーザーとグループ
- 集計値
テンプレートを公開したら、このテンプレートからファイルを生成します。この時、編集できるのはプレースホルダーのみです。これも手順をビデオにしています。
プレースホルダーの値を入力するときリストを使っている場合は便利な挙動をしてくれます。同一アイテムの列をプレースホルダーとして複数している場合は、一つアイテムを選ぶと自動的に他の列の値も充填してくれます。
例えば、この例だと、受講者名を選ぶと組織名も一緒に充填される。コース名を選ぶと開始日と終了日が一緒に充填されます。
[Excel] Office Script のスクリプト ボタン機能
2021年11月に Office Script にボタン機能が登場しました。
Announcing buttons for Office Scripts: Run scripts with a workbook button - Microsoft Tech Community
Office Scripts は 次のライセンスを持っているユーザーが利用できる Excel for the web (Excel の Web版)で利用できるスクリプトであり、OneDrive for Business や SharePoint サイトに保存した Excel ワークブック上でスクリプトを書いて実行します。使用する言語は基本的に TypeScriptです。テナントの管理者によってはこの機能をオフにしてあることがあるので、自分の組織で利用できるかどうかは確認しておきましょう。
- Office 365 Business
- Office 365 Business Premium
- Office 365 ProPlus
- Office 365 ProPlus デバイス用
- Office 365 Enterprise E3
- Office 365 Enterprise E5
- Office 365 A3
- Office 365 A5
ちなみに、Office Scripts に関しては過去に次のような記事も公開しています。
[Office Scripts] Excel 内のデータを使って SharePoint ライブラリのプロパティを自動設定しよう
SharePoint のドキュメント ライブラリでは任意のプロパティを持たせることができます。
このスクリプトの実行は、上記記事でも紹介したように Power Automate から呼び出すことができるためExcel 外部からデータを渡して、Excelワークシート内にデータを挿入していくことなどが可能です。これに加えて、先に紹介したブログにあるように新たに Office Scripts を Excel シート内に配置したボタンから呼び出せるようになったのです。
[参考] Create a button to run an Office Script (microsoft.com)
簡単なコードで試してみました。今回は OneDrive for Business に作成した Excel ファイルをブラウザーで開き、[自動化]タブからスクリプトを用意します。今回は簡単なおみくじ機能。この例では "おみくじ" という名前で保存しています。
さて、シート内でボタンを配置したい位置付近の任意のセルを選択したら、コード編集ペインから ... をクリックして[ボタンの追加]をクリックします。
これでシート内にボタンが追加されます。見た目などはボタンを右クリックすると変更できます。
では実行してみましょう。※ちなみに、今日の運勢の横に表示される絵文字は単に Excel の式で書いているだけで、Office Scripts はつかっていません。
SharePoint 上のページに埋め込めるのか?
Excel ファイルはファイルビューアー Webパーツを使えば SharePoint 内のページに埋め込めます。また Excel for the web の共有機能を使えば埋め込みタグを生成できるので、これを埋め込みWebパーツに配置することもできる。では、こうしたページ内からボタン スクリプトは実行できるのだろうかと実験してみました。
が、残念ながら動きませんでした。まぁ、欲を言えば、ボタンクリックで Power Automate のフローが呼べるといいなぁと個人的には思っています。Power Automate からは呼び出せますが、逆が手軽にはいかない。。。
ボタンの削除
ちなみに、このボタンの削除ですがスクリプトの[共有停止]で削除されます。
つまり、ボタンを追加したときに、共有されているということですね。なるほど。では、どのように共有されているのか? と確認してみると Office Script ファイルの実体が格納されている OneDrive for Business 上のファイルの共有リンクが生成されています。既定では組織内のすべてのユーザーがこのファイルにアクセスできるようになっています。
ファイルの共有
試しにファイルを共有し、他のユーザーでファイルにアクセスしてみます。このスクリプトは Excel ワークシートに直接書き込むことになるため、閲覧のみの権限だとボタンを実行することができません。編集が可能な権限を付与する必要があります。実際に実行しようとすると、毎回、このスクリプトの実行許可を求められます。Allow または 許可をクリックすると実行できます。
なお、Excel ファイルを複数ユーザーで同時編集しているときもボタンを押すことができません。
Windows 版の Excel 上からの実行
スクリプトおよびボタンの追加は Excel for the web 上から行う必要がありますが、新機能として2022年1月26日付で、Microsoft社の Office Insider サイトのブログに "Run your Office Scripts using a button in Excel for Windows (Windows版Excelのボタンを使ってOfficeスクリプトを実行する)" という記事が公開されました。
Office Insiders
Become an Insider: be one of the first to explore new Microsoft 365 features for you and your business.
ボタンによるスクリプト実行は Webブラウザー上からはだけでなく Windows版の Excel からも行えるようになる!
ただし、この Windows 版の Excel からの呼び出しは、2022年2月現在 Office Insider の Beta Channel Version 2202 (Build 14922.2000)以降に限定されており、まだ正式リリースではありません。また、現在順次ロールアウト中とのことで、まだ私の環境では試せていません
確認が取れ次第、この記事は、適宜アップデートしたいと思います。
Microsoft 365 - 組織のロゴを設定しよう
Microsoft 365 の組織全体設定として会社のロゴを設定できます。
私の会社では独自のロゴを指定しています。このロゴは単に表示するだけでなく、リンク先を任意に指定することも可能です。既定ではリンク先は Office.com ですが、私が管理するテナントでは SharePoint ホームサイトにアクセスできるようにURLを指定しています。
設定手順
その設定は組織全的の設定であるため、テナントの管理者がMicrosoft 365 管理センターから設定する必要があります。
まず[設定]>[組織設定]にアクセスし、[組織のプロファイル]タブをクリックします。
次に[カスタム テーマ] をクリックします。
ここではカスタム テーマを作成することもできますが、今回は「既定のテーマ」をクリックして編集します。
※カスタム テーマの作成方法の詳細は下記の情報をさんしょうしてください。
組織のテーマをカスタマイズする - Microsoft 365 admin | Microsoft Docs
ロゴ タブをクリックすると、既定のロゴの設定ができるようになっています。
既定のロゴ
既定のロゴは任意の画像のURLを指定するか直接アップロードできます。ただし、アップロードできるのは、既定のテーマを編集する場合だけです。
URL を指定する場合は、HTTPS を使用する必要があります。また匿名アクセスを許可し、認証を必要としないものを利用します 。
アップロードする場合は10 KB 未満のロゴ 画像を指定しましょう。画像は、JPG、PNG、GIF、または SVG 形式のいずれかが利用できます。 SVG イメージの場合は、垂直方向に 24 ピクセルに収まるサイズに自動的に変更されます。 JPG、PNG、GIF 画像は、200 x 48 ピクセルに合わせて拡大縮小されますが、ロゴの縦横比は常に保持されます。
代替ロゴは Microsoft 365 でダークテーマを利用する際に使われます。代替ロゴはURLを指定する必要がありすまが、その他の要件は既定のロゴと同じです。
ロゴをクリックしたときのリンク先です。指定しなければ既定では Officeホームページ (Office.com) が設定されます。このテナントでは SharePoint ホームサイトのURLを指定しています。
2022年9月21日追記
設定が反映されないというコメントをいただいたのですが、おそらく、Office 365 のテーマが影響しているのではないかと思います。組織のテーマを使わないとロゴが非表示になります。ちなみに、このテーマは基本的に個人設定となるのでご注意ください。