2024年4月

2024年4月30日 (火)

Microsoft 365 グループとは何か? をご存じない方向けにたまには初歩的な内容を書いておこうと思います。よくよく見るとブログで取り上げていなかったようです。

そもそも Microsoft 365 の認証基盤である Entra ID 上ではユーザーアカウントを束ねて利用できるよう各種のグループアカウントが存在します。よく利用されるのがセキュリティグループという種類のグループであり、多くは組織単位でこのグループを作成したりします。セキュリティ グループと名がつく通り、アクセス権限管理を行うときに利用できます。

さて、本題の Microsoft 365 グループですが、これは後発で登場したグループであり、従来のように組織単位で人を束ねるのではなく「グループワークの単位」で人を束ねます。Entra ID ではグループ作成は Entra IDの管理者が対応していましたが、グループワーク単位となると業務がわかっている必要があり、ユーザー自らがグループが作成できるように概念が大きく変わっています。

グループワークようなので、グループを作成すると同時にすぐに共同作業に取り掛かれるように、共同作業の場も同時に用意されます。グループ用にExchange上にメールボックスが作成されます。グループ内でメールをやり取りしたり、グループの予定などもここで共有できる。またグループごとに SharePoint のチームサイトも用意されるので、すぐにファイル共有ができるし、リストやニュースなども利用できる。また Microsoft Planner のプランもグループごとに作成できるためメンバー間でのタスクの割り振りや進捗管理もできる。こうした各サービスとのシームレスな連携は、グループ単位でMicrosoft Graph API を通じて行われるようになっています。

このようにすぐにグループワークできるための仕掛けが用意されているのです。ちなみに、Microsoft 365グループは以前は Office 365 グループと呼ばれていました。Power Platform のコネクターに Office 365グループというコネクターがありますが、Microsoft 365 グループを利用するコネクターで名称は以前のままです。

このグループの概念が登場してからしばらくしてMicrosoft Teams が出てきます。Microsfot Teams のチームは Microsoft 365 グループが利用されており、メンバー管理はもちろん、チームごとに Microsoft 365 の様々なサービスにシームレスにアクセスできるようチームの中核となっているのです。

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Microsoft Viva Amplify (アンプリファイ)は、組織内での周知するために Outlook, SharePoint, Teams に対して1か所から一括して配信するための仕組みです。

たとえば、Teams を主体で使っていてなかなか SharePoint サイトのニュース機能が浸透しないという組織やメールでの周知が根強くやはり SharePoint のニュースを見ることがないとった組織も少なくありません。ですが、お知らせは SharePointのニュース機能を使った方が後から検索しやすいというメリットがあります。メールや Teams では他の会話に紛れていってしまいがちです。情報ソースの主を SharePoint におき、ここから同じ内容を一斉にメールと Teams のチームに配信することができるのが Viva Amplifyです。

一般提供開始

この機能は 2023年10月10日に一般提供が開始されました。ただし、提供開始からすぐは配信には英語だけしかサポートされていなかったのですが、Microsoft Learn を見ると 2023年11月28日には日本語のサポートが開始されたようです。

そもそも Amplify (アンプリファイ)とは?

“Amplify” は英語であり、日本語訳すれば増幅する、拡大するの意味があります。ちなみに、楽器用の “アンプ” は同じ語源です。これは増幅器の一種であり、増幅器は Amplifier と書きます。

このことから、Viva Amplify は Microsoft 365 内での情報発信を増幅するというニュアンスがあると思われます。Microsoft 365 ではコミュニケーションツールとして Teams, SharePoint, Outlook があるが、Viva Amplify では、それぞれに情報発信するのではなく一か所からすべてのチャネルに一斉配信することで “増幅” させるということになるのでしょう。

Viva Amplify の機能を把握する

Viva Amplify がどういったものなのかについて、ビデオで解説しています。30分ほどあるので長いですが、これを見れば一通りの機能は理解できるはずです。


YouTube: Microsoft Viva Amplify を使って一か所からメール、SharePoint、Teamsに一括で情報を周知しよう!

Viva Amplify に必要なライセンス

Viva Amplifyは次のライセンスに含まれています。

  • Microsoft Viva 従業員コミュニケーションとコミュニティ
  • Microsoft Viva スイート

従業員エクスペリエンス プラットフォームのプランと価格 | Microsoft Viva

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配信先ごとの指定

配信先のチャネルごとに配信先を指定できますが、最大数の制限があるので注意しましょう。

  • Outlook … 最大200個のメールアドレス (個人、配布リスト、グループを含む)
  • SharePoint … 最大20サイト
  • Teams … 最大5つのチャネル 

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Viva Amplify の重要性

組織で何かしら情報を周知するということは、単にどこかに掲示して終わりではありません。「伝達」が大切なのは言うまでもないことです。つまり必要な範囲に十分に伝達されることであり、それによって最終的には問い合わせが減るとか、何かしらのアクションにつなげたいわけです。 そうなると、公開した情報がどの程度閲覧されたのか、滞在時間は? どの時間帯に閲覧されているのか、それに対してどんな感情を持ったのかなどを加味して傾向を分析しながらよいりよい情報発信をしていくことが大切になってきます。※SharePoint ではページごとにこうした情報を得るための利用状況分析レポートが提供されています。

Viva Amplify では配信先に対するメトリックをレポート表示できます。どの配信チャネル(メール、SharePoint, Teams) でどの程度のユーザーに閲覧されたのかが確認できますし、リアクションを取得することで感情分析などもできます。そういう意味では Microsoft Viva Amplify の方向性というのは合理的であるといえるでしょう。

かつてメールによる周知では「開封確認メッセージ」などを送ることもありましたが、果たしてきちんと内容を読んだのかはわかりません。情報の周知を効果的に行う方法というのは、Microsoft に限らず常に追求され続けていて変化しつづけています。そのトレンドを追いかけて自分たちにとっての最適解も変化させていくことは重要です。Viva Amplify もそうした最適解の一つとなりえます。

文献

Viva Amplify を使うための事前設定などの詳細は下記のリンク先を参照してください。

2024年4月28日 (日)

Outlook

Windows 版および Web版の Outlookでは、メールに対して特定の条件に合致するメールのフォント色を指定できるようになりました。

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この機能は現時点(2024年4月28日)では、ロールアウト中です。

ロールアウトについて

対象リリーステナントに対して 2024年3月中旬からロールアウトが開始され、2024年5月上旬までに完了する予定です。

使い方

使い方は YouTube にビデオを公開しています。


YouTube: Outlook の条件付き書式を使って特定のメールを目立たせよう

2024年4月25日 (木)

SharePoint リストおよび Microsoft Lists は Windows デバイスと自動的に同期をとるようになっています。ローカルストレージにWebコンテンツをキャッシュできるようになるため、リストで操作する際のパフォーマンスが向上します。その代わりデータを更新してすぐに画面上に最新情報が表示されないことがあります。その場合は同期のタイミングを確認し、更新されるまで少し待ってみてください。

Microsoft Lists アプリのオフライン利用

Microsoft Lists アプリを PWA (Progressive Web Apps) としてインストールしておけば、同期の仕組みと組み合わせることで、オフライン状態やインターネット接続が失なわれた状態でも作業が継続できるようになっています。

同期の仕組みは?

リストの同期は、OneDrive 同期アプリの既存のメカニズムを通じて行われます。この同期機能は Project Nucleus (ニュークレアス)と呼ばれています。まずは、Microsoft Lists で利用されますが、これ以外にも Webアプリケーションに応用していく予定のようです。

この機能の背景にあるのが “Microsoft.SharePont.exe” であり OneDrive の同期と同時に提供されるコンポーネントです。このコンポーネントがインストールされると、ローカルデバイス上に Webアプリのデータをキャッシュすることで Webアプリとリンクします。Webアプリは常にクラウドからデータを取得するのではなく、ローカルキャッシュにデータをプルしたり、プッシュしたりするようになり、ローカルのWebサーバーとして機能することになります。

コンテンツの変更は最初にローカルキャッシュ内で行われ、その後、クラウドにプッシュすることになります。オフラインの場合は接続が回復するときにクラウドにプッシュします。このようにすることで、ネットワーク帯域も節約でき、ボトルネックを解消できるようになります。また、ビュー内のアイテム数やインデックス化された列の有無にかかわらず、スロットルされることもなくなります。

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同期されているか確認する

同期しているリストにアクセスするとリスト名の隣に同期のアイコンが表示されます。マウスホバーするといつごろ同期されたのかがわかります。

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同期を組織で制御したい

Microsoft Lists (SharePoint リスト)の同期はグループポリシー オブジェクト(GPO)で管理できるようになっています。具体的には次のような指定ができます。

  • このデバイスで Lists 同期が実行されないようにする
  • ユーザーが他の組織から共有されたリストを同期できないようにする
  • ユーザーが Web上のオフラインエクスペリエンスにサイレント サインインできないようにする

Lists 同期ポリシー - SharePoint in Microsoft 365 | Microsoft Learn

参考資料