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2025年2月13日 (木)

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クラウドフローのトリガーにはプッシュトリガーとポーリングトリガーがあることをご存じの方も多いと思います。今回はこのポーリングトリガーがモダンデザイナーとクラシックデザイナーを使う場合とで違いがあるという話です。

が、トリガーの種類を知らない方もいるでしょうから、少し整理しておきましょう。

軽くおさらい

プッシュトリガーは、人の手で直接フローを開始するのでフローの開始のタイミングがはっきりしています。こうしたフローは即時実行されます。Forms コネクターのトリガはブッシュトリガーです。

一方のポーリングトリガーは、「ファイルが更新されたとき」や「アイテムが追加されたとき」など、人の手で直接はフローを開始しないタイプのトリガーです。Power Automate のフローは、これらのトリガーが利用されている場合、指定されたライブラリやリストを定期的にチェックし、変更が見つかったときにフローを開始します。

ポーリングトリガーはもともと実行間隔がライセンスによって違っていました。

プラン 実行間隔
無料 15分
Office 365 用フロー / Dynamics 365 用フロー 5分
プレミアムプラン 1分

クラシックデザイナーとモダンデザイナーでの挙動の違い

モダンデザイナーで自動開始のトリガーを利用する場合は、ポーリングトリガータイプのものはユーザーのライセンスに関わらず、既定では実行間隔が1分になっています。たとえば、SharePoint コネクターの「項目が作成されたとき」のトリガーを確認してみると、次の通り1分です。

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ですが、クラシックデザイナーの場合は最初からクラシックデザイナーに切り替えて、同じトリガーを配置してみるとコードビュー上では interval が5分となっているのがわかります。ちなみに、プレミアムプランを持っているユーザーが作成するとクラシックでも1分です。

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つまり、プレミアムライセンスを持たないユーザーは、モダンデザイナーを使ってフローを作った方が実行が早まるということです。

ということで実験してみました。同じリストに対して2つのフローを作成します。どちらも「項目が作成されたら」フローが動作するようにトリガーをしかけて、メールを送信します。違うのは最初からモダンデザイナーで作成しているのか、クラシックデザイナーで作成しているのかです。

アイテムを新規に追加してみます。すると、先に動いたのはやはりモダンデザイナーで作成した方で、アイテム作成日時とメールの受信日時を比較してみると確かに1分ほどになっています。20250213_213605

しばらくするとクラッシクデザイナーで作成したフローが動きメールが送信されます。メールの受信日時を見るとおよそ5分違います。

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ちなみに、このブログではモダンデザイナーと呼んでいますが、Microsoft Learn をもとにすると単に「クラウドフロー デザイナー」と呼んでいて、古いデザイナーを「クラッシク デザイナー」と呼んで区別しています。※新しいデザイナー画面になったときには、最新のものを便宜的にモダンデザイナーと呼んでいたようです。

将来的にはこのモダンデザイナーのみになる予定で、クラシックデザイナーは廃止される予定ですが、現時点(2024年2月13日に確認している時点)ではすべての機能が移管しきれていないので、もうしばらくはクラシックデザイナーが残りそうです。

2025年2月10日 (月)

今回は四方山話。日頃、思っていることを書き留めておこうと思っただけで。テクニカルな話ではないので、何かスキルが身につくわけではないのですけれど、長くなりましたし、お暇なときにでも。

数年前に SharePoint ホームサイトが登場した。いつだったかは記憶が定かではないが拙書の「ひと目でわかる Microsoft 365 運用管理編」でも取り上げているので、2020年あたりだったと思う。この SharePoint のホームサイトというのは、組織内のユーザーが日々、最初にアクセスすることを想定したランディングサイト(Landing site)である。従来は SharePoint スタートページが SharePoint ホームと呼ばれていた(ホームサイトではなくホームページ)。Microsoft 365 アプリ起動メニューから SharePoint をクリックするとたどり着くページのことだ。ユーザーはこのページに最初にアクセスし、自分が関わるサイト全体を俯瞰し、自分が関わるニュースを一覧する。そういう場所であった。ただ、このページはカスタマイズすることができず、長年ユーザーからは組織ごとにカスタマイズさせてほしいという要望が出ていた。そこで登場したのが SharePoint ホームサイトだった。これは別途、コミュニケーションサイトのテンプレートをベースに組織ごとに好きなように従来通りサイトを作成し、これをユーザーのランディングサイトとして使うというもの。このサイトが登場することで、従来の SharePoint ホームは SharePoint スタートページへと名前を変えることになった。

さて、この SharePoint ホームサイトだが、組織ごとに自由に作っていいといわれても何かしらの指針は欲しいものだ。そこで Microsoft が当初、デモンストレーションしながら盛んに説明していたのが、パーソナライズされたサイトだ。ユーザーごとに必要な情報のニーズが異なるため、主にAI を使って、TeamsやYammer (現在の Viva Engage) に散らばる情報も含めて情報を拾い集めて、そのユーザーにかかわりが強い情報を集約表示するというものだった。ポータルのホーム画面にはViva Connections Webパーツや マイフィード Webパーツを配置。ニュースWebパーツもソースを「現在のユーザーへのおすすめ」に設定するなどして、とにかく、従来の最小公倍数的な情報の見せ方ではなく、「あなたにとって重要な情報を素早く提供しよう」というコンシェルジュ的なサービス提供を考えていたわけだ。

余談だが SharePoint ホームサイトから検索すると SharePoint スタートページと同様にサイトコレクションを横断する検索となる。また、ハブサイトや単独サイト間を行ったり来たりするための橋渡しとなる「グローバルナビゲーション」も構成できるし、Viva Connnections との密接な関係があるため Viva Connections ダッシュボードも利用できようになる。Viva Connections を使うと Teams アプリとして実装でき、Teams 内から素早く SharePointサイトにアクセスできる。"Connections" とああるのは文字通り "情報の間をつなぐ" という意味合いである。

そもそも SharePoint ホームはこの機能を発表した当初は英語では SharePoint Homes となっていて、複数形だった。日本語の言語体系では複数形の概念が希薄なため、翻訳するとこの言葉の意味が薄れてしまって本質に気づきにくなる。つまり、もともとは組織内では複数のホームサイトを作成できるようにする予定だったのだが、GA当初はテナント内で1つしか設定できなかった。これが時を経て、Viva スイートなどの追加ライセンスを持っている組織だと組織内で複数のホームサイトが持てるようになり、設定画面も Microsoft 365 管理センターの Viva Connections に移管された。それまでは、SharePoint 管理センターから設定できていた。

さて、話を戻そう。コロナ禍になる直前の2019年ごろ、 SharePoint の開発チームがSharePoint の目標として掲げていたのが、「業務に必要な情報が SharePoint サイトに行けば入手できる」ということ。業務を遂行する上で「次に何をしよう?」と思ったら SharePoint にアクセスして情報を得てもらおうということ。そのうえで、先ほど述べたように組織全員の最小公倍数的に発信される情報から自分に必要な情報を見つけ出していくのではなく、 SharePoint ホームサイトの構想はサイトに行けばすぐログインしているユーザーに特化した情報が見つかるような仕掛けづくりをしようとしていたというのは合点がいく。しかし、ChatGPTの登場で、いろいろと大きな変化が起こる。

2024年以降、ChatGPTを取り入れたMicrosoft 365 Copilot (有償版)を様々な規模の組織で導入できるようになった。自然言語をプロンプト入力するだけで欲しい情報が手に入るというのは驚異的だった。この仕組みが登場することによって SharePoint ベースの仕組みは大きく様変わりしていく。

まず、ナレッジマネージメントの面である。組織内のファイルや会話をもとに独自のAI技術を用いて自動的に社内版の Wikipedia のようなページを自動生成し、かつ自動メンテナンスするための仕掛けとして投入されたのが Viva Topics だった。Viva 自体が市場に投入されたのは、パンデミックの翌年の2021年である。ハイブリットな働き方をシステマティックに支援する仕組みが Viva ソリューションで、この一つに Viva Topics があった。しかし、この仕組みも2025年2月22日に廃止となる。Wikipedia 的なページ作成ではなく、Webおよび組織内の情報をもとにプロンプト入力するたびに必要な情報を生成するという方向に切り替わったのである。たとえば、組織内で交わされる不明な略語があったとしてもWikipedia 的なページを見に行くのではなく、Copilot に自分の知りたい切り口で聞けばいい。

2025年1月15日にMicrosoftは Microsoft 365 Copilot Chatが利用できるというアナウンスをした。従来の Microsoft 365 Copilotを有償版と位置づけ、無償版の Microsoft 365 Copilot を強調することで誰もがCopilotの機能を気軽に享受でき、ユーザーの心理的なハードルを下げることにした。それと同時に、Pages の機能を使って生成した結果をページにまとめて他のユーザーと共有できる仕掛けを用意した。Pages は Microsoft Loop の技術がベースとなっており、さらにその土台はSharePointがベースとなっている。

さて、このアナウンスにより有償版の Microsoft 365 Copilotを持っていなくてもすべての商用サイトではWebの情報もしくは直接アップロードしたファイルをもとに回答を生成してくれることになった。有償版のライセンスがあれば、さらに組織内の情報としてOutlookやSharePoint, Teams などの情報も利用して情報を生成してくれる。「今日の予定は?」と聞けば教えてくれるし、重要なメールの要約も行ってくれる。誰かとの打ち合わせもプロンプトをうまく使えば、予定をセッティングしてもくれる。ファイルの探し方も大きく変わる。ファイル名や含まれるキーワードを想像して検索するのではなく、欲しい情報を具体的にプロンプトに入力することで情報を生成してくれ、また関連するファイルも提示してくれる。考えがまとまらなかったり、わからないことがあればまず、Copilot に聞く。すると嫌な顔一つせず、延々とやり取りに付き合ってくれる、そういう相棒が Copilot である。

つまり、当初 SharePoint サイトで描いてきた方向性が Copilot で実現してきているということである。一時期、SharePoint ホームで実現しようとしていた近未来的な仕組みが、あっという間に Microsoft 365 Copilot で実現できてきている。

こうした流れを受けてSharePoint ホームサイトで使われていた Viva Connections Webパーツもプレビューのまますでに廃止(2024年9月~11月5日までに廃止)となり、次はマイフィード Webパーツも、2025年3月12日をもって廃止されることになった。とはいえ、実際のところ、マイフィードWebパーツは特段使いやすくなっかったし、最近は Teams の機能も充実しているので、そもそも使われていなかったのではないかと思う。ログインユーザーにかかわりのある情報の最新情報のリンクを自律的に収集してくるという、やりたかった方向性はわかる。ただ、欲しい情報が表示されていたかというと疑問で、独自に開発を進めていたAI の性能に限界があったともいえる。

ちなみに、散らばりがちな周知すべき情報に関しては、Teams 側にViva Connections アプリが追加されていれば、SharePoint に投稿したニュースもTeams内にアクティビティとして通知されるようになった。こうした連携機能が欲しいというのはユーザーから要望としてよく出ていたので朗報ともいえる。とはいえ、実際実装されると、自分にかかわりがないと思うニュースが通知されるのか、この通知が嫌だという人も出てきているよう。一元的にオフにできないかという相談を受けるが、必要だと思う人もいるのでTeams アプリからオフにできる以上、個人がそれぞれ要不要を決めればいいだけのことで、そこまで一律で管理する必要はないだろう。

だから会話やお知らせごとは Teams、ファイルを探したければまず OneDrive アプリ、それ以外の総合的な情報の入り口は Microsoft 365 Copilot Chat を使うといったところがエントリーポイントとなるだろう。

SharePoint ポータルサイトは従来通り、ファイルの共有および保管庫として利用したり、リストを使って定型データを蓄積して情報共有していくとよいし、お知らせごとをニュースとして発信する場として使うのは変わらずに行っていくことになる。

ちなみに、クラシックサイトを利用している組織では根強く「お知らせ」リストを使っているところも多いようだが、これはあまり感心しない。一番の理由は発信した情報がどのように伝達されたかを知る仕組みがないからだ。従来の考え方は現実世界の掲示板と一緒で、とりあえず貼っておけばだれか見るでしょう。見てくださいね。掲示しているんだから、見ていないのが悪い、、、というような理屈になりがちである。だが、本来はきちんとした方法論を検討すべきで、どの時間帯に閲覧しているのか、どのくらい滞在しているのかなどを計測して、より確実に情報を届けるアプローチを模索すべきである。古くはメールで既読通知などしていたし、回覧板などもあったが、あれもどれほどの効果があるのかは微妙で、よく読まずに面倒なので一括して既読にすることも少なくない。だからこそ、滞在時間なども重要になる。その点は、モダンサイトのSharePoint のニュースであれば、直接Webページを閲覧しても、メールで内容を送信しても、アクセス状況の分析ができるようになっている。さらに、Viva スイートなどの追加ライセンスを持っていれば、Viva Amplifyを使うことで、SharePointをベースに Teams, Outlook,SharePoint (将来的には Vvia Engage)に対しても一斉にニュースを配信できる。しかも、興味深いのがマーケティング手法を使っていることである。組織内のユーザーを対象にマーケティング手法を用いて情報を広く発信して、情報を収取して分析していく。もはや、ただ掲載しました、ではダメなわけである。

ページ作成に関しては言えば、Flexible セクションがいよいよ登場し、柔軟なレイアウトでの情報発信が可能になる。これに加えて今後は Copilot を使ったサイトやページ作成もできるようになる。私たちは、発信したい情報の本質をしっかり吟味したうえで、少し Copilot に手伝ってもらいながらより良い情報発信を行っていけることになる。またこれが蓄積されることで、組織の重要なナレッジとしての資産となっていく。

ということで、SharePoint 自体は膨大な組織のナレッジの宝庫である。これを有効活用するために、どうしたらよいかという試行錯誤は今後も続いていくが、Microsoft 365 Copilot はゲームチェンジャーであることは間違いない。

2025年1月30日 (木)

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※2025年9月25日に一部修正・追記しました。

これまでユーザーアカウントは削除せず、OneDrive を含むライセンスをはく奪しているような場合は OneDrive のストレージは作成されていれば、そのまま無課金で温存されていました。むろん、ユーザーアカウント自体を削除すると OneDrive のストレージは30日(既定)でごみ箱に移動され、最終的には93日経過すると削除されます。

しかし、削除されることなく放置されたままの OneDriveはセキュリティやコンプイアンスのリスクをもたらしたり、ファイルの混乱や重複を生じるといった問題を抱えていました。

2025年1月27日以降は、こうした OneDrive のアカウントに対してのポリシーが変更され厳密な管理が必要になります。きちんと管理しない場合はいずれ自動的に削除されるかもしくはアーカイブされることになります。アーカイブされる場合、アーカイブ中はストレージ料金が追加で発生しますし、再アクティブ化する場合も料金が発生します。

なお、このアップデートはこれから数か月間にわたり段階的にロールアウトされることになっています。

2025年2月17日⇒2025年7月28日(延期された)より前からライセンスが付与されていないアカウントのタイムライン

📅2025年4月25日⇒2025年9月26日に延期

この日までに、すべてのライセンスのないアカウントが読み取り専用モードへと移行します。管理者は、この日以降に確認することが推奨されます (※これより前だと状態が不完全な可能性がある)。

📅2025年5月15日⇒2025年10月29日に延期

この日までに全てのライセンスのないアカウントはアーカイブモードへと移行されます。管理者は、この日以降に確認することが推奨されます (※これより前だと状態が不完全な可能性がある)。

2025年2月17日⇒2025年7月28日(延期) 以降にライセンスが付与されなくなったアカウントのタイムライン

アカウントは60日後読み取り専用モードとなり、93日後には基本的にごみ箱に移動します。

基本的にといっているのは、訴訟ホールドの対象になっている場合やアイテム保持ポリシーが適用されているOneDrive に関してはアーカイブされるためです。削除釣れるのはアイテム保持ポリシーが適用されていない OneDriveです。アイテム保持ポリシーは Microsoft Purview から管理者が設定する必要があります。

読み取り専用モードとは?

読み取りモードになるとファイルは引き続き表示およびダウンロードできますが、新しいファイルをアップロードしたり既存のファイルに変更を加えたりすることはできません。

読み取り専用モードに移行したOneDriveにアクセスするには、OneDrive のライセンスを付与しなおすか、PowerShellコマンドを使ってサイトのロックを解除する必要があります。

アーカイブ

アーカイブされるとファイルの表示、ダウンロード、編集はできなくなります。アカウントは実質凍結され、OneDrive データにアクセスできなくなります。 

アーカイブされたのOneDrive アクセスしようとすると次のようにエラーメッセージが表示されます。

Archive

ここまでを一度まとめましょう。

まず、ライセンスのない OneDrive のアカウントを特定した場合にとる措置は基本は次の2つです。これらの措置をほったらかしにしてしまうといつの間にかアーカイブされたり削除されたりします。

  • ライセンスをきちんと付与して管理する

  • 削除する

ライセンスを付与する

ライセンスを付与する場合は、OneDriveがアーカイブされる前にそのOneDrive の持ち主のアカウントに対してMicrosoft 365 サブスクリプションを割り当てます。

アーカイブされている場合で、所有者として関連づけられているユーザーがある場合は、そのアカウントにライセンスをきちんと付与することで24~48時間以内に再アクティブ化されます。この場合は再アクティブ化に料金は発生しません。この場合は再アクティブ化に必要な課金を有効化する必要はありません。所有者のアカウントがすでに削除ずみであるなどで存在しない場合は、アーカイブされたOneDriveを再アクティブ化して必要なコンテンツは SharePoint サイトや他のアクティブなライセンスを持つ OneDriveへと移動させます。

OneDrive アカウントを削除する

アーカイブ前は、ライセンスのない OneDrive を削除するには組織からユーザーを削除し、さらにデータを削除することになります。ユーザーの完全削除は次のいずれかで行えます。

  • Microsoft 365 管理センター

  • PowerShell

  • Microsoft Graph API

ライセンスのないアカウントを削除すると OneDrive アカウントとファイルの両方がごみ箱に移動され、93日後に完全に削除されます。

アーカイブ後の場合は、再アクティブ化せずにアーカイブされた状態のままアカウントを削除できます。

状況 OneDriveの保持期間 備考
Microsoft 365ユーザーアカウントを削除 既定で30日 SharePoint管理センターで変更可能。保持ポリシーがあれば延長される。
ユーザーは有効だがOneDriveライセンスを削除 93日後にアーカイブまたは削除 保持ポリシーや訴訟ホールドがなければ最終的にはごみ箱へ。

2025年2月17日⇒2025年7月28日(延期)より前にライセンスが削除されている OneDrive に関しては勝手に削除されることはなく、放置しているとアーカイブされ、その間課金されることになります。復元する際にも課金されます。ちなみに、アーカイブされている OneDrive の復元には Microsoft 365 アーカイブの事前設定が必要です。お金がかかるならそのまま削除しようか? ということにもなるかもしれませんが、その場合はアーカイブ状態のまま削除もできます。

また2025年2月17日以降は、保持ポリシーや訴訟ホールドの対象でない場合は93日以上放置していれば削除されるということです。

条件 アクション
保持ポリシーや訴訟ホールドの対象 ライセンスの削除から 93 日後に自動的にアーカイブされます。アーカイブの復元をするためには Microsoft 365 アーカイブの設定が必要になります。
保持ポリシーや訴訟ホールドの対象外 ライセンスの削除から 93 日後にごみ箱に移動され、その後完全に削除されます。

アーカイブされたアカウントからの料金

ライセンスのない OneDrive がアーカイブされた放置していると(※アーカイブされたアカウントが保持ポリシーや訴訟ホールドの対象である前提)、削除されることのないまま毎月のストレージに対する料金がかかります。また再アクティブ化の際にも料金が発生します。

アーカイブされたアカウントに対するストレージ料金は $0.05/GB/月です。また、再アクティブ化する場合は $0.60/GBが適用されます。

なお再アクティブ化は一時的なもので、再アクティブ化後の30日以内にライセンスを付与しなおすか、削除するのかを決める必要があります。削除するのであれば、OneDrive にアクセスできるようになっているので急ぎ重要なファイルなどを SharePoint サイト等に移動させます。再アクティブ化しても30日経過すれば再び自動的にアーカイブされてしまいます。

ゴミ箱からの復元

アーカイブされず93日後にごみ箱に移動された OneDrive アカウントは復元することも可能です。復元すると自動的にアーカイブ状態になります。その後、再アクティブ化を行うという流れです。アーカイブされることになるため料金が発生するわけです。

なお、ごみ箱に移動されたOneDrive アカウントは93日間保持された後に完全削除されます。

ライセンスのない OneDrive を特定する

ライセンスのない OneDrive を特定するには SharePoint 管理センターから「レポート」>「OneDrive アカウント」の順にアクセスします。この画面で保持ポリシーが適用されている OneDrive アカウントやライセンスのないアカウントなどを特定できるようになっています。

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画面下部の「詳細を表示」をクリックすると対象となるユーザーアカウントが表示され、ここから削除ができるようになっています。

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列の説明

ここでは一覧に含まれる列のうち、わかりにくい列について補足説明します。

「ライセンスなし」

この列はライセンスがなくなった日時です。

「次の理由によりライセンスされていません」列

一覧の列のうち「次の理由によりライセンスされていません」列には、ライセンスがない理由が書かれています。次の4つの値があります。

  • 所有者なし

    • OneDrive アカウントに割り当てられている所有者がおらず、このアカウントに関連付けできるライセンスがない状態

    • Entra ID に所有者に該当するユーザーアカウントが存在しない(完全削除されている)状況であると考えられる

  • 所有者が Entra ID から削除されました

    • 割り当てられていた所有者が削除されたため関連付けられたライセンスがない状態

    • Entra ID 上には所有者に該当するユーザーアカウントが削除状態にあるが、Soft-deleted user となっていて削除されても30日間は復元可能であり、内部的にはまだ存在はしていることになる

  • 管理者によってライセンスが削除されました

    • Entra ID にアカウントは存在するが、そのアカウントからライセンスをはく奪した状態。例えば、別のユーザーにライセンスを付け替えた場合なども含まれる

  • 重複するアカウント

    • 複数の OneDrive アカウントに所有者が関連付けられている状態。

「以下により削除が禁止」

一覧の列のうち「以下により削除が禁止」列には、ライセンスがない理由が書かれています。次の4つの値があります。

  • アイテム保持期間(Retention period)

    • グローバルな OneDrive の保持期間にあるため削除できない。一般的にはEntra ID アカウント削除後に30日間保持されるがその期間にあるということ。この場合は「削除のスケジュール」列に削除予定日時が追加される

  • 保持ポリシー (Retention policy)

    • Purview の保持ポリシーや訴訟ホールドがアカウントの削除を阻害している状態

  • Entra ID でアクティブな所有者 (Owner active in Entra ID)

    • OneDrive アカウントの所有者が Entra ID でまだアクティブな状態にあるため削除できない状態

  • ごみ箱から復元された (Restored from recycle bin)

    • IT管理者によってサイトのごみ箱から復元されたアカウントであり、自動的には削除されることはない状態

  • アクティブなロック (Active lock on account)

    • IT管理者がアクティブな読み取り専用またはアクセスできないロックを適用している状態であり、自動的には削除されない。

    • SharePoint 管理センターのレポートからも削除できない

    • IT管理者はPowerShellを使ってこのアカウントからロック状態を削除するかもしくはこのアカウントを直接削除する必要がある

  • 以前のロックまたは他の状態変更(Previous lock or other state chagned)

    • このアカウントは以前ロックされていたか他の管理者による操作によって状態が変更されており、その結果、自動的にアカウントが削除されないようになっている。 

再アクティブ化の準備

レポート画面右上の「請求を有効にする」をクリックすると、SharePoint Premium の従量課金サービスの管理画面に遷移します。

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この「ストレージ」>「アーカイブ」をクリックすると SharePoint サイトのアーカイブ設定と「ライセンスのない OneDrive アカウントの管理」設定画面が表示されます。OneDrive の側をオンにすることでOneDriveのアーカイブと復元ができるようになります。

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参考情報

2024年12月12日 (木)

SharePoint Premium はかつて SharePoint Syntex ⇒ Microsoft Syntex ⇒ SharePoint Pemium と名前を変えてきていますが、基本的には AI を用いた新しいコンテンツ管理のソリューションです。この機能を利用するには、SharePoint のアドオンライセンスとしてユーザー単位でライセンスを購入する必要がありましたが、現在は従量課金のプランに移り変わりました。

このプランに含まれるのは次の通りです。

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SharePoint Premium 関連記事

これまでブログに挙げてきた SharePoint Premium 関連の記事をリストアップしておきます。

SharePoint Advanced Managment との違い

SharePoint Premium ブランドに含まれている SharePoint Advanced Managment という名前のアドオンライセンスがあります。これは上記のようなコンテンツ管理とは異なり、SharePoint サイト内のコンテンツのガバナンス管理強化機能です。ライセンスとしてはユーザーライセンスで従量課金ではありません。実質的には SharePoint 全体管理者に関わる拡張された管理機能が利用できるもので、そういう意味では上記のうちMicrosoft 365 バックアップやアーカイブは、こちらのカテゴリに近いはずですが、従量課金の仕組み上、ユーザーライセンス体系とは別になっています。

SharePoint Technical Notes : Microsoft Syntex - Microsoft SharePoint Advanced Management アドオンが GA

Microsoft 365 Copilot に含まれることになったと説明したのはこちらのユーザーライセンスとして購入してきた SharePoint Advanced Management のことなので、混同しないようにご注意ください。

SharePoint Technical Notes : SharePoint Premium-SharePoint Advanced Managment が Microsoft 365 Copilot ライセンスへ標準搭載へ

具体的には SharePoint 管理センターで "PRO" とつく機能はこのライセンスが必要です。

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ということで、上記のガバナンス機能なども網羅的に学習できる新コースを来年1月から実施しますので、気になる方はぜひご検討ください。おそらく、まだどこもこのあたりを包括的に詳しく説明している研修はないのではないかなと思います。オンプレミス時代のデータベースの仕組みなども踏まえて深堀していきます(たぶん、少しマニアック)。

【オフィスアイ株式会社】Microsoft 365 SharePoint の構成と管理 ~Microsoft 365 Copilot 対応~

2024年12月11日 (水)

2024年11月19日付の発表で、これまで個別に追加契約する必要があった SharePoint Advanced Management(SAM) が Microsoft 365 Copilot のライセンスに含まれることになりました。もちろん、Microsoft 365 Copilot のライセンスを持っていなければ従来通り個別に購入できます。

つまり、Microsoft 365 Copilot を利用できる組織ではガバナンス管理を同時に強化できるようになったということです。実際のロールアウトは2025年初頭からとなるようです。

Content

詳しくは下記の記事を参照してください。

Accelerate Microsoft 365 Copilot adoption with built-in content governance | Microsoft Community Hub